10月26日2005/10/27 01:36

 競馬のことを語るの予定だったけど、明日移行に回す。だって千葉ロッテマリーンズ4連勝ですよ。虎が1つも返せないとは、予想してなかった…というわけで、オーソドックスにマリーンズネタを。
 
 今から10年前(もうそんなになるのか)、ロッテフロントはGMに広岡氏を招聘することにした。この時広岡氏が連れてきたのがバレンタイン監督。野球に詳しいフロントと外国人監督の組み合わせってのは、なんかやる気を感じさせたモノだ。
 
 その効果はいきなり現れた。この年マリーンズは2位と躍進。イチローが打ちまくったオリックスに優勝こそ譲ったけど、少なくとも「今までとは違うのでは」という雰囲気を漂わせた。
 
 ところが、広岡GMは、「監督がヘボだったから2位だった」と主張して強引に監督を交代。噂によると「満たせなかったらクビ」って条件を設けた契約で、コレを全てクリアしたのに、違約金払ってまでクビにしたとか。当時これに納得した奴はどれだけいたんだろう?私は当時「広岡もしょせん監督までの器」と吐き捨てたモノだ。この後、マリーンズは再び低迷期を迎えることになる。
 
 そんな中、バレンタイン監督はマリーンズに帰ってきた。これには正直少し驚いたものだ。だって、チームを浮上させておきながら、石ころで追われるような形で解任された人だよ?しかもプライド高いメジャー監督経験者。「あの時」が忘れられないマリーンズファンが待望論出してたって話は聞いたことあるけど、まさか本当に戻ってくるとは。
 
 復帰1年目の去年はその効果が出たとは言い難く、惜しかったとはいえ4位まで。しかし、今年はついに念願の日本一を成し遂げた。長いこと待たされたマリーンズファンはもとより、10年前の忘れ物を取り戻した監督の喜びはひとしおだったのでは。インタビューの場で涙ぐんでいたのも当然でしょ。
 
 私はここに「真の意味のハングリー精神とは」を見ることができると思う。考えてみて欲しい。バレンタイン監督ってのはメジャーでもそこそこ定評のある監督で、条件さえ合えばいつメジャー監督になっても不思議はない。そんな立場を考えれば、日本ごときで優勝なんて「しょせんローカルの話」で片付けられても何の不思議もない。
 
 しかし、ボビーは再び日本にやってきた。むろん「都落ち」って側面はあっただろう。でも、それが全てじゃないのは誰が見たってわかる。明らかに日本球界に対するリスペクトが感じられたからねえ。聞かれもしないうちから相手チームを褒めるって、相手けなさないのが美徳の日本人でもなかなか出来ないことだと思うぞ。
 
 日本人が考えるハングリー精神ってのは、「下のモノが上にはい上がる」時にのみ使われることが多い。でもって、ちょっと金持ちになると「失われる」ととらえる。実際そう考えたくなるような例は少なくない。けど、これは単に「ハングリーな金持ち」の恐ろしさを知らないからじゃないかと。
 
 ホンモノの金持ちってのは、カネより名誉、名誉より自己満足を求めるようだ。カネは「あるのが当然」だからね。だから、一度ムキになったら妥協ゼロである。我ら凡人が「何もそこまで」と言いたくなるようなことを、平然とやる。断固としてやる。日本じゃこーゆーのは「大人気ない」として嫌われるかもしれないけど、世界にそんな常識は通用しない。心底そう思う。
 
 わかりやすい例が、ジーコ日本代表監督じゃないかな。「日本をサッカーの一流国にする」なんて、日本人が言ったら妄想扱いされるでしょ。ジーコはJリーグ発足して来日した当初から、ずーっとこれを言い続けている。「自分が関わったモノ」が一流じゃないことに我慢が出来ないんでしょ。ドコをどう考えても道半ばだけど、この情熱だけは認めざるを得ないね。
 
 競馬の世界じゃ、ドバイの殿下が猛烈にハングリーである。欧州の大レースで常連になるのはわかる。けど、賞金安い上に勝っても名誉にならない南関東へ、ドコをどう考えても「元とれそうにない」馬を送り込んでくるってのはスゴいの一言。いくら将来への布石とはいえ、「ソコまでやるか」ってレベルである。
 
 バレンタイン監督も、この手のハングリー精神を持ち合わせていると思う。だからこそ再びマリーンズの監督を引き受けたのでは。その執念が実っての優勝・日本一。これは色んな意味で見習うべきコトだと思う。
 
 世の中気合いだけで何とかなるほど甘くはないけど、気合い抜きで何とかなるほど甘くもない。そして、すぐ諦めるのは論外だとしても、考えることを放棄して空虚にただ「成せば成る!」とだけ唱えるってのも、立派な「気合い不足」じゃないかな。本当の執念とは何なのか、バレンタイン監督に学ぶことは多いと思う。おめでとう、ボビー!