12月19日2008/12/20 00:58

 ネタとしてイマイチまとまりが悪いモノしかない(良くある話だ)ので、本日はあえて「まとまりの悪い」ネタを。このネタ、多少寝かせたところでうまくまとまりそうもないので、こーゆー時に垂れ流しておこうかなと。
 
 TechCrunchってサイト(リンク先は日本語版)がある。米国のインターネットサービスと関連企業を紹介しまくるサイトだ。私は結構アナログ人間なので、本来こんなサイトを見ても得るモノは少ないと思う(実際、「へー」以上の感想を持つことはまれ)けど、たまに目を通している。読み物として面白かったり、「米国じゃこうなってんだ」って勉強になるからね。
 
 このサイト、いちいち日本語版があるぐらいだから、それなりに影響力があるサイトなんだと思う。そんなサイトが、先日(米国時間で17日らしい)、爆弾発言をブチまけた。「報道協定は守りません」って発表したのだ。
 
 ココで言う報道協定とは、「いついつまでこの話は黙っていて下さいね」って約束のこと。いわゆる「抜け駆け」防止協定だ。こういう協定が存在する理由は、わかる。本来ならば、破るのはマズいでしょ。でも、何で破るのかって?このサイトの説明によると、「他のサイトが抜け駆けをやりまくるので、もうウチが守る意味がない」んだそうな。
 
 何で抜け駆けが多くなったのか?これは多分、不況とネットマスコミ増殖の相乗効果だろう。今米国は景気が悪い。いわゆる「Webサービス」を提供する企業も、当然景気は悪い。そこでまあ、「もっとウチを宣伝しろ!」と、PR会社(日本で言う広告代理店か?)をせっつきまくっている。そのためPR会社も、「ウチのクライアントを取り上げろ!」と、各種ニュースサイトに圧力をかけている。ここまではいい。問題は、ニュースサイトと言えども、当然「掲載量に制限」がある。当たり前だ。役に立たない情報だらけのサイトを誰が見る?でも、それじゃあPR会社の実績が上がらない。そのため、「取り上げてくれそうなサイト」に、片っ端からネタを流すようになったらしい。
 
 その結果、こう言っては何だけど「怪しげな」サイトにも報道協定付きのネタが大量に流れ込むようになったんだそうな。こういうサイトは報道協定を守るより、破る方が利益になる(これまた理由はわかるでしょ)。その結果、報道協定がちっとも守られなくなったようなのだ。この現状にTechCrunchがブチ切れ、「ウチも報道協定なんて守らない!」って宣言になったそうな。
 
 ちなみに、「抜け駆け」された側は当然怒るけど、単に怒るだけで実効性がないんだそうな。例外はMicrosoftとGoogle。この2つは、自社ネタを抜け駆けした奴には、その後ネタを流さないんだとか。とはいえ、情報統制に関して最高峰はAppleだろう。あそこは「報道協定ネタ」を出さない。いつだってマスコミ公開=公式発表時だ。もっとも、そのおかげで、常に「根も葉もない噂が流される」けどね。経済業界紙で「Appleがネットブックを出す・出さない」でギャアギャア騒ぐ(ドッチにせよ、根も葉もない話である)なんてアホ話が展開されるのは、この会社ぐらいだ。
 
 もっとも、MicrosoftとGoogleから「お前にネタは流さない」と言われたら死刑宣告同然だけど、他がこんなコト言ったからって、「じゃあ、アンタの話題なんて流さない」だけで片付けられて終わりでしょ。ニュースサイトとネタ元って、「持ちつ持たれつ」だからねえ。ましてアングラ零細に至っては、「瞬間風速でもアクセス数増やせば、何とかなる」って気持ち強いだろうし。おそらくだけど、制裁で抜け駆けを処断しようとしても、抜け駆けはなくならならないだろう。
 
 私が思うに、もはやこの手の「報道協定」自体が無意味なモノになっている気がする。情報発信源、つまりマスコミが比較的少数だった時代はともかく、有象無象を含めれば数え切れないほどに膨れ上がり、しかも「検索サイトの上位に来ちゃえば、それだけで勝ち組」って世の中では、報道協定なんて意味がない。破った奴の勝ちになっちゃうからだ。これを防ごうと思ったら、Microsoft・Google・Appleのように「誰もがネタを扱わせて下さいとアタマを下げに来る」企業になるしかない。その逆に「ウチのネタ取り上げて欲しいんですけど」と言って回っている企業には、報道協定を出すのは無理だろう。協定違反を咎められないので、協定違反し放題だからだ。結局守られない協定に、何の意味がある?
 
 しかし、だからと言って有力サイトが自ら「協定なんて守らない!」と宣言するのはどうかと思うけど、そーゆーファンキーなサイトなんだから仕方ないと言えば仕方ない。今後この流れがどーなってゆくのか、興味深いと言えば興味深い。
 
 この手の「取り上げてくれ!」って圧力は、広告効果の強いサイトの宿命なのかもしれない。いわゆる「古い」マスコミ(新聞・雑誌・TVなど)がまだ強い日本がこうなるのかはわからないけど、その可能性はあるね。好む好まざるに関わらず、これからは「報道」ってものが色々変化してゆくのでは…
 
 ちなみにだ。ココがこの手の話に巻き込まれる可能性は、限りなくゼロに近い。アクセス数を増やしてどうこう…ってサイトじゃないし、広告効果もゼロに近いし。ただ、あえて言わせてもらうと、私もこの手の「報道協定」は、遵守しない。ここで扱うネタは、全て「私の独断と偏見」だけを基準に決定され、他の何者も介入させるつもりはないからだ。ただ、実際は「協定破って速報流す」可能性は皆無に等しく、むしろネタ的に時期遅れとなってから取り扱うコトになると思うけど。結果的には協定守っていることになるんじゃないかなあ。ただ、「協定守るかどうか」って判断でネタを選ばないだけだ。
 
 とはいえ、一応はブログなるものを世間に公開している以上、「貴方のブログ(SNSなども含む)でこのニュースを紹介して下さい!」ってスパムが山ほど届く可能性はあるね。もちろん、私に届くぐらいだから、他の皆様にも。TechCrunchは、一応はそんな時代が来ないように戦っているのかも知れない。ただ…結局は「報道協定なるモノが時代遅れになる」だけで終わってしまい、ブログ持っているってだけで「このニュース紹介して!」ってスパムが送られてくる時代が来ちゃいそうな気もするんだけど。どーなるのかね、ホントに。

コメント

_ manicure ― 2017/05/04 12:02

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Reading through this post reminds me of my old room mate!
He always kept chatting about this. I will forward this article to him.
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_ chocolate ― 2018/05/04 00:50

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