10月17日2005/10/18 00:32

 パリーグを征したのは、千葉ロッテマリーンズ。本当に紙一重の勝負を制した。野球を取り巻く環境が騒がしい昨今だけど、やはり基本はグラウンド上での面白さ。それを再確認させてくれたんじゃないかな。おめでとう。
 
 ここで素直に野球の話題じゃ面白くない。つーわけで、チーム名にちなんで米海兵隊の話題なんぞ。案外知られてないと思うので。なお、軍事なのでこの色の話題ってコトで。
 
 マスコミなんかも含めて誤解している人が多いけど、米海兵隊は米陸軍とは完全な別組織である。元々は海軍の1部だったんだけど、近年は独立してるようなモノ。まあ、旧日本の陸・海軍に比べればよほど連携が取れてるので、陸軍と行動を共にすることも多い。
 
 そもそも米海兵隊ってのは、「海軍の船に乗り込んで海外で戦うための集団」だった。米国ってのはある意味巨大な島国であり、陸軍ってのは北米大陸で戦うための組織だったというわけだ。各国の米大使館を警護するのは海兵隊が担当してるけど、これは「海兵隊が強いから」ではなく、そもそも海外ってのは海兵隊の仕事場だったから。歴史的理由ってやつだね。
 
 海兵隊が出来た当時、海戦ってのは「相手の船に乗り移って殴り合う」ってのが重要だった。海兵隊ってのはもともとそのための軍人だったわけだ。船に乗るのに慣れてるから、海の向こうに兵隊送り込むには便利だってんで「海の向こうでで戦う兵隊」扱いされたわけだ。私の記憶が正しければ、中国の義和団事変の時に戦わされたのも、第1次大戦の折に欧州に送り込まれたのも海兵隊である。
 
 とはいえ、いつまでも「海軍の船に殴り込み要員」って時代じゃない。第1次大戦の頃にはとっくの昔に陸軍も海外派兵する時代となっており、その存在意義は常に疑われてきた。正直、いつ消え去っても不思議はなかったと思うな。
 
 その流れが変わったのは、太平洋戦争からである。日本軍と戦うため、激戦に次ぐ激戦を繰り広げた。その後「核兵器の時代にこんな組織が必要か?」って疑問も出たんだけど、朝鮮戦争で仁川上陸作戦を華麗に成功させ、そんな疑問はどっかへ吹っ飛んでしまった。今じゃ派兵するのに便利な存在として、何かあるたびに先陣切って戦っている。
 
 海兵隊のお家芸は「敵前強襲上陸」である。第二次大戦の時は米陸軍もこれをやらされた(ノルマンジー上陸は米陸軍)けど、太平洋で戦った海兵隊は何度も何度もこれをやらされた。敵前強襲上陸ってのは猛烈に危険な作戦なので、損害に五月蠅い最近じゃ試みようともしない。けど、今でもそのための準備は怠ってない。もし米国が「損害を度外視しても大規模敵前上陸をやる!」と決意した場合、実行するのは海兵隊だろう。
 
 米海兵隊が「世界最強の軍隊」などと呼ばれるのは、根性が違うからである。海兵隊ってのは「敵前上陸をするための軍隊」だ。この時、当然逃げ場所なんてどこにもない。毎回文字通り背水の陣になる。当然、損害を度外視して前に進み、敵を倒さなければ明日がない。太平洋戦争から遠く隔たった今日でさえ、「海兵隊ってのはそんなものだ」って教育が行き届いている。もちろん根性だけじゃ勝てないけど、根性抜きじゃやっぱり勝てないからね。
 
 海兵隊が活躍するゲームとなると、太平洋戦争モノ…になるんだろうけど、私はイマイチ好みじゃない。「島を巡る戦い」になりがちなので、陸海空がセットになった複雑なゲームか、「作戦もへったくれもなく殴り合う」ものになりがちだから。それよりは朝鮮戦争モノの方がいいかな。豪快に南へ進んできた北朝鮮軍が、仁川上陸作戦でボロボロにされる姿はカタルシス感じるし。
 
 海兵隊は常に激戦に投じられ、「米軍の斬り込み隊長」として活躍することで己の存在意義をアピールしてきた。最近グラウンドの外がやかましい野球界だけど、やはり野球チームはグラウンド上で魅せるパフォーマンスこそが存在意義であって欲しいもの。マリーンズには、「やってけないチームがあるんやから、減らさにゃしゃーないんとちゃうか?」などとノー天気な発言をしてる某監督に、思いっきりパリーグの存在意義をぶつけて欲しいものだ(苦笑)。