10月3日 ― 2006/10/04 00:48
もう1つ競馬ネタ。スプリンターズSを勝った、豪州のテイクオーバーターゲットの「お値段」について。すげー面白いので、競馬詳しくない人にもチャンと紹介しておかないとね。ディープインパクトネタに埋もれさせてしまうのは、正直もったいない。
この馬の何がスゴいって、お値段である。何とビックリ、11万円。安いなんてものじゃない。常識を超越しまくっている。そんな馬が日本のGI勝つんだからねえ…
競馬に詳しくない人には、これがどれぐらいトンデモネー数字かわかってもらえないでしょ。つーわけで、いい加減な数字を出してみる。今も現役の「道営の星」コスモバルクは400万だとか。これが「バーゲン価格」なんである。1千万以下だとほぼ間違いなく「安い馬」と呼ばれ、3~5千万ぐらいが「水準値」かな?もちろん、高い馬は億を超える。3億とか4億って馬もいる。世界レベルだと10億オーバーもいる。そんな中での11万円。スゴイでしょ。
庶民感覚にわかりやすくたとえるなら、一軒家か分譲マンションが11万円。新車にたとえると、1万円ぐらいかな。パソコンだと500円ぐらい?高い安いを論じる以前のレベルだってのがわかってもらえると思う。
こんな馬が、いくら稼いだか?スプリンターズSだけで9600万円。その他諸々含めると、何と3億突破。暮れに香港でも勝てば、賞金に加えて100万$のボーナスもらえる。なんつーか…馬券買ってるのが馬鹿馬鹿しくなるほどの大儲けだ。
そりゃあね、馬の値段ってのは「不透明」な部分も多い。「その値段じゃ売れない!」ってんで、牧場が自分で走らす例もあるわけで。それでも、安いにもホドってものがあるでしょ。日本の物価じゃ、種付け料(ごく一部の例外を除いて、それなりにする)すらロクに出ない。ここ10年に限定すれば、中央競馬では一般レース含めて「出走した馬」の最低金額じゃなかろーか。地方でもここまで安い馬いるかぁ?
馬主も馬主である。調教師も兼ねていて、普段はタクシーの運ちゃんだとか。しかも、「本業はタクシー運転手」とかぬかしてやがった。多分冗談だろうけど、馬の値段聞くと冗談には聞こえないんですけど…さらに、働くスタッフは家族だけ。地道なんだかバブリーなんだか、よくわからん。
こういう話を聞くと、「世界は広いなあ」って思いますね。日本じゃ考えられない…どころか、想像を絶するレベル。こんな馬・こんな馬主が存在するってだけで、「競馬文化」ってものの奥深さが感じられる。コレに比べれば、日本や香港の競馬文化は薄っぺらいと言われても仕方ないでしょ。
それどころか、最近流行の「勝ち組・負け組」って言葉さえ、すさまじく薄っぺらく感じる。「タクシーの運ちゃんやりながら11万円の馬を管理して、ビッグレース勝って大儲けする日を夢見てる」オッチャンは、どっちに分類されるんですか?ドコをどう考えても勝ち組とは違う気がするし、かといって負け組とも思えない。私でさえ「そんな生活は…」とか思うけど、他人がとやかくいう問題じゃないだろ。
それでも、日本や香港の競馬が「悪い、駄目」ってワケではない。その辺についてはクドクド語る必要を感じない。けど、「日本の競馬文化ってどうなんだ」ってことを考える必要はあるんじゃないかな。馬産がないし規模も小さいのに、世界に通用する馬がいる香港。下はテイクオーバーターゲットのような馬すら存在する豪州…それらと日本を比較してみるのは、いいことだと思うんだけど。
競馬場には、色んな人間がいる。王侯貴族に成金金持ち、ピクニック気分の家族連れに一攫千金を夢見るギャンブル中毒…それでも、自分が選んだ馬に大切な何かを乗せ、「勝ってくれ」って祈る気持ちはみんな同じだろう。そこには勝ち組も負け組もない。それが競馬の素晴らしさだと思うな。
しかしだなあ。今回、日本馬がだらしなかったのは事実。地元の利があるってのに。おまけに11万の馬に負けるとは…さすがに見逃せないコトじゃないかな。だらしないぞ!ディープインパクトがどうこう以前に、やるべきコトがあるだろが!
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