2月13日2007/02/14 02:19

 気がついたら、編集作業を5本同時に抱えていた。同人誌の話ではない。仕事上の話である。しょせんシロート仕事なので、どれもこれも〆切には余裕があるけどさあ。ストレスたまりまくりです。片っ端から全部誰にも見えない文字で「編集:F男」って入れてやりたいぐらいだ。
 
 つーわけで心底おバカなことが書きたい気分なので、本日のお題はボードゲーム「ウルトラマン」とする。おバカと言えば、これほどおバカなものはないと思うな。
 
 ここでいう「ウルトラマン」は、その昔バンダイから出ていたモノである。恐ろしいことに、一応シミュレイションゲームだと分類されていた。まあ、言われてみればそんな気もしなくはない。ただ、今から見ると「ちょっとだけ難しいファミリーゲーム」でしょ。その程度のルールしかない。
 
 やることは、怪獣使ってビル壊したり、ウルトラマンと戦うこと。ただまあ、一番良くある遊び方はバトルロイヤルでしょ。深く考えずにボカスカ殴り合う。深い思考より脊髄反射で楽しむ。まあそんなもんだ。
 
 悪名高いのは、戦闘解決システム。じゃんけんである。確か「パンチキック」は「つかみ」に勝って「体当たり」に負けるんだったかな。単純明快。これでいいのか、多いに考えちゃうレベルのモノではある。
 
 しかーし!実はこの戦闘システム、「じゃんけんじゃねえか!」という某氏の一言で片付けちゃうのは、ちょっともったいない。確かに基本はジャンケンだ。けど、だからってゼットン(最強キャラ)がジャミラ(最弱の1匹)に簡単に撲殺されるワケじゃない。そこは一応ちゃんと考えてある。
 
 基本的な「勝ち負け」はジャンケンなので、グーを出せばチョキに勝ってパーに負け、グーなら引き分けである。だけど、強い奴が弱い奴相手に「勝て」ば、どでかいダメージが入る。さらに、引き分けでも相手の方が多くダメージを喰らう。負ければ一方的にダメージ喰らうけど、その「痛さ」は少し弱め。力が拮抗しているんならともかく、かなりの開きがある場合は強い方が有利である。
 
 話がケンカレベルなら、これはこれで納得のいくシステムである。お互い大した技を持ってるワケではないので、「技が当たったかどうか」なんてのは運次第。五分五分として扱ってもさほど的外れじゃないでしょ。けど、一発のダメージが違う。打たれ強さが違う。「弱い」側が勝とうと思ったら、それこそ半端じゃない幸運の助けが必要でしょ。
 
 このシステムが緻密だとか、洗練されてるとか言うつもりはない。けど、手軽な割に結果に納得がいくのも事実。実を言うと、「6でなさいシステム」に似たような思想を読み取れる気がするね。
 
 たとえば「East Front」。赤軍歩兵4戦力が守っている平野に独軍が踏み込んだとしよう。最初の戦闘ラウンドだけ考えた場合、独軍が1戦力歩兵で攻めようが装甲フルスタックで攻めようが、独軍側の損害に大きな違いはない。1戦力歩兵なら「全滅したらそれ以上損害喰らわない」とか、歩兵じゃなくて装甲に傷が入るのは…ってのはあるけどね。1ラウンドごとの戦闘だけ見た場合、損害喰らうかどうかは運次第だ。
 
 ただまあ、「最後に勝つのはどっちか」とか、「勝つまでに要する時間は」なんてことも考えた場合、数が多くて質が良い方が有利である。当たり前だ。「ウルトラマン」だってこれと同じ。「East Front」のステップ数に当たる「体力」が多い方が大抵勝つ。
 
 こう考えると、実は「じゃんけんシステム」もそう馬鹿にしたモノではない。目先の勝ち負けだけでなく、「勝った時・負けた時・引き分けた時」のダメージ期待値計算をちゃんとやれば、それなりに納得がいく結果になるのだ。そりゃあかなーり荒っぽいシステムではあるけど、シミュレイトする対象が「ケンカ」であることを考えれば、むしろコッチの方が正しいでしょ。
 
 ただまあ、褒めるばかりじゃ芸がない。ちゃんと弱点も指摘しないと。このシステムの弱点は何か?「連携」を表現しにくいことだ。ザコが束になってかかっていっても、個別にじゃんけんすることになるので、結局「まとめてやられるだけ」になりがち。まあダメージが分散する分、多少戦えるようにはなるけどね。怪獣同士の殴り合いならこれでいいかもしれないけど、他はそれじゃ駄目でしょ。
 
 「ウルトラマン」の問題点は、実はココにあるのかも知れない。「深く考えない、怪獣同士の殴り合い」をシミュレイトすることを考えた場合、このゲームは良く出来ている。けど、あまりにもマッチしすぎて応用しにくいのだ。私の見解では、ド派手な連携技が重要な「戦隊シリーズ」はもちろん、「仮面ライダー」にさえ応用できないような。ショッカーの怪人はもっとアタマいいだろ。
 
 このゲームには熱狂的な?ファンがいるってのは有名だし、私もたまーにプレイしたくなる。これはこれで大したものだと思う。けど、システム面で広がりがないってのは、ちょっと痛いかな。シミュレイションゲームってのはどうしてもルールがフクザツになるので、ある程度応用があって過去のゲームの経験が生かせないと大変だからねえ。今となっては風化しかかってるシロモノなのも、仕方ないような気がする。
 
 ちなみに、無理矢理応用させるとすれば…うーん、「ヤンキー高校生の全国制覇」ってテーマなら、かろうじて応用できそうな。タイマンが基本なんだから、ロクな連携できなくて当然でしょ。何?そんなゲームはプレイしたくない?そりゃそーだ(笑)。
 
 もう少し真面目に考えるか。このシステムの利点は、「一騎打ち要員を同時に複数操れる」ことにあると思う。イメージとしては、多数のキャラが個別に目標に向かって突き進むような。うまくデザインすれば、SF・ファンタジー・時代劇なんかを題材にゲーム作れるんじゃないかなあ。私は作る気無いけど。
 
 世の中ってのは面白いモノで、意外なモノが意外なところで相性が良かったりする。浅い分析だけで片付けていたら、色んな意味で損だと思うな。良いならドコがどう良いのか、悪いならドコがどう悪いのか、馬鹿にしないで分析してみることも面白いんじゃないかな。ま、だからってよりによって「ウルトラマン」を分析したのは、ストレス溜まってるからに過ぎないんだけど。あーくそ、オレもジャミラみたいに暴れたいぜ…