9月8日2013/09/08 21:31

 五輪、東京に来るか…正直、私はあんまり歓迎できない。ヲタクだから。五輪が来ることそのものは歓迎かも知れないけれど、コミケに影響が及びそうなのが…「ビッグサイトでコミケが開催できる見込みが立たない」となっていた前回の計画とは異なるようだけど、何かしら影響はありそうだ。何があろうとも戦えるだけの心構えはあるけれど、ミョーな変更は好ましくない。どうなることやら。
 
 本日は久々にヲタクネタ以外から。以前から宿題扱いしていた、「低温核融合」について。なんつーか、語るのは色んな意味で危険なネタって気はするけれど、それでもあえて語っちゃう。炎上で済めばいいけど、まさか消されないだろうな私…
 
 そもそも核融合とは?については省略する。高卒程度の物理学知識があれば、知っているはずなので。基本的には、水素(「フツーの」水素及びその同位体)の原子核を無理矢理くっつけてエネルギーを取り出す。今のところ、地上で「確実に」再現可能なのは重水素や三重水素を用いたモノ。再現と言っても、水爆として爆発させるだけなんだが。
 
 核融合エネルギーを平和利用する研究は色々あるんだけど、どうもうまくいってないらしい。そもそも、「点火」するために原爆使って…とかいうシロモノだからなあ。実用化の目処が立てば速やかに普及しそうではあるけれど、今のところその目処は立ってない。とりあえず、今世紀中に核融合発電所が登場するかどうかはビミョーとしておこう。
 
 低温核融合とは、高温高圧を無理矢理達成しなくても核融合反応は起きるのでは?ってな話である。とりあえずの手法はこうなる。まず、重水(フツーの水素ではなく重水素が酸素と結び付いた水)を水槽に入れる。この水槽にパラジウムって元素を使った電極を入れ、重水を電気分解する。こうするとパラジウムに水素原子(重水素であっても同じ)が大量に吸収される。その結果、重水素の原子核が核融合を起こすほど接近し、核融合反応が起きる…んじゃないかな、ってモノ。
 
 高温高圧を利用しなくても核融合。素晴らしい。これでエネルギー問題は…と言いたいトコロだけど、問題がある。現在のところ、キチンと再現可能な形で、実用可能なほど大きなエネルギーを、安定して取り出すことに成功した、という証拠はない。「成功した」って報告は山ほどあるらしいけど、どいつもこいつも噂・デマの領域を出ない。最有力な仮説は「そんなことできやしない」だ。ま、あくまで仮説なので、間違っている可能性は否定しないけど。
 
 コトが「モノになるかどうかビミョーな研究」に留まっているのであれば、別にどうと言うことはない。そーゆー意味で「怪しげな研究」なるものは山ほどあり、希に役に立つモノが出てくる。真面目にコツコツと基礎研究している分には、「そーゆー無駄なことすんな」って話にはならないと思う。けど…成功した場合の利益がどう考えても馬鹿でかいだけに、そんな話じゃなくなっているんだな。
 
 今のところ、重水ってのはものすごく高額だ。「同じ重さの金より高い」とされている。サンデーサイレンスの血とドッチが高いのかは知らないけど(笑)。けれど、これは単に「需要がないから高い」って話。ありふれているって意味ではものすごくありふれている。なにせ、水道ヒネって出てくる水の1%程度は重水だからだ。
 
 え?そんな貴重なモノが?抽出して儲けるから方法教えろ…と言われてもなあ。いわゆる「重水」ってのは、「重水の割合が一定以上のモノ」を指す。要はフツーの水から重水「だけ」抽出しないと意味がない。その手間暇は無茶苦茶かかる。だから高い。けれど、これは量産効果である程度安くできる。しかし、現状ソレが期待できるほどの需要はない。実験レベルでどうこうってモノを除くと、原子炉の一種である重水炉(原爆の材料を作りやすい…ってんで白眼視されている)もしくは水爆の材料ぐらいか?
 
 ある程度手間暇掛かるとはいえ、基本的には単なる水(海水でも良い)を加工すれば手に入るブツを使って効率良くエネルギーが作り出せる…となれば、政治的な話も含めてとてつもなく大きい。それだけに、かな~りキナ臭い話がまとわりつく。そもそも、この話が出た当初から「再現してみるから実験データよこせ」→「勝手に真似されたら大損害だからイヤ」とかいう話があったようだし。
 
 ついでに言えば、こんなモノを実用化されたら、今現在エネルギー資源を押さえている国家・企業は確実に困る。手間暇掛かるとはいえ、基本的には単なる水をどうこうって話だから。おそらくだけど、「そーゆー勢力に目を付けられると困るから、実験データは隠している」とか、「どこぞの勢力が都合悪い真実を隠蔽しているから、上手くいかないことになっている」なんてコトを信じている輩もいるんじゃないかと思われる。
 
 実はこの話が盛り上がったのは、私が学生の時代。もう相当昔だ。その後この研究は否定された…と思っていたんだけど、実は今でも生き延びているらしい。私の個人的見解としては「モノになる技術とは思えない」んだけど、そう思ってない、それを認められない人間が少なからずいるらしい。何故?ってなあ。多分だけど、「この技術はモノにならない、クズである」と認めちゃうわけにいかないって立場の人間がいるんじゃ…
 
 こんな話をしたのは何故か。それは、この技術はF男認定「現代魔法」第2弾だからである。第1弾は「高温超伝導」。これも相当怪しげなトコロがあった技術だからなあ。ただ、コッチは色々あったあげく「キチンとした科学」になり、色々実用化している。もうかなり前の話になってしまったけど、Mustattackメンテ要員飲み会の席で高温超伝導の話が(統計の話絡みで)出て、そのついでに私がこの低温核融合の話を出した、という流れがある。
 
 ちなみに、その時私は「まるで成果はないはず」と言ったし、そう信じていたけれど、実は一応成果は出ているらしい。再現可能な形で「核融合が起きていると考えない限り、説明しにくい物質」が検出されてる…って説はあるようだ。ただまあ、正直真偽のほどは何とも。なにせ「権威のある科学専門誌」のいくつかは、この実験に関する論文を受け付けない。「再現されちゃ困る」とかいうフザケた報告が山ほど寄せられることに腹を立てたあげく、「とりあえず全部嘘っぱちと見なす」ことにしたようだ。その態度を改めたって話は聞かないので、信用度もその程度と考えて良いんだと思う。
 
 ちなみにだ。日本はどうやらこの分野の研究はかなり熱心にやって「いる」らしい。詳細は不明だけど。とりあえず、過去熱心にやって「いた」ことは確認されている。その昔、通産省が「モノになりそうだから、研究しろ。補助金は出す」ってなこと言っちゃったんだよね。文部省でも科学技術庁(当時はまだ分離していたはず)でもなく。確か「現代用語の基礎知識」だと記憶しているんだけど、冒頭で特集組んで、「我が国の研究は進んでいる。いずれ実用化したら…」って夢物語(妄想とも言う)を語った年があった。いつだかは忘れたけど。記憶が正しければだけど、日本を代表する企業(あえて名は伏せる)が研究しているってアピールしてましたね。
 
 そんなアホなことにカネ使っている企業がある?その研究費って、元を正せば消費者が支払った金。しかも税金絡んでいる可能性も高いよなあ…と憤る必要は無いだろう。成果が出てないのは間違いないので、会社の経営に深刻な影響を与えるような金額が投入されてるとは思えない。いくら何でもソコまで日本の経営者は馬鹿じゃない…と思いたい。せいぜい「大金突っ込んだあげく、クズだったと認めるのはイヤなので、面子を守れる程度に研究は続ける」って程度だったら、まあ「モノになるのはいつの日か」って研究と同列に論じても良いような。そもそも、一応まだ「完全なクズ」と証明されたワケじゃない。
 
 普通なら、この話の教訓とは…みたいな意見を付け加えて、話の〆とする。けど、この話については、あえてそうしない。生臭すぎて色々危険なレベルだし、簡単に結論出して良い話じゃ無さそうだから。私はこの技術はクズだと信じているけれど、それは私が科学知識のない馬鹿だからであって、「石油メジャー」だの「原子力村」だのといった、既存エネルギーの覇権を握っている連中に騙されているからに過ぎないから…って可能性もある。とりあえずはそーゆーことにしておきたい。
 
 しかしだねえ。ラノベなんかじゃもてはやされている「現代魔法」だけど、実在してしかもこんなモノとは…私個人としては面白いけどね。現代のマッドサイエンティストが研究しそうなモノとして、生体改造・不老不死・超能力・超エネルギーなんてモノが考えられるけど、その1つとして「低温核融合」を研究するマッドな学者が登場しても面白いとは思う。ものすごく生臭いのを承知の上であれば。誰かそーゆー作品書かないかね?(おい)

10月17日2010/10/17 22:56

 本日の話題は、イグノーベル賞関連。先月末に発表されていたんだけど、研究内容などを把握するのに時間を喰いまして。今回紹介するのは、経営学賞を受賞した「昇進させる人物をランダムに選んだ方が、組織はより効率的になることを数学的に証明したこと」について。単に調べやすかったからって話はあるけど。
 
 えーと、まずは「限界効用逓減の法則」からいきましょ。これは経済学のイロハで、「あるモノ(主に食べ物など)を何度もまとめて消費すると、その効用(満腹感とか味を楽しむとか)は少しずつ減ってゆく」ってものだ。とりあえずは原則論なので、細かいことは気にしないように。とりあえず、オニギリでたとえよう。最初の1個を食べた直後より、2個目を食べた後の方が「オニギリ食いたい!」って気持ちが薄れ、3個目を食べた後は「もういいかな」って気持ちになり、4個目を食べた後は「これ以上食べるのは苦痛なんですけど」って状態になる…という現象?を説明したモノだ。
 
 このたとえにおいて、この人はオニギリを何個買うべきか?答えは3個である。2個食べた後は、薄れているとは言え「オニギリ食いたい」って気持ちがまだ残っている。4個食べた後は苦痛というマイナスがある。つまり、「オニギリ食いたい」って気持ちがゼロになり、なおかつ苦痛にならない状態になるまで「オニギリを消費する」のがベストだってことだ。これはつまり、「少しずつ減ってゆく(=逓減する)効用がプラスマイナスゼロになる個数まで消費するのが、利益を最大にする方法」ということになる。「限界効用逓減の法則」なんて書くと難しそうだけど、感覚的にはわかってもらえるのでは。
 
 この「プラスマイナスゼロになるまで消費する」って部分、実は「ある品物・手段を色んな用途に応用しちゃう」場合にも当てはまるのでは…と考えた奴がいた。つまりはこうだ。何か「上手くいった」手段がある場合、人間はそれが「他のことにも応用できるのでは?」と考え、実際やってみる。しかし、それは本来の用途と異なるので、大抵の場合は「ソコソコ使える」程度の話になる。それでもプラスがあるのなら「まだ応用できそうだ」と用途を広げてゆく。ただ、「駄目だこりゃ」となったモノ(マイナスになるモノ)の場合、当然使うのを止める。かくして、ある手段は「可もなく不可もなく」、とりあえずその場は誤魔化しておけるけど、適切とは言い難い」って用途(プラスマイナスゼロの状態)に使われるまで広まり、そこで止まる…というわけだ。
 
 この話は例を見つけるのが難しいんだけど、私は大いに納得できる。「私が購入するカレンダーの数」が、おおむねこの法則に従っているからだ(笑)。カレンダーマニアである私は、どこを眺めても「視界のどこかにカレンダーが見える」って状態になるまでカレンダーを増やし、それを越えると「流石に多すぎた」って気分になる。カレンダーがいっぱい見えたからって実害はない…と言いたいけど、私は「カレンダーってのは買うものだ」と固く信じているので、財布の中に被害が出る。ま、実際は明らかに「カレンダー過多」だけど。足りないよりは多すぎる方がマシなので。
 
 この「ある手段は、より困難な応用に適用されてゆき、やがて失敗してその直前の状態に戻る」という「モノ・手段」に対する法則は、実は「人事」にも応用できちゃう。これが「ピーターの法則」だ。人間、有能であれば出世する。有害ならば降格する。これを突き詰めてゆくと、「全ての役職は、その立場を何とかこなせる程度の存在、つまり無能な奴によって埋め尽くされる」となっちゃう…ってものだ。これは「出世すると仕事がタイヘンになり、より高い能力を要求されるから」ではない!単純に「仕事の質が変化するので、以前の役職において役に立った技能・経験が役に立つとは限らなくなるから」である。
 
 そりゃあね、現実はモデル通りにはならない。ただ、それは「現実はより複雑で、他のことも考慮する必要があるから」ではなく、「社員の数はたかだか数十万、1人の社員の勤務可能年数はどう頑張っても60年(役員も含めて考えるので、定年退職は考える必要がない)程度」なので、「バラつき」が無視できないからである。役職の段階もそんなに多くないし。ただ、「有能と判定されれば出世し、有害と判定されれば降格する」という「素朴な能力主義」を採用するってコトは、「その役職に留まり続ける=可もなく不可もなく」を意味する。これじゃ駄目だ…ってのが「ピーターの法則」だ。
 
 この「素朴な能力主義」が悪質なのは、組織が「有害な奴」ではなく、「可もなく不可もない奴」、つまり無能によって占められるってトコロにある。とりあえずその場その場はしのげるので、「ココが駄目だ」と指摘されにくい。そもそも、組織の上層部(普通はその組織に長年いた奴)ほど「安定した状態」、つまり無能状態に陥っている可能性が高いので、改革もやりにくい。かくして組織全体が「無能」になり、「素晴らしい仕事」は「まだ無能を露呈する地位まで出世していない社員」(大抵地位が低い)によって行われることになる。
 
 この法則から逃れるためには、どーすりゃいいのか?実は解決策の1つに「階級制の復活」がある。平社員は有能でも無能でも生涯平社員、管理職も経営職もず~っと同じ職務…という状態ならば、「有能な奴が出世して別の仕事を要求され、いずれ無能の壁に突き当たる」って現象は避けることが出来る。これに近いことやってんのが公務員だな。キャリアは腐ってもキャリア、ノンキャリは未来永劫ノンキャリという「階層」があるからね。もちろん、単純に階級社会を復活させると弊害の方が大きいので、本来ならば「無能な貴族(管理職・経営者)より有能な平民の方が高給取り」みたいな制度を設ける必要があるけど。
 
 そんでもって…同じく「ピーターの法則」から脱却する方法として提唱されたのが「昇進させる奴はランダムに選ぶ」である。あくまで数学的モデル上の話ではあるけれど、実はコレ「かなり上手くいく方法」という結論が出ちゃった。まあ、「有能な奴を出世させる」ってコトは「ある役職から有能な奴を取り除き、適切かどうかわからない役職に送り込む」ってマイナスがあるので、ランダムより劣っても仕方ない気はするけど…いわゆる「会社人間」が持つ常識と真っ向から反する結論を導き出したのだから、イグノーベル賞受賞もわかる気はするな。
 
 なお、この法則に従うのなら、「年功序列」なるシステムは「捨てたモノじゃない」となる。勤続年数と「その人が、現在いる役職で示した能力」&「出世した役職で必要な能力」は直接関係があるワケじゃない(間接的にはあるんだろうけど)ので、「単純素朴な能力主義」を採用した場合よりランダム性が出てくるから。「年功序列じゃ駄目だ!」と「成果主義」を導入した企業がうまくいかなかったのも、ある意味当然って気はするね。駄目な制度をより駄目な制度に変えたわけだから。
 
 実際問題として、「昇進する奴はくじ引きで決める」なんて会社が誕生するかどうかは、わからない。数学モデル上はその方が有利だとしても、「直感的感覚」に反するだけに、問題だらけって話になるだろうからね。間違っているのは直感的感覚の方であっても。ただまあ、コレを機に「人事制度なるモノの見直し」が進むかもしれない。とりあえず、その方が世のため人のためだとは思う。
 
 ちなみにだ。「ピーターの法則」なるものが提唱されたのは、40年以上前。にもかかわらず、日本で「この法則から逃れるための人事制度とは」って話が盛り上がったって話は聞かない。「年功序列じゃ駄目だ、これからは成果主義だ!」などという、ある意味愚劣な議論は盛り上がったけどね。この辺にも「日本経済がいつまで経っても元気にならない理由」があるのかも。ま、この辺を見直すのは大変だと思うので、仕方ない側面も強いとは思うけど。
 
 私はウォーゲーマーなので、「いい働きをしたので出世させてみたら、無能でした」って例については、それなりに詳しい。「どう考えても出世すべきじゃなかったよ、キミ」って言いたくなるような将軍って、古今東西問わずいたからね。それを考えると、今回の話はこの色の話題について行ける人間の方が「なるほど」と思ってもらえるかも知れない。ということは、やはり「ウォーゲームを知ることは、実生活の役にも立つ」ってことに…なるんだろうか?どう考えても「正しいかも知れないけれど、空気読んで黙っておくべき」と分類される知識に詳しくたって、むしろ有害なだけなんじゃ…

9月24日2010/09/25 03:39

 ここ数日、何となく法科大学院の評価なんぞにハマっていた。法曹絡みのニュースが相次いだからね。そこでまあ、私なりの「法科大学院の評価方法」をお届けしようかと。なお、今回お届けするのは、あくまで「評価方法」のみ。個別具体的な評価には一切踏み込まないつもりです。
 
 法科大学院とは、新司法試験を受けるために必要なことを教えてくれる場。基本的に新司法試験を通過するため「だけ」に存在している。実のところ、これが問題を引き起こしているって話もあるんだけど、その辺は後ほど。つーわけで、法科大学院の評価なんてモノは、法務省のサイトで発表されている「新司法試験の合格状況」を見ればわかる。
 
 しかしだねえ。世間一般の人間、及びそーゆー方々向けの報道は「法科大学院の実態」なるものをカケラも知らない。それゆえ、色々誤解はあるんじゃないかと思う。私は何故か法科大学院の実態を多少知っているので、守秘義務に抵触しない範囲(つまり、その気になれば簡単に調べられる情報)で説明しておこうかなと。
 
 法務省のサイトに行き、新司法試験関連の情報を漁ると、比較的簡単に合格状況に関するPDFファイルを見つけることが出来る。このファイルの数値を表計算ソフトに読み込ませるのは、ちょっとしたコツさえわかれば出来る。後は適切な割り算をやらせれば、「法科大学院別合格率一覧」を作成することが出来る。とりあえず、ここまでは自力で出来たと仮定しよう。
 
 問題はここからだ。合格率を出すんだから、合格者数を受験者数で割って…というのは間違っていない。でも、その前に「受験予定者数」なる数字に注目して欲しい。これと受験者数を比べると、なんか結構大きな差があることに気がつく。つまり、「願書は出したけど、受験せずに逃げた」奴が結構いる、ってことになる。
 
 大学受験などでは、これは別に不思議でも何でもない。本命・対抗・滑り止めに練習台…といった理由で願書出して、実際は他の大学・学部の合格状況を見て受験取りやめる、ってなコトを行う奴がいるからね。けど、法科大学院卒業した奴は、新司法試験を受けるしか選択肢がない。そんな中で「逃亡」するとは、これいかに?
 
 種明かしをすると、どうやら「このまま受験しても、受からない」ってな理由で試験から逃げ出し、翌年以降に備える…って奴が結構いるようなのだ。もちろん「病気・怪我などによるやむを得ない受験回避」もゼロじゃないんだけど、それだけじゃこの数字は説明できないでしょ。あくまで噂レベルだけど、法科大学院が「卒業はさせたけど学力足らない奴に、合格率の足引っ張られるのを防ぐため受験しないよう指導している」って話まであるとか何とか。新司法試験って、「法科大学院卒業後5年以上経過、もしくは3回不合格」となるとアウト(受験資格が無くなる)なので、貴重な受験機会を浪費させないため…ってタテマエはあるけどね。
 
 この「逃亡率」は、「新司法試験浪人」の増加に従って年々上昇しているらしい。まあ、気持ちはわかる。いずれ頭打ちになるはずではあるけれど、当初の予想より高いところで固定されそうな感じだな。逃げた奴はまあ「不合格レベルの学力しかない」と推定可能なので、「真の」合格率は合格者÷受験予定者数で求めた方が適切って話があるのだ。ちなみに、今年の合格率はマスコミ発表で「25%ソコソコ」だけど、「真の」合格率は2割を切ってしまいましたとさ。うわ…大丈夫か。
 
 ちなみにこの「25%」って数字を見て、「法科大学院卒業すると、7割が新司法試験に合格する」って理想とほど遠い…って報道があった。これは正しいんだけど、実はイメージほどかけ離れているワケじゃない。理想は別に「浪人せずに」とは言っていない。受験機会が最大3回与えられるので、そのどれかで引っかかればいいのだから。今回発表された25%って数字は現役・浪人含めた合格率だから、それを使って単純計算すると、約58%の人間が合格する計算(「不合格率」を3乗して1から引いた数字)になる。3割そこそこの合格率だと7割程度に達するので、「ダメダメな数字」じゃないんだよね。コレは一応注意が必要。
 
 ただ…表の後ろの方に「卒業年度別合格状況」ってモノがあり、それから導き出した数字によると、「現役合格」しなかった受験生の「合格率の落ち込み」はかなり激しい。勉強する環境を確保するのもタイヘンだからなあ。さらに、学校に行く必要がなくなるので、引き籠もって勉強し続けて色々煮詰まって…ってなコトも多いんじゃないかと。この「卒業後の学生のアフターフォロー」は色々苦慮しているんじゃないかな。なまじ「ウチの生徒じゃなくなった」だけに、面倒見るって言っても限度があるだろうし。
 
 閑話休題。法科大学院の数字的評価に話を戻そう。新司法試験ってのは、選択式の「短答式」と、「論文式」の2つに分かれる。試験日はおおむね似ているんだけど、短答式で「必要な点数」得られた奴だけが論文式の採点をしてもらえる。論文式の採点期間はすご~く長く、しかもコッチの方が合格率が低い。その間学生は落ち着かない日々を送ることになる。ちなみに、その間学生がどーしているのかと言えば、勉強の日々を送るのが一般的。仮に合格しても、その後「落第があり得る研修」に叩き込まれるので、無駄にはならないし。
 
 ちなみにこの短答式、法科大学院の授業では「一切対策しない」のがタテマエになっていたりする。カリキュラムを見る限り、「短答式に合格するための授業」みたいなモノが見あたらないのだ。一応法学未修者(法学部などに通わなかった奴向けのコース)向けの授業がコレに当たるけど…つまり、法科大学院の授業ってのは「論文式で合格点を取る」もしくは「実際法曹になった時に役に立つ」ものばかりやっていて、短答式については「自習しろ」で片付けているのだ。一応自習支援はしているんだろうけど。
 
 このことから、実は「法科大学院別短答式合格率」なる数字(合格状況表から算出できる)は、法科大学院の「教育の質」との関連性は薄めで、実は「学生の質」を現しているだけ…って話がある。優秀な学生を確保するのも大事な仕事とはいえ、ある程度…どころか、かなりの割合が「母体となった大学の、法学部の評判」に依存するって話があるので、評判の高い大学の法科大学院が「優秀な生徒を多数確保できる」となるのも仕方ない。
 
 そうなると…ある意味最も「法科大学院の実力」を表しているのは、実は「短答式に合格した奴の、最終合格率」だって話はある。ちなみにこの数字、今回の総合平均は約35%。おおむね「合格率が高い学校はこの数字も高い」けど、結構ばらつきはある。個別評価に関しては言いたいこともあるけれど、ソレは流石に私の胸にしまっておこう。ミョーな評判ばらまくのは、私の本意じゃない。
 
 法科大学院&新司法試験ってのは、結構残酷な制度だと思う。旧司法試験からして惨い制度だったって話はあるけれど、安くない学費払って、その割に「短答式は自習しろ」と言われちゃうし、あげく「卒業後のアフターフォロー」はちょっと疑問が…もっとも、最大の問題は、そうまでして「新司法試験に合格しなかった」時、実質「だからどーした」だけで片付けられそうな資格しか得られない(一応博士と呼んでもらえるみたいだけど、実質は修士扱い)ってのが…なんかどっかで根本的に制度設計を間違えているんじゃないかって気はするね。その辺をキチンと分析したモノが欲しいんだけど、法曹は法曹で一般人にそんなモノを説明しようって意欲ゼロだし、一般人は「関係ないね」で終わりだし…
 
 とりあえず、本気で法曹を目指そうって学生(社会人でもいいんだけど)の方、まずは勉強うんぬんより、精神力を鍛えて下さい。心が強くないと、とてもじゃないけどやってられない制度だったりするので。いやこれマジに。色々書いてきたけれど、一応私は基本「法曹を目指す人間及び法科大学院」の味方です。だって、応援するだけならタダだから(おい)。

9月18日2010/09/19 01:15

 業務連絡。仏行きは最終的に放棄されました…木・金・月の3日間休めないのがその理由。金・月だけにして…ってプランも考えたんだけど、色々考えた末に放棄されました。うーむ…ただ、これは相手が凱旋門賞だから。キングジョージの時は、絶対休む。影響なんて知ったコトか。なお、腹いせに「韓国もしくは台湾で同人カレンダー買ってくる」もしくは「香港国際開催に行く」のどちらかは実行しようかと。
 
 本日の話題は、押尾裁判。結構「面白い」裁判だと思うんだけど、マスコミ報道はソコをうまく伝え切れてない気がするので。なお、あまり深く突っ込まないで下さい。この方面では、私は「基本的にはシロート」だからして。
 
 裁判の経緯及び判決については、各自調べて下さい。マスコミもこの方面ではキチンと仕事してます。ただなあ…なんつーか、「無理矢理派手にしようとしている」感が強いんだよね。「セックス・ドラッグ」ってな事件なので、ソレを期待する気持ちはわかるんだけどさあ。正直言って、そこを排除した部分にこそ「この事件の面白さ」があると思うんだけど。
 
 細かい部分も大事ではあるけれど、この裁判で一番重要な点は何か?それは何と言っても「すぐ救急車呼んでいれば、被害者は助かったのか」に尽きる。検察は「すぐ呼んでいれば助かったはず」と主張し、「そうしなかったから、保護責任者遺棄致死罪」ってな求刑を行った。コレに対し弁護側は「いや、アレは救急車呼んでも助からない可能性が高かった」と主張し、「だから、せいぜい保護責任者遺棄罪」だと主張し、後者の主張が認められたわけだ。これ以外の争点も重要だけど、罪の重さを決定する上では枝葉だと言っていい。一般に「どの罪が適用されるのか」の方が「その罪の中で悪質かどうか」より影響がデカい(一応例外はある)からして。
 
 これのどこが「面白い」のか?よく考えてもらいたい。検察は被害者が「すぐ救急車を呼べば助かる」ような状態、つまり「症状が軽かった」から罪が重いと主張している。それに対し、弁護側は「救急車呼んだって助かるとは言えないほど、重症だった」から、罪は軽いと言っているのだ。よく考えれば矛盾でも常識と反しているワケでもないんだけど、ちょっと「あれ?」って思うような話だと思わないか?そこが面白い。
 
 今回の裁判では、とりあえず「本来ならば救急車を呼ぶ必要があった」って部分には争いがない(検察・弁護両方ともそれを認めていること)。その上で、「救急車を呼ばなかったのは、どれぐらい悪質な行為なのか」を争っていたわけだ。そう考えれば、「本来助かるはずのところを見殺しにした」方が、「どーやっても助からない」ものを見殺しにするより、罪が重いでしょ。
 
 ただ、この結果として、被告は被害者が「救急車呼んでも助からないかも知れないくらい、重篤な状態」にもかかわらず、救急車を呼ばなかったことになる。そりゃあアナタ、「重い罪の適用」は免れても、「軽い罪の中で重い処罰」喰らっても、文句言えないよ。そう考えると、あの判決はキチンと妥当性はある。報道によると「検察側も弁護側も控訴を検討」してるみたいだけど、だからって「とんちんかんな判決だ」ってワケじゃないと思うな。
 
 むしろ面白いのは、実を言えばこの弁護方針が「被告の意向」に従っていたのかって部分。報道を信じる限りでは、「無罪もしくは執行猶予を勝ち取れる」と信じていたようだけど、「アレは救急車呼んでも助からなかった」と主張していながら、それを勝ち取るのはちょっと無理がないか?無罪もしくは執行猶予を狙うのなら、「救急車呼べば助かる程度だった」ってな部分に同意して、その上でたとえば「軽率に考えちゃったので、ああなっちゃいました。悪意はありません」ってな主張に持ち込むべきだったのでは。ただ、この場合「軽率で済む問題じゃない」と判断されたら、重い罪を背負い込むリスクがあるわけだけど。
 
 そう考えると、今回弁護側は「被告の意向に反して、ローリスクローリターンな方針で弁護を行った」と考えることも出来る。一応は執行猶予を主張していたようだけど、「現実的な落としどころ」として「保護責任者遺棄罪の、重めの判決」を考えていた可能性はあるな。現実問題としては「そんなもの」かもしれないけれど、それが被告の意向に従っていないのであれば、「あえてハイリスクハイリターンを狙う方が、弁護方針としては正しい」って考え方もあるとは思う。
 
 それじゃ、この弁護方針は「問題があるモノ」だったのか?知るかそんなモノ。被告が身勝手な主張をしている場合、弁護士がそれに忠実に従うべきかどうかは難しい。そもそも依頼者(被告)は法律に関して詳しくない(当たり前だ)ので、「身勝手な」主張にこだわったからって「単にワガママなだけ」で片付けるのはどうかと思うし、依頼人に「お前は法律に詳しくないんだから、黙ってろ」とばかりに意向を無視して裁判を進めるってのも、「なんか違う」ような。かと言って「無理のある主張」を馬鹿正直に代弁して「無駄に重い刑罰」喰らうことが本当に「被告の利益を守る」ことになるのか…とりあえず、法律家のタマゴ連中が「押尾事件の弁護方針について、思うところを述べよ」って課題を出される可能性はあるかな。報道量の関係上判断材料が豊富なので、課題にする価値はあると思うんですが。
 
 検察側の課題も、ちょっと専門的になるけど面白い。今回、検察は「救急車呼べば助かったのに、見殺しにした」と主張したけど、裁判所&裁判員に「そうとは言い切れない」と判断されちゃった。にもかかわらず「控訴を検討」してるのだとしたら、「裁判所が異なれば判断も異なる」と期待しているか、あるいは「確かに救急車呼んでも助からなかったかも知れないけれど、今回の件は悪質な見殺しだ」と主張するのか、どちらかだと思われる。前者もありがちなんだけど、あくまで私個人の印象としては、後者じゃないかと。それがまた面白い。「判例変更」を求めているようなモノになるからね。
 
 一口に判例変更と言っても、色々ある。「今までシロだったモノをクロにする」なんてモノも一応あるけど、流石にそーゆードラスティックなのはそう多くない。今回の場合、「今までの判例では問題にならなかった部分を、問題にする」って感じの「変更」を求めるんじゃないかなあ。「確かに、薬物中毒だから救急車呼んでも助からなかったかもしれない。けど、そんなコトはシロートに見分けが付くわけがない。だったらこの場合救急車を呼ばなかったことは『救急車を呼べば助かったのに、呼ばなかった』場合と同様に扱うべき」と主張するのでは?
 
 もし検察側がこう主張するなら、通るかどうかは…私にわかるワケがねえ。法律の専門書が山ほど置いてある図書館(法学部のものとか)に籠もってすげ~時間かければ、ひょっとしたら何かしら結論を出せるかも知れないけれど。だいたい、私ごときにそれがすぐわかるくらいなら、弁護士だの裁判官だのは不要だ。
 
 ただ、もし検察側がこう主張したいのなら、「地方裁判所にソレを認めてもらえないのは、織り込み済み」となるのでは。裁判員がどうこうって話じゃない。「判例変更」に近いようなことを認めてもらおうと思ったら、いわゆる「位の高い」裁判所の判断を仰ぐ必要がある…ってのがフツーだからだ。
 
 英米のように「法律ってのは、過去の判例が基本」って国じゃなくても、判例ってのは重要視され、そう簡単に変更できない。理屈では地方裁判所がやったっていいのかもしれないけど、実際問題としてソコに踏み込む裁判官は少ない。そりゃまあ、判例がえらく古くて「時代に即してないのは明らか」なんて場合もあるにはあるけど、フツーは嫌がる。社会に与える影響は絶大だからなあ。「そういう面倒なことは上級裁判所にお任せする」ってのがフツーの態度だ。
 
 キチンと調べてない(そんな能力あるか)ので断言は出来ないけど、過去の「保護責任者遺棄致死罪か、保護責任者遺棄罪か」を争った裁判(今回の裁判の判例になる)では、どうやら「救急車を呼べば助かったかどうか」だけが問われ、「仮に助からないと認めたとしても、やっぱり救急車を呼ぶべきだったかどうか」は問題にされていないようだ。その必要がなけりゃ争わないから、「先例無し」が当然って気がするけど。検察側がそこを争いたいとしても、地方裁判所としては、「そーゆーコトは控訴した後で、高等裁判所の判断を仰いでくれ」って態度に出ても仕方ない気はするなあ。実際、検察側は今回の裁判で「そう解釈して欲しい」って姿勢を打ち出してない(その必要は無いという判断が基本だろうし、仮に主張しても地方裁判所に判断してもらえるかどうか怪しいから、当然ではあるけれど)わけで。
 
 こうして見ると、今回の裁判は法律問題としても「面白い課題」になり得る存在じゃないか?って気がする。法律関係の雑誌に「保護責任者遺棄致死罪じゃなく保護責任者遺棄罪になった決め手は何なのか」が掲載され、それについて学者連中があーだこーだ意見を述べても何の不思議もない。実際どうなのかは、「その昔、法学部ってトコロをお情けで出してもらえた」人間に聞くな。
 
 こういう問題は一般人には関係ない、単に「セックス・ドラッグ」って部分だけ話題にすれば…って意見は、今回の裁判員の方々に失礼ですな。一般人なのに、「こういう問題」がどーなるのか、判断を迫られたのだから。そのタイヘンさの一部をわかってもらおうと、こんな話を展開してみました。
 
 しかし…今回「マトモな判断」しようと思ったら、報道がどれだけ役に立たないかを思い知らされたような気が…芸能系として扱われているんだから、こんなモノなんだろうけど。その点も裁判員の方々はタイヘンだった気はするね。ま、芸能問題を扱う時のマスコミなんてこんなもんか。

7月1日2010/07/02 00:16

 7月。カレンダーの大半がめくられる。ヲタクカレンダー定番の構図は「水着姿」であり、当然私の部屋のカレンダーも水着姿だらけ…でもなかった。半分には届かなかったからなあ(苦笑)。
 
 ここのところ更新できなかった理由は色々あるんだけど、主要因はW杯である。夢中になって観ていたから…って理由ではない。このネタについて書こうとすると、レベルの低い悪口の羅列に堕してばかりいたからだ。
 
 私はカウンターサッカーのモーレツな信者である。「観て楽しくなくても、勝ちゃあいいんだよ」ってレベルじゃない。「カウンターサッカーこそが観て面白いサッカー」だと真顔で断言するくらいだ。それゆえ、どうやら「ボールを支配するのが美しいサッカー」などとヌカす連中に対し、相当鬱屈したモノが貯まっていたらしい。コイツが吹き出ちゃうんだな。
 
 とりあえず日本代表についてだけ触れると、私は昔から「カウンターサッカーをやれ」と言い続けてきた人間なので、「今更それに気がつくとは」としか言いようがない。もっと早い段階から「あの戦い方で行く」と決めていれば、人選やらスタメンやらが色々変化したと思うんだけどなあ…ま、それなりの結果は残したので、これ以上の攻撃は控えよう。
 
 ちなみに日本代表が予選リーグを突破した日、私はものすご~く不機嫌だった。そのちょっと前にアズーリ(伊代表)が負けたからだ。私主観で「世界一美しいサッカーをする国」が負けるとは…昔々からアズーリが負けるたびに悶絶してきたけれど、今回は予選リーグすら突破できないとは。ある意味日本代表がどうこうよりも口惜しい。
 
 優勝?ブラジルかアルゼンチンじゃない?私の主観としてはブラジルの方が良いサッカー(守備的とも言う)しているので、コッチの方が少し有利かなと。欧州の連中は「芝が生えそろっている場所に慣れすぎている」ので、南アでは苦戦するような。南アの芝については、同じく英国の植民地だった香港の芝(諸般の事情によりソコソコ詳しい)から類推するに、欧州レベルじゃ無さそうだ。
 
 とまあ、W杯関連で「書いても問題なさそーなコト」だけ抜き取ると、こんな感じになる。これ以外は「カケラも生産性が無く、読んでいる人間を不快にするだけ」ってレベルの話になるので、省略。ふう、やっとある程度スッキリした。明日以降はいつものとーり、ワケわからん話を吼えることにするか。

2月15日2010/02/15 23:42

 このブログは一応「文字が読みやすいように」レイアウトをちょっとだけ工夫してあるので、かなりの長文を掲載しても全く心は痛まない。そんなモノに慣れ親しんでいる関係上、「圧倒的なまでの長文」を書き込みにくい場所は、ちょっとイライラするんですけど。悪い癖だとは思うんだけどさあ…なお、この話が何故この色なのかは、一応秘密。
 
 五輪に話題を奪われがちだけど、スワローズのキャンプは半ばに達した。つーわけで、今季の展望を語ってみようかと。一部の方には待望されていたようだし。
 
 はあ…今季はちょっと厳しいです。現時点での順位予想は、去年より下の4位。ちょっとどころじゃなく、苦しいってのが私の意見です。
 
 何故弱気なのか?そりゃもう、課題の先発投手が…若手や新加入の外国人が「期待外れとまでは言わないけれど…」って状態にもかかわらず、館山に昨シーズンの疲労が残っているようでは…先発投手がある程度安定してくれないと、とても困る。
 
 問題点は比較的ハッキリしている。ブルペンじゃいい球投げているのに、実戦形式になると腕が縮こまる奴ばかりで…メンタル面に問題アリってのは困る。「打たれてもいいから、思い切って投げてこい」と言いたいんだけど、監督が「勝負の年」とか言ってるからなあ。先発に関しては、去年以上に苦労しそうです。
 
 中継ぎ・抑えも問題アリ。どうやら石井弘が復活気配だけど、だからっていきなり「盤石の信頼」というわけには…いくら何でも五十嵐が出て行った影響はありますがな。先発が安定してきたのなら「まあやってくれるのでは」と言えるけど、先発が不安定な有様では、色々と不安だ。
 
 一応、打線はやってくれそうな感じではある。青木は去年よりはいい調整できているみたいだし、川島慶が離脱して手薄になりそうだった内野も、川端・鬼崎・荒木(新人)が良い感じなので何とかなりそう。ただなあ…本当なら「前半若手を我慢して使って、後半でのブレイクを期待」したいんだけど、なまじソコソコ計算できる奴(藤本のこと)を獲得しちゃったモノだから、「ずっと藤本使ってソコソコにまとめました」ってなりそうな…チーム状態考えれば、今年は結果出す年じゃないと思うんだけどなあ。
 
 とにかく問題は先発投手だ。エース格の石川はいいとして、館山に不安アリ、由規はイマイチ、ユウキと高木は二軍行き、元気なのは実績が無くて信用しきれない(公式戦でビビりました…ってのはカンベンして欲しい)連中ばかり。新外国人はノーコン疑惑アリ。これで強気になれるとは…
 
 まあ、まだキャンプは中盤。これから色々変わってくるとは思う。主力が実戦に登場するのはもう少し先の話だし。でも、現時点では色々苦しいよ。とにかく投手だ。先発投手だ。計算できる奴がもう1人欲しい。正直言って、FAで選手持ってくるなら藤本じゃなくて藤井だったような…いやまあ、藤井についてはよ~くわかっているんだけどさあ。アレでも「一応計算できる先発左腕」だったんだよ?今更文句言っても仕方ないんだけどさあ。
 
 とにかく、現時点ではずご~く弱気です。去年の末にこちらが(勝手に)期待した構想が瓦解しているからなあ。後は私が「計算してなかった」先発候補がどこまでやってくれるかだけど…こう言っては何だけど、去年末に私が「計算してなかった」だけの理由がある連中だけに、不安は大きいですよ。
 
 とはいえ、オープン戦が始まれば色々妄想が広がるような気がする。その辺を見極めた末、改めて順位予想をしてみたいな。当たり前だけど、シーズンはまだまだ先が長いのだからして。いくら何でも、来年斎藤君が加入して…なんてコトを妄想するには早すぎるでしょ(苦笑)。

12月23日2009/12/23 22:51

 コミケの「予定」が決まらない…いやまあ、想定の範囲内ではあるんだけど。それでもものすげーカリカリきてます。
 
 そーゆーわけで、本日は比較的気楽に語れるネタを。日本人宇宙飛行士が利用した記念ってことで、ソユーズロケットを語ります。今更私ごときが語るようなモノじゃねえって気もするけど。
 
 ソユーズロケットは、疑いようもなく「大傑作」である。ド派手な実績こそないけれど、それでも「人類の宇宙開発史」において重要な位置を占める機体だ。特に、長年使われ続けた実績は太刀打ちしようがない。
 
 1段目に使われているRD-107ロケットエンジンは、怖ろしいことにスプートニク1号を打ち上げ、ヴォストーク1号でガガーリン少佐を打ち上げたモノと基本的に同じ。いくらロケットエンジンが「基本構造はむしろシンプル」とはいえ、今もって現役…どころか最前線で使われているとは。ある意味呆れてしまうね。
 
 ソユーズは確かに「大傑作」だけど、明白な限界も抱えている。コイツでは「月着陸」は無理なのだ。それは開発当時から、ある程度わかっていた。要は月着陸が可能なほど大きな質量を打ち上げるには、出力不足なのだ。RD-107ロケットにそんな能力がないってのは、おそらく開発当時からわかっていたことだろう。それゆえ、このロケットはあくまで「月着陸ロケットへのツナギ」として開発されたはずだった。
 
 しかし、ソ連は結局月着陸ロケットの開発に失敗した。技術的な問題もあったし、「どう頑張ってもアポロに先を越される」って理由もあっただろう。それを思えば、ソユーズが今も使われているってのは、開発当時のソ連からしてみれば「完全に想定外」だったはずだ。実際、米国の宇宙船でソユーズと似たような位置づけのモノは「ジェミニ宇宙船」になると思うんだけど、コッチはアポロに道を譲って退役している。
 
 しかし、ソ連/ロシアにしてみれば、「人間を宇宙に送り出す」機体はこれしかない。「宇宙空間で軌道を変更する」「何かとドッキングする」なんて基本的な機能は達成できているから、決して使い勝手が悪いワケじゃないし。宇宙開発が下火になった以上、いちいち新型ロケットを開発する必要も薄い。それゆえ、このロケットは「退役する理由」がなくなってしまった。だから、今もって使われている。
 
 ただ…「実績から来る信頼感」を得ようと思ったら、とにかく実績を積み重ねるしかない。逆に言えば、何であれ実績を積み重ね続ければ、コレが生じてくる。おまけにこのロケット、元がICBMだった関係からか「悪天候に強い」って特徴もあり、どんどん退役させる理由が無くなっていった。「多少の不満はあるけれど、全体的にはソコソコ使える」モノを置き換えるのがどれだけ難しいかは、今もってIE6が「現役」なことを考えればわかるんじゃないかな。
 
 とはいえ、普通は「新製品ゆえの良さ」を全面に打ち出した新作が、結局は旧作を駆逐する。開発に失敗しなければ。ソ連/ロシアは月ロケット開発に失敗、その後に選んだ「有人打ち上げシステム」は、スペースシャトルの構想を真似したブラン…最近の研究によると、ソ連はシャトルを「あんな贅沢品、軍事用にしか使えない」と思っていたらしいんだけど、にもかかわらず真似しちゃうのが軍事国家の悲しさ。ブラン開発にかかったカネを他に転用していれば、多分ソユーズ後継機がすでに誕生していたんじゃないかなあ。ただまあ、「軍事用途でなけりゃ、ソユーズがあるじゃん」ってな理由でブラン開発に踏み切ったのかもしれない。
 
 もっとも、シャトルに全てを託していた米国NASAは…そりゃあ、総合力で見れば今でも米国が「宇宙開発に関する技術は世界一」なのは間違いない。でも、次世代有人宇宙船については、色々問題が起きているようだ。とりあえず、最初の有人飛行は2015年以降って予定で、シャトル引退から5年以上の空白が生じる有様。しかも、これすら「開発が順調に進めば」の話だ。時代が違うし「有人宇宙飛行」って分野限定とはいえ、「スプートニクショック」並みのド派手な敗北だと思うな。
 
 ソユーズの基本設計は古臭いモノで、その限界もハッキリしている。にもかかわらず「大傑作」扱いされるに至った最大の理由は、「ライバルが勝手にコケたから」に過ぎないと言うことは出来る。ただし、コケたライバル達は皆「使い勝手」の部分が良くなかったのに対し、ソユーズは使い勝手がものすごく良かったのは否定できない。アポロ宇宙船はカネ食いムシだったし、スペースシャトルやブランもある意味ソレは同じ。限界をわきまえて使う分には使い勝手がいいから…ってんで黙々と実績を積み重ねていった結果、今の地位を獲得したのだと思う。
 
 新しいモノによって駆逐される旧製品…って図式が当たり前の世の中において、ソユーズのあり方はある意味異質である。技術者にしてみたら、「新製品が売れないほどの傑作はむしろ困る」って話になりそうだな。資本主義国が作った製品じゃないから仕方ないのかも知れないけれど(苦笑)。ただ、「何故ソユーズは傑作と呼ばれるようになったのか」を学ぶことは、製品開発やらサービス開発やらにとって参考になる気がする。「織田信長に学ぶ経営術」「坂本龍馬に学ぶ…」なんてモノ(これはこれで役に立つのかも知れないけど)より、ずっと。ひょっとすると、そーゆー発想が出てこないところが、「日本経営陣」とやらの問題点なのかも知れない(笑)。
 
 何はともあれ、ソユーズは今現在「最も安全に人類が宇宙に行き、帰還する方法」である。案の定、日本人宇宙飛行士も無事にISSに到着したようだ。ホントにタイヘンなのは帰還する時だって話はある(ソユーズが出した死者は全て帰還時。打ち上げ失敗例もあるけど、脱出に成功している)けどね。コレを機に、日本でももう少しソユーズロケットの偉大さが知られて欲しいんだけどな。知ってる奴は知っているけど、ロケットネタはどーしてもマイナーだからなあ…

12月9日2009/12/10 02:37

 なんかLunascape6.0が、こまめにバージョンアップしている…つい先日RC2が来たかと思ったら、今度はRC3だって。一気に正式版に行かないのは、何か問題でもあるのか?
 
 本日の話題は、ちょっと前から調べていた「GXロケット」について。事業仕分けとやらで削られそうな国産ロケットだ。これがどんなものかロクに報道されないまま騒いでる輩が結構多いので、私なりに「どんなロケットなのか」「何が狙いなのか」を書いてみようかと。
 
 GXロケットってのは、実は我々が考えるような「ロケット」とは少し異なる。いやまあ、ロケットはロケットなんだけど、2段目部分でしかない。1段目は別のロケットを買ってきて取り付ける。同じ国産ロケットのH-2Aが「ロケット全体でH-2A」だってのと比べると、ちと意味合いが違う。これは重要だ。
 
 主な特徴は、何と言っても燃料。LNG(液化天然ガスだな)を使用するのだ。世界初の試みらしい。この時点で、狙いの1つに「燃料費が安上がり」ってのがあるんだなとわかる。もしLNGが「打ち上げ燃料として効率の良い燃料」だってんなら、米ソが試作ぐらいしたはずだ。なにせ原子力エンジンやフッ素エンジンまで検討してた連中だからして。
 
 しかし…GXロケットは開発がうまくいかなかった。そのおかげで開発費がかさみ、経済性をウリにするはずなのに、カネがかかる」ってな有様に。そのため色々迷走したあげく、実は官僚(経産省と文科省)から「本当に必要かぁ?」ってなツッコミが入っていたのだ。にもかかわらず予算が付いたのは…自民党政権時代の「政治的判断」という奴らしい。つまり、GXロケットは「元々政治的判断とやらでかろうじて生き残っていた計画を、政権交代に伴う政治的判断で潰しただけ」って話は出来る。
 
 そもそも、何故LNG?ってのは、ちょっとわかりにくい。確かに、LNGなりケロシンなり…を使った液体燃料ロケットって、様々な理由から「これからの主力エンジン」になるんじゃないかとされている。それはいいんだけど、なんでまたケロシンではなくLNGを選んだのかは…「技術大国日本」なる思い込みから無茶した可能性も否定は出来ない。ただまあ、「米・ロと同じコトやってたんじゃ、永遠に追いつけない」ってのも大事だとは思うけど。
 
 ついでに言えば、政治的判断とやらが介入するようになった理由は、開発先の民間企業にあるらしい。GXロケットは石川島播磨重工(IHI)の産物で、H-2Aは三菱重工の製品。「あまり三菱重工にデカい顔されても…」とかいう思惑があったんでないかと言われている。これを「競争させるのは良いことだ」と考えるのか、「談合みたいなモノじゃねえか!」と考えるのかは、まあその人次第としておこう。
 
 とまあ否定的なこと中心に述べてきたワケだけど、官僚からも疑問符が付けられたシロモノだけに、ある程度は仕方ない。ここまではキチンと調べればすぐわかる。問題はここからだ。さらに突っ込んで調べてみると、色々面白い。
 
 GXロケットは2段目用のロケットだ。じゃあ1段目は?面白いことに、最初の計画ではロシアから買ってくる予定だったようだ。その昔ソ連が月着陸ロケット用に開発したエンジンが、ソ連崩壊に伴って安く大量に売り出される…って話があったので、コレを買ってくるつもりだったらしい。でも、これは米国の企業に先を越されて実現しなかった。そこで選ばれたのは、やはり米国製…なんだけど、ソ連/ロシアのエンジンを「なりふり構わず」買ってきてライセンス生産した(正確には「する予定」だけど)、RD-180ってモノ。
 
 結局ロシアの技術じゃん…ってのは、ある意味当たり前である。なにせ米国はスペースシャトルにイレ込みすぎたのか、「ケロシン使ったロケットエンジン」の開発に失敗し続けてきたのだ。その結果、米国の技術者に「アメリカのエンジン技術がロシアより上回っているどころか、同等ですらないことを認めるのは苦しかった」とまで言わしめたほど。欧州や米国でさえ「どーゆー形でロシアの技術を学ぶのか」に躍起になっている以上、日本もまた「この技術を学ぶ機会」を模索するのは決して悪いコトではないはずだ。
 
 逆に言えば、GXロケットってのは、ロシアの技術を学びもしないうちから、炭化水素(ケロシンもLNGもコレの1つだ)エンジンを作ろうとしたわけだ…「LNG使っているから、燃料費安いよ!」ってなアピールでもしない限り、イマイチなシロモノに終わっても不思議じゃないな。言っておくけど、アポロ宇宙船を打ち上げたサターンロケットの1段目も、ケロシン使っているんだよ?そういう実績のある米国が「勝てない」とヌカして輸入・ライセンス生産をしているんだよ?
 
 つまりだ。GXロケットは、これ自体がクソであったとしても、とりあえず「ロシアの技術を学ぶ良い機会」だってことは否定できない。液体水素燃料などという、「今現在高級品専用で、この先1段目としては先細りが予想される」エンジン使っているH-2Aに全てを託すのは不安だし、かといって、炭化水素使ったロケットエンジンで、日本がロシアに追いつくなんて夢物語(米国でさえ諦めたことなのに)としか思えない以上、どんな形でも良いから「ロシアの技術を導入する機会」は必要じゃないかなあ。
 
 別にGXロケットなんて使わなくても、ロシアの技術を学ぶことは可能だろう。理論上は。けど、ロシアのロケットエンジン技術について壮絶な誤解がまかり通っている上、一応は国内の技術者の顔も立ててやらなきゃイケナイ…ってな「日本社会」において、他にどーすりゃそういう機会が得られるんでしょうか?
 
 しかしだねえ。事業仕分け人とやらに面と向かって、「ロシアの技術を、日本国内の技術者のメンツが立つように導入するには、コレしかないんです。」なんて言えるワケがない。政治的判断とやらで予算を認めた自民党のお偉いさんだって、そこまで理解してなかったのは間違いなさそうだし。米国が「仮想敵国ロシアから、軍事衛星打ち上げ用に使うロケットエンジン買い、頭を下げてライセンス生産させてもらう」などという屈辱的…どころか「国防上それはどーなの?」ってコトやらかしてまで導入しようとしている技術を会得するためだもの、GXロケットがクソみたいな産物であっても、それぐらい安いモノじゃないかって気がして仕方ない。
 
 私はGXロケットそれ自体は「イマイチ」な産物であり、これが廃止されても「日本のロケット技術の大幅後退」だとは思わない。別の計画に切り替えた方が良いのではって気がする。しかし、おかげで「ロシアの技術に触れる機会」が遠のくことになりかねないのは事実。むしろソッチの方が「日本のロケット技術にとって深刻な問題」かも(苦笑)。見直すにしろ廃止するにせよ、いずれにしても「どーやったらロシアの技術を導入できるのか」は考えた方が良いと思うぞ。マジに。

10月22日2009/10/22 21:22

 Windows7が発売された。私は以前書いたとおり、近々には対応せず、様子を見てから導入予定。その前にPCの機能強化に取り組むかもしれないけど。いずれにせよ、発売後の評判は確認しようかと。なお、Home Premiumを導入しようと考えている。正直、コレでさえ「いらん機能が入ったバージョンだ」とは思うけど。
 
 本日の話題は、スワローズのストーブリーグについて。なんか最近「怪しげな噂話」が出ているので、ちょっと整理しておこうかと思って。ドラフトも近いことだし。
 
 去年FAで相川を獲得したおかげで、スワローズも一応「FA選手獲得に乗り出す球団」扱いされ始めたようだ。一部報道で「虎の藤本獲得か?」なんて話が出ている。他にも数人「獲得に乗り出すんじゃねえか」って名前が出ているようだ。
 
 ただ…長年この球団を見てきた私が思うに、とりあえずド派手な動きはなさそうに感じる。理由は単純。この手の報道は「ポジションは?」って疑問を解消するため、「ガイエルもしくはデントナの解雇」がセットになっている。しかし、私の見たところ、今年のあの成績ならば、両者の解雇はちょっと考えにくい。昨年アノ成績なのに残したガイエルはもちろん、デントナもあの成績ならば「引き続き来年も」と考えそうなモノだ。契約面で無茶なコト言われない限り、「外国人は我慢して使う」のが基本なので。
 
 もっとも、中堅程度の選手のトレードはあるかも。その辺は積極的にやるってのが高田流らしいし。ただこれは「お互いプラスになりそうな話があれば」ってコトだろうから、「やってもおかしくない」以上のことは言えないかと。
 
 現状手薄なのは、とにかく投手。野手は一応メドはついている。強いて言うならショート・サードは補強したいってくらいか。ただ、これは「宮本をこれ以上使い続けるのは、色んな意味でどうかと」って話なので、出場試合数が計算しにくい選手を無理に引っ張ってくることはなさそうだ。それだったら宮本使えばいいんだもの。その方が守備・攻撃双方で計算できるし。
 
 投手は…まあ先発投手が欲しいけど、実は中継ぎも…五十嵐は「駄目だろう」と計算しているので。残ってくれればそれに越したことはないんだけど、まあメジャーへ行っちゃうでしょ。計算できる先発投手獲得は難しいけど、それなりに計算できる中継ぎならトレードで何とかなるかも。その辺が地味に注目点だと思われる。
 
 課題の先発投手は…とりあえずは「若手の底上げ」もしくは「川島亮の復活」待ちなんだろうな。計算できる先発投手が「落ちている」とは思えないので。メジャーやら金持ち球団やらとマネーゲームやって勝てるワケないし。トレードも成立するとは思えない。一場クラスなら何とかなるかもしれないけど、そのレベルの投手ばかり数揃えてもねえ。
 
 先発投手補強となると、「ドラフトで即戦力引っ張ってくる」って手もあるけど…現状、「すごく評価の高い即戦力投手」がいるってワケではないらしい。一部の噂じゃ、「大学・社会人は不作気味」とされているし。高校生はいくら何でも「即戦力」を期待するのは酷だ。
 
 ドラフトに関しては、一応菊池君の様子を見て…って噂が流れている。この球団はドラフトに関しては「事前情報通り」ってコトが多い(くじの内容は別にして)ので、評価の高い高校生投手(菊池君かどうかは当人の希望次第)を指名しに行き、くじで外れたらそこで考える…となるんじゃないかなあ。
 
 外国人に関しては…とりあえず、今までの傾向からすれば打者は入れ替えない。投手に関しても「無理矢理解雇する」なんてコトはやらないので、李も残すと思う。林昌勇は言うに及ばず。どっかから「先発できそうな格安外国人」引っ張ってくる可能性は高いけど、あまり大きな期待はしない方が良いと思う。それだったらまだ「李が先発として計算できるようになる」を期待した方が…
 
 そんな「今年と変わらない顔ぶれ」で優勝できるのか?さあ。とりあえず相手のあることなので、現時点でどうこう言っても仕方がない。ただ、先発投手として高木・内野手として鬼崎が「それなりに計算できる」と判明したので、そう悲観したものではないと思う。去年の順位を考えれば、いきなり優勝争いできるなんて考える方が間違いではないかと。
 
 案の定CSでは敗退した(1つ勝っただけでもめっけもん)けど、現有戦力で「来期が真っ暗」だとは思わない。その意味では、下手に「誰かを切って誰かを補強する」のは賛成できないかな。バランス調整の意味で「中堅選手のトレード」ぐらいはあってもおかしくないし、話次第ではやるべきだと思うけど。良くも悪くも、それがこの球団らしい姿だと思うなあ。
 
 そもそもだなあ。今期公式戦最終試合(対ジャイ)は、「外国人除けば下の選手ばかり」状態で、「ここは戸田(二軍球場がある)ですか?」ってメンバーで一応勝っている。打つ方はまだ何とかなるのだ。ただ問題は、下も「投手陣が壊滅状態」だったってことで…イースタンでもチーム防御率メタクソだったらしいですよ。どーしましょ…

10月20日2009/10/21 02:28

 諸般の事情により、今回はものすごーく軽いネタで。「2=1」。ネット上で見かけたアホネタの説明と簡単な解説を。
 
 とりあえずはこちらのリンクを参照して下さい。アホな数式が掲載されていて、「2=1」だと「証明」している。一応ここでも数式は書いておこう。なお、「aの二乗」はa`2と表記します。
 
a = b
a`2 = ab
a`2-b`2 = ab-b`2
(a+b)(a-b) = b(a-b)  
a+b = b 
2b = b
2 = 1
 
 一見すると、なんか2=1を証明しているように見える。でも、実際は2=1ではあり得ない。これを認めると「全ての数は1に等しい」ことが証明でき、ついでに「あらゆる命題は真であり偽でもある」という、ワケわからん状態を認めることになる。つまり、この数式はどこかに間違いもしくはインチキがある。それはすぐわかると思う。でも、それがどこなのかはちょっとわかりにくい。
 
 実はこの数式、結構有名なモノだと思う。私は以前見た記憶があるからね。種明かしをすると、この数式は数学における禁止事項、すなわち「ゼロで割る」をやらかしている。どんな数であれ、ゼロを掛けてゼロで割ればイコールになるから、2=1を証明できるわけ。ただまあ、単純にゼロを掛けてゼロで割るとバレるので、うまく誤魔化してあるわけだ。
 
 ドコで「ゼロで割って」いるのかって?4つ目の式から5つ目の式に移行する時、すなわち両辺を「a-b」で割っている時にやらかしている。a=bだから、a-b=ゼロ。この式は実は3つ目の時点で「要は0=0」になっているので、それをゼロで割って…ってな操作をやらかせば2=1が証明できちゃう。
 
 タネを明かされれば「なーんだ」で終わりだけど、ぱっと見ただけでは問題なさそうに見える、良くできた「アホな式」だ。高校程度で数学に挫折した奴(私もそうです)程度なら、かなり長い時間「ドコがオカシイのか」悩ませることが可能じゃないかなあ。私がこの式を覚えているのは、かな~り時間をかけて「ドコがオカシイのか」検討した記憶が残っているからだ(苦笑)。
 
 ただ…面白いことに、「数学的に2=1と証明されることはあり得ない」と断言することはできない。それは未来永劫無理だっていう証明があるから。「おそらく、2=1って証明はできないんじゃないかなあ」と言うことは出来ても、「あり得ないことだから安心しろ」とは言えないのだ。ゲーデルの不確定性原理ってものがあり、それにより「どう頑張っても、そういう証明は出来ない」ことがわかっているので。
 
 ちなみに、私は「数学的に間違っていないやり方で、1=2を証明できてしまうんでないか」という妄想を抱いていたりする。ただこれは、カントールって数学者が切り開いた「無限の取り扱い方」に関する部分であり、要は「選択公理」(ウィキペディアのリンクはこちら)はオカシイんじゃ…って世界の話。「選択公理はオカシイ!」って主張している奴は、数学者の中でも(少数派ではあるんだけど)いるので、これは妄想ではないかもしれない。ただまあ、おそらくは「選択公理を認める多数派の数学者の中では、とっくに解決済み」の話だとは思うけど。
 
 1=2の証明というものは、基本的には「怪しげなトリックを使った、アホネタ」である。でも、この先「そんな証明が出来てしまう」可能性はある。これを完全に否定することは誰にも出来ないからね。とはいえ、我々が日常的に使っている計算式が完全崩壊するって話ではないと推定される(あくまで推定。断言は出来ないんだってばさ)ので、仮に1=2が証明されちゃったとしても、相変わらず数学嫌いが数学に悩まされることに変化はないと思う。
 
 でも…数学に苦しめられた身としては、たとえ「数学のごくごく一部にだけ関係がある話であり、世の大半には微塵も影響を及ぼさない」ものであったとしても、「1=2が証明されてしまい、発狂する数学者」なるものを見てみたい気がするな。数学が数学嫌いにどう思われているのかを考えれば、期待するだけならバチは当たらないと思うぞ。