8月29日2015/08/30 02:54

 すげー色々あった。正直思い出したくない。よって、延び延びになっていたコミケ回顧。いやまあ、コミケだってある意味「思い出したくないコト」ではあるんだけど(苦笑)。
 
 今回のカタログ表紙は新谷かおる先生の「エリア88」モノ。冊子版がシンでロム版がミッキー。渋いねえ。いいねえ。私と似た年代のヲタクはみんな感動してた。非ヲタクの競馬仲間の某氏(年代は私と似てる)に「コレは理解できるでしょ」と言って冊子版の表紙見せたら、爆笑して作中の名言引用したくらいだ。「真昼になると、ビッグサイトの向こうは陽炎で何も見えなくなる…コミケ88、灼熱の戦場」う~ん、イイネ!
 
 …しかしまあ、実際戦っている私にしてみれば、シャレになってねえ。特に私の場合、「フル装備」(サークルチケット3日分)与えられているからなあ。基本的には「それが妥当」って戦場に叩き込まれる。流石にシンほどの腕(コミケのトップエースはホンモノだ)・ミッキーほどの装備(ミッキーが装備だけとは言わないけど、当時のトムキャットは強い)があるわけじゃないけど、クフィル支給組の末席ぐらいには相当するかも。でもって、ウルフパックと戦ってこいと言われるわけだ。おまけに、買い子は戦利品を届けるまでが仕事なので、戦場で倒れるなどという贅沢は許されない。更に、カネがありゃ入手できるってモノが対象じゃないので、貯めたカネ払ってアバヨってわけにもいかない。そーゆーものなのだ。
 
 過酷さを象徴するエピソードを1つ。知人がコミケ参加者向け格言付きの日めくりカレンダー入手し、そこに「外周を回るか、島中に突っ込むか、それが決断だ」みたいな格言を見て笑っていたんだけど、私に言わせれば「コミケ会場に決断などいらない」となる。決断が必要なのは、せいぜいカタログ発売直後。前日までは「情報収集と経験を元とした、緻密な計算」により回る予定が作られ、当日は「体調と列の進み具合を考慮した、瞬間的な状況判断」により修正をしてゆくだけ。空戦の最中に決断もクソもなく、あるのは瞬間的な判断のみ、ってのと同じである!本格的に「ヤバい」と感じた時にはもう遅い。ブッ倒れるか、目的のモノが完売しまくるか、どちらかだ。
 
 1日目。今回は私のお目当てのジャンルがこの日に集中し、サークル周りが忙しい。今回の「オーダー」が軽めだったこともあり、サークル周りを優先した計画を立てる。とはいえ、やはりオープニングは企業から。ココでアドバンテージを活かしておかないと、後々ヒドい目に遭うからね。狙いはまんがタイムきらら…だったんだけど、私が混成の待機列に並んだ後に専用列が出来たらしい。コレは混乱の予感…と警戒していたトコロ、どうも「先に並んでいたのはコチラなのに、専用列のケツに回されるかも」って移動を強いられたので、無理をせずに離脱した。多分専用待機列の前の方に回してもらえたと思うけど、確証がない。普通ならそれでも並んだと思うけど、この日はサークル優先モード。私は2日目もアドバンテージがある。ならば、並ぶのは今じゃない、2日目だ…という判断だ。コレが正しかったかどうかはあまり問題じゃない。大切なのはベストを選択することではなく、ワーストを避けることだから。
 
 この日のサークル周りは過酷だった。久々に計算が破綻しかけたくらいだ。サークル数も問題だったけど、「西にある企業を終えたら東に向かい、ソコでかなりの数のサークルを回った後で西に向かう」ってスケジュールを立てたのが…西にあった「ゲーム(電源不要)」は「混雑しないくせに完売が早い」ジャンルであり、普通はサッサと片付けて他に行く。けど、今回はソレだと計算が成り立たなかった。東西連絡通路が本格的に混雑する前に東へ移動をしておかないと、どーしよーもない…という計算がありまして。ついでに言うと今回、「無茶苦茶アシの早い電源不要ゲーム」は無い、というヨミもあった。冬だとそーゆーモノが存在する可能性が高い(野球SLGのデータカード)ので、違った決断をしたんじゃないかな。とはいえ、そこは初日。まだ体力に余裕がある。「想定外」も多少あった(私の計画では、無い方がオカシイ)けど、おおむね予定をこなして終了。
 
 2日目。実は用のあるサークルがほぼ無い。よって企業に専念できる。だからって思うようにブツを入手できるとは限らないのがコミケだけどな。案の定「完売」の嵐…計算の修正が遅かった。本来ならば初日に潰していたはずのまんがタイムきららをこの日に攻略したので、他に並ぶ時間が後ろにズレていた。これを計算に入れるのが遅かった。カンベンしてくれ。ただまあ、「今まで注文がなかったので実態を知らなかった」企業をいくつか体感できたのは(私個人としては)収穫ではある。コミケ参加歴も長いクセに、完売直前まで警報出さないというドアホウやらかすトコロとは知らなかったよ、ぱ○っとさんよお。やっぱり、実際並んでみなきゃわからんことは多い。
 
 3日目。私の中ではコミケ史上に残る敗北を喰らった。「A88」に配置された、新谷かおる先生のサークル攻略に失敗したのだ。いやね、ココは初手に組み込む必要は無い…って判断が間違っていたと言えばそれまで。ただ、初手に形成された列の長さはおおむね想定通りであり、これなら…と思っていた。しかし、列の消化速度が滅茶苦茶遅い。あり得ないほど遅い。「いかん、ここで死ぬわけにはいかない!」ってんで逃げ出した。「行くんならついでにオレの分も」という注文を出した上司に「行って死んでこい言うのならば当然行きます。けれど、私個人だけなら他を優先します」と報告し、指令が撤回された。なにしろ終了直前に偵察に行ってもなお長蛇の列があったくらい。普通外周の「行列が出来るようなサークル」は平均分速6~15人の消化が可能、って計算をするんだけど、聞いた所によると「1人平均2分ぐらい」って速度だったとか。そりゃあキツい。
 
 ちなみに、私のような「チケット組」は「そのアドバンテージ活かして買いまくり」と思っている人も多いと思う。実態はそうでもない。出足が肝心なのは事実だけど、ソレが活かせるのは1~5サークル程度。「完売を気にする必要がない」って部分が大きいのであって、量だけで考えたらソコまで差はない。量をこなすのはむしろ「完売が出始めてから」だ。グッズ系、抱き枕カバーやタペストリーが完売した後、何もかも売り尽くす前、というタイミングが狙い目である。私個人&私の上司は共に「抱き枕とタペはいらん」って主義なので、このタイミングを狙うことが多い。これは完全完売に遭遇する可能性も高い「冒険」だけど、ソコは割り切る。更に私の場合、「数週間後に大阪で」という裏技も使うし。この辺を考慮しつつ、緻密な計算が組み立ててあるのだ。それが買い子。
 
 今回は「コミケ40周年史」なる冊子も袖手した。本当は春のスペシャルで出ている予定だったんだけど、延期されていたモノだ。私の参加歴は30年弱だけど、まあ何と言うか…思い出したくないコトいっぱい思い出しましたね(苦笑)。コミケ雲が出た一昨年でさえ「まだマシ」だった晴海の暑さとか、発火事件とか、脅迫状とか。そんな時だけに、3日目に流れた迷子放送は少しだけビビった。香港から来た15歳と本土(上海だったかな?)から来た12歳(共に女子)が迷子になったってんで、日本語と広東語で迷子放送してた。広東語の迷子放送に対応できるってのがコミケだなあ…って感想とは別に、「出てきてくれよな…」って気持ちが普段より強かったかな。昔ヲタクが露骨に排除されるような事件があってだねえ。それを思い出しちゃっただけに、「幼女誘拐」に怯えたんだな。関西で痛ましい事件が発覚したように、そーゆー事件をゼロにすることは難しい。ソレは理屈としてはわかる。わかるけれど、コミケ会場でだけは止めてくれ。そーゆー気持ちがあるから、「見つかった」って放送があるたびに拍手が起きるんだな。反省会情報によれば共に見つかったとのことで、ほっと一安心。
 
 コミケに「お客様」はいない。いるのは参加者だけ。コレがコミケの基本理念である。同人誌即売会に参加する奴は大抵コミケにも参加しているので、ヲタクの集まる場所はこの理念が適用されていると考えて良い。正直、そーゆー場所は安心する。聞いた話ではコミケ2日目と同じ日に秋葉原で「刀剣乱舞」関連の限定グッズが発売され、その列が御茶ノ水の駅を越えるほどに伸びた(一説によれば東京ドーム近くに達したとか)ようなのだけど、大きなニュースになるほど巨大な迷惑を掛けたわけではないようだ。どんだけ統率取れているんだか。この理念、世間一般でも適用してくれないかねえ。「東京五輪に観客は居ない、いるのは一般参加者と競技参加者」とか(笑)。
 
 私にとって夏のコミケは、冬と比べればまだ余裕がある。暑さには比較的強い(逆に寒さに弱い)し、カレンダーがないし。次は冬だ。狂乱の冬だ。またもや苦しい戦いが予想されるけど、切り抜けないとね。はあ、色々アタマが痛い…