10月2日2009/10/02 23:16

 オープニングは脱力系?から。まずはこのサイト(リンクあります)をお読み下さい。この色のネタについて行ける方なら、笑ってもらえるかと。これにインスパイアされた奴がバカゲー作ってくれると、私は嬉しい。
 
 本日の話題は、毎年恒例?のイグ・ノーベル賞ネタ。やはりこーゆーものは継続して取り上げたいからね。今年は日本人が受賞したので、報道が多めで嬉しい。
 
 まずは受賞した研究の紹介から。私の語学力その他では詳細まではわからない(後日どっかに出回ると思うけど)けどね。まず獣医学賞。「名前を付けた牛は、名前ナシの牛よりもたくさんの牛乳を出すと示したことについて」。名前って大切なんですね。呼びかけよう 名前を 素晴らしい 名前を(ゴダイゴ「ビューティフルネーム」より)
 
 平和賞。「ビールのいっぱい入った瓶と空の瓶のどちらが頭を叩き潰しやすいか、実験により示したことに対して」…ちなみに、「ドッチも危険」だそうな。「平和賞」ってのが気が利いたギャグのつもりなんだと思う。
 
 生物学賞。日本人を含む研究で、「ジャイアントパンダの排泄物から採取したバクテリアを用いると、台所の生ゴミは質量で90パーセント以上削減できることを示したことに対して」。多分、竹などという「消化の悪そうなモノ」食っている生物だから…って理由で探り当てたんだと思う。素晴らしい。
 
 医学賞。「60年以上にわたり毎日、左手の指関節を熱心に鳴らし続ける一方右手は鳴らさずにいたことにより、指の関節炎の原因を研究してきた功績に対して」…こーゆー研究は「結論が出るまでやたら時間がかかる」例があるけど、60年はスゴい。私はよくやってしまうんだけど、確か関節を鳴らすのは「あんまり体に良くないこと」だったような。ドクター中松の研究もそうだったけど、こういう「長年続けて意味が出る研究」を継続する根気には頭が下がります。
 
 経済学賞。「小さな国の小さな銀行が急激に巨大銀行へと膨張することができること、その逆もあることを実地に示したことに対して(また国民経済全体でも同じことができることを示したことに対して)」。アイスランドの銀行がボロ儲け狙って、リーマンショックとやらでデカい損失出した件についてですね。
 
 物理学賞。「妊婦はなぜひっくり返らないのか、分析的に解明したことに対して」。人間の歩行ってのがいかに複雑な運動なのかは、二足歩行ロボットだの、ボードシミュレーションゲーム「ナウシカ」だのが示してきたけれど(苦笑)、そこにまた1つ光を当てた研究ですね。こーゆー研究の行き着く果てが「ガ○ダム」なのかと思うと、色んな意味で頭痛が。
 
 化学賞。「テキーラからダイヤモンドを作り上げたことに対して」。これは補足説明が必要そうだ。この研究は、どうやら「ダイヤモンドの薄膜」を製造するための手法についてらしい。ダイヤモンドの性質を考えれば、工業的な利用価値は高いのでは。
 
 文学賞。「アイルランド国内で頻繁に交通違反を繰り返した乱暴なドライバーである『プラヴォ・ヤズディ』氏(Prawo Jazdy、ポーランド語で運転免許証)に対して50回以上違反切符を書き続けたことに対して」。これは日本でもニュースとして取り上げられたような。研究でも何でもないけど、笑えたことは事実。世界中の警察官にとっては、笑い事じゃないんだと思うけど。
 
 公衆衛生賞。「一対のガスマスクに素早く変形させることのできるブラジャー(ガスマスクの一つはブラジャーの使用者が使い、もう一つは傍観者に渡すことができる)を発明したことに対し」…何故ブラジャー。ただまあ、よく考えてみると「子供を連れた母親」が、親子両方の分を一気に確保できるのは重要かもしれない。お父さんの分はどうするのかは、小一時間ほど議論する余地がありそうだけど。
 
 数学賞。「1セントから100兆ジンバブエ・ドルまでの幅広い額面の銀行券を印刷させることによって、非常に大きな数字にも対応できるようになるための、簡単で毎日できるトレーニング法を国民に与えたことに対して」。アホみたいなインフレ引き起こした、ジンバブエ政府に対する皮肉ですね。
 
 こうして見ると、今年は経済関連の受賞が目立った。経済学賞と数学賞が両方とも「経済上の失態」関連だからね。こういう分野での受賞は以前からあったんだけど、一度に2つ受賞は珍しいと思う。賛否両論あるかも知れないけれど、この賞と言えども「世相」と無関係ではないってコトかも。
 
 今年も日本人が受賞した(これで3年連続)ことについては、素直に誇りに思っていいと思う。この賞の対象は「笑えるだけ」の研究じゃないことが多いので。今年受賞した研究なんてまさに「真面目かつ有益な研究なんだけど、出てきた結論だけ聞くと笑える」ものだからねえ。科学の世界で日本が果たしている役割などを考えれば、数多くの受賞者を出すことはむしろ「当然」でしょ。
 
 私の個人的なヒットは、やはり化学賞。人工ダイヤモンドなんて別に珍しくはないし、工業的利用価値を考えれば「様々な人工ダイヤモンドに関する研究」があってもおかしくはない。「シリコンの代わりにダイヤモンドを使った半導体」なんてものも研究されているようだし。それでも、「テキーラとダイヤモンド」という、安っぽいクライムノヴェルみたいな組み合わせは笑える。「テキーラをダイヤモンドに変える方法は2つ。1つは人工ダイヤの原料にする。もう1つはテキーラ飲み干して、度胸付けて宝石店を襲う」なんてアホな台詞を吐く悪役を想像してしまった。この研究がイグノーベル賞を受賞した記念として、「テキーラ買って応募券を送れば、ダイヤモンドが当たる」販促キャンペーンなんてやったらより笑えると思うんだけど、どっかやらないかね?
 
 「笑い」を通して科学的・社会的業績を世に知らしめる、というイグノーベル賞の理念は素晴らしい。少なくとも、私のツボをついた賞であることは間違いない。典型的な文系人間の私だけど、能力不足を承知の上でこの賞の素晴らしさは広めてゆきたいですね。

9月22日2009/09/23 00:38

 土日はMiddle-Earth東京支部例会。私は「D-DAY」(エポック/サンセット)をプレイし、英軍で2度も海に追い落とされた(苦笑)。いけませんねえ。修行不足じゃ!(これ関連のネタは後日)。
 
 本日の話題は、北朝鮮が文句付けてきたらしい「H-2B打ち上げ」について。あえて私も文句付けます。北とは別の意味で。あれは正直「どうかと思う」トコロがあったので。
 
 H-2B打ち上げは、かなりうまくいった。あれだけ大きなロケットを問題なく打ち上げるのはタイヘンであり、それを成功させたことは見事と賞賛して良い。北の文句は言いがかりに等しく、他に文句を付ける奴はいない…と考えるのが普通である。でも、私はあえて文句を言う。アレは別のトコロがマズいと。
 
 何がマズいのかって?あくまで「私が思うに」だけど、アレは立派な「大バクチ」だから。日本のロケット打ち上げ技術をもってしても、あれは「かなり危険な行為であり、失敗する可能性は低くなかった」から。成功する自身があったとしても、「最初の打ち上げ」に結構大事な荷物を選択したのは、やはり「褒められたことじゃない」と思うんだな。
 
 何故大事な荷物を打ち上げたのか?これは…推測だけど、「試験打ち上げをケチった」からじゃないかなあ。こーゆーことケチるのは、どうかと思う。成功したからいいようなものの、あれで失敗していたらタイヘンなことになっていたからなあ。こーゆー部分に余裕を持たせないのは、日本人の悪い癖だと思うんですけどね。
 
 あと、焦りもあったかも知れない。半島の連中(南北共に)がロケット打ち上げに興味を示しているのは間違いない。北はICBMと区別が付かず、南も打ち上げ失敗したのは事実だけど、放置しておけばいずれ「衛星打ち上げビジネス」に参加してくる可能性がある。そうなった時、日本のロケットは「コスト高いのに、米・露・中(有人打ち上げ成功国)ほど信用できない」ってんで後れを取りかねないからなあ。それに匹敵する「デカいアピール」がやりたくなったのかも。そーやって焦って結果求めに行くのは、良くないと思うんだけどね。
 
 成功したんだから…ってのは、言い訳にならない。確かに、技術面だけ見れば「偉業」であり、賞賛に値する。でも、それに奢って似たようなコト繰り返していれば、いつか痛い目に遭う。日露戦争に勝ち、「大国相手でも戦争できる、勝てる」と勘違いし、米国にケンカ売った結果はどうなった?成功は成功、だけどバクチはバクチだ。結果良ければ全て良し…で片付けるのは、良くないと思うんですけど。
 
 だいたいだなあ。ここで何度か叩いているスペースシャトルだって、最初の打ち上げの際には「素晴らしい」「新時代の到来だ」と賞賛されたのだ。実際、そう評価するに値する「偉業」ではあった。でも、最終的には「技術的に冒険しまくった」ツケを山ほど支払わされたわけだ。同じ道を日本がたどらないって保証はない。
 
 今回打ち上げたのは、宇宙ステーション「ISS」用の貨物。言ってみれば「一般貨物の輸送」だ。こーゆー「仕事」に、派手なコトやらかす必要はあるのか?一般常識で考えて、「F1ドライバー並みの技術を必要とする」貨物輸送計画ってのは「どうかと思う」のでは。派手な技術アピールなどいらない、地道で堅実に運んでくれるのが一番ではないかと。
 
 ついでに言えば、「あれだけ大きなロケットなら、有人打ち上げも…」という声が出ているのは、どうかと思う。確かにあの大きさのロケットなら、有人打ち上げも可能だと思われる。そーゆー夢を持つのが悪いとは言わない。けど、本当に有人打ち上げをやるつもりなら、より慎重にならないと「危ない」気がする。失敗の度合いによっては、「こんな杜撰なシロモノに人間詰め込んだのか!」ってんで評判落とすことになる。少なくとも私は「日本の有人打ち上げ計画」なるものは聞いたことがない。H-2B打ち上げが成功したから…なんて泥縄式の計画を立てるのはどうかと思うぞ。冒険が許された「宇宙開発黎明期」と一緒にしてもらっちゃ困る。
 
 なお…「H-2Bによる有人打ち上げ」は、チャレンジする価値があるとは思う。思うけど、「今度はより慎重にやってくれるのなら」って条件付きかな。ロシアが未だにソユーズなどという「骨董品」使っているのは何故だと思っているのやら。なんか誤解している奴が多いけど、技術面では「アレを超える」ロケットをロシアは開発済みである。単に「それに置き換えて得られるモノ」より、「使い慣れたモノを使い続けて得られるモノ」がデカいと判断しているので、未だに使い続けているだけだ。ドコをどう考えたって「宇宙開発技術の総合力では、世界第2位」のロシアにしてコレなのだ。H-2シリーズ全体として考えてすら、「まだ不安を払拭したとは言い難い」って事実を忘れちゃいけませんね。
 
 H-2B打ち上げ成功は、大いなる技術的飛躍だと思う。これ自体は悪いコトではない。けど、宇宙開発において重要なのは、実は「大いなる技術的飛躍」よりも「段階的な積み重ね」ではないかと。理由は知らないけれど、今回日本は「やった方が良い試験打ち上げ」をすっ飛ばし、技術的飛躍に手を出した。成功したおかげでうやむやにされているけれど、これは疑問だと思うな。ついでに言えば、成功したからって浮かれ気味のマスコミも。
 
 H-2B打ち上げには成功し、韓国のロケット(KLSV)は失敗。これにより、しばらくは「衛星打ち上げビジネス」は安泰だと思われる。ただ…韓国の失敗は「産みの苦しみ」として納得できる範囲であり、日本の成功は「不必要と思われるバクチ」の産物だって気がすることも確か。これが長い目で見てどうなるのか、予断は許さないって気がするな。
 
 しかしだねえ。北も「こーゆー建設的批判」込めて日本に忠告するのならともかく、「軍事利用の道を切り開いた」などと批判するのは…言いたいコトはわかるけど、ヒガミ根性がミエミエだな。大人しく黙っていればいいものを、言わずにいられないってトコロがアノ国らしい。もっとも、打ち上げに浮かれている人間にとっては、私も北も「似たような存在」なんだろうな(苦笑)。

9月17日2009/09/17 23:39

 更新が滞っています。まあ、色々あるんですよ私にも。イケナイことだとはわかっているので、何とかしたいんですけどねえ…
 
 本日の話題は、「ふと疑問に思ったこと」を紹介しようかと。基本的には「何でかね?」で終わりなので、それ以外は蛇足同然。そーゆーモノを付けずにいられないのが私ってコトで、ご容赦願えればと。そんなわけで、「夜に営業だけしていればいい店が、昼も営業しているのは何故か?」を考えてみたい。
 
 夜にだけ営業していればいいはずの店と言えば、代表はカラオケボックスではないかと。居酒屋はまだ「ランチ営業」が見込める。地域によるんだろうけどね。マンガ喫茶は「安上がりに1晩過ごす場所」ではあるけれど、昼の利用客も結構多い。でも、カラオケボックスは…多分、昼の利用は相当少ない。
 
 それを象徴するのが、「平日昼の料金」だ。アホみたいに安い。アレで成り立つのか…と思うくらい。ただ、単純に「経費削減」だけ考えたら閉店した方がどう考えてもプラスなので、料金収入以外も含めて「何らかの理由で成り立っている」のは間違いない。その理由って何なの?
 
 私はカラオケボックスの経営に詳しいワケではない…どころか、経営そのものに詳しくない。よって、これから先は単なる推測。ネット探せば「その理由」がどっかにあるかもしれないし、そうでなくても「詳しい奴」(どこかにはいる)に聞けばわかるはずではあるんだけど、そーゆーコトするほど「知りたい」ワケじゃないので、推測をいくつか語って終わりにしたい。
 
 推測その1。アレで成り立ってしまう。逆に言えば、夕方・夜間はボッタクっている…てワケでもないんだろうな。まあ多少は「強気の料金設定」していると思うけど。その理由は「人件費」かな。昼は「客が少なく、しかも大抵酔っぱらいじゃない」ので、人間を多数配置する必要がない。おまけに深夜給などは不要だし。「人間とは、基本的には高機能で高コスト」だから、人件費を節約できればアノ料金でも成り立ってしまう…ってもの。マンガ喫茶が「客1人1時間につき、300~400円程度」で経営が成立している(深夜はなお下がる)ことを考えれば、この推測にもある程度根拠はある。
 
 余談だけど、この「推測その1」が正しいのであれば、「店員呼んでもなかなか来ないのが当たり前」という低サービスっぷりだけど、料金は昼間のものに毛が生えた程度…って店でも「やっていける」可能性がある。ただまあ、夜の客の大半は「元気な酔っぱらい」(マンガ喫茶に来るのは「元気のない酔っぱらい」)だから、こーゆーシステムは無茶があるんだろうけど。
 
 推測その2。閉店する意味が薄い。真っ昼間に閉店しているってのは、あんまりコスト削減にならないのでは…ってもの。カラオケボックスって、いわゆる「店での仕込み」はあまり必要ない。そのため、「閉店はしているけど、店員がいる状態」ってのは意味がない。かといって、昼間「誰もいない状態」ってのは色々不都合があるのは間違いない。店員を置く以上、営業してもしなくても「全体的な経費」は似たり寄ったりだとすれば、閉店する意味は薄くなる。多少なりとも回収できた方が良い。
 
 この推測が正しいかどうかは、「電気代」次第かもね。カラオケボックスで「一番大事な経費」は電気代だろうから。料金体系がどうだの、開店している場合と閉店している場合の「使用電力の差」(アノ機械は待機電力食いそうなので、閉店しても電気代はさほど節約できない可能性がある)だの、果ては「スイッチ入れっぱなしと、オン・オフを繰り返すのではどちらが機械に優しいか」だのを考える必要がありそうだ。
 
 推測その3。昼間閉店するのは「リスク」がある。これは、「昼間閉店すると、荷物運び込みやらメンテの業者やらに対応できなくて…」って話ではない。それはさっき考察したことだから。そうではなくて、とにかく昼間に「閉店」ってカンバン出すのはマイナスだって話。
 
 昼間閉店するリスクとは?とりあえず考えられるのは2つかな。まずは「犯罪リスク」。泥棒と言えば夜陰に忍んで…ってイメージがあるけど、実際は昼間だって結構危ない。大規模な組織で機械ごっそり盗み出す…なんてタイプの盗難だと、「業者のふりして周囲の目を誤魔化せる」昼間の方がむしろ危ないのかも。また、盗難とまではいかないけど「閉店しているのをいいコトに、店先でたむろしてゴミ散らかす」といった軽犯罪被害に遭遇するリスクもあるかもね。
 
 もう1つは「イメージ戦略上の損失」。昼間に閉店していると、「ここにカラオケボックスはない」と誤解される可能性がある。昼間見た時のイメージって、結構印象に残るからなあ。さらに、昼間営業してないってのは無意味に「いかがわしい」感が出る気が。夕方訪れる客にとってはあまり関係なくても、周辺住民に嫌われる可能性が出る。あーゆー商売だからって、「周辺住民のことなんて知るか」とは言いにくいでしょ。昼間利用する奴のうちかなりの割合が「周辺住民」だろうから、「周辺住民対策」としては営業しておいた方が無難って気がする。
 
 もし仮に「昼間の営業が大赤字」だとしたら、この推測が当たっていることになりそうな。具体的な理由は別にあるのかも知れないけれど、単純な「経費と収入」以外の何かが理由なんだろう。「盗難」「特別な清掃」「宣伝」「地元住民との軋轢」なんてものは「うまくいかなくなって初めて目に見える」ものであり、日々の収支報告だけ見ていたんじゃわからないからなあ。そーゆー「何か」があるのかもしれない。
 
 とまあ、色々推測を挙げてみたわけだけど…当然「真の理由」は知らない。知らない以上、この話はこれでおしまいだ。ただまあ、「どれが正しいと思うのか?」と聞かれたら、一応「推測その1」じゃねえかなと言っておく。マンガ喫茶がアノ料金体系で成り立っている以上、「客を放置しておいてかまわない」のならば、実は「昼間の料金」でも営業は成立するような気がする。いくらガラガラと言っても、「それで成り立つ」程度には客いるんじゃねえかなあ。昼間ヒマな奴って、意外といると思われるので。
 
 物事の価格ってのは、細かく見てゆくと色んな理由で決まっている。一応は「合理的な説明」があることになっているけど、部外者から見ればワケわからんものも多いと思う。そもそも、有名な「神の見えざる手」って言葉も、よ~く考えると何の説明にもなってない(「何だか知らないけど、とにかくそーなってんだよ」って発言とドコが違う?)気もするし。ただ、一応は気にしないとボラれたり、発言権乗っ取られたりするんだよね。
 
 そんなワケでカラオケボックスの昼間料金について考えてみたんだけど…でも、あれはやっぱり不思議だよなあ。誰かもっと役に立つ説明してくれないものかね?

9月2日2009/09/02 22:37

 スワローズはもう駄目か…まあ、元々「こんなもの」と思っていた程度のトコロに落ち込んでいるだけって話はあるので、大騒ぎする価値はないんだけど。もう少し「下からイキのいい選手が上がってくれる」はずだったんだけどなあ…
 
 本日は気分の関係で、野球ネタ。先日友人と話して盛り上がった、「魔球と呼ぶ価値のある球」について。私と友人の主観に基づくものなので、異論は大いにあると思います。それを承知の上で、あえてここでも語ってみようかと。
 
 我々が認定した「魔球」は3つ。「星野伸之のカーブ」「野茂英雄のフォーク」「伊藤智仁のスライダー」である。総合能力はともかく、「魔球と呼ぶに値する球を投げるかどうか」に関しては、この3人が頭1つ抜けていると判断した。
 
 星野のカーブは、滅茶苦茶遅い。おまけに山なりにどろ~んって感じの軌道を描く。そのため、見逃すのはそう難しくなく、見送れば大抵ボールになる。カットするのは楽じゃないけど、無理ではない。余談だけど「ホンモノのカーブ」は「本当はストライクゾーン通った時にはボールと言われ、本当はボールの時にだけストライクと言われる」などと言われることがある。軌道がヘンなので、その辺の判定が難しいからなあ。
 
 しかし、この球は「後を引く」のだ。見送ったりカットしたりしてしまうと、その後に来る速球に対応できない。球速は「プロ最遅」と言われた投手なのに、複数の一流打者が「一番速く感じた」と言っているくらいだ。かといって、ストレートを待っているところにカーブを投げられると、つい振ってしまう。始末に負えない。
 
 おまけにだ。この「後遺症」は尾を引く。次の打席とか次の投手の時に影響するのならともかく、翌日以降も「バッティングが狂ったまま」ってことがある。ホームランのタイトル争いしていて、本来ならば1つでも多く打席に入りたいはずの選手が「星野の日にはスタメン外してくれ」と頼み込んだって話もあるらしい。とにかく「打者から嫌がられた」球である。
 
 野茂のフォークに関しては、あんまり説明はいらないと思う。ストライクコースに来てストンと落ちるので、つい振っちゃう。見逃せばボールだけど、読みが的中しない限りは手が出る。低めにキチンと決められると、バットにまず当たらない。弱点はスッポ抜けだの高めに浮いただのがあり得ること。こうなっちゃえば打ちやすい。
 
 フォーク使いはたくさんいるけど、あえて「魔球レベル」となると野茂かなあ。落差に関しては一番だったと思うし。「誰のフォークが一番か」については、色々論議した結果野茂に決まったと言っておきます。
 
 伊藤智のスライダーは、横の変化なので多少バットに当てやすい。そもそも、スライダー系列の球は「魔球」呼ばわりされないのが普通。「ストライクを取りやすい変化球」ってのが取り柄の球だと思われている。でも、伊藤智は「結構速いストレート」「速くて、少しだけ曲がる高速スライダー」「低速だけど、大きく曲がるスライダー」の3つが、ほとんど同じフォームから飛んでくる。これがミソ。
 
 マンガなどでは「デッドボールかと思って球をよけたら、変化してストライクと言われた」なんて表現が出てくるけど、こんなことはプロの世界じゃまず起きない。でも、伊藤智のスライダーはプロが腰を引いて逃げる。そしてそれがストライクと言われる。腰を引いちゃえば、バットに当たってもヒットにはなりにくい。高速スライダーだとストレートと本当に見分けにくい(球速はほとんど変わらない)ので、芯を外されてしまう。「いい時の伊藤智」は私の知る限り、最も「打てる(打たれる)気がしない」投手だった。
 
 他の投手の球にも、魔球と呼ぶに値するものはあると思う。特に異論が多そうなのは、フォーク使いに関してかな。我々は論議の末に野茂が一番だと認定したけど、他にも何人か候補は出たし。ただ、私がTV映像などで見た限りにおいては、一番「打てる気がしなかった」フォークは野茂のもの。魔球っていうものは、「ド素人でも凄さがわかる」方がカッコイイじゃん(苦笑)。つーわけで、野茂を選びました。
 
 この3つの中で、ドレが一番凄いって話はしなかった。結論が出るような話じゃないと思うので。ただまあ、あえて言うなら伊藤智のスライダーが「スゴい」かなと。「ホンモノのカーブ」使いは数が少ない。フォーク使いはそこそこの数がいて、野茂のフォークに匹敵する使い手も結構いる。それに対し、スライダーなんて「投げない奴は滅多にいない」球種だけど、魔球レベルってのは伊藤智だけ。松阪大輔のスライダーもなかなかスゴいけど、あれは「いい球」であっても魔球とは…「スライダーという平凡な球種を、魔球の領域に持って行った」という意味において、伊藤智はスゴかったと思うんだな。もっとも、私はスワローズファンだから、どーしたって採点甘くなるけどね。
 
 私もいい年齢だから、いわゆる「ノスタルジー」が大量に混じった結果こうなったコトは否定しない。でも、やはりこの3つを超える球ってのは、かなり難しいと思うんだな。今後もずっと「この3つが最高」であり続けるのか、それともこれを超えるスゲー球を拝めるのかはわからないけど、願わくは後者であって欲しいね。そう考えた方が世の中楽しいから。
 
 しかしだねえ…誰か伊藤智のスライダーを受け継ぐ奴はいないのかよ。「アレを教える?無理無理」なんて笑っている場合じゃないでしょ伊藤智コーチ。言いたいコトはわかるけどさあ。そーゆー投手が出てくれないと、このままじゃスワローズはBクラス落ちなんだよなあ…ブツブツ。

8月30日2009/08/31 01:11

 スペースシャトル打ち上げのニュースが届いた。それを読んでいるうち、「そーいやあ、スペースシャトルについてもう少し語っておきたいなあ」って気分になったので、私なりに語ってみよう。あんまり役に立つ話は語れないと思うけど。
 
 スペースシャトルが傑作か駄作かと聞かれたら、私としては駄作と認定するしかない。理由は単純。「開発の目的をロクに達成できてない」から。この機体が成し遂げた業績は決して軽くはないけれど、それらは全て「開発の目的」の範囲内であり、ある意味「達成してくれなきゃ困る」レベルの話。本来はもっともっと活躍しなくてはイケナイ。
 
 もっとも…これは「シャトルを作った技術者が悪い」って話とは言えない。私が思うに、スペースシャトルが駄作になっちゃったのは、「そもそもの開発目標が欲張りすぎ」だったからではないかと。今から思えば、「年間20回は打ち上げる」「米国のロケット打ち上げの全てを担当する」「宇宙開発だけでなく、軍用としても使う」なんて話は、無茶苦茶だからなあ。
 
 普通、こういう機体は開発目的を達成するために設計・製造される。そのため、無茶な要求を満たそうとして全体がワケわからなくなった…なんてコトも多い。シャトルも当然「そんな部分」を引きずっている。その代表が翼だ。あれは「打ち上げの際は無駄な質量、宇宙空間ではあっても無くてもどーでもいい」ものである。帰還の際に便利なのは事実だけど、別に必須の品ではない。普通に考えれば、メリットよりもデメリットの方が大きいはずである。
 
 にもかかわらず、何でシャトルには翼があるのか?実はアレ、「軍事目的で使うから」である。シャトル開発当時、「ソ連の人工衛星をシャトルでかっぱらってくる」ってアイデアを真剣に考えていたからなのだ。普通の宇宙飛行なら、帰還時に突入軌道を選ぶので、翼が無くても「アサッテのトコロに降りちゃいました」なんてコトは起きにくい。でも、低い高度を飛んでいる軍事衛星をかっぱらおうとしたら、軌道突入を選べない場合が想定される。その結果「モスクワに着地しました」じゃあ、意味がない。だから翼を付けたのだ。地上攻撃衛星やキラー衛星(敵の人工衛星を攻撃するモノ)がまことしとやかに語られていた(注:今現在公式には、まだこんなものは存在しない)時代だからねえ。
 
 今から思えば、シャトルの設計がワケわかんなくなった最大の元凶は、「とにかく全ての用途に対応する」って部分ではないかと。フツーの人工衛星打ち上げ・ドデカイ人工衛星の打ち上げ・有人飛行・各種軍事目的の全てに対応しようなんてのは、明らかにムシが良すぎた。クルマで言えば、「F1マシンと戦車と商用トラックと買い物用の足を1台のクルマで賄え」と言われたようなモノだ。この場合、砲塔は戦車として使う以外の局面では「思いっきり邪魔」だけど、同じようなモノとして翼が付いている。
 
 何でこんな要求がまかり通ったのか?これもわかりやすい。開発当時、ロケットってのは「使い捨て」が当たり前だった。これを再利用可能なモノに変更すれば、多少贅沢なモノ作ってもコスト的に見合うはず…って思い込みがあったのだ。実際は…いくら使い回しできたとしても、つまらん人工衛星1個打ち上げるたびに「人間打ち上げレベルの安全性確保」なんてやってらんない、それぐらいだったら使い捨ての方が安い…となったわけだけど。これは「もったいない」が必ずしも正しくない例かもね(苦笑)。
 
 「気軽に打ち上げられる使い捨て」と「再利用できるけど、毎回人間打ち上げレベルの安全管理」のどちらが良いのかは、今の目から見れば一目瞭然である。でも、当時の人間はそう考えなかった…ワケでもない。ソ連はシャトルを「利点は認めるけど、全体としてはアホくさい」と考えていたフシがある。ソ連版のシャトル「ブラン」は、実はほぼ純粋に軍事用途(人工衛星かっぱらい)に使うことを考えて作られたらしいって話があるくらいで。ついでに言えば、スペースシャトルは「有人じゃないと飛べない」のに対し、こちらは無人飛行が可能になっていた。いずれにせよ1回飛ばしただけで見切り付けられたけど。「どうもアホくさそうだ」とわかっていながら真似しちゃうってのが、当時の「軍事大国ソ連」の間が抜けていた部分だろうな。
 
 それともう1つ重要だと思われるのが、米国ってやっぱり「人工衛星打ち上げも、人間の操縦でやりたい」って意識が強いんだろうなってトコロか。ロボットのような「人間じゃないモノ」への恐怖は日本人より西洋人の方が強いとされているけど、この背景にはキリスト教がある。そんでもって、米国のプロテスタントって実は「原理主義的な色が濃い」ものだから、「自動機械なんぞに任せたくない」って思いはより強いんだろうな。また、鉄道より自家用車を好む国民性なんかも根底にあるのでは。
 
 米国の「人間を、宇宙飛行士の操縦技術を信じる」姿勢ってのは、時々「人間を信じてない」ソ連・ロシアの姿勢と対比される。ソ連・ロシアの宇宙船は「無人飛行が原則であり、無人でできないことは有人でもできない」のが原則で、柔軟性に欠ける(最近は多少変わってきたようだけど)ところがある。この姿勢は「月へのレース」で米国が勝利した大きな要因と言われているんだけど、スペースシャトルでは思いっきり裏目に出たのかも。
 
 それにしても、もう少し用途を絞ってだなあ…と言うのは簡単だけど、当時のNASAはそうもいかなかったんだろうな。なにせ「アポロ計画の次」だもの。変にショボい計画を出せば、失望されたあげく「予算あげない」と言われかねない。そんなこんなで、どこかで「地道な積み重ねよりもデカい飛躍」だと考えちゃったんだろうな。技術的には勝っているはず(これは実はソ連側も認めていた)なのに、「最初の人工衛星」も「最初の有人宇宙飛行」も負けたという悔しさから月着陸を成し遂げたけど、その代償として「着実な一歩の大切さ」を忘れることになってしまった…ってのは、言い過ぎかな。
 
 スペースシャトルの「罪」としてわかりやすいのは「二度の大事故」だけど、もう1つ「とてつもない罪」があるってのが私の意見。「スカイラブ墜落」だ。米国が打ち上げた巨大宇宙実験室「スカイラブ」は、本来スペースシャトルを使って機材や人間を送り込んで…って構想になっていた。ところが、スペースシャトルの開発が難航した上、予想外に地球大気が膨らんだ結果、「このままでは地上に落っこちちゃうんだけど、軌道修正どころかドコに落ちるのかさえ制御不能」って事態に陥った。スペースシャトルが順調に完成していれば問題にはならなかったはずだし、シャトル開発を優先するあまり他のロケットをないがしろにしていたツケがこんな形で出たわけだ。これは幸い大惨事を引き起こさなかったけど、「ニューヨークに落っこちる」「モスクワや北京を直撃し、核戦争が始まる」なんてコトになっても文句が言えなかった…ってことを考えれば、NASAがやらかした最大の失敗の1つではないかと。これも間接的にはスペースシャトルの責任だと思うな。
 
 構造面で言えば、何と言っても「最初から液体水素エンジン使う」のが…宇宙空間では効率良いけど、重力と空気抵抗がある地上じゃ使いにくいだけって話があるからなあ。確かに、「1段目と2段目以降で燃料変える」なんてのは、開発が大変だ。アポロ計画ではこれやったけど。それにしても、ブランみたいに「1段目は別のロケットに担当させる」ってやり方にすれば良かったような気がする。性能は良いんだけどねえ…ちなみに、当初の予定では「新型ロケットで使用する」予定だったけど。製造費用の関係からか別のエンジン(これまた液体水素エンジンだけど)に差し替えられたようだ。
 
 ちなみに、シャトルのメインエンジンに関しては、性能とは別の「罪」がある。あまりにも頑張ったエンジンを造った(造る必要があった)おかげか、その後のエンジン開発が滞りまくったのだ。「何度も使う」前提だから、量産がほとんど無いし、改良もあまり進んでない。シャトルに続く米国の宇宙飛行計画「コンステレーション計画」が、「シャトル計画とアポロ計画のツギハギ」っぽいのは、要はNASAには「それしかない」からだ。こうしてみるとシャトルって、宇宙開発計画を飛躍的に推進させるはずだったのに、停滞させたような…あげくロシア製エンジンを輸入して使っている有様だ。
 
 もっとも、シャトルが駄作なのは技術者が悪いからではない。むしろ、「駄作にしかなりようもない要求の中、アノ程度で済んでいる」と評価すべきではないかと。いつまで経っても完成しないとか、まるで使い物にならないとか、「1回飛ばしただけで公園のオブジェ」(ブランはこうなった)とか、「エンジン大爆発してどこぞの大都市に墜落する」とかいう事故を通り越して災害起こすとか、そういう「悲惨なモノ」にはなってない。私が思うに、シャトルってのはそんなレベルのモノであっても不思議じゃないくらい、最初の出発点が間違っていた。そんなものを「論評に値せず」ではなく「駄作」に留めたのは、米国の技術力の高さなんだろうな。ただ、それでも駄作にしかならないんだよね…
 
 スペースシャトルを「駄作だ」と評価することによってわかった「教訓」は2つ。まず、「最初の構想が間違っていれば、どんな良い物を造ってもクズ」ってこと。上からの命令が間違っているので、現場がいくら頑張ってもロクな結果にならない…ってのは、どんな世界でも「良くある話」だね。もう1つは、「大きな飛躍を狙うと、ロクなことはない」ってこと。技術なんてモノは、やはりコツコツと地道に改良を積み重ねてゆく方が勝るのだろう。シャトルはその反面教師として記憶する価値があるだろうな。もっとも、だからってソユーズが今でも宇宙を飛んでるのはどうかって話ではあるけど。
 
 スペースシャトルは駄作だと思う。でも、「偉大なる駄作」ではないかと。駄作だけど偉大、偉大だけど駄作ってモノがこの世にはあるんだよ。実は私、そーゆーモノは嫌いじゃない。ただ駄目なだけとか、ただ素晴らしいだけってモノにはない味があると思うので。シャトルの功績は言うに及ばずだから、ここではあえて「影」中心に語ったけれど、アレは偉大なんだよ。それは忘れちゃいけませんね。
 
 もっとも…日本人である私としてみれば、「退役後はどーすんだ」ってのは気になりますね。日本の有人宇宙飛行って、米国のシャトルが全てだったからなあ…コレも立派な「初期構想の誤り」の1つだと思うけど、どうかね。

8月19日2009/08/19 22:36

 珍しくタイムリーなネタを。本日「延期」(これを書いている時点での話。中止になる可能性はある)となった韓国の人工衛星打ち上げロケット「羅老号」について。関連資料が「つい先日コミケで仕入れた」ものなので、タイムリーに語れる。素晴らしい。
 
 某ニュースサイトを見ていると、なんか「韓国のロケット?どーせ…」とか、「1段目はロシア?どーせ…」などという論調が目立つ。まあ言いたいコトはわかるけど、韓国が導入した1段目部分(RD-191エンジン)って、米国がロシアから輸入してまで導入したアトラスVロケット1段目部分(RD-180エンジン)と同じく、先日ちょろっと紹介したRD-170エンジンの派生型だ。つまり、この部分に関してだけ言えば、「世界最高水準」だと米国が開き直って認めたモノの親類を「買ってきた」わけだ。
 
 このRD-191エンジン、額面の性能は相当なモノだ。燃料が違うから単純比較が難しいんだけど、日本のH-ⅡAロケットの1段目エンジン(LE-7Aエンジン。打ち上げの際には固体燃料ブースター併用)よりも優れた部分が多い。つーか、日本のエンジンは固体燃料ブースターを併用している(せざるを得ない)って時点で、メインエンジンとしてはゴニョゴニョ…って話なんですけど。固体燃料ブースター併用のドコが良くないのかは、スペースシャトル「チャレンジャー」が何やらかしたのかを思い出せばわかるでしょ。出力制御が難しい固体燃料ブースターを併用するのは、安全面で考えればどうしたって不利になるのだ。
 
 ついでに言えば、液体水素も取り扱いが難しい。液体酸素も取り扱いが難しいけど、液体水素に比べればあんまり問題にならないレベルだ。「そんなものを燃料として使用する苦労」については解決済みとしても、燃料の保存・注入が面倒だってトコロはどーしよーもない。これは打ち上げコストに響くし、「冷えた燃料タンク(液体水素は極低温で保存する必要あり)に付着した氷」がスペースシャトル「コロンビア」に何やらかしたのかも忘れちゃいけませんね。
 
 ちなみに、何で日本のロケットエンジンが「こんなモノ」なのかは…スペースシャトルが悪い。LE-7Aエンジンって、米国がスペースシャトルで「これからのロケットは、液体水素燃料だぜ!」と示した影響を受けているのだ。これは欧州のアリアンVロケットも同じ。これは大きな間違いとは言えないんだけど、こと1段目部分に関しては大間違いだった。
 
 液体水素燃料+液体酸素のロケットは、宇宙空間では効率が良い。しかし、重力に逆らって分厚い大気圏を突き抜かなくてはならない1段目部分に限って言えば、効率は悪くなる。車でたとえると、「ピークパワーはデカいけど、トルクがない」エンジンなのだ。1段目部分で重要なのはトルクなので、これに乏しい水素ロケットは「使いにくい」のだ。だから、それを補うため仕方なく、トルクがデカイ固体燃料ブースターをつけている。
 
 コレに対し、RD-170エンジンはケロシン系の燃料(ジェットエンジンの燃料や灯油の親類)+液体酸素を使っている。この燃料は水素燃料よりはトルクがあるので、1段目として使用するのは何の問題もない。スプートニク/ヴォストーク/ソユーズを打ち上げた実績があるRD-107エンジンも、燃料はケロシン系+液体酸素だ。なお、液体燃料エンジンだと、他にヒドラジン系燃料を使うモノがある。これは液体酸素を使わなくて済むので色々と便利(特に保存が楽)って利点があるんだけど、弱点として推進ガスの毒性がやたら強い。1段目部分としては今後使われなくなってゆくことが予想されています。ちなみに、今使われている固体燃料も実は毒性の高いものです。
 
 後知恵で考えれば、スペースシャトルは「構想からして問題だらけ」だった。でも、開発当時のNASAはそう思ってなかった。そのため、新しいロケットエンジンの開発はほとんど手つかず。それどころか、既存のロケットを「シャトルがあるから」と生産中止にしようとして、あわてて生産再開する有様。ブッシュ政権末期に「シャトルに代わる新型宇宙船」の構想が発表されたけど、エンジンその他は「悪名高い」スペースシャトルのものとほとんど同じ。これは、要は「それ以降のエンジン計画は何も考えてなかった」からだ。より正確には開発計画自体はあったようなのだけど、結果としてあまりうまくいってない。
 
 つまりだ。韓国が「1段目部分にロシアのエンジン使った」のは、しごく真っ当な判断…どころか、「他にどーしろと?」って話である。米国のエンジン開発は「スペースシャトルで得た技術的蓄積」(これはこれで貴重である)を散逸させないためにも、しばらく液体水素燃料と付き合うしかない。その上新型エンジンの開発なんて、米国の国力・技術力を持ってしても簡単なわけがない。なりふりかわまずロシアからロケットエンジン買ってきたのも、わかる話である。欧州も日本もそんな米国に引きずられて、液体水素エンジンなんぞ使用してる。中国やインドはまだ「売ったり教えたりする立場」じゃないでしょ。
 
 もっとも、今回の打ち上げが「自動シーケンス実行中断」って形で中止に至ったのは、少し気になる話である。RD-191エンジンに問題が生じた可能性が高いからね。もっとも、これはある程度仕方ない。RD-191エンジンはいいエンジンだと思うけど、こと信用度に関してはまだ高くない。開発されてまだ日が浅く、実績不足だからだ。この点に関する限り、ICBMサプウッドを打ち上げ、「スプートニクショック」を引き起こし、ガガーリンの偉業を支え、今なおソユーズに使われ続けているRD-107エンジンに勝るモノなど存在するわけがない。「いずれRD-107に取って代わる」と言われているRD-191だけど、もし今回の中止原因がこのエンジンにあるのだとしたら、「まだまだ青いな」ってトコロか。
 
 言うまでもないことだけど、今回の中止がRD-191エンジンのせいだとしても、このエンジンの評価が大きく劣るわけではない。まだ開発されて日の浅いエンジンを、打ち上げ技術に関してはトーシロの韓国で使おうとしてちょっとトラブったなんてのは、「流石に想定の範囲内」だろうからなあ。つーか、このエンジン使った「ロシアのロケット」ってまだ飛んでないはずだから、このエンジンの宇宙デビューがこの打ち上げじゃないか?そんなモノにトラブル出たからって、別に韓国の技術がどうとかロシアの技術がこうとかって話にはならないと思うな。
 
 それより…日本の宇宙開発は真剣に見直した方が良さそうな気がするんですけど。ハッキリ言って、「水素燃料エンジン+固体燃料ブースター」ってロケットは色々不利だ。米国でさえ「時間かかってもいいから、いずれ見直しを…」って方向で動き出しているんだから。欧州もいずれこの方式に見切りを付けたいらしく、ロシアの技術導入に動き出しているらしい。なにせ「シャトル退役後のISS利用手段」として、アリアンVの有人化じゃなくてソユーズ買ってくるって手段を採用したくらいだし。韓国の衛星打ち上げが文字通り「軌道に乗った」場合、エンジンの基本構造で優位にあるのは韓国の方だってわかっているのか?韓国の失敗を笑うヒマがあるのなら、もっと真剣に「今後日本の宇宙開発はどうあるべきか」を考えるのに使った方が良いと思うぞ。マジに。
 
 もっとも、ロケットエンジンの新規開発なんてタイヘンである。LE-7Aエンジンが不利な設計思想に基づくものだとしても、だからって軽々しく放棄して良いはずがない。これはこれでいいエンジンではあるんだし。また、日本の固体燃料ロケット技術は高い水準にあるので、「固体燃料ブースターが付属していても大丈夫!」ってトコロに持ってゆけるかも知れない。ただ、それは「何も考えずH-ⅡAロケット飛ばしていればいい」って話じゃない。それこそ「50年先はどうなるのか」をきちんと考え、新規開発するなら腰を据えて取り組む、今のままで行くなら「基本構造で不利を抱える分、どこをどう改善し、何をユーザーにアピールしていくのか」を考えていく必要があるだろう。
 
 宇宙開発ってのは、難事業である。打ち上げ延期・中止どころじゃない、「誘導失敗」だの「爆発した」だのといった失敗がどれだけあったと思っているんだ。金銭的被害だけじゃなく、人命だって失われている。米ソに代表される「宇宙の先駆者(当然、日本も含む)」の苦労を考えれば、今回の打ち上げ延期なんて「程度の軽い失敗」であり、宇宙開発に伴う産みの苦しみとしては程度が軽いだろう。そんなものを嗤う余裕がある国なんて、世界中のドコにもないと思うんだけど。日本にしてみれば「衛星打ち上げビジネスの敵」の失敗ではあるけれど、敵失を喜んでいられる現状じゃないでしょ。
 
 私は幼少の頃から「アポロが…」って話を聞かされつつ育った関係上、宇宙開発関連の話は大好きだ。だからこそコミケで「ロケットエンジン関連の本」なんぞ買ってきて、喜んで読んでいる。そんな私にしてみれば、「ドコをどう考えても真っ当な宇宙開発」(この点、北とは確かに異なる)を嗤われるのは正直面白くない。その対象となるのが、アノ「韓国」であっても。確かにあそこは色々ムカつくことやらかす国ではあるけれど、それとこれとは別でしょ。

7月22日2009/07/22 23:50

 前半戦最後の試合は勝利!今年のスワローズはいい感じだねえ。ただ、何故こうも勝てるのかはよくわからん。色々ボロボロだってのに。
 
 まあ、強いて理由を探すとするなら、勝ちパターン時のリリーフがイイからでしょ。筆頭は何と言っても林昌勇。昨年も凄かったけど、今期は更に凄い。こういう「信頼できるクローザー」がいるってのは本当に有り難いです。
 
 この林昌勇、基本2年契約だったので「来期はドコへ?」って話が流れていた。一応契約では「3年目の契約は球団が選択権を持つ」となっていたようだけど、外国人選手の契約なんて信用できないからなあ。私も気をもんでいたんだけど、来期も残留が決定。有り難い話です。
 
 彼が残ってくれるかどうかは、正直すご~く不安だった。カネで勝負されたら、メジャーどころか国内某球団にも絶対勝てないわけで。スワローズは選手の性格を重視する傾向があり、「仮に出て行くとしても、一定の筋は通す」選手が多い。よって普通ならそういう行動を期待できるんだけど、林昌勇はそーゆー選手かどうか、自信はなかった。
 
 ちょっと前に出た雑誌(ナンバーだったかな?)によると、昔の林昌勇は相当「ワガママ」な選手だったようだ。実績はあるけど、態度もデカい選手だったようで。何でも、韓国球界時代に何度か「年俸トラブル」やらかしていたそうな。
 
 ハッキリ言おう。普通に考えたら、スワローズって球団はこういう選手を嫌う。それがチームの伝統なんだよ。かなり払拭されてきたとはいえ、「お気楽仲良し集団」だった時代が長いわけで。まあ、私はこーゆー雰囲気のチームだからこそ、このチームを応援しているワケではあるんだけど。
 
 そんな選手を何で獲得したのか?一番の要因は「スカウトが感心したから」だそうな。あれは絶対通用すると。ただ、そーゆー選手なんて世界中を探せば山ほどいる。いくら球団が「欲しいなあ」と思っても、年俸だ契約だといった理由で獲得できない選手は山ほどいる。それでも獲得できたのは、やはり故障があったからだろうね。
 
 林昌勇は来日前、右肩だったか何かに故障があった。正直、「ロクに投げられなくても文句は言えない」状態だったのだ。私も当時「投げられるのか?」と思ったもの。ただ、スワローズって球団は「選手の故障回復をじっくり待つ」ことに関しては定評があってだねえ。ファンの私も「じっくり待つ」ことは慣れている。なにせ今でも石井弘の回復を信じているのだからして。
 
 林昌勇が残留を決意してくれたのは、やはり「球団の姿勢」が大きいと思う。他が「故障持ちだ」ってんでソッポ向く中で「基本年俸は安いけど、2年までは回復待ちます」と言ってくれたというのは、やはり有り難かったんじゃないかと。良くも悪くも、「基本的には良くなると信じて待つ」のが基本スタイルの球団だからなあ。今期頑張っているガイエルだって、他の球団ならクビになっても不思議はなかったと思うし、デントナだって故障上がりだもの。そーゆー球団なんだよ。
 
 余談だけど、これが「失敗」したのが今年のゴンザレスかな。当然ヒジおかしくなる前から知っている選手だけど、ああも化けるとは…「冷たい」球団なら去年のオフを待たずしてとっとと放り出しただろうから、ジャイが拾う可能性も低かったはずなんだけど。まあ、同じリーグだけに色々複雑ではあるけど、彼の活躍はちょっと嬉しかったりするのも事実かな。
 
 私はスワローズのファンを長く続けてきた関係上、「選手が故障に苦しんでいる時期に、復活を信じて待ち続ける」ことに慣れている。つーか、コレが出来ないとスワローズのファンはオススメできません(苦笑)。林昌勇に関しても、「故障回復すればやってくれそうな実績だから、我慢してみますか」と気楽に構えていました。それだけに、去年クローザーとして文句なしの実績を残してくれたのは、本当に有り難かった。
 
 今期に関しては、開幕直前は不安持ってました。だって…体はともかく、精神面が大丈夫なのかは気にする方がフツーでしょ。日本代表を応援していた私でさえ、DVDの宣伝で「イチローのあの一打」のシーンが流れるたび、今でも心がチクチクするぐらいだ。チームの守護神が打たれるシーンってのは、やはり辛いからなあ。韓国代表のユニフォーム着ていてもだ。
 
 ところが、蓋を開けてみればあの活躍っぷり。元々の実力だけじゃなく、あの対決で得たモノは大きかったってことかねえ。言われてみれば、「あれよりシビれる勝負」なんて考えにくいからね。そう考えると、あの場面でイチロー相手に真っ向勝負を選んでくれたのは、スワローズファンとしてみると「ものすごく有り難かった」ってことになるのかな。
 
 もっとも、韓国では今でも「あそこで勝負するとは何事だ」なんて論調がまかり通っているんだとか。そりゃあ結果がアレなだけに、文句を言いたい気持ちはわかる。けどなあ。私は「そりゃあ違うだろ!」と言いたい。監督や捕手が何ヌカそうとも、マウンドにいる「守護神」が勝負と決めたら勝負だろ!それで打たれたら悶絶モノだけど、それを「仕方ない、他に手はない」と割り切らせるのが守護神ってモノだし、そう思って悔しさに耐えるのがファンってモノじゃねーのか。私はそれを高津全盛期に叩き込まれているので、余計そう思いますね。
 
 そーやって考えてゆくと、実は林昌勇にとってスワローズって球団は「働きやすい」場所なのでは。故障回復は比較的気長に待つし、クローザーって地位に就けば絶対の信頼を寄せる…ってのが「ファンの気質」だからして。なんか色々騒がれた割にあっさり契約更新を発表した背景には、そーゆー事情があったかも知れない。再来年以降はまた別の話としても、少なくとも「後足で砂かける」ような真似はしないよと。
 
 こういう球団の姿勢は、必ずしもいいことばかりじゃない。それはよーく知っている。けど、それを承知の上で私はこの球団のファンやっているんだから、仕方ない。「惚れる」ってのは、そーゆーことじゃないのかね?欠点があるのを承知の上で、ソコも含めて「好きなんだから、仕方がない」と言い切ってこそのファンってものでしょーが。
 
 とりあえず、林昌勇の来期契約については、チームカラーというか何と言うかがプラスに働いたのだと思いたい。うんうん、ファンとしては有り難い話だ。まだ「五十嵐はどーするつもりだ」って問題があるから、来期のことは気になるけどね。とりあえず今期はまだ半分強を過ぎただけなので、せめて現状死守、できれば逆転優勝を…今の戦力じゃ苦しい気はする(青木がアノ打率じゃなあ)けど、それでもチームを信じるのがファンの仕事だからね。しかし、何故あの戦力であんないい順位にいるんだ?飯が美味いからいいんだけどさあ…

6月11日2009/06/12 01:00

 本日のネタは、比較的平和に科学ネタ。超新星爆発について。あくまで「ひょっとすると」だけど、結構有名な星が超新星爆発するかも…って話が出てきたので、それをお知らせしようかと。
 
 超新星爆発とは、恒星(自前で光る星。太陽とか)の「最期」の1つ。大きくて重たい恒星が、その最期に大爆発を起こして「吹っ飛ぶ」もの。望遠鏡のない昔々は「今まで何もなかったところに、いきなり星が出来た」ように見えたので「新星」と呼ばれている。
 
 この超新星爆発、銀河系全体で考えればありふれた現象である。星の数なんて山のようにあるわけで。ただ、その多くは肉眼で確認できるようなモノじゃなく、専門家にしかわからない。大爆発してさえそんな程度なので、元々の星の状態もよくわからん。超新星爆発ってのは、「そのうち銀河のどこかで起きる」とは言えても、「次はこの辺で起きそうだ」なんてことは、現在の技術じゃわからない。
 
 とはいえ、超新星爆発の仕組みはある程度わかっているので、「いずれ大爆発しそうだ」って星はいくつか見つかっている。もっとも、天文学で言う「いずれ」ってのは数万年以内で…ってな話ではあるけど。それじゃ素人の役には立たないけど、そーゆーモノなんだから仕方がない。
 
 ところがだ。そのうちの1つが、「なんか最近変な動きを見せ始めた」そうな。どうやら、怖ろしい勢いで縮んでいるらしい。恒星が膨らんだり縮んだり…ってのは良くある話で、必ずしも超新星の兆候ではない。今まで知られていなかっただけで、良くある話なのかも知れない。でも、「一般人レベルで考えても近いうち」に超新星爆発する兆候かも知れないのは事実だ。
 
 天文学に興味を持つ人間なら、この時点で「おおっ」と思うはず。でも、一般人には関係ない…ってレベルの話じゃない。この「爆発しそうな星」、かな~り有名で、場合によればド素人でも「あれか」ってわかるような星なのだ。なにしろ、オリオン座のベテルギウスなんだから。
 
 オリオン座のベテルギウス。日本では冬を代表する星座の1つで、そこにあるかな~り明るい星である。「冬の大三角」の1つ。昔学校で習ったから、何となく覚えが…って人は多いのでは。あれが近いうちに大爆発するかもしれないのだ。スゴいでしょ。
 
 この星が超新星爆発したら、どうなるのか?とりあえず、冬の夜空は相当明るくなる。元々かなりよく見える星だから、昼でも肉眼で確認できるくらい明るくなるかも知れない。そういう状態がしばらく続き、その後ベテルギウスは消える。ただ、おそらくは残骸が確認できるはずだ。肉眼でも「暗い、やたらもやもやした星」が見えるんじゃないかなあ。私に言えるのはこれぐらいだ。
 
 そんな星が大爆発して、地球に悪影響はないのか?うーん…有力な推定では、「あんまり影響がない」となっている。ただまあ、天文学者の言うところの「あんまり影響ない」なので、人間とか言う生物種は2割ぐらい減るかも知れないな。天文学とか古生物学とかは「調べている対象が対象なので、その程度のことしか言いようがない」学問だからね。
 
 もっとも…最近の研究では、超新星爆発に伴う「ヤバいモノ」(放射線とか)は特定の方向に強く吹き出す傾向があり、それが何かの偶然で太陽系方向を向いていた場合、地球死滅もあるかもね…って話もある。ま、だからって防ぎようがないので、気にしても仕方ないのでは。
 
 望遠鏡発明以前から名前が付くほど有名な星(当然、数は多くない)が「吹っ飛んだ」例ってのは、とりあえず確認されていない。なんとか原人とかいうご先祖様なら…って話はあるのかも知れないけれど。そーゆー意味では、我々は「今まで見たこともないモノ」を目撃できる可能性がある。もっとも、現時点では「その可能性が否定できない」レベルであり、来る来る言われていながらちっとも起きない、東海大地震よりも遙かに眉唾だと思っていいけれど。
 
 可能性から言えば、今現在地球上にいる人間が「ベテルギウス超新星爆発」を目撃できる可能性は極めて低い。仮に今回確認された現象が「超新星爆発の兆候」だったとしても、「数百年以内に爆発する」(天文学レベルでは「一瞬」だ)ってな話になりそうだし、そもそも「確認されてなかっただけで、実は良くある話」かもしれないからだ。ついでに言えば、超新星爆発確認と同時に人類が滅びる可能性もあるのであって。ただ、永遠不変に感じられる夜空の星が、吹っ飛んでしまう「かも」と考える(心配するのか期待するのかはさておき)のは、アリじゃないかな。今までもそういう話はあった(数万年以内に吹っ飛びそうだって話は知られていたから)けど、多少現実味が出てきたのは確かだから。
 
 今は夏なので、日本ではベテルギウスは観察しにくい。けど、冬になったらすぐに観察できる。流石にそれぐらいは「持つ」んじゃないかな。そんでもって、冬の空に輝く赤い光を眺めながら、諸行無常の思いに浸るのも悪くないのでは。まあ、我々素人に出来る話ってのは、この程度だからして。

5月21日2009/05/22 03:50

 POG資料の検討が忙しく、つい更新がご無沙汰に。いけませんねえ。ちなみに今年のPOGドラフト方針は「ベタで行きます」とだけ言っておこうかと。
 
 本日の話題は、あえてタイムリーに裁判員制度を。私はこの制度に反対ではあるけれど、始まっちゃった以上、文句を言っても仕方ない。「もし自分が選ばれたら、何が出来るのか」を中心に、考えてみようかと。
 
 私は制度に反対なので、できれば裁判員はやりたくない。でも、流石に「呼び出しに出頭しない」といったことはやらないつもり。陪審員制を採用している国もあるくらいだから、「悪法」と言っても、従う義務を感じない…ってレベルではないと思うので。いずれ見直しの機会があるはずなので、その時点で反対を表明すれば良いだけの話だ。まあ、今度の選挙で「この制度を推進した最高裁判官」にペケつけるぐらいはするかもしれないけど。
 
 裁判員ってのは、「呼び出されたら裁判員に決定」ではない。選任手続きがある。ここでハネられればいい。裁判官・検察・被告弁護人は、面談の末「理由を裁判員候補者に告げずに」この人は駄目だと拒否する権利があるのだ。よって、この時点で「どう考えても選ばれそうもない」ことを主張すれば、おそらくは選ばれずに済む。もし「該当する理由がないので辞退は認められないから出頭したけど、どーしても裁判員なんてやりたくない」なんて人なら、この時に真顔でトンデモネーこと言えば、裁判所の方から「帰っていいです」と言ってくれるはずだ。もっとも、「常識的社会人」がコレを実際やるのは、実は結構キツいと思うけど。
 
 一応私は「消極的にだけど、死刑制度には反対」なので、「たとえいかなる事情があろうとも、死刑判決は出しません。」と真顔で言い放つことが出来る。この時点で、よほどのことがない限り、検察側が「外してくれ」と言うんじゃないかな。裁判員制度が適用される事件って、検察の求刑はかなり重い(死刑もしくは無期懲役)はずだし。オマケに「思想信条から裁判員制度に反対」だから、選ばれちゃう可能性は低いんじゃないかと。一応それなりの理論武装は出来ているので、「裁判員になりたくないから言っているだけ」とは思われないんじゃないかなあ。
 
 それでも選ばれちゃったら?まあ、これでも一応は法学部出身だ。仕方ないから、真面目に事件に取り組むしかない。すげー憂鬱だけどね。事件そのものも憂鬱だけど、「証拠品」としてグロいモノ見せられる可能性があるのが憂鬱。事件とマトモに向き合うためには、そーゆーモノ見せられるのも仕方ないと、理屈ではわかるけどさあ…こーゆー感情は被害者にも被告にも「申し訳がない」気がするけど、こちらの生理的な問題だからなあ。「法曹関係者と違って慣れも覚悟もない一般市民に、そんなものと向き合わせるんじゃねーよ」って気持ちはありますね。
 
 ついでに言えば、精神鑑定だのDNA鑑定だのに「シロクロつける」のも、なんかイヤ。こういうモノって実は「クロシロはっきりした答えが出る」とは限らないものだから。マトモに向き合ったら、確実に神経すり減ります。その辺の判断は裁判官に任せればいいのかもしれないけれど、「あの裁判官、実は素人相手だと思ってテキトーなことヌカしてないか?」とちょっとでも疑っちゃったら、地獄道だろうね。後々上訴審で「鑑定結果の判断が間違っていた」なんて言われたら、裁判官の意見を丸呑みしたコッチも気が重い。その可能性は低いと思うけどさあ。
 
 まあ、有罪無罪についてはあまり悩まなくて良いとは思う。割合から言えば「有罪か無罪かで争っている」裁判はあまり多くないはずなので。よほど運が悪く?ない限り「私がやったと認めているので、刑は軽くしてくれ」って裁判になるんじゃないかな。ただ…「どう考えても死刑」って事件だと、ダメモトで「無罪を主張」って例も出る(下手すると裁判員制度のおかげで増える)だろうから、実際問題としてどうなるのかはわからないけど。
 
 もっとも、広い意味での「量刑判断」となると、私の手に負えるかどうか…ハッキリ言おう。「私がやった(から被害者は死んだ)」と、「被告は殺人罪」はイコールじゃない。まず「殺人罪」なのか、「傷害致死」なのかで話はかなり変わるし、「過失致死」だと罪は相当軽い(あくまで殺人と比べてだけど)。この辺の判断は、下手すると裁判官同士でも意見が割れます。そういう難しい事例を「市民の視線で判断して下さい」って言われても…「わかるかそんなの。プロである裁判官が判断することだろ。コッチを巻き込んで責任回避するつもりか」ってのが「市民の視線での判断」だと思うけど。
 
 まあ、「過去に行われた、似たような事件の裁判ではどう判断したのか」、つまり判例はある程度説明してくれると思う。多分どこかで検察・弁護士双方が「自分にとって有利な判例」持ち出して説明してくるはずだし、そのどちらを当てはめるのが「より適切なのか」は、裁判官が理屈付きで説明してくれるんじゃないかな。とりあえずはそれが「判断材料」になるのでは。自力で見つけたか、他人に提示されたのかって違いはあるけど、要はプロも「判例」を重要な判断材料にしているわけだから。
 
 とりあえず、もし裁判員として呼び出しを喰らったら、裁判所や法務省のサイトにある広報用の映像を見るといいんじゃないかと。場合によると、DVDもしくはビデオを送りつけてくるかも知れない。何なら、法務省関連施設か裁判所に電話して「裁判員に選ばれた。資料映像見たいから送ってくれ」と請求すれば、何とかなるような。ある意味では「嘘くささ満載」かもしれない(そりゃーPRで「この判決を一生背負って生きてゆくのか」なんて話はしないからねえ…)けど、参考にはなるんじゃないかと。なお、「裁判員制度に反対する立場の人間が作った映像」がネット上にあるのかどうかは知らない。探せばありそうではあるんだけど。
 
 法律の専門書は…特に読む必要はないと思う。必要なことは説明してくれるはずだし。法律の専門書って、需要が少ないから案外高いんだよ。どうしてもって言うのなら、ア○ゾンの書評で「大学生向け」とある本を選ぶといい。まあ、送料含めても弁護士に法律相談するよりはやや安いはずだ。なお、本屋でじっくり立ち読みして買う本を決めるのはオススメしない。見る奴が見れば「裁判員として選ばれたな」ってわかっちゃう。大学生っぽくないのに刑法の専門書読む奴なんて、他に考えにくい(苦笑)。
 
 実際「呼び出し状」が届くのは、まだ先の話だとは思う。けど、選ばれちゃう可能性はあるんだから、ある程度「選ばれたらどうする」って話は考えておいた方が無難かな。なにせ「選ばれたら、気の重い事件に関与すること確定」だからして。私は一応「オレを選ぶほど、裁判所は馬鹿じゃない」と考える根拠があるけれど、実際どーなのかは…やっぱりバッくれた方が良いのかな(おい)。

5月17日2009/05/18 02:57

 ここで来るかウオッカ。ドバイでの「見事な負けっぷり」から嫌ったんだけど…要はこの馬、「海外は嫌い」なのか?安田記念ではまたド本命なのかねえ…エジプシャンラーは回避しちゃう(コーツィーが「流石に日本は遠い」と言ったからか?)し…
 
 本日の話題は、ミツバチについて。最近一般のニュースでも大きく採り上げられるようになってきたので、あえて「マスコミ批判」としてお届けしようかと。
 
 最近、「ミツバチが減って困っている」ってニュースが流れている。読者の皆様も見たことがあるんじゃないかな。詳しい原因は、実はまだ不明。農薬説・寄生虫(ダニのたぐい)説などが有力ではあるけれど、まだよくわかっていないらしい。
 
 実はこの問題、発祥は海外である。米国なんかじゃ、かなり深刻な問題になりつつあるらしい。そのため、数が減ってきたからって安易に輸入すら出来ない。地域的な問題なのか、世界規模に広がるのかは注目の的だったんだけど、日本でも騒がれ出したってコトは世界的な問題だったようだ。せめて、これが原因の特定に多少なりとも役だってくれることを望みたい。
 
 ミツバチがいなくなるってのは、何もハチミツがどうこうって問題だけじゃない。農作物の受粉にミツバチを使っているモノは多いからねえ。日本においては、果物生産に悪影響が出ているらしい。今はまだ大打撃ってレベルじゃないらしいけど、下手したらそうなりかねない…ってんで騒ぎとなり、マスコミが報道しだしたわけだ。
 
 私の意見?正直言おう。私はこの問題、結構早い段階(自慢できるほどじゃないけど)から知っていた。正確な書名は忘れたけど、この問題を論じた本が和訳されて本屋に並んでいたので。なんだか「話題の書」扱いされて目立つところに置いてある本屋もあるけど、その本屋が片隅にひっそり置いていた時に読んだのだ。何故そんな本を…と言ってはイケナイ。そーゆー本を読むのが私の性だ。
 
 よって、この問題が「いずれ日本にも波及してくるかも知れない」って危惧は持っていた。でも、私は「日本における影響は、小さいモノで留まってくれるに違いない」と予想していた。農業従事者や一部の好事家の間で話題にはなっても、一般向けニュースで報道されるような事態には発展しないのではないかと。その点、私の予想は裏切られたことになる。
 
 何故私は「影響は小さい」と予測したのか?日本の農業において、ミツバチは重要じゃないと思っていたから…ではない!その程度の認識しか持たない奴が、話題になる前からミツバチの本を読むワケないでしょが。チャンと別の理由がある。「日本には日本のミツバチがいるから」だ。
 
 今問題となっている「ミツバチ減少」問題は、セイヨウミツバチに限定した話である。のハチは「比較的気性が大人しく、ミツを集める能力も高く、群れの性質が人間にとって扱いやすい」ってな理由から、世界中で利用されている。もちろん、日本も例外じゃない。「数が減った、どーするんだ」と騒いでいるのは、あくまでセイヨウミツバチの話である。
 
 この世にセイヨウミツバチしかいないって言うのなら、セイヨウミツバチの減少=ミツバチの減少であり、本当の意味で大騒ぎになる。でも、少なくとも日本には、土着のニホンミツバチがいる。こいつらは気性が荒くてミツをあまり集めず、おまけに人間の都合を考えず勝手に分蜂(古い女王蜂が働き蜂の一部を連れて独立すること)しやがる…と、人間が利用するにはあまり適していないので、一部の「伝統産業としてニホンミツバチ飼ってます」って農家などを除いてあまり利用されてない。けど、利用はゼロじゃないし、その気になれば調達するのはそう難しくないはずだ。なにせ「野良」としてそこら辺にいるんだから。
 
 外国からよく似た種を導入した場合、野生化して土着の種が絶滅の危機に瀕する…ってのは、哀しいけれどよくある話。でも、ミツバチに関しては当てはまらなかった。その理由として、ミツバチの天敵スズメバチの攻撃に対し、ニホンミツバチの方が迎撃能力が高いからだとされている。具体的な迎撃方法は各自で調べてみて下さい。面白いよ。
 
 確かに、ニホンミツバチはセイヨウミツバチと比べて扱いにくい。安易に「ニホンミツバチがいるじゃないか」と言うのは、何かが違うとは思う。けど、「背に腹は替えられない」となったら、そんなコト言っている場合じゃない。セイヨウミツバチの「大量死」が日本にも波及してきたら、これはこれで大きな問題になるけれど、一般ニュースが扱い出すほど深刻になる前に「ニホンミツバチがいて良かった」となるのでは…と思っていたわけだ。
 
 ところが。現実は一般ニュースで大騒ぎしている。しかもその論調は「ミツバチがいなくなった、どーする!」ってだけ。海外での事情を詳しく説明するでもなく、原因究明をするわけでもなく、「日本土着のミツバチは利用できないのか?そうした場合の問題点はドコにあるのか?」などを紹介するわけでもなく、ただ騒ぐだけ。どうなっているんですかこれは。
 
 なお、「セイヨウミツバチが駄目なら、ニホンミツバチを…」って意見は、私だけのオリジナルではないようだ。その証拠に、ちょっと前に新聞に「ミツバチ盗難が相次ぐ」ってニュースがあり、盗まれている対象は伝統産業もしくは個人の趣味として飼われているニホンミツバチって話があったので。…賢いと言えば賢いと思うけど、なんか間違っているだろそれ。第一、マトモに飼えるのか?セイヨウミツバチより扱いにくいのは間違いないのに。
 
 果物の受粉作業自体は「いざとなったら人間でも出来る」作業でもある(すげータイヘンだと思うけど)ので、今のところ「困っている、深刻だ」とは言っても、日本産果物の値段がアホみたいに跳ね上がるってレベルには至っていないようだ。しかし、セイヨウミツバチがこのままドンドン数を減らしてゆくようなことがあったら、そうなりかねないのは事実。でも、本来日本では「そうなるはずがない」のだ。ニホンミツバチがいるから。飼育ノウハウもゼロじゃない。うまく切り替えに成功すれば、少なくとも「果物農家の破滅」はあり得ないはずなのだ。
 
 それを考えてゆくと、「農水省は何やっていたんだ?」って話が出てくる。単に「生き物の話は好き」ってレベルの人間が「ミツバチ減っているのか、日本に波及したらタイヘンだなあ」って知っているぐらいだ。連中に「知らなかった」などとヌカす権利はない。コトが生き物の問題である以上、日本のセイヨウミツバチが安全って保証はドコにもなく、実際日本にも波及してきている。その影響を評価し、必要ならば対策を考えるのが行政の仕事だと思うんだけど、それがほとんど報道されないのは何故?また、そこで出てくる対策として「ニホンミツバチの利用」ってのは考慮されて当然だと思うけど、そんな話が報道されないのは、マスコミが無知なだけですか?それとも農水省も「何もしてない」の?
 
 種としてのセイヨウミツバチが絶滅するなんてコトは、万が一にもあってはならない。そのため世界各国で協調して対策を考えるべきだろう。それと平行して、このミツバチ減少が「長期的に続き、激減は避けられない」のか、「一時的なモノ」なのか見極め、前者であればトウヨウミツバチ(ニホンミツバチはこの一種)への切り替えも視野に入れる必要がある。しかも、世界レベルで。ニホンミツバチが野山を飛び回り、しかも飼育ノウハウも一応ある(伝統的な、古いモノなのかも知れないけれど)日本の場合、「ミツバチの切り替え」は比較的容易な国のハズだ。極端な話、近い将来セイヨウミツバチが絶滅危惧種の仲間入りを果たしたとしても、「日本の果物産業は大丈夫」なはずだ。そうでなかったとしたら、農水省の怠惰以外の何者でもない。そんなコトになるほど、農水省は無能じゃないと思うけど。
 
 ミツバチ減少問題に関しては、最低でも「世界全体の問題、世界レベルでの対応が必要」「農水省の対応も重要」「ニホンミツバチへの切り替えとその問題点」まで報道して、やっと「キチンと報道したことになる」と思う。けど、実際は…ここに「日本の危機管理がなってない理由」を見いだせるような気がするんだけど、どうかね。
 
 なお、「たかがミツバチのことじゃん」と思わない方が良い。当事者にとっては死活問題である以上、同じ問題は人間に関する現象でも当てはまると考えるべきでしょ。そんなわけで、新型インフルエンザに対しては、色んな意味でもう少し冷静になった方が良いと思うぞ。