4月10日2008/04/10 23:53

 本日は、あえて試験的に「18歳未満は読まないで」とする。いやまあ、エロでもグロでもないんだけど、18歳未満には読ませたくないので。つーわけで、18歳未満の読者はこの先読まないように。できればだけど。
 
 何故18禁?そりゃまあ、「子供のいない大人の立場から見た、青少年ネット規制法案について」ってネタだからね。「精神年齢ガキと変わらないのに、成人として各種権利を享受してる奴」が語ることを青少年に読ませるのは、害悪が多いと判断しました。
 
 あえて結論から語れば、私はこの「青少年ネット規制法案」にさほど反対ではない。理由は単純、「トカゲの尻尾切り」だ。有害サイトは即刻叩き潰すべし!なんて結論出されるくらいなら、青少年からのアクセスを禁じて世間の非難を躱し、生き残った方がマシだから。下手に「18禁情報」にアクセスしようとする青少年を擁護しようとして潰されるくらいなら、コッチの方が遙かにマシである。冷酷非情な、「汚い」論理だねえ。
 
 ただ…これは、ある程度は青少年のためにもなる。この規制を受け入れれば、確かに青少年は今のように「求める」情報にアクセスできなくなるのは確か。しかし、青少年はいずれ18歳以上になる。問題は「その時」何にアクセスできるのか。規制を受け入れたならば、現在「18禁」とされているサイトにアクセスすることが可能になる。しかし、受け入れないと「そもそもそーゆサイトが駆逐されている」かもしれないのだ。数年我慢するのと、ず~っと我慢するのは、ドッチがマシかな?
 
 実際問題としては、ネットを「清く正しく美しく」するのは不可能だろう。よって、「有害サイト叩き潰し?できるもんならやってみろ」って突っ張る道もあるのは確か。けど、これは事実上「アングラ化」することを意味する。そりゃあ私は「好きなものを楽しむため、必要ならばアングラ化も辞さず」って覚悟を(一応)持ってはいる。けど、正直できれば避けてもらいたい。暗黒社会で生きてゆくのは大変だもの。私ごときヘタレにとっては、ホントに「最後の手段」にしたいからねえ。
 
 そもそも論を言えば、私はこういう「情報規制」には反対の立場である。国という「小回りが利かず、そのくせパワーだけはデカい」組織がこの手の規制に乗り出してくると、結局ロクなことにならん。でも、この考えはイコール「18禁情報を18歳未満にタレ流してOK」ってコトである。私は「原理原則論で語るなら、そうすべき」だと思っているけど、これが一般社会に通用する理屈だとはカケラも思ってない。
 
 私の哲学に忠実であろうとするのなら、ここは「18歳未満だからって情報規制は良くない!」と拳を振り上げるべきである。社会的に成人とされてる自分にはほとんど関係がないけど。しかし、世間とやらに逆らってアングラ化を余儀なくされ、警察権力やヤ○ザに怯えつつネットにアクセスする…って状態を強いられるぐらいなら、遠慮無く青少年は斬り捨てる。私はね。軽蔑に値する決断と蔑んでもらって結構。もっとも、さすがに「ソレが当然だよ、マトモなんだね」などとは言われたくないけどね。
 
 私がこの手の「18歳未満を見捨てる決断」をしたのは、何もコレが最初じゃない。忘れもしない90年代初頭、コミケが幕張メッセを追い出された後、「修正とゾーニングの徹底」を導入して生き残りを画策した時、この方針に反対した覚えはない。かなり形式的な話にはなるけど、私が生息する環境を維持するため、「修正とゾーニング」って方針を受け入れたのだ。なお、「形式的な話」である理由は、当時私が主催となってエロ同人誌を作っていた事実はないから。直接私には関係ない話だった…と言っていいかもね。
 
 人間とは利己的な存在であり、私は特にそうだ。よって、私以外の誰かが「ネット上で何を見てどう影響され、何をやらかそうが」知ったことではない、って気持ちは強い。しかし、そう言えない関係が存在するってコトは認めざるを得ない。言うまでもなく、親子関係が代表だ。親が子供に対し「何を見てどう影響されて、何をやらかそうが子供の自由で、オレは関係ない」とは言えないでしょ。
 
 本来ならば、子供のネットアクセスに関しては、親が管理下に置くべきである。この場合の管理とは、「ドコにアクセスするのか、全部親が決める」という「強い管理」である必要はない。単純に言って、「親が責任取れる範囲」でありさえすればいい。理屈から言えば、「子供がどんなサイトにアクセスしようとも、責任は取ってやる」って覚悟があるのなら、子供がどんなサイトにアクセスしようと問題はないことになる。そんなスーパーな親がいると思えないけど。
 
 そうやって考えてゆくと、青少年のネット規制は「青少年がネットにアクセスする権利を制限する」のが悪いってトコロが問題なのではない。それを持ち出せば、「ココは有害だからアクセスしちゃ駄目」と申しつける親の決定さえも「権利の不当な制限」になってしまう。「親だから」って抗弁が通るのなら、「国だから」も立派な抗弁になりうる。
 
 つまりだ。「青少年ネット規制」の正体は「親の責任逃れ」である。子供に「有害な」サイトにアクセスして欲しくない。でも、具体的にドコが「有害」なのかわからない。たとえ有害なサイトの見分けが付いたとしても、子供に「何でアクセスしちゃ駄目なの!」と言われて、有効な反論を思いつけない(仮に思いついても、出来ない)…そーゆー親に「コレがアクセスさせちゃ駄目なサイトだ」って教え、アクセスしちゃイケナイ理由として「法律違反だ」って口実を設けるのための「規制」である。私の見解を率直に述べると、こうなる。
 
 もっともだ。この規制の正体がコレだったとしても、「親がシッカリすればいい」とは言いにくいのは確か。子育てに伴う責任ってのは、重たいからねえ。ある程度軽減してあげる方が、世のため人のためになる気がする。この規制により被害を受ける青少年だって、高い確率でいずれ親になるんだし。正直言って「うちの子に限って…」って見解は的外れもいいところだと思うけど、そう思いたくなる気持ちはわかる。誰だってそうでしょ。
 
 まあ、ここまで認めたとしても、今回の法案そのものへの賛成とは限らない。狙いは正しくても、やり方がマズい…なんて話は、山ほどあるわけで。私のように「この手の規制」に複雑な感情を抱くイデオロギーの持ち主だけでなく、純粋な「規制賛成派」であったとしても、「ネットの規制?即賛成」なんて態度を取るのは危険だ。少なくとも、そーゆ人は中国政府の「チベット独立運動押さえ込み」をけなす権利がない。それじゃあ対象こそ違うけど、やってることは同じだ。もっとも、私には「この法案が具体的にどうなのか」判断する能力はないけどね。せめて各方面からの分析を聞いてからでないと。
 
 ちなみに、ネット上の情報は参考になるけど、これだけに頼るのは危険である。現時点での「ネットの住人」なんて、ネット擁護意識が強すぎてネット規制についての見解は信用できないので。これは既存マスコミ(新聞・TVなどのこと)の「既存マスコミ規制」があまり信用できないのと理屈は同じ。もっとも、この議論が盛り上がって意見が一通り出揃うのを待っていたら、何年かかるかわかったものじゃないけど。
 
 今回のネット規制について、規制側も規制反対派も「青少年のため」どうこうって理屈を展開すると思われる。それが「表」だとしたら、今回はあえて「その裏にあるモノ」を語ってみました。これが今回「18禁」にした理由である。こういう「ウラの事情」を直視するのは、色んな意味で青少年には有害でしょ。「俺達の権利なんて実は関係ないのか」などと傷つかれても困るし、「大人なんて汚い」などと憤慨されても困る。「世の中なんてそんなものよ」と割り切るには色々「足らない」から子供なんであって。ただ…我々大人は、こういう裏事情も直視する必要があるんでないかい?
 
 最後に、禁じたはずなのにこの部分を読んでいる18歳未満の奴に呼びかけを。そんな奴がいるとは思えないけど。私の権利を守るため、黙って迫害されて下さい。それがイヤなら、君自身が暴れて下さい。ココまで読めば、「大人が何とかしてくれる」なんてのは、タダの幻想だとわかるはず。君自身が何とかするしかない。もっとも、ただ単に暴れ回っただけじゃ、逆効果でしかないと思うけど。ではどうするのか?それは自分で考えな。それが、「世の中と戦う」ってこと。どうせ君にそんなことはできない。悔しいかね?だったら、せめてその悔しさは覚えておきたまえ。私のように「世の中に流され、楽な道を選ぶ」大人になりたくなければ。