12月2日2008/12/02 21:22

 やはりJCは振り返っておきましょうかね。まさかスクリーンヒーロとは…JCで勝つ日本馬って、それなりの実績がある馬中心だったのにねえ…重賞勝ってはいるけど、ハンデ戦のAR共和国杯。しかも、その前は準オープンを負けてる。「穴なら外国馬」ってのが過去の傾向だったのになあ。
 
 それはともかくとして、レース前私は阿呆なコトを悩んでいた。先日ブッタ斬ったペイパルブルについて、イヤ~な感じを受けたのだ。理由?キングジョージの時計。2:28:0ってタイムなんだけど、「これは無茶苦茶速いじゃん」ってことに、気がついてしまったのだ。
 
 そりゃあね、府中でこのタイムだったら、遅いどころの話じゃない。けど、アスコットでこの時計はスゴい。なにせ勝ち時計が2:30:0切るなんて、極めて考えにくい。そーゆー競馬場じゃないんだから。馬場だけ考えても、府中と5秒は違うはず。ちなみにだ。ハーツクライをモノサシに比較すると、府中JCは2:22:1の2着、キングジョージは2:30:3(Racing Post参照。端数四捨五入)の3着だ。これは極端な比較だけど、どう考えても5秒以上は差がある。そーゆー競馬場なんだよ。
 
 時計が5秒違うってことはだ。この時の走りを再現されたら、府中2400を2:23:0で走れることになる…あの、これって立派に勝ち負けできる数字なんですが。そこでまあ、色々と「何でこんな時計なのか」検討してみた。
 
 まず疑ったのは、新聞の誤植。海外の成績なんて、かなり信用できないからね。流石に着順間違えたりはしないけど、タイムを10秒間違った可能性はあった。けど、JRAもこの時計だと主張している。今確認したら、Racing Postもそう主張している。どうも間違いではなさそうだ。
 
 アスコットの馬場が改修された…のはずいぶん前の話だ。そもそも、シックスティーズアイコンは9月末にアスコットで勝っていて、この時の時計は「アスコット標準」のもの。じゃあ天気か?たまたまカラカラ天気が続いて、異常に馬場が速くなったとか。「まず良馬場にならない」凱旋門賞ならわかる。けど、これはキングジョージだ。あの時期の英国は比較的天候が落ち着いているはずなので、「珍しく雨が降らなかった」ってのもちょっと考えにくい。後は、アスコットの時計が壊れていたとか…
 
 正直言おう。もしこの時勝ったデュークオブマーマレードが来日していたら、嬉しそうにしこたま単勝買ったと思う。けど、この馬はモンジュー産駒。宿敵モンジュー産駒である!私が「日本馬がキングジョージを勝つ日が来るまで、モンジューの血を引く馬が府中で勝つことはない!」と公言している、モンジューの息子だ。意地とプライドに賭けて、この馬が勝つとは言えなかった…
 
 救い?があるとすれば、燃え尽き症候群だ。モンジューもハリケーンランも、コレに陥った。どうもこの一族には、そーゆー傾向があるらしい。凱旋門賞のクソ負け(メイショウサムソンより負けた)がコレだとしたら、ここも駄目だろう。そのはずだ。少なくとも私の知ってるモンジュー産駒ってのは、そーゆーモノなんだよ。
 
 ただ…キングジョージの走りを再現されちゃったら、もうどーしよーもない。そこでまあ、一応呪いをかけることにした。ほんの少しだけど、単勝を買ったのだ。考えてみれば、モンジューの単勝は一応持っていたことだし。今にして思えば、この時ハズれた恨みがふくらんだ結果、この一族を敵に回したんだよな。
 
 去年出遅れたペイパルブルだけど、今年はマトモに出た。けど、それだけ。かなーり早い段階で手綱しごかれていたから、「燃え尽きて」いたようだ。モンジュー一族の欠陥は克服できなかったようだね。キングジョージの後も2着してたから、「ひょっとして燃え尽き回避?」と疑ったんだけど、杞憂に終わったようだ。
 
 ちなみに陣営は「ペースが遅かったし、馬場も硬かった」と敗因分析している。けど、これは間違いではないかと。欧州の競馬は「スローからのよーいドン」が基本なので、ああいうペースはさほど苦手じゃないはず。ま、日本の馬場だと上がりの速さについて行けないはずだけど。馬場が硬かったのは事実だけど、欧州馬にしてはやたら速い時計で2着した経験があるんだから、それだけが敗因とも思えない。やはりここは、モンジュー一族の欠陥「燃え尽き症候群」を敗因にすべきでしょ。
 
 なお、この馬の着順は14着。走破時計は2:26:7。着順はともかく、キングジョージと2秒違わない時計って…どう考えても大凡走である。モンジュー一族にはコレがあるんだよな。別に何が変わったようにも見えないのに、いきなり「そりゃねーだろ」って勢いで負ける。モンジューからしてそーゆートコロがあったし、ハリケーンランもコレに引っかかった。ま、ディープインパクトに後れを取ったのは、単にファロンがヘグりやがっただけと分析しているけど。
 
 つーわけで、今年も「私とモンジューの対決」は、またも勝負持ち越しとなった。まあそんなものだよね。簡単に決着がつくような勝負じゃないんだから。ただまあ、向こうがJCに馬送り込んでいるのに対し、日本馬は今年キングジョージにたどり着けなかった。うーむ、今年優勢だったのはモンジュー一族だな。来年キングジョージに挑戦しそうな馬も、今のところ見あたらないし。スクリーンヒーローは「キングジョージだ!」なんて言わないだろうなあ。鹿戸調教師は「藤○系」のセンセだから、アスコットの魔物とは無縁でしょ。
 
 ちなみにだ。私は、「もしペイパルブルがJC勝っちゃったら、アイルランドへ行ってモンジューに土下座してくる」と口走っていた…良かった、負けて。やっぱりモンジューに対面するなら、アスコットで使った「使っちゃイケナイ金」取り返して、モンジューに「ザマミロ!」って報告する時じゃなくちゃ…

12月3日2008/12/04 03:19

 うーむ…結局分量調整に失敗したようだ…いやね、ここ数日取りかかっていた「ヒト電」の原稿についてなんだけど、ド派手に予定分量をやらかしたようだ。ちょっと青ざめています。
 
 どうも当初計画に無理があったようだ。なにしろバルバロッサ(独ソ開戦当初)から連合軍大陸侵攻まで、一発で解説したからなあ。一応そうするだけの必然性を持たせたつもりなんだけど、ちょっと無理があったか。まあ、自分だけで考えていると煮詰まりかねなかったので、とりあえずは編集部に送って意見を伺っているところだけど…
 
 本日の話題は、知人のサイトに触発されて、科学技術論。と言っても小難しいものではなく、「昔の21世紀予測が当たってないのは何故か」を考察してみようかと。まあ、私なりのやり方で。
 
 今から30年ほど前の「21世紀はこうなる!」って未来図は、あんまり当たりそうもない。リニアモーターカーはそのうち実現するらしいけど、他はどうも駄目っぽい。個別に見てゆくと、エアカーはまず実現しそうもないし、超音速旅客機も全く普及してない。服装だって大きくは変化してないね。宇宙開発も遅々として進まない。超高層ビルについても、あの頃の予測ほど乱立はしてない。ま、こんな感じかな。あの頃から今現在にタイムトラベルしてきた奴は「本当に21世紀かぁ?」と思うんじゃないかと。
 
 とはいえ、これはやはり「過去の予測が甘かった」ことが原因であり、技術の進歩が止まったワケじゃないとは思う。情報・通信分野の発達はあまり読めてなかったワケだし。今の携帯電話は、あの頃想定されていた「携帯型通信装置」より更に優秀でしょ。
 
 とはいえ、やはりオイルショックの影響はあるんじゃないかと。あの頃の未来予想って、結局「高度成長期がいつまでも続く」って幻想を下地にしていたフシはある。その意味では「地に足ついた」予測じゃなかったような。ま、未来予測なんてそんなものだから、あまり深く考えても仕方ないとは思うけど。
 
 技術的な面で考えると、あの当時は「スピードを出す」ことがどれぐらい面倒なことなのか、よくわかってなかったような気がする。確かに「何でもスピードアップ」って時代だったから、その流れとして「超音速旅客機」だの「エアカー」だのが想定されたんじゃないかな。
 
 超音速旅客機は、とりあえず実現はした。けど、問題抱えまくりで結局流行しなかった。全席ファーストクラスじゃないと採算がとれないほど燃費が悪く、輸送力がない。おまけに乗り心地は悪く、空港周辺の騒音もデカく、「ソニックブームの心配が…」ってんで地上はフツーの航空機と同じ速さでしか飛べない…ときてるからねえ。西側のコンコルドも東側のTu-144も、「こりゃあ駄目だ」ってなり、後継機開発の話すらロクに聞かない。ボーイングの「普通よりちょっと速い航空機」って構想すらポシャった。ツポレフは「注文があったら作ってもいい」と称しているらしいけど、どこまで本気なのやら。
 
 その代わりと言っては何だけど、多分航空需要はあの頃の想定より上だと思われる。料金はずいぶんと安くなったからねえ。特に海外旅行は安くなった。スピードアップより安く大量に人員運んで料金安くした方が儲かるし、世のため人のためになる…ってコトですね。あの当時、こういう発想はあんまりなかったような気がする。
 
 ただ、スピードアップに関する取り組みは放棄されたワケじゃないので、今世紀末には超音速旅客機が登場するかも。ただ、結局「音の壁をどうする」って課題は解決できない(物理法則上の問題なので、解決は難しい)関係上、「無理に音速出すより、音速出せる技術で今のまま飛ぶことを考えた方がいい」ってなるかもしれないけど。無理に音速超える飛行機を考えるよりは、一度宇宙に出た方が早いかもね。
 
 宇宙開発は…とりあえず、人類は月まで行った。けど、そこで行き止まり。一応有人火星探査計画はあるけれど、宇宙開発競争時代から考えれば、かなり停滞してるような気がする。あの勢いを持続できれば、火星なんて楽勝だと思っていたんだけどねえ。
 
 これは予算の問題だとか、派手ではあるけど実利が少ないコトに米ソが気がついちゃったとかもあるけど、実はスペースシャトル構想に問題があったのが理由ではないかと。アレは失敗作呼ばわりされても文句言えないからなあ。なにせ打ち上げペースは当初計画からほど遠く、あげく製造中止するはずだったロケット再生産してる(最初の構想では衛星打ち上げもシャトルにやらせるつもりだったので)くらいだからなあ。
 
 スペースシャトルが何故マズかったのか?これはもう、「使い捨てにするより使い回した方がコスト安いだろうから、いっぱい打ち上げできる」という発想自体が大誤算だったとしか言いようがない。点検・整備だけで安いロケット打ち上げよりカネかかるってんだから。米国のライバルだったソ連も諸般の事情から宇宙開発が停滞し、あげくソユーズ宇宙船が現役ときてる。確かに宇宙開発史上に残る傑作機ではあるんだろうけど、だからって今でも現役とは。いくら細部が改良され続けているとはいえ、この調子だと50年間(初飛行は1967年)現役に居座り続けるコトに…当時の開発者に、「ソユーズは50年後も現役です」って言ったら、どんな顔するだろ。ちなみに、第一段部分はスプートニク1号を打ち上げたモノと本質的には同じなので、去年めでたく現役50周年を迎えている。
 
 ただまあ、人工衛星についてはバカスカ打ち上げられ、色々と利用されている。無人探査もそれなりにやっているし。けど、この分野については、やはり「期待ほどは発展しなかった」と言わざるを得ないかなあ。ドコの誰でもいいから、「ソユーズなんて目じゃないぜ!」って言えるような、画期的ロケットを開発して欲しいモノだ。ついに「シャトルの後」を発表した米国はともかく、欧州がアリアンロケット有人化をとりあえず放棄した(代わりにソユーズを買ってきて打ち上げる…)現状では、「そんな日が来るのか?」って心配になるけど…まさか、軌道エレベーター建設現場には、ソユーズを使って人間を送り込むのか?
 
 ソユーズが古くさいというのなら、自動車だって古くさいままだと言えるかもしれない。なにしろ相変わらずタイヤがついていて、内燃機関で動いている。エアカーはどーした!と思う人もいるだろう。しかしだ。あくまで私が思うに…だけど、エアカーは印象ほど便利な乗り物じゃなさそうだ。
 
 SFなどでは何の理屈・説明もなく浮いているけど、今現在の物理学でコレをやろうと思ったら、空気やガスを下に吹き付けるか、あるいは磁力などで浮かすしかない。後者だと専用道以外は通れないと思われるので、リニアモーターカー(鉄道の一種だと理解されている)になる。ここでは、一応空気やガスを吹き出す方式で浮いているとしよう。「ミノフスキー物理学(「機動戦士ガンダム」で採用された架空理論)が…」などと言わないように。
 
 今現在、「エアカー」は実用化されてない…というのは、間違いだ。立派に実用化されているし、日本国内で使用されてさえいる。ただし、エアカーとは呼ばれていない。ホバークラフトと呼ばれている。ホバークラフトは主に水上で使用されることが多いけど、陸の上でも走ることができる。それがホバークラフトの利点だからね。エアカーってのは、「乗用車サイズまで小型軽量化し、主に陸上で使用するホバークラフト」だと考えて問題はない。
 
 問題は、じゃあなんで「パーソナルホバークラフト」が普及しないのか、である。まず気になるのは燃費。ホバークラフトって、かなり燃費が悪いんだそうな。まあ比較対象が一般船舶か高速船だと思うので、相手が悪いとは思うけど。でもまあ、自動車よりも燃費悪そうなのは確かだ。電気的な力で空気を動かして…って理屈もある(イオンクラフト・イオノクラフトはこれを指してることが多い)けど、これはエネルギー効率がプロペラ以下。つまり、燃費が輪をかけて悪い。騒音も問題だね。空気またはガスをものすごい勢いで吹き出しているんだから、この時点でどー考えても五月蠅い。エンジン音がどうこうって問題だけじゃないからね。
 
 問題がこの2つだけなら、まだ解決の道があるかもしれない。ある意味致命的なのが、「安定性が悪い」だ。ちょっとした凸凹で、直進安定性がかなり落ちるんだそうな。だだっ広い海上中心に運用するんならまだしも、陸上でコレはマズいでしょ。もちろん、強風にも弱い。結果として、操縦がすごく難しい。「教習所に真面目に通えば、大抵何とかなる」ってなレベルじゃないと思われるのだ。
 
 そもそも、そんなに急いでドコへ行く?エアカーの利点としてよく説明されるのが「速い」ってコトだけど、やみくもにスピード出しても意味はない。現状の道路はそんな高速運転を前提としてないからだ。はっきり言って、法定速度+α程度で走るのなら、現状の自動車で何の問題もないし、おそらくエアカーより燃費もいい。エアカーに期待しているような速度で現状の道路を走ろうと思ったら、F1ドライバー並みの体力と反射神経が必要だ。専用道を造ると言っても、むやみやたらと造るワケにいかない以上、「だったら高速鉄道とか、飛行機使った方がいい」となるのでは。
 
 色々考えてみると、「自動車の後に来る交通機関」がエアカーなのかどうか、ちょっと疑問である。確かに、地面効果というヤツのおかげで、フツーに空飛ぶより多少燃費はいい。けど、コレに依存している限り、「地面の凹凸にかなり弱い」って弱点が残る。だったらフツーに飛んじゃった方がいいかもしれない。エアカーではなく、パーソナルヘリの時代が来るかもしれないのだ。もっとも、コッチは「事故起こしたらどーする」のかが課題になるけどね。「物理学上、重力制御は不可能だ」って結論(現状、本命視はされてないようだけど)が出れば、22世紀・23世紀になってもまだ「タイヤのついたクルマ」が主要交通機関であったとしても、さほど不思議はない。ただまあ、おそらくは化石燃料を燃やして走らないけど。
 
 ちょっと夢のない話ではあるけど、その代わり自動車の性能は当時より相当向上している。あの当時想定されていたエアカーと今の自動車を(経費考えずに)作ったとして、「さて、毎日使いたいのはドッチ?」とやれば、今の自動車を選ぶ奴が多いんじゃないかなあ。だいたい、エアカーよりも「自分で考えるクルマ」の方が便利だし、かなりの部分が実現しているような。そう考えると、我々はやっと「ナイトライダー」のナイト2000に追いつこうとしてるわけだ。そのナイト2000の人工知能K.I.T.Tに言わせると、「重力に逆らった移動手段なんて、不合理です」だそうな。エアカーが普及しなかった理由は、この一言に尽きるのかもね。
 
 未来予想なんて、当たらなくて当然である。でも、それがわかっていても、無価値ってワケじゃない。何が当たって何が外れて…って分析をすることは、結構楽しいからね。昨今何かと暗い世相ではあるけど、そーゆー楽しさは忘れちゃいけないと思うな。でも、たのむから、軌道エレベーター建設現場にソユーズ使うのはやめてくれ…「どーせ無人作業が基本なんだから、作業人員なんてソユーズ使って送ればいい」って意見に説得力があるのは認めるんだけどさあ…

12月5日2008/12/06 04:32

 おおう、ついに民間宇宙船の乗客決定か!ついにここまで来たんだねえ。しみじみ。一昨日宇宙関連について「停滞してる!」と吼えた直後だけに、こういう動きは大歓迎。つーわけで、私なりにエールを送ってみようかと。
 
 このエックスコア・エアロスペースの宇宙旅行、費用はなんと$95,000.-、日本円にして約890万円(円も強くなったもんだ)だそうな。これは安い。絶対値として軽々しく出せない数字ではあるけど、ソユーズ使っての旅行だと30億(円高なのでもう少し割安か?)だからねえ。ものすごーく安くなったのは間違いない。
 
 まあ、だからって「民間活力が…」と言うのは間違っている。ソユーズってのはスゴいんだから。40年以上前に原型が飛んだという古いロケットではあるけど、一応は「コレで月に行けるかも?」ってレベルのもの。月着陸能力を持たせるにはちょっと小さい…ってんで結局月旅行は断念されたとはいえ、月周回軌道を飛ぶぐらいなら問題なくできる。元々、民間人載せて宇宙旅行するには、無茶苦茶贅沢な品である。クルマにたとえるなら、F1マシンみたいなモノだ。そもそも、費用だけ考えたらスペースシャトルの方がもっと高くつくはず。
 
 それに対し、この民間宇宙船は弾道飛行するだけ。地球周回軌道に乗ることもできない。それでも宇宙旅行と言えば宇宙旅行ではあるんだけど、「宇宙を堪能する」ってレベルとは言い難いかも。無重力状態も2分しか味わえない。これだけでもスゴいんだけどね。
 
 
 弾道飛行ってのは、言ってみれば「真上に高く放り投げて、元の場所に落っこちてくる」ようなもの。これで成層圏を抜ければ、「宇宙旅行」だ。米国初の有人宇宙飛行である、マーキュリー計画の初期段階がコレを採用している。そう、民間技術はやっとこの領域にこぎつけたのだ。長かったなあ。
 
 ちなみに、人類初の宇宙飛行は「地球周回軌道に打ち上げる」という、もう一段上のレベルを一気に達成している。当時のソ連は、この時点で人工衛星を打ち上げるだけの技術力があったので、あえて地球周回軌道にチャレンジしたんでしょ。それに、弾道飛行が可能なら、地球周回軌道へのステップアップはさほど難しくないはず。マーキュリー計画も地球周回軌道を達成しているし。ただし、これはあくまで技術面の話。この民間宇宙船がソコまでの余力を見越した設計になっているのかは、何とも言えない。近い将来に可能ではないかと思うけど。
 
 なお、格安航空機で有名なヴァージンも宇宙飛行計画があり、お値段はは$200,000.-だそうな。でも、地球周回軌道で3時間の旅だとか。ガガーリンの宇宙飛行が地球1周で2時間弱だから、それより高いトコロまで打ち上げることになる。定員もエックスコアは2人(操縦士含むのかは不明)なのに対し、ヴァージンは6人。コストパフォーマンス考えたら、こちらの方がお得かもしれない。
 
 気になるのは、安全面か。これは…勇気が必要なレベルだと思う。ドコをどう考えても、宇宙飛行ってのは危険だからねえ。どう頑張っても「スペースシャトル並」の安全性ぐらいしか保証できない気がする。この点だけはどんなに頑張っても、山のような実績があるソユーズには遠く及ばない。最初のうちは「初期トラブル」の怖れがあるし、実績重ねてくると宇宙船劣化(費用削減のため、スペースシャトル同様使い回し前提だから)の危険性が高まる。無謀ってレベルじゃないとは思うけど、一般庶民が利用するにはまだちょっと早いかな。
 
 あと、経営面も気になる。経費については色々計算しているんだろうけど、その見積もりがドコまで信用できるのかは、未知数だからね。事故のことは忘れるとしても、「整備費用が思ったよりかかるので、やっぱり使い捨てにした方が安上がりだった」なんて話になっちゃえば、あっさり経営破綻しかねない。そうなれば「俺の旅行代金返せ!」って話になりかねない。
 
 あれやこれやを考えると、現時点では「一般庶民が手を出すモノじゃない」って結論になるかな。たとえて言うなら、PCソフトのベータ版に手を出すようなものだ。ベータ版である以上、一応はマトモに機能するハズ。でも、実際は色々と不具合があって、それを解決して製品版が出る…ってコトですね。色んな意味で「人柱」になる覚悟がないと、申し込めない気がする。
 
 それを考えると、「最初の民間宇宙船の客に決まった」人物ってのは、真の馬鹿か真の勇者のどちらかだと思う。まだテスト飛行すらやってないのに。それでも、「最初の1人」って誘惑には勝てなかったんだろうなあ。宇宙開発史にその名を残せるんだから、リスクを承知で申し込んでみたんじゃないかと。うんうん、その気持ちはわかる。
 
 賢いことは、悪いコトじゃない。でも、それだけじゃあ世の中回っていかないのも事実。リスクを承知の上で突っ込んでいく馬鹿が道を切り開いてくれるからこそ、うまくいくものもあるからね。「民間宇宙船による宇宙飛行」ってのは、現時点ではこの段階にあるんじゃないかな。ちょっと高めのリスク背負う覚悟がないと申し込めない、にもかかわらずあえて申し込む奴がいてこそ、成立する話だと思うな。「賢い」判断ばかりがクローズアップされる中、こういう話を聞くと心強いですね。特に私のような馬鹿は(苦笑)。
 
 ただ…ふと思ったんだけど、こういう勇気を持った奴が「投資銀行家」ってのは、どうなんだろ。こういう破天荒な決断を下す冒険家に資産運用を任せるのは、色んな意味でいかがなものかと。もっとも、これは「使っちゃイケナイ大事なカネを、アスコットの日本馬に突っ込む」という悪癖を持つ、私が言うことじゃないとは思うけど(爆)。

12月7日2008/12/08 01:48

 昨日、コミケカタログが発売された。そのおかげで各種確認作業が忙しくて…とりあえず一段落ついたので、コッチの世界に帰ってきました(苦笑)。
 
 今年は28~30の三日間開催。相変わらず全部用事があります。おまけに、有馬記念と東京大賞典とバッティング。色んな意味でどーしろと。その辺も含め、今回の予定をつらつらと書いてみようかと。このネタの時はいつものことだけど、今回は私個人のための防備録みたいなネタです。覚悟してください(苦笑)。
 
 初日・28日・日曜日。有馬記念とバッティング。当然掛け持ち予定。おまけに、東館にゲーム(電源不要)とメカ・ミリタリー・旅行(くっつけられたらしい)があり、西にスポーツ(競馬はココ)がある。それに、「カレンダー買いあさり」をする関係上、企業ブースも無視できない。地獄の日程だ。
 
 悩ましいのは、当然企業をどうするか。今回は特殊事情により「あまり焦る必要はない」のだけど、だからって悠長に構えているワケにもいかない。偵察も兼ねて、行列長いけど消化は早いトコロを数件と、行列しなそうなトコロを巡って終わりにしようかと。この計画だと間違いなく「中山に恥ずかしい紙袋抱えて現れる」コトになるけど、どーせそんな馬鹿は他にもいるはずなので、気にしない。
 
 なお、今回競馬はヘンな位置にある。いや、場所自体はどうってコトないんだけど、カタログの位置がヘン。一瞬「ギャンブル系は追放されたか!」って焦ったくらい。初日西館れ48~55が「競馬のあるブロック」です。ものすげー不思議なことに、外周である。普通外周ってのは「長い行列作るサークル用」のハズなのに。こんなトコロにあるわきゃない…と思っていたので、見つからなかったんだな。まあ、すぐ探し当てたけどさあ。
 
 超個人的な話をすると、競馬ファン投票リストで有名な「中山グランプリ」殿は落選。ま、有馬記念と同日だと色んな意味でキビシーはずなので、深く気にすることはない。サイト調べたら、「コミケには行かず、中山に直行」だとか。それが正解だと思う。思うけど、私はそうも言ってられない…その代わり?夏に「全国の競馬場を1年で踏破」にチャレンジしてると語っていた「あんぶる」殿は見事当選。よって、おそらくは最終結果報告が発売されているはずだ。今から楽しみだな。なお、コレを目当てに「同じコトにチャレンジしていた」知人がコミケ参戦予定。
 
 ゲームについては、コマンド誌のレビューがどうなるのかが気になる。できれば自分なりに「実地調査」して、その上で記事がどうなるのか確かめたい。「他にもいいゲームあったぞ」とか、「そんなもの売ってたのか…」ってゲームが続出するとは思うけど。なお、歴史やメカ・ミリタリーのサークルでゲーム売ってる例もあるので、注意したい。ただ…ゲームって大抵生産数が少ない(手間を考えれば当然だ)ので、企業回ってから行くと、品切れの可能性があるんだよね…かといって「初日から企業パス」はやりにくいし…
 
 ただまあ、あまり時間かけて吟味してはいられない。中山競馬場への移動があるからね。りんかい線で新木場に出て、その後京葉線で船橋法典か西船橋に出ることになる。目安としては、14:00までにビッグサイトを出る必要がある、ってトコロか。かなりの強行軍だなあ。ま、以前やったことあるけど。
 
 2日目・29日・月曜日。東京大賞典とバッティング…でも、今度は近い。30分もあれば着く。おまけに発走時間は16:30予定だから、理論上は終了直後にダッシュしても、発走に間に合う。馬券買う時間がないので、そんなコトしないけど。
 
 この日は、理論上は余裕がある。FC少女で便せん物色し、同人ソフトで音楽CDチェックするだけだから。よって、メンドーな企業はこの日にアタックを試みるコトになる。より具体的なことは「指令」が入らないとわからないけど、すでにいくつか「できれば買い物したくないけど、カレンダー売ってる」トコロがわかっているからね。流石に「カレンダー買い占め計画」は発動しない予定ではあるけど、それでも面倒なトコロを省略できないと思われる。
 
 もう1つ気になるのが、この日は唯一「同人の行列に並ぶ」可能性が高いこと。カレンダーと便せん関連で行列作るトコロはまずないけど、音楽CDは場合によると列ができる。更に試聴(させてくれるトコロも多い)もあるので、時間が読みにくい。「気がついたら終了の合図」などということがないよう、注意しないと(苦笑)。
 
 最終日・30日・火曜日。諸般の事情により店番しなくていいので、すげー楽なハズである。ただ、今回はこの日に企業巡りができる(普通なら店番のためやらない)ので、一部この日に寄せるつもり。
 
 この日の目当ては、創作(少女)の便せん&カレンダー。主に「やらしい同人誌」売ってる東館に用はないハズだけど、実際は「やらしくない同人誌」をいくつか仕入れる必要がある。先日のコミティアで新刊売っているかも…と期待したトコロが、軒並み「新刊はコミケ合わせ」にしてたんだな。日程などによっては省略できたんだけどなあ。ま、どーせ行列作らないので、気楽に買える。よって、一番ヒマな日だ。普通のヲタクは「この日が主戦場」だろうけど。
 
 あと、多分この日の午後に「依頼された品の受け渡し」があるはず。混雑のため携帯電話の信用度が落ちるので、それなりに大変だと思われる。コレが終われば、一応予定終了となるハズだ。実際はどーなるのかわかんないけど。色んな意味で「何があるのかわからない」からなあ。
 
 ちなみに、今回は「全日全館踏破」予定である。配置次第では避けられたんだけど、今回は駄目だった。おまけに有馬記念アーンド東京大賞典とバッティング。おかげで、かなり忙しくなりそう。過酷度で言えば「1日中行列に並びっぱなし」って奴の方が上だろうけど、移動距離は相当なモノになりそう。今から足腰の疲労が心配だ…前に似たようなコトやった時は、本当に大変だったからなあ。
 
 コミケ前にいつも言ってる気がするけど、今回も繰り返そう。コミケってのは、「普段の行いが悪いヲタクが落とされる、生き地獄」である。昔に比べればずいぶんと過ごしやすくなったとはいえ、それでも「辛くて当然」である。だから、本来ならば文句なんぞ言っても仕方ない…はずなんだけど、「全日全館踏破」はため息出ちゃうねえ…普通のヲタク(腐女子含む)はやらないコトだけに…

12月9日2008/12/10 00:35

 JCダート、カネヒキリ復活ですか…また悩ましい馬が勝ったもんだなあ。天候の関係から脚抜きのいいダートになったことが勝因だとすると、東京大賞典では信用できないかもしれない。かといって、じゃあヴァーミリアン逆転があるのかと言うと…うーん、とりあえず「カネヒキリはこのままルメールか」「武豊が復活したら、ドッチ乗るのか」を見極めないと…
 
 本日のネタは、ブラウザの話。相変わらず色々試しているので。かなりワケわからんものにも手を出しているので、また報告してみようかと。まだ使い込んでないので、あくまで「とりあえず」の感想だけどね。
 
 私のメインブラウザは、一応IE7のまんまである…PCの設定上は。他のブラウザは色んな意味で信用しきれないので、メインブラウザ変更要求(インストールするたび要求される)は片っ端から拒絶している。
 
 しかしだ。実際の使用時間は、圧倒的にFirefox3.0が長かった。だって、動作がキビキビしているんだもの。細かい使い勝手も私好み。ただ、機能拡張は一切やってない。機能がゴテゴテしてるのも困りものだと思っているので。弱点は、一部サイトの表示がオカシイこと。わかっている範囲で2件ほどオカシイ。これをどう判断するかは、ビミョーだねえ。
 
 先ほど「長かった」などと過去形を使ったのは、実はアンインストールしたからである。その代わりに、Firefox3.1のβ版を導入した。どーせメインブラウザじゃないから、試用版でもいいかと思って。若干だけど、動作が更に速くなった印象を受ける。Google Chromeが速さをウリにしてるので、対抗したんだろう。オカシイ表示は直っていないけど、世の中そんなものだ。
 
 これだけなら、いちいちネタにするほどでもない。他2件ほど試しているので、それも報告しよう。まず、Lunascape5.0のα2版を導入してみた。ウリは「レンダリングエンジン切り替え」である。レンダリングエンジンとは?平たく言えば、Web上の「こーゆー感じに表示してくださいね」って指定(ソース)を、実際我々が見てるような形に加工する仕組みのこと。コレを切り替えられるのだ。
 
 PCに詳しくない人は、だからどーした?で終わりにしてしまうかもしれない。けど、このレンダリングエンジンってのは、結構重要なのだ。「表示が遅い」とか、「表示がヘン」って問題点は、これが原因のことが多い。LunascapeはIE7.0とFirefoxのレンダリングエンジンを持っていて、コレを自在に切り替えられる。つまり、「IEの正確な表示」と「Firefoxの高速表示」を同時に味わえる…ってのがウリだ。
 
 説明だけ聞いた時には「いいトコ取りできそうじゃん」と思ったんだけど…ハッキリ言おう。切り替えが面倒だ。「こちらで指定したページを開けば、自動的に切り替わる」って機能はあるけど、ちょっと完成度が低い気がする。そのため、なんか「駄目なトコ取り」になってしまったような…少なくとも、私のイメージ通りには機能してくれなかった。やりたいことはわかるし、使い方によっては重宝しそうだけど、私にとってはイマイチだったかな。
 
 「表示が圧倒的に速い」という評判に惹かれて、Opera10.0のα版も導入してみた。確かに表示は速い気がする。けど、それ以外の動作がモッサリしている気がする…慣れの問題かもしれないけれど、「トータルでは速いけど、バランスの悪い速さ」って気がするなあ。Firefoxを基準に考えると、「一瞬遅れて動き始め、動き出したらいきなり表示」って感覚になるかな。個人的には、やはりイマイチって評価になりそう。
 
 もっとも、Operaの問題は他にある。このブラウザ独特のふるまいが多いのだ。それが特別使いやすいって言うのならともかく、別にそんなことはない。言ってみれば、「ドッチだってあんまり変わらない」部分に独自性バリバリ…って感じである。Safariも独自性の固まりだけど、これは「操作性はiTunes互換」だし、元々「じっくり読む」時に使用するので、操作にもたついても割り切りやすい。けど、Operaは「スピード命」なのに操作でモタつくので、すげーイライラする。このブラウザの出来がどうこうじゃなく、私にマッチしてない。
 
 つーわけで、「普段はFirefox、それだとマトモに表示しないサイトはIE、綺麗な文字でじっくり読みたい時にSafari」って体勢は崩れませんでした。とりあえず、私にはこういう使い方が合っている感じ。
 
 なお、圧倒的に多いと思われる、「IE以外見向きもしない」方へ。速いブラウザって本当に速いよ。カンドーするくらい。有り余るマシンパワーと超高速回線で「どれもほとんど一緒」なんて環境ならともかく、普通は速さに感動するぐらい違いが実感できるんじゃないかなあ。できれば、騙されたと思って実験してみて欲しい。一部サイトの表示がオカシくなるのは間違いないんだけど、そこはIEと併用すればいい。
 
 とはいえ、フツーはIEで十分だよね。しかもだ。完全に乗り換えるのならまだしも、3つ併用が当たり前っていうのは、色んな意味でどうかと思う。これはこれで慣れると便利なんだけど、フツーは慣れようと思わないよね…ま、それが私ってことで。

12月10日2008/12/11 02:24

 本日、「ヒトラー電撃戦」連載第三部の「ほとんどOK」稿を発送した。「これでいいでしょうか」ってのは先週送付済みだったんだけど、あっさり「このセンで行きましょう」となったので、編集部と私が少しずつ修正し、おそらくは大きな修正無しで掲載されることになる。ふう、良かった良かった。
 
 ちなみに、分量は予定よりかなーり増えてしまった。これは、私の見積もりミスだと認識している。なにせこの第三部、扱っている範囲は「バルバロッサから連合軍大陸反攻まで」なのだ。説明するのが難しい「戦略的目標」をあまり語らなくて良いとはいえ、これだけ詰め込んだら、分量増えて当然だ。調子に乗ってガシガシ書き殴り、書き終わった後に分量調べたら、スゴい分量になっていた。
 
 当然青ざめて、どーするべきか頭を抱えた。「いやあ、思ったより増えちゃったなあ」って程度のオーバーなら、自力でアレコレ削ってから送付したと思う。そんなレベルじゃなかったんだよ。予定変更して一部をその次の原稿に回さないと、どーしよーもなさそう。そこで、一応無い知恵振り絞ったあげく、このまま送付してみた。手直しのレベルを超越した分量なので、編集部のアドバイスを聞いた上で修正した方がいいかと思って。
 
 そんな原稿がちょっとした修正だけで通っちゃっただけに、ちょっとビックリした。そりゃあ私なりに「分量が増えた理由」はある。何の意図もなくバルバロッサと大陸反攻を同時に詰め込んだりはしない。メールの文面では「分量増えちゃいました、どうしましょう…」ってコト書いてある(言うまでもなく、本心である)けど、原稿の内容は「これだけ必要なんだ!」って主張しまくっていた(でなけりゃ、もっと短い原稿にした)はずだ。
 
 実のところ、原稿を分割するとか大幅削減するには…ってコトも多少考えていた(本格的に考えないのは、編集部の意見抜きで考えても無駄だから)けど、結果としてあまり分量減らずに掲載される見込みとなった。作者としては嬉しいことではあるけど、当然「分量増えちゃって恥ずかしい」「編集が大変になりそうで、申し訳ない」って気持ちも強い。
 
 もっと大変なのは、図版である。これは原稿の分量以上に、私が盛大な見積もりミスをやらかした。語る内容が内容だけに、掲載して欲しい範囲が滅茶苦茶広い。実質、マップ1枚丸ごとである。そこにキャプション山ほど詰め込む予定なので、あまり縮小するワケにもいかないはず。しっかり考えればそうなるのはわかっていたハズなのに、当初の見積もりはソコまで考えていなかった…
 
 これはもう、申し訳ないと言うしかない。図表に関しては、私は「こーゆーモノをお願いします」って指定を送り、最後のチェックをしているだけで、具体的作業には一切タッチしてない。作業は「大変なんだろうな」と想像するだけだ。今回は特にタイヘンなものをお願いしてしまったようで、心が痛む。しかも、それに気がついたのは図版の指定を書き終わった後…
 
 そろそろ年末であり、おそらくは年末進行とやらが多少かかわってくるハズである。こんな時期にこんなモノ送ってしまって、申し訳ないやら情けないやらである。ただ、結果的に〆切りのだいぶ前に原稿が完成したコトになる。元々「修正指示が来そうだ」って想定はしている関係上、早め早めの原稿提出を心がけているとはいえ、まさか84号発売前に「コレでいこう」となるとは。当然のことながら「〆切り破り」なる悪事は働きたくないので、ほっとしました。
 
 ちなみにこの短期連載、第四部まで続く予定である。第三部で連合軍大陸反攻までを語ったのに、何か書くことあるのかって?このゲームはルールの縛りが少なく、「何でも好きにやって良し」ってゲームなので、やはりキテレツな作戦(ゼーレーヴェとか)は独立して大いに語りたかった。まず史実に近い展開を語り、それを比較対象としてどうこう…って話に持って行きたかったので、最後にまとめてみたのだ。これはこれで大変な作業だけど、ある意味「極端な想定」ってコトもあり、研究精度を高める必然性はやや薄い。そういうモノは実際プレイする時に考えてもらった方がいいと思うし。作戦研究ってのは、一部「手品の種明かし」みたいなトコロもあるので、こういうキテレツな作戦ではあえて細部を語り過ぎない方がいいと思う。あくまで私の見解だけど。
 
 とはいえ、これはあくまで程度問題。いちいち紹介する以上、一定水準の研究はしておかないと。まだ先は長いです。まだ一部の研究は終了してない(〆切り相当先なんだから、当たり前だ)ので、早速アタマを切り換えて研究に取り組まないと。うう、やっぱり商業誌の原稿書くのはタイヘンだぁ…隔月刊でコレだもの、月刊や週刊なんてもっとタイヘンだろうな…

12月12日2008/12/13 02:47

 Googleって会社は、最近傲慢だと思う。昔からやってる検索関連は、まあ許そう。問題はGoogleが作ったブラウザ、Google Chromeだ。製品版がリリースされたらしいので、「また試してみるか」とダウンロードしたら、何も言わずにメインのブラウザに居座ろうとしやがった。Hong Kong Jockey Clubのサイトをマトモに表示できないブラウザのくせに、いい度胸だ。β判はそんなことしなかったんだけど、「製品版だからいいだろう」ってコトか?「いや、選択画面あっただろ!」って文句言われそうだけど、過去の事例(色々ダウンロードしている)と比べて、ものすごくわかりにくかったことは間違いない。使い勝手が特別良いワケじゃないとわかっている(β判は試したから)ので、比較のためのテスト終了後はアンインストール決定。
 
 本日の話題は、あえてPC買い換えを語ってみようかと。先日のレスでそーゆー話題が出ていたので。私はココの管理人なので、長文レス使うよりは本文対応しちゃった方が早いし。
 
 PC買い換え。私が特殊な事情により強いられたのは、皆様ご存じだとしておこう。まあ、いずれやるつもりではあったんだけど。ただ、いわゆる「緊急対応」だった関係上、いくつか心残りもある。その反省も含めて、私なりに「どう乗り換えるか」を考えてみよう。
 
 旧PCのFKP改は、これまた緊急対応マシンだった。そのため導入当初からスペックは「ソコソコ」止まり。とはいえ、「滅茶苦茶遅い」という印象はなかった。クソ重いソフトをバリバリ使っていたワケじゃないので。新機種導入計画は、OS乗り換えと同時になる予定だったのだ。Windows Vistaって馬鹿げて重いOSだと評判だったので。
 
 現在のFloral Pegasusは、一応「問題なくVistaが動く」マシンである。けど、動いているのはXP。これには理由がある。データサルベージという重要な問題が最優先だったので、混乱を避けたかったのだ。ただでさえ緊急事態なのに、OS乗り換えに伴う問題まで抱えたら、心が折れかねない。そのうちOSアップグレードに乗り出す予定ではあるんだけど。
 
 私の印象としては、XP使っている限り、よほどヘビーな使い方しない限りは、まだ乗り換える必要はないと思う。ただまあ、そろそろサポートが切れそうだし、色んな意味で「ちょっと遅いなあ…」と感じる機会も増えていると思うけど。特に、洋ゲー(外国のゲーム)をプレイする人はそう感じるのでは。洋ゲーって、ヘビーなスペックを平気な顔で要求しやがるからなあ。正直、「ゲームってモノはそうじゃねーだろ」と言いたくなるくらい。
 
 今現在PC買い換え計画がある場合、選択肢は3つ考えられる。1)XPモデルを購入し、後にOSをアップグレードする、2)Vistaモデルを購入し、マシンもOSも一気にアップグレードする、3)そのうち出るという、新OSの対応モデルを待つ、である。まあ、事情によっては「OSは古いままじゃないと困る」「Mac OSが…」「Vista対応モデルだけど、買い換えたい」とかあるんだろうけど(笑)。
 
 この3つのうち、ドレがオススメか?うーん…一長一短あるから何とも言い難いけど、あえて言うなら2)かな。Vistaモデルを買い、マシンだけじゃなくOSも一気に交換した方がいいと思う。理由はちゃんとある。トラブル対策だ。
 
 トラブル対策なら、1)のXPモデル購入がいいのでは?そう思うかもしれない。確かに、この方がトラブルに遭遇する可能性は減る。けど、これは問題の先送りだ。OS乗り換えって、下手するとマシン買い換えに匹敵するほど「トラブルが怖い」存在だ。よって、マシン換えた時とOS換えた時の2回に分けてトラブルに遭遇するか、まとめて遭遇してまとめて解決するかの違いだと考える。
 
 別々に対応するのと、まとめて対応するのはどちらが楽か…って問題だけなら、似たようなモノかもしれない。大きな違いは、実は「手元にサブマシンがあるかどうか」である。マシン買い換えた場合、自動的に手元に「前のPC」という名前のサブマシンがある。よって、非常時に旧PCを使って作業を行える。ところが、マシンだけ買い換え、後にOSアップグレード…って手法をとると、OSアップグレード時にサブマシンが動かない(捨てちゃった、重要なパーツ流用しちゃった、壊れた、といった理由で)場合がある。コレは極めてマズい。
 
 私の実例で言えば、OS再インストールが意味不明なメッセージを表示して中断した時、ホントに打つ手がなかった。マニュアルなんてクソの役にも立たないし、Webで情報調べたくても、肝心のPCが動かないんだから。そんな時の対策も、「手元に別のPCがある前提」ってモノが多い。けど、個人でそんなマシンがあるって奴は、そう多くはない。
 
 問題が機器関連らしい…となった時も問題である。検証が必要なのに、手元に検証用のマシンがないと相当困る。悪夢は何と言ってもHDDトラブルだ。何もかもブッ飛んだのか、OS関連だけイカれたのかは重要だったりするんだけど、検証できないと「全部ブッ飛んだとみなす」しかなくなる。まあ、自分で作ったり、ダウンロードしてきたデータファイル(デジカメ映像など含む)についてはバックアップがあると仮定しても、各種アプリケーションの設定データは「生きてるか、死んでるか」によってかなり違うんじゃないかな。これは下手するとアチコチに点在していやがるので、失われやすいんだよね。
 
 ただまあ、一部で「欠陥OS」とまで悪口を言われているVistaはイヤ…って人は多いと思う。私も「新OS待つか?」って考えていたくらいだ。実を言えば、1)はXPマシン購入→VistaへOSグレードアップ、だけではなく、XPマシン購入→新OS発売後に一気にグレードアップ、って手法も視野に入れている。この場合、選ぶべきは1)より3)じゃないかなあ。新OS導入した直後に「うぎゃー!」って話は多そうなので、まだ手元に旧OSマシンが残ってる段階で作業した方が良いと思う。新OSは「Vistaのバグフィックス版」って話もあるので、XP→Vista(または新OS)と違ってVista→新OSはトラブル遭遇率が低そうだし。
 
 3)の難点は、パーツ流用問題かなあ。新OS対応モデルって、下手すると「昔の規格のHDD取り付ける、IDEコネクタがない」からね。まあパーツ流用は諦めるにしても、データ移行が大変になる。それに備えて大容量のUSB接続外付けHDDを買うことになるかな。ま、こーゆー品はあって困るワケじゃないので、それを覚悟してもいいんだろうけど。ちなみに、私はそれを視野に入れて外付けHDD購入し、更新頻度の低いデータをコピーしてる時点でPC故障した。
 
 ここまで解決したとしても、じゃあ具体的にどんなPC買うのか…って問題もある。Intelがまた「新しい規格の」製品出しやがったからねえ。しかもこの規格、長持ちするかどうか未知数ときてる。いっそのこと現規格でしばらく続けそうなAMDモデルにしたくなる(私はAMDモデルにした)けど、このメーカーのCPUを信じるかどうかは…金銭的問題からVGA内蔵MBモデル(要は廉価版)を選択せざるを得ず、なおかつVGAの味付け(細かいチューニング)に対して「Intel純正<NVIDIA<<<ATI(現AMD)≦Matrox(一般向けじゃなくなっちゃったメーカー)」という偏った思想を持つ私だからこその選択って気もする。
 
 ちなみに、現時点で私が「予算潤沢に使って、1台組むとしたら」どうするか?うーん…現時点では、Core i7モデルは組まないなあ。出たばかりの新規格品って、どうも割高で。それより、やたら割安感があるAMDモデルに惹かれちゃうかも。コストパフォーマンス良さそうだし。価格表検索してたら、CPU載せ替えたくなったくらい(苦笑)。Intelの石使うなら、無難にCore 2 Duoかなあ。そんでもって、「初のIntel純正マザーボード」にチャレンジか。もっとも、実際買う時になって「やっぱりコストパフォーマンス悪いぞ」とか言って、NVIDIAのマザボに走りかねないけど。で、VGAは…誰か先日発売された、Matroxの新VGA(やたら高い)のベンチマーク結果教えてくれ。「VistaのAeroが動く」(フツーに使うなら、そうじゃなきゃ困る)って話しか伝わってこないのだ。やっぱり3Dとか動画再生は駄目駄目っぽいけど、気にはなる。自作する以上、やっぱりキテレツなパーツ組み込んでナンボでしょ!
 
 とまあ、最後にまるで参考にならないコトを吼えたわけだけども、PCの性能なんて、最後は趣味の世界だ。アレコレ考えるのも楽しいはずだから、大いに悩むといいのでは。なんか答えになってない気もするけど、ここはそーゆートコロです(苦笑)。

12月14日2008/12/14 22:51

 くそう、魔神の単勝だけかよ!これだけじゃ、最終的にマイナスではないか。ワケわからん大穴開いたスプリントはともかく、マイルとカップ外したのは痛いなあ…あえて「マイルは穴、カップは本命」って狙いで買ったのに、結果は逆だった…ただ、レースとしては面白かったんじゃないかな。
 
 日本にいながら香港の馬券の話ができるのは、そりゃもう「特殊な手段」があるからだ。その気になれば、携帯電話だけで買い目指示できるからねえ。予想はHong Kong Jockey clubのサイトを参照すれば何の問題もない。PCの前に張り付いていれば、結果どころかレース映像も素早くわかる。まあ、映像見るより結果わかるのが先だから、多少むなしいんだけど。勝ったとわかっていたヴァーズで「馬鹿、魔神、ちゃんと差せ!」って叫んだのはともかく、負けたとわかっていたマイルで「そのままだコーツィー!」って叫んじゃった…現地に行っていたら、いぎたなく吼えていたのは間違いない。もっとも、現地で吼えていた日本人って、山ほどいると思うけど。
 
 ヴァーズはホントにきわどかった…JCにも出走していたパープルムーン(有馬記念に出て欲しいけど、無理だろな…)が先行して粘るところ、魔神ペリエのドクターディノと日本のジャガーメイル(鞍上キネーン)が外から猛然と突っ込んできて、ギリギリ魔神が差しきった。もう駄目かと思ったんだけど、あの脚は見事。ジャガーメイルも魔神と併せる形でよく伸びてきたんだけど、きわどく3着まで。
 
 スプリントは、かなりの大穴。単勝67.9倍だもの。なんかワケわからん馬が、謎の脚を使って差しきってしまった。戦績を見ると「どう考えても駄目でしょ!」って馬なので、何でこうなったのか、よくわからん。強いて言うなら、ホワイトが若干早仕掛けすぎたか。
 
 マイルは…アルマダ・グッドババが人気を集める(よくわかる)中、あえて地元トライアルを勝ったエジプシャンラーにしてみました。コーツィーだから。余談だけど、「コーツィーだから」で馬券買う日本人って、かなり珍しいよな。香港マイルにしては珍しく、ペースは速め。逃げたコーツィーが粘るかと思いきや、やはり沙田の直線は長かった…最後はグッドババが差しきり、コースレコード(らしい)で勝利。2着も差してきたエイブルワン。エジプシャンラーは3着…レコード出るペースで逃げてコレだから、善戦だとは思うけど。
 
 カップ。まさかヴィヴァパタカが負けるワケない…とたかをくくっていたところ、なんとヴィヴァパタカの末脚不発。南アのイーグルマウンテンがスパっと抜け出して快勝。ま、また南ア勢かよ…侮りがたいとは知っていたけど、春先の結果は勢いだけかと思ってました。どうやらホンモノみたいだ。経済好転したとか、いい血統の馬が輸出されたとかって話は聞いてないんだけど、何で急に結果出るようになったんだろ?アフリカまで行って確かめる価値があるとは思うけど、治安はマジに悪いらしいので、さすがに…
 
 自分でもいい加減にしろと思うけど、何度でも繰り返そう。やっぱり現地に行かなきゃ駄目だ。日本にいながら入手できる情報は相当なモノだけど、そーゆー問題じゃないんだよ。香港の空気を吸い、現地のアツい競馬ファンが周囲にまき散らすオーラを浴びて馬券買わないと、当たらないよ。競馬ってのはそーゆーモノでしょ!
 
 ちなみに、一応的中したカネは、香港$で受け取る。放置しておけば、そのうち香港に行くから。つーか、やっぱり今回も行くべきだった…ブツブツ…
 
 なお、本日は諸般の事情により、日本の競馬場には出かけませんでした。家でじっくり香港のレースを楽しみたくなったので。結果としては大正解だったはず。なにせ中山メインでダイワエンパイアがブッ飛んでいるからなあ…間違いなく「腰が抜けるほど」馬券買っていたはずだ…北村、てめえ斬られてえのかぁ!

12月15日2008/12/16 01:21

 Google Chromeは駄目だ…どうやらSafariと共存しないらしい。私の環境特有なのか、一般的なモノなのかは不明だけど。多分レンダリングエンジン絡み(確か共通である)の理由ではないかと推測しているので、一般的な問題じゃないかなあ。Googleに言わせれば「古いバージョンのレンダリングエンジン使っているAppleが悪い!」となるのかもしれないけど、長い文章をじっくり読みたい時には、文字表示が綺麗なSafariは手放せない。迷惑どころか、有害判定を下さざるを得ない。テスト終了前にアンインストールしてしまいましたとさ。
 
 本日の話題は、「ゲーム用PCとは」を論じてみよう。実を言えば私はソコまで詳しくないんだけど、「何に詳しい人間が語るのが適切なのか」って部分も含めて、ある程度の説明はしておこうかなと。
 
 まず大前提。PCでゲームを楽しむ人間というのは、世間では少数派です。ゲームにはコンシューマー機を利用するのがフツーであって、それじゃ困るって人間は(それなりの割合ではあるけど)どちらかと言えば少ないはずです。そもそも、「PC持ってるしゲームもやるけど、PCでゲームなんてやらない」って層が山ほどいるからね。
 
 そういう「隙間産業」にリリースされるゲームというのは、何かしらトンガったモノが多くなる。そうじゃなきゃ、イチイチPC版を出す理由がない。トンガってなければコンシューマーで出せるし、その方がどう考えても売れる。色んな意味で、「コンシューマーゲームとの差別化」をしないと、生きてゆけない(やっていけないのではなく、コンシューマーに流れちゃうって意味で)業界だ。
 
 ドコをどうトンガらせるのか…には、様々な手法がある。その手法の1つが「キーボードに依存する」モノ。コンシューマー用キーボードって一般的じゃないので、「キーボードがあった方が便利です」ってモノはPCで出した方がいい。オンラインゲームがPC中心なのは、「チャットにはキーボードがあると便利」って理由も大きい。それだけじゃないけどね。ま、最近は音声チャットの性能も向上しているし、コンシューマーもネット接続当たり前って時代になってきたから、今後は違ってくるのかもしれないけど。
 
 いわゆる洋ゲーは、「とにかく重い」って方向で差別化しているらしい。グラフィック性能だけ考えたら、むしろコンシューマーの方が得意なのでは…とも思うけど、とにかくそーゆーモノが売れるようだ。要求スペックはもう無茶苦茶である。最新のCPUに最新のVGA付けるのが「当然」って世界だ。そうじゃなきゃ、マトモに動作すらしない。安上がりに「どんなものか」試そうと思ったら、いわゆる「3Dベンチマーク」(PCの速度測定するソフト)をダウンロードしてくるといい。特別な拡張機能使わない限り、無料で試せる。
 
 ちなみにだ。洋ゲーはマシンスペックだけでなく、OSも最新のモノを要求してくる。Windows系列で3D画像動かすためには、DirectXってソフト(OSの追加機能)を使うのが一般的なんだけど、これの最新版(DirectX10だったかな)は、Vista専用である。動くだけならその前のバージョン(DirectX9.x)でも動くかもしれないけれど、標準機能とやらを楽しもうと思った時点で「Vista必須」だ。
 
 そもそも、いわゆる「ハイエンドPC」を求める人間のうち、それなりの割合が「洋ゲーをストレス無く、美しいグラフィックで楽しみたい」って人間である。3Dベンチマークソフトの数値上げて喜んでいる人間も、この層に含めて考えることができるし。特にVGAは、こうした人間にアピールして良い評判を作り、その評判を利用して廉価版の普及を図る…って図式が重要だったりする。この世界では、「全体の発色特性がどーしても気に入らない」などという理由で、NVIDIA製品をデフォルトでスルーする、私のような奴はむしろ少数派だ。
 
 そんなわけで、PC業界にとって「ゲーム用PC」ってのは、バリバリのハイエンドPCを指す。当然OSも最新版。「リアルな画像」とやらを求めてゆくと、まあこんな感じになるからね。世界全体で見たら、ゲーマーの大半はこんなPCを欲しがる人間だと思われる。きちんとした統計見たワケじゃないけど。
 
 それに対し、日本国内ではかなーり事情が異なる。理由は簡単、日本人はゲーム画面にさほどリアルさを要求しないのだ。いわゆる「アニメ画・ゲーム画」が使えるので。見慣れているので、そーゆーものだと割り切れている…どころか、「むしろコッチがいい」って層が山ほどいる。ボードシミュレーションゲーマーである私にしてみれば、「ゲームは画じゃねえだろ」って理由じゃないのはちと寂しいけど、コッチのゲーマーでも「戦車は線画が嬉しい」って奴が増えたぐらいだ。画は重要なんだよ。
 
 本来ならば、そんな画でいいのならコンシューマーで足りる。にもかかわらず、PCで出す理由は…純国産のPCゲームって、大半が「お子様には見せられない」内容だからねえ(苦笑)。「PCでゲーム楽しむ層」って、そーゆーモノを喜ぶ層とかなり被っているハズなのだ。
 
 こういう層は、いわゆる「リアルで重たいグラフィック」を喜ぶとは限らない。それどころか、邪魔だとさえ思っている。いわゆる「ゲーム画」にクソ重いグラフィック性能を要求しないのはミエミエ。2D描画性能なんて、もはや差別化しても誰も気がつかないレベルに達しちゃっているからね。「発色がいい」って理由だけでMatroxのVGA買おうとするのは、その必然性がある仕事してる奴か変人のドッチかだ。よって、国産ゲームはグラフィック要求水準がかなり低い。
 
 私のFloral Pegasusは適度に性能が低いので、いい例になると思う。コイツの性能だと、洋ゲー系3Dベンチマークソフト「3DMark06」(最新版はVista必須なので、このバージョン)では「箸にも棒にもかからない。出直してこい」って数字しか出ない。画面見ていても、カクカクとしか動かない。ところがだ。先月末に出た、3D画面がある(「大事な」トコロに使っているワケじゃないけど)某エロゲー(もちろん国産)のベンチマークソフトは、高画質に設定しても「問題ない」って数字を叩き出す。実際画面見てもスムーズに動いている。多少改善の余地はありそうだけど、ある程度以上になってくると「シロートには違いがわからないんですが」って向上に終わるだけって気がする。
 
 つまりだ。あくまで一般論ではあるが、洋ゲーは国産ゲームと比べてハード要求水準が高く、「標準的な環境」ってスペックの時点で、国産ゲームの性能限界(ハードの性能上げても、見た目の向上が得られない状態)に達してしまうのだ。これはOSにも言うことができる。洋ゲーは「フツーにプレイしたけりゃ、Vistaにしろ」と言って来るけど、国産ゲーは「XPで充分、Vistaの意味はない」と言っている。
 
 コレは当然、PCへの要求スペックに関わる問題だ。洋ゲー中心に楽しむなら、VGAもCPUも強化が当然だけど、国産ゲーム主体ならソコまでカネかける意味は薄い。全体の性能はともかく、ゲームのスペック引き出すことだけ考えたら、オーバースペックに突き当たってしまう。だったら、無駄にPCスペック上げるより、他にカネかけた方がいい。PC関連にカネつぎ込むとしても、静音化とか2Dグラフィック性能強化といった、「一般的じゃない」方向への強化の方が効くでしょ。VGAにカネかけるって、一般的には「いかに重たいグラフィックを速く動かすか」ってコトを意味するので、軽いグラフィックを動かすんだったら必要性薄いからね。比較的一般的なトコロでは、画面の大きさと機能の割にバカ高いモニタ買うとか。
 
 クルマが「単なる移動手段の一種」だけでなく、それ自体が趣味であるように、PCにどーゆースペックを要求するのかも、趣味の世界である。本質的には、他人が口出しするモノではない。ただ、PCは「ここを強化すると、こうなる」ってイメージを描きにくいトコロがあるので、「CPU強化とVGA強化、ドッチを優先すべきか…」って悩みが生じやすい。私だって、「私の使い方だと、同クロックのマルチコアと単純なクロックアップのドッチが勝るのか…」って悩みはあるんだから。
 
 ただ、とりあえずの原則としては、「ボトルネックを潰す」方向で考えるべきだろう。遅い部分があると、他をいくら強化してもあまり性能向上しない…ってコトになるからね。グラフィック性能中心に考える場合でさえ、「低速CPUに高級VGA」ってマシンより、「どっちもソコソコの品」ってマシンの方が満足度が高いと思う。その意味では、「現時点でCore i7マシンを組もうと思ったら、他もハイスペックの性能じゃないとボトルネックができるので、どうしても割高感が出てくる」「CPU・VGAを最新のモノにするんだったら、OSがXPだとボトルネックになりうる」というのが、私の意見。「OSは軽いほどいい」ってのは、「スピーカーは、アンプ出力が低くてもちゃんと鳴るのがいい」ってのと同程度に、間違った認識ですよ。
 
 むろん、ボトルネックを承知の上でトンガった性能のPCを入手するのも悪くはない。ただ、それは「それ相応の」使い方をする場合の話。今流行のネットブックだって、かなり限定的な機能に特化した使い方を前提として、「安さ」にトンガらせたPCだからね。このように「トンガらせる」意味・意義ってあるはずだけど、フツーはその判断が難しい。よって、ある程度バランス良く性能を上げた方が、総合的には良い結果をもたらすと思う。
 
 だいたいだなあ、国産PCゲームなんて、どーせ3D性能はあんまり要求しないに決まっているので、Core i7なんて不要でしょ。Core 2 Quadでさえ意味の薄い贅沢だ。VGAもせいぜいがハイエンド1枚差しで充分…どころか、ミドルクラスで問題は生じないはず。だったら、2D発色にこだわるべきじゃねえのか。人によって好みは分かれるけど、やっぱり最高峰はMatroxでしょ!つーわけで、GeForceうんたらなんて発色が悪いVGA使うくらいなら、Matroxの最新VGA探すべきです。どーせ3D性能はさほど良くない(そのくせ値段は高い)に決まっているけど、国産ゲームなら問題なさそうだ。これぞ日本男子のこだわりだと思うんだけど、どうかね(笑)。

12月16日2008/12/17 00:06

 このところ、寝ても覚めても「ヒトラー電撃戦」のことばかり考えていた関係上、ゲーム系の記事が手薄になってしまった。これは今もまだ続いていて、胃が痛い思いをしているのだけど。しかし、遅ればせながら入手した、今月発売のGame Journal誌(以下GJ)に面白い話題が出ていたので、私なりに意見を述べておこうかなと。
 
 興味を惹いたのは、「正しいディベロップとは如何なものかと。」という対談記事である。ネタとして興味があるモノだし、この対談で浮き彫りにされた「この件に関する問題点」も面白い。よって、ネタにしてみました。なお、言うまでもなくこれから述べるのは私の「私見」です。ご注意を。
 
 ディベロッパーとは何か?実は、これは難しい問題である。そもそも、この対談記事を読む限りでは、「ディベロッパーの仕事って何?」って定義に、微妙な食い違いが見受けられる。本来、こういう定義が食い違ったままの議論は意味が薄いんだけど、この対談で集まったメンバーに「そういう食い違いがある」ことを発見しただけでも、この対談記事の意味はあったと思うな。
 
 ディベロッパーとは、直訳すれば「発展させる人」となるかな。要はゲームデザイナーが持ち込んできたゲームを、改良・発展させて発売できる状態に持ってゆく人だ。この点まではさすがに大きなブレがない。しかし、もう少し具体的に「どんな仕事がメインになるのか」「どんな権限を持っているのか」といった部分に踏み込んで考えると、とたんに話が難しくなる。
 
 デザイナーが「こんなゲーム作ってみました」って段階にまでゲームを仕上げ、ある程度のテストプレイが可能になった段階まで来たとしよう。ディベロッパーの仕事は、おおむねこの辺から始まると思われる。もしゲームデザイナーがこの時点で「完璧な」仕事をしていれば、ディベロッパーの仕事は何もない…かもしれない。けど、普通はどう考えてもそうならない。
 
 デザイナーにしてみれば、自分なりに完成度は高めたつもりだろう。それは大いに認める。しかし、デザイナーには「これでうまくいくはずだ」って固定観念がある。それゆえ、どーしても穴を見つけにくい。極端な状況だと矛盾が生じたり、想定しない結果が生じたりするものだ。それを指摘するのがディベロッパーの仕事…とは限らない。これらは、テストプレイヤーやルールライターが指摘する問題と言えるからだ。
 
 仮に矛盾や極端すぎる事態が生じなかったとしても、「なんかイマイチ…」って評価になってしまう場合もある。結論がミエミエで作戦立案の余地が少ないとか、題材となった戦いの雰囲気が感じられないとか。逆にデザイナーが「作戦立案の大切さを強調しよう」「戦いの雰囲気を出そう」として加えたルールが、余計な手間を増やすだけに終わっている場合もあるだろう。そうした点を修正するのが…これまた、テストプレイヤーが指摘して、デザイナーが直接直して何が悪い?
 
 ゲームをデザインする段階では、物理的制約(マップの広さやユニットの数など)は、あまり大きな問題にはならない。プレイしている段階でも、これは問題になるとは限らない。まあ、極端なモノを出してくれば話は別だけど。ただ、実際ゲームを出版して売る側にしてみれば、この手の制約は死活問題だ。そのため、ゲームの善し悪しとはまた別に、いかにしてコンポーネントの制約に収めるのか、キチンと考える必要がある。これは…本質的にはコンポーネントデザイナーの問題じゃないのか?コンポーネントデザイナーって立場だと、エリアの数や(マーカー類を除く)ユニットの数にまで、注文はできないかもしれないけど…
 
 こうして見てゆくと、「ディベロッパーの仕事」なるモノは、案外不明確である。まあ、私が指摘しきれなかった要素もあるんだろうけど。でも、実際問題としてディベロッパーの仕事とは?テストプレイヤーやルールライター(ルールチェッカー)とドコが違うの?
 
 あくまで私が思うにだけど、現在ディベロッパーって呼ばれているモノは、「デザイナーが作ったモノを、プレイヤーに届ける間に行う作業全てを担当する集団」全体を指している気がする。つまり、テストプレイヤー・ルールチェッカー・コンポーネントデザイナー・果ては印刷関連業務担当者(印刷所とか校正担当とか)などをゴチャマゼにした総体こそが「ディベロッパー」なる用語の正体であって、より細かく「どんな権限を持っているのか、持たせるべきなのか」「デザイナーの意図とプレイヤーの要求をどう両立させるのか、対立する場合ドッチを優先するのか」ってな部分を語ろうとすると、定義が曖昧な分、話の食い違いが出てくるんじゃないかなあ。
 
 私はドチラかといえば、現在ディベロッパーの作業だと思われている、「ルールチェック」という分野に関心が深い。デザイナーだかディベロッパーだか知らないけど、とにかく誰かが「こういうルールのゲームにしよう」と決めたモノと、ルールブックを読んだゲーマーが「こういうルールなんだ」と理解するモノの間に差異があるのは、正直よろしくない。そのために必要な技術・技法というのは、本質的なゲームデザイン論とは全く別の話だろう。にもかかわらず、この部分のおかげで評判を落としたゲームは山ほどある。だから、ルールチェックをデザイン・ディベロップから切り離して論じようではないか…ってのが、私の主張だ。もっとも、現状ゲームメーカー各社は、専用のルールチェッカーを抱えるなんて贅沢が許されていない。そのため、フツーはディベロッパーと呼ばれている人間か、あるいはルールライター(ルールの清書担当)などがこれを兼ねる。
 
 GJの対談を読むと、この「ルールチェッカー」の存在がディベロッパーに含まれているのかどうかは、発言者ごとに微妙に異なるような。ルールチェッカーって、当然のことながら「ルールを付け足したり、削ったり」するよう要求してくる。「混乱時に強行軍できるんですか?」「最初から移動不能のユニットは塹壕掘れないけど、それでいいんですね?」「戦闘比修正とダイス目修正、結局効果は同じだから統一していいですか?」といったコトをチェックするのが仕事だし。デザイナーだかディベロッパーだかが作ったルール原案に目を通すだけじゃなく、テストプレイ段階で「あれ?」って点が出たかどうか、報告を受ける必要もあるだろう。その意味ではディベロップ作業の一貫ではあるんだろうけど、ゲームの内容面には何ら責任を負っていない。それを考えるのはルールチェッカーの仕事じゃないからだ。
 
 この「ルールチェッカー」は、理想論を言えば「いなくてもやっていける」はずだけど、現実問題としては必要だろう。日本語は「わかっていることを前提とした省略」が多めで、デザイナーは「わかっている」はずだから、どうしても「ルール読んだだけじゃわかりません」って事態が多くなる。そこを是正するためには、デザイナーとは異なる立場でルールを見る人間が欲しいからね。ただ、このルールチェッカーの仕事は、言ってみれば「ゲームルール専門の校正担当者」だ。よって、印刷関連(印刷社とか)の業務と同様、「より狭い意味でのディベロッパー」には含まれないと考えることもできる。
 
 もっと混乱が大きいのは、テストプレイヤーとディベロッパーの違いだ。一口にテストプレイヤーと言っても、様々な立場が考えられる。まだゲームがキチンとした形になっていない段階から「頭で考えたシステムが機能するか」テストに付き合うとか、ほとんど完成した段階で、細部(マーカーの数量が適切かどうかなど)をチェックするために参加するとか。当然、テストしてもらえば色々雑多な意見が出る。それらを取りまとめ、「こういう意見が多いので、こうしてはどうか」という提案をする人というのは、テストプレイヤーなのかディベロッパーなのか?この位置づけが曖昧だ。
 
 そりゃあね、日本ゲーム界の現状を考えれば、この「テストプレイヤー総括」でさえ、デザイナーが担当するコトが多いかもしれない。この立場を独立させることに成功すれば、最低でもデザイナーの負荷がかなり低減するはずだ。さらに、テストプレイヤーの仕事の1つに「今テストしているゲームに駄目出しをする」って作業がある(肯定しかしないんだったら、テストしている意味が薄い)関係上、その総括にはより冷徹な目でゲームを眺められる人間の方がふさわしいでしょ。それを認めるとして、この「テストプレイヤー総括」とディベロッパーって、ドコがどう違うんでしょーか?
 
 この2つに違いを見つけるとしたら、こうなるだろう。テストプレイヤーってのは、原則として「問題点を発見したら、それを報告する」のが仕事である。解決案を提示することもこれに含めていいかもしれない。しかし、逆に言えば「問題点が明確に見えない限り、あまり役に立たない」存在だとも言える。「どうもパッとしない」「なんか、別の時代の戦いみたい」といった曖昧な意見が寄せられるかもしれないが、「何故どうしてそうなってしまったのか、ドコを直せばいいのか」を報告するのは、ごく簡単なテストだけじゃ難しい。たまたまそうなっただけかもしれないし、本質的な問題なのかもつかみにくい。
 
 テストプレイヤー総括というのは、「自身だけでなく他のプレイヤーにテストを依頼し、その意見を吸い上げてまとめ、改善提案を添える」ことが仕事となる。よって、「明確な問題点があるならばそれを指摘し、その改善提案を述べる」までは義務だとしても、より曖昧な意見については、報告以上の義務があるのかどうか疑問である。ソコを何とかしようと思ったら、より上の立場、つまりディベロッパーやデザイナーに判断を仰ぐか、あるいはテストプレイヤー総括にディベロッパーとしての権限を与えるしかない、と思う。
 
 つまりだ。ものすごーく狭い意味においてディベロッパーとは、「デザイナーではないけれど、そのゲームの根幹部分に対し、ある程度変更する権限を持っている人」となる。ただ問題は、そういう人物がデザイナーやテストプレイヤー総括から独立して存在する意味はあるのか、無いのか、ルールの根幹部分に変更を加える場合、その判断根拠を何に求めるか…を論じていこうと思ったら、話がややこしくなる。そもそも、共同デザイナーでもテストプレイヤー総括でもない純ディベロッパーとは、より具体的には何する人なの?って部分からしてよくわかってない(そもそも、日本ゲーム界に存在したことあるのか?)気がする。
 
 GJの対談記事を読んで一番「勉強になった」のは、この点かな。確かに、今現在の日本ゲーム界において、ゲームデザイナーとプレイヤーの間に入る存在(広い意味でのディベロッパー)が弱い気はする。それを嘆き、強化の必要性を訴える。これも間違ってはいない。しかし、それは必ずしも「純ディベロッパー」(狭い意味でのディベロッパー)だけの問題とは限らない。テストプレイヤー総括やルールチェッカーの問題も含まれるはずだ。それらを混同するのは、良くないと思う。でも、現状では「それらが具体的にどう違うのか」すらよくわかってなさそうだ。まさに「無知の知」だね。それを明白にしたという意味で、今回の対談記事は意義が大きい(皮肉でも何でもなく)気がする。
 
 ゲーム界の現状を考えれば、ディベロッパー論なんて「無い物ねだり」「現実とかけ離れた理想論」になってしまうのかもしれない。でも、それを承知で論じていかない限り、いつまで経っても「いいデザイナーはいても、いいディベロッパーはいないんだよな」って状態が続くような気はするね。これをお読みの皆様も、「ディベロッパーって、具体的にどんな作業をする人なの?」という、そもそも論を考察してみてはいかが。