1月25日2009/01/25 02:39

 風邪引いた…ので、ちょっとお休みしてました。まだ完治はしてないけど、かなり良くなったのでご安心下さい。
 
 本日の話題は、私が風邪引いた原因かもしれない「シミュレーションゲームは欧米で人気が低い」って発言について。あまりにも腹立たしい発言なので、詳細にツッコませてもらいます。読めば理由はわかると思いますが、基本的にはこの色の話題です。
 
 この発言はドコから出てきたのか?コトの始まりは「日本のゲーム(コンシューマー用)の世界シェアが低下中」ってニュース。何でも、世界全体で20%程度に落ち込んでいるんだとか。ファミコンやプレステ、現用機のWiiとPS3が日本製だってコト考えれば、かなり低下したんだなってのはわかる。わかるけど…ちなみに「世界に冠たる」日本車の世界シェアって、推定で30%くらいか?「元は日本語」って文化障壁と、欧米でのコンシューマーゲーム市場は急成長中だってコトも含めて考えれば、むしろこれぐらいがフツーだろって気がするんだけど。
 
 この話自体もツッコミどころ満載だけど、問題はその原因として「ゲーム業界に詳しい○○証券シニアアナリスト」なる人物が語ったモノ。理由その1として「得意としていたRPGやシミュレーションゲームは欧米で人気が低いこと」と発言しているのだ。まさに「寝込みたくなるような発言」ですな。
 
 ボードウォーシミュレーションなるモノを趣味として20年以上になるこの私だけど、コンシューマー&PCも含めて「日本がシミュレーションゲームを得意としていて、欧米よりも人気がある」なんて話は初めて聞いた。この業界が流行らない理由が「ボードによる対人対戦」って部分にだけ問題があるのなら、何も今までこんな苦労しなくても…そりゃあね、今まで我々ボードシミュレーションゲーマーは「とにかく業界を支える」コトだけに注意を向けてきて、外に向かって「シミュレーションゲームとは」って説明はほとんどやらなかったのは事実。だからって、これが世間一般の認識なんですか!正直、私は「何かに負けた」気がしますね。
 
 まずはそもそも論から。広い意味での「シミュレイションゲーム」って、どんなゲームだ?シミュレイションってのは、「模倣」って意味だ。つまり、何かを「真似ている」ものを指す。これだけだと、かなりのゲームが該当しちゃいますね。そこでフツーは、私がやっているような「ウォーシミュレーションゲーム」を指すコトが多い。
 
 ただまあ、PC・コンシューマー系のゲームにおいては、もう少し広い意味でこの用語を使っているコトが多い。ぶっちゃけた話、ある意味別のジャンルに属する「経営戦略モノ」「育成モノ」が含まれている。これらについては、少し詳しく解説しよう。なお、「フライトシミュレーター」は流石に別ジャンルでしょ。
 
 実のところ、大抵の日本人が「シミュレーションゲーム」と聞いて連想するのが、「経営戦略モノ」である。欧米じゃ「ストラテジー」(戦略って意味)ってジャンルに属しているのかな。ウォーシミュレーションゲームが比較的細部の再現まで目指しているのに対し、こちらはそういう部分はザックリしたモノに留め、より大きな部分(金や兵力の有無とか)を使ってどうこう…ってモノ。日本における代表作は「信長の野望」(光栄)シリーズかな。
 
 このストラテジーものの変形が「育成シミュレーション」かな。とにかく、何かを育てる過程をシミュレートしている奴。競走馬やスポーツチーム、アイドルや「フツーの女の子」、果ては巨大人型戦闘機械操縦者なんてモノまで育てるゲームがあったものだ。ちなみに、私も色々と育成してきた覚えが…特に、「綾○育成計画」には泣かされたものよ。生物としての出来の悪さはさておき、「キモいオッサンか根性ナシのクソガキにくれてやるのがイヤなら、自前で引き取れ」ってのは、今でも納得いかん…
 
 確かに「信長の野望」シリーズは売れた。育成シミュレーションも、それなりに数が出ている。けど、だからってこの分野は「日本ゲームの得意分野」なのかぁ?洋ゲーにはあまり詳しくないハズの私でさえ、「ポピュラス」「シヴィライゼーション」「エイジ・オブ・エンパイア」などなど、いっぱいあると思うんですが。そもそも、「シムシティ」に代表される「シムシリーズ」のシムって、多分「シミュレーション」の略だと思うんですが。まあ、強いて言うなら、欧米ではあまり「育成モノ」の話は聞かないぐらいだ。これはおそらく、欧米の方が「リアル指向が強め」だからだろう。向こうのスポーツ系経営ゲームって、「今いる地位を保つのに一生懸命」ってモノ(実はドコも大抵そうだ)が主体らしく、日本人みたいに「好きなチームを世界レベルに!」なんてバランスにはなってないようなので。
 
 それにだ。「純シミュレーションゲーム」「ストラテジーゲーム」「経営ゲーム」「育成ゲーム」に共通する要素として、「扱う対象は、親近感を得られやすいモノがいい」ってのがある。よって、フツーの日本人は「日本の○○」を扱ったゲームを好む。例外はいっぱいあるけどね。ただ、こーゆー作品をそのまんま海外に持って行ったって、ウケるワケがない。親近感が湧かないからだ。
 
 いや、コトは親近感以前の問題だ。サッカーチーム経営ゲームを考えてみよう。日本のJリーグのチームを「育ててみたい!」と感じるのは、まあ日本人と香港人(Jリーグもサッカーくじの対象なので)ぐらいである。サッカーがマイナーな米国人はさておき、英国人や仏国人なら自分の国のチーム育てようと思うでしょ。そもそも、チーム名知っているのかどうかさえ疑問だし。応用が利くモノも考えられるのは事実だけど、フツーは「文化の壁」がブ厚く立ちはだかる。単に「表記を全部英語にしました」だけで片付く問題じゃない。
 
 あくまで私個人の印象で語るなら、日本人言うところの「シミュレーションゲーム」が売れているのは、むしろ欧米の方ではないかと。どうも日本独特のモノらしい「育成シミュレーション」のことを考えに入れたとしてもだ。更に、システムが発達しているのも、どちらかと言えば欧米ではないかと。あくまで「全般的に言えば」だけどね。欧米モノは「扱っている題材が意味不明でも、プレイさえすればハマる」って領域に達しているモノがいくつかあるのに対し、国産は「題材がマイナーになると、プレイしてもらえない」ものが中心になっちゃうような。コンシューマーゲームなんてものは、個人や会社の情熱だけじゃあ回らないほどデカいカネが動く世界だけに、どーしてもある種の限界はある。日本のゲームメーカーも相当頑張ってはいるんだけど、やはり欧米に一日の長があると思うな。
 
 にもかかわらず、某証券会社のお偉いさんは「日本はシミュレーションゲームが得意」「でも、欧米では人気が低い」などと分析してみせたわけだ…なんか、私の意見と真逆なんですけど。間違っているのは私か?可能性はあるけどね。ただ、これでも私は一応「ゲーム好き」だ。ゲーム関連の知識にはかなーり接してきている。それが全部間違いだとは、とても…それよりかは、このお偉いさんが「日本で言うシミュレーションゲームって、欧米ではシミュレーションゲームに分類されないものが大半」って知識抜きで、日米の「ジャンル別ゲーム売り上げ」比較しただけ…って可能性が高いのでは。
 
 あくまで「私が思うに」だけど、このお偉いさんは「ゲームに詳しい」のではなく、単に「ゲーム業界の数字をよく見ている」だけって気がする。ゲームのことロクに知らないので、その数字が何を意味するのかも結局よくわかってないのでは。その程度の人間が、「ゲームに詳しい」人間として紹介されるなんて…先日紹介した「飲茶抜きで香港の食文化を語ろうとするミシュランガイド」に匹敵する、アホっぷりだ。
 
 問題はだ。こんなアホな分析しかできない人間が、証券会社のお偉いさんってコトだね。普通、ゲーム会社が「自社のゲームを海外で売りたい!」と思ったら、そのための資金が必要だ。資金だけじゃなく、向こうで売り込むためのコネとかも必要でしょ。そーゆーものを用意するのって、証券会社の大事な仕事の1つじゃなかったか?それを考えれば、なんか「海外で日本のゲームソフトが売れなくなってきている」のも、わかる気がしますね。ゲーム市場の分析すらロクにできない奴が偉そうな顔してる会社がサイフ握っているんじゃ、そうなるでしょ。
 
 まあ、我々「ゲーム好き」も、あまり偉そうなことは言えない。ゲーム自体には詳しくても、「ゲーム市場」がどうこうって話はできないからね。その意味では、この世界の動向を一般人相手に語れる人材を育成してこなかったって罪はあるような。その結果として痛い目を見るのは、ゲーム好きの方だろうからなあ。今からでも遅くないから、コンシューマーゲーム業界は色々考え直した方がいいんじゃない?まあ、ボードシミュレーションゲーム業界は、もはやそんな段階じゃないんだけど(苦笑)。

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