12月28日2007/12/29 01:02

 これが今年最後の更新になるのは間違いない。明日からの3日間で「燃え尽きる」ので、年明けの更新もいつになるやら。つーわけで、これを語っておかないと年越しできそうもない…ってものを。なに、つまらんネタです。そーゆーものほど語らないと年越せない気がするので。
 
 先日忘年会の連チャンがあり、そこで色んな話が出た。重要な話、そうでない話色々取り混ぜて。その中の1つに、「大阪冬の陣のゲーム」って話があった。これについては、ちと考えるところがあったので追加して語っておこう。
 
 この時の話は、私の記憶が正しければ「大阪冬の陣のゲームは面白くなるか?」という話だった。私は酔っていたこともあり、あまり深く考えず「難しいのでは」と返答したんだけど…ちょっと浅い考えで返事したかなと。正直結論は変わらないかも知れないけど、ド真正面から取り組んでみよう。
 
 大阪冬の陣。豊臣家が滅亡するに至った戦いである。豊臣方は大阪城に籠もって徳川方を撃退した…んだけど、淀君が「大砲が五月蠅くて仕方がない」とゴネたので和睦を結ぶに至る。この時「外堀だけは埋めさせてやる」って約束だったのに内堀まで埋められ、大阪城が城として役に立たなくなったところを再度攻められ、豊臣家滅亡。ま、大まかな流れはこんなものだ。
 
 正直、「何故冬の陣をゲーム化?」って気はする。城に籠もる大阪方を徳川方が攻めて撃退され…ってだけじゃ、あまり面白くなさそうだ。その点、むしろヤケクソ気味に野戦を行い、案の定散った(当たり前だ)夏の陣の方が、まだゲームとして面白いような。私が返事をした時点での考察ってのは、このレベルに留まっている。
 
 実際「大阪冬の陣のゲームを作れ」って言われたら…まず思いつくのが、攻城戦ゲーム。思い切って開き直って、城攻め「だけ」のゲームにしてしまう。今までにないテーマのゲームだし、こーゆーモノを作るなら、他の戦いじゃ難しいような気がするので。戦国時代では、案外馬鹿正直な攻城戦って少ないし。作戦級ではなくて戦術級だな。ただまあ、戦国時代をテーマにした戦術級ってのは独特の難しさがある。相当ヒネらないと「なんかオカシイ」ゲームになるような。
 
 作戦級で作るとしたら、攻城戦だけじゃ面白くない。それは間違いないんだけど、だったら何で冬の陣?大阪城がマトモな状態なのに、野戦をする必然性は薄い。いずれにせよ勝てないのは間違いないとしても、城を頼った方がまだ「戦える」わけで。実際冬の陣だけ考えたら守りきっている。あの結果を「大阪方敗北」(内堀を埋められるから)と位置づけ、出陣を強要することは出来る。でも、だったら「最初から出陣するしかない」夏の陣でいいじゃん。
 
 そもそも、大阪方に勝ちはあったのか?「ない」ってのが模範的解答だけど、それだと工夫の余地もない。何かしらないものか…って考えていたら、一応思いつきました。正直、マトモな解答ではないけど。記憶の底に封印したまま墓場まで持って行く方が、世のため人のためになるんでないかってくらい。ただまあ、ここは「そんなモノを書き散らす場所」なので、あえて書いちゃう。
 
 大阪方が勝つためには何が必要なのか?私の出した答えは1つ。「家康の死」だ。だから野戦で家康の首を獲れば…ってのは「マトモな」考えだ。そうじゃない。戦場で首獲られようが鯛の天ぷら食い過ぎだろうが、とにかく豊臣家が滅亡する前に徳川家康があの世に行けば「豊臣方の勝ち」じゃなかろーか。
 
 実際、家康抜きの徳川家が豊臣家を「征伐」できたかどうか、そもそもする気になったかどうかは微妙だ。とりあえず問題を先送りしておいて、じっくり時間を掛けて弱らせて…という選択肢もあったはずなので。まあいずれにせよ先があるとは思えない豊臣家の勝ちと言えるかどうかはともかく、徳川家にしてみれば敗北気分でしょ。
 
 そこで思いついたのが、「事前の戦力決定」と「家康の寿命」の連動だ。大阪方の戦力ってのは、関ヶ原の戦い以後に生じた大量の浪人が重要。真田幸村も後藤又兵衛もコレだし。これを活用しちゃう。アホな話だけど。
 
 私のアイデアはこうだ。まず、「家康の寿命」ポイントを設定する。東軍は、これを使って「取り潰さない」大名家を決定する。家康にしてみれば上杉家だの毛利家だの島津家だの…って連中は「できればとっとと滅ぼしたい」大名家だ。そこを我慢するのでストレスで寿命が縮まると(笑)。もちろん福島正則だの加藤清正だの浅野長政だの…といった「関ヶ原では東軍だったけど、元々は豊臣家の連中」も滅ぼしたい。
 
 そうやって「枕を高くして眠れる」ようにしまくると…大阪方に山のような軍勢と優秀な武将が集結するわけだ。かといって浪人が発生しないように色々と恩情をかけ、真田幸村を大名にしてやったりすると、家康がストレスで憤死する。その辺のバランスをどう取るのか…ってトコロからゲームにするのだ。アホなアイデアでしょ。ただ、これぐらい盛り込まないとゲームとして面白くなりそうもないんですが。
 
 むろんこれだけだと単なる「ゲーム前の余計な作業」だ。そこで、カード引きだのダイス振りだのを上手く盛り込み、「ここだけプレイしてもある程度楽しめる」ものにする必要がある。なんか本末転倒っぽいって?ただ、個人的にはむしろコレが「正しい姿」ではないかと思うのも事実。天下の帰趨なんてものは関ヶ原の時点で決まっていて、大阪の陣なんてしょせん「戦後処理の一環」じゃないかと思うので。大阪方に誰が参加したかどうかなんて、結局は徳川幕府の「どの大名家は生き残らせてやるか」という都合の副産物に過ぎないのでは?
 
 まあ、実際この着想に従ってゲームを作ったとして、面白いモノに仕上がるかどうかは未知数。駄目じゃないかって気がするけど(苦笑)。ただこれだけは言っておきたい。あえて「大阪冬の陣」をゲーム化する以上、そこには何かしら「冬の陣である必然性」が欲しい。直後に夏の陣という同じ「どーしよーもない戦い」があり、こちらは開き直って野戦するしかない。「籠城していたら駄目だ!」と言いたいのならこちらをゲーム化すべきだし、「適当に野戦して、駄目なら籠城していればOK」って形でバランスを取るぐらいなら、最初から単に籠城すべきだ。
 
 ゲームバランスがどうこうというのは大事だ。誰も「負けが決まっている」ゲームなんてやりたくない。しかし、実はこの世界、大事なのは「過程」である。我々は職業軍人ではないので、別に「単なる作業に終始する、つまらない戦い」をプレイする必要はない。あえてゲーム化する以上、そこには「プレイするだけの面白さ」が存在しているべきだと思う。これは「一方的と思われている戦いから、面白い要素を見出す」のとはまた別だろう。攻城戦に終始した大阪冬の陣をゲーム化するのなら、攻城戦そのものに面白さを(何とかして)見出すか、あるいは最初から「城をアテにしてはいけない」って状況を作り出すかであり、「だって夏の陣と違って大阪城が健在だから、ゲームバランスは取れるじゃん」って発想でゲームを作るのは不毛だと私は考える。
 
 余談だけど、コマンドマガジン最新号付録となった関ヶ原テーマのゲームの題名が「天下強奪」なのは、これが家康主役の関ヶ原ゲームだからだと思う。もちろん家康が討ち取られたり豊臣秀頼が出陣して西軍の勝利と言うことも考えられる。しかし、基本的には東軍が「関ヶ原を越え、畿内の城をどれだけ獲ったか」で勝敗が決まる。この状況のドコが西軍の勝利だと?あれは「家康が勝つか、黒田如水が勝つか」を争うのが基本だと言わざるを得ない。小早川が裏切ること確定で毛利や島津にやる気がない(自発的に接敵出来ない)のでは、西軍にはその程度のコトしかできないだろう。ただ、「どーせそれが精一杯ですよ」という開き直りのある西軍ってのは、独特の違和感があるのも事実。その点では、似たような発想に基づいて遅滞戦術に徹してると黒田如水に九州席巻されて本州に上陸される(その姿が目に見える)ので、駄目を承知で大合戦に全てを賭けたくなる「戦国の一番長い日」の方が、ゲームとして好みに合っているかなあ…って気がする。「天下強奪」は、三成の苦労は描けても苦悩は描けていない。ただまあ、それでもかなり楽しめるのは事実。ゲームってのは「全てを再現できるワケじゃない」のだから、あれはあれでいいのだ。
 
 冬の陣なら大阪城が健在だから…と考えるのは、別にものすごくマズいワケではない。そーゆー方向でデザインするのもアリだと思う。ただし、その方向で行くなら、私に意見を求めるのは間違いかな。私は「大阪城が健在だからこそデザインすべきじゃない」って発想の持ち主なので。プレイして楽しめないとは言わないけど、ゲームをデザインするためには「その上の段階」が必要だからねえ。「JCで醜態を見せたモンジューにオゴってもらうくらいなら、エアシャカールで玉砕する!」「恨み重なるモンジューの息子にオゴってもらうくらいなら、ハーツクライと心中だ!」と叫んで使っちゃイケナイお金投入するような奴にしてみれば、大阪城があるからこそ冬の陣をデザインすべきじゃないって結論になるのは当然でしょ(苦笑)。
 
 とまあ、「大阪冬の陣」ゲーム化について色々語ったわけだけど…心底役に立たない内容である(苦笑)。ある意味わかりきったことを羅列してるだけだからなあ。ただまあ、一応は私なりのデザイン哲学(デザイン経験があるワケじゃないけど)みたいなものも語られているので、無価値ではないような。ただ、「そのデザイン哲学こそが一番無価値だ!」って気がする(偉そうなこと言う前にデザインすべき)んだけどね。