3月1日2007/03/02 02:08

 3月である。カレンダーめくるのが大変だった。全部めくったかどうか、自信ないぐらい(苦笑)。ま、そのうち気がつくと思うけど。
 
 本日のネタは、何となくこの色で。そのうち書こう書こうと思っていた、PS3ネタにしよう。いやあ、まさかこうなるとはね。
 
 以前書いたように、私はPS3に少し否定的な見方をしていた。余計な機能充実させて、高いカネふんだくってんじゃねーよと。それでも、まさか大ハズシはしないと思っていた。にもかかわらず、ここ最近聞こえるのはネガティブな情報ばかり。どうも、「やっちゃった」んじゃないかって疑問まである。今回は、その辺を少し整理してみよう。
 
 まず、供給体制がマズかった。最初思いっきり品薄で、その後ダブついてたみたいだからねえ。このパターンは、一般客相手には極めてマズイ。初期は「並んでまで買いたくない」と買い控え、気がつくとダブついてる=「なーんだ、売れてないのか」と判断され、先送りにされるからねえ。ライバルがいないのならコレもありだろうけど、フツーの奴はWiiをライバルと見なすからねえ。出鼻をくじかれたのは間違いない。
 
 それよりも驚いたのは、遠い将来とはいえ、「心臓部分」(CELLとか言ったなあ)の石を外部委託生産するかも…ってニュースだな。この石はPS3の売り上げとはまた別に、Sonyグループの中核を担うことが期待されていたはず。値下げしたときから「野心を引っ込めたな」とは思っていたけど、ここまでとは。
 
 何で外部委託生産だけでこうなるのか?Sonyの勝手な構想によると、このCELLって石は、IntelのCPUに取って代わって…ってなシロモノだ。別にPS3自体がPCに取って代わるワケじゃないけど、将来の進化を考えたら…って意見はあったらしい。純粋にチップの実力だけ考えたら、あながち夢物語じゃないそうな。それだけの野心を込めたシロモノを、外部に生産委託するか?普通しない。どうやら、何かとてつもないモノを諦めたんじゃないかと思えるんだけど。
 
 まあ、この2つのニュースだけなら「愛嬌」で誤魔化せる気もする。個人的に一番マズいと思うのは、「欧州で発売するPS3」でしょ。これのどこがヤバいのかって?報道によると、欧州版はPS2のソフトがあんまり動かないんだと。しかも、欧州版と同じ作りのPS3を、そのうち日本でも販売予定なんだと。ふーん…
 
 いやね、Sonyの言い分はわかる。今のPS3は、一応「PS2のソフトを動かすためのチップ」を積んでいる。その割には「動かねえ!」って話が山ほど出てた気もするけど。欧州版は、このチップを省略するそうな。ただ、その代わりにOS(ゲーム機にも一応ある。Windowsと一緒にはできないけど)をバージョンアップさせるので、埋め合わせができるはずだった。
 
 ただ、コレはあくまで理屈。現状専用チップ積んで「互換性が低め」なんて叩かれてるくらいだ。もっとOSの完成度を上げないと、「動かねーぞ」って文句は間違いなく出るでしょ。いずれこういう製品が出回るのはわかっていたことだけど、どうも予定を繰り上げちゃったらしい。
 
 この決断の何がマズいって、PS3はこれから先、PS2を「敵に回す」ことになりかねないことだ。だってそうでしょ。下位互換性に重大な疑問が付く以上、「PS2ソフトじゃなくPS3ソフトがプレイしたい」と思わせなけりゃ、TVに接続してもらえない。そりゃあね、PS3の性能考えれば、仮に下位互換ゼロでもやっていけるのは間違いない。けど…今はタイミング悪いよ。まだPS2の新作が出てるってのに。これではWiiに対する優位が減ってしまう。
 
 何でこんなコトになったのか?私にはよくわからない。その昔、サクラローレルって馬が秋の天皇賞ってレース負けた時を思い出す。この時の鞍上は「出遅れて、内に包まれて、強引に外ブン回して届かない」という、「どーやったらサクラローレルで秋の天皇賞を負けられるか」って見本を演じてくれたモノよ。Sonyがどうもコレに匹敵するコトをやらかしたってところまではわかるんだけど、何でそんなコトする気になったのかは…「経営手腕がこの時の鞍上(無意味だけど、あえて名は伏せる)並」ってことなのかぁ?
 
 ただまあ、強いて思いつく点を挙げるとするならば、「PS3は結局ゲーム機」ってことをカン違いしたんじゃねえか?ってのがある。「PC様にケンカ売るなんて身の程知らず」って意味ではない。ゲーム機だからこその利点が、デッカイ野望の足を思いっきり引っ張ったあげく迷走したんじゃないかってことだ。
 
 ゲーム機だからこその利点とは、「本体価格赤字でかまわない」である。対応ソフトが売れれば、そこから回収できるから。これがあるからこそ、PS3のような高性能マシンをあの値段で売れるのだ。普通に考えるなら、高性能PC並の価格で売られててもおかしくないのに。
 
 多分Sonyの野望は、「高性能のハードを安売りできる」ってところから始まっているんだと思う。価格安くて高性能、おまけにTVに接続されていて、ネット接続もしてもらえそう。この立場を活かせばリビングを乗っ取って、情報家電とやらのコントロール権握れる。そうなりゃウハウハだ…ってなことを考えたんじゃないかなあ。
 
 けど、この構想にはやはり無理があるような。ゲーム機ってのは、「ソフト売るための道具」なのだ。言ってみれば、「黒子」の立場である。そんな存在が自己主張始めれば、肝心のゲームが売れない。ゲーム売れないと、ソフトメーカーだけじゃなく自分自身も困ってしまう。だったら最初からゲーム機として売らなければ…そうすると、「絶対性能は高いけど、対応ソフトのないPCモドキ」になってしまう。おまけに価格も高い。そういうものが売れるとでも?
 
 おそらくSonyは、値下げを発表した辺りでこのことに気がついたと思われる。だからこそ、野心的な生産計画縮小したんじゃないかなあ。性能の高さだけで「脱ゲーム機」なんて無理がある。しょせん黒子なら、そんなもののために高いカネ払って生産工場作る意味ないよ…ってことでしょ。けど、基本部分は当初の野心を引きずったまま。無駄に高性能だ。そのため生産に色々問題があるので、「PS2ソフト動かないバージョン」を繰り上げ投入しちゃったのでは。まあ、実際はもっとフクザツで、私なんぞには理解できない理由がいっぱいあるんだと思う。とはいえ、おおむねこんな感じの迷走やらかしてるんじゃないかなあ。
 
 この先PS3がどーなるのかはわからない。ビッグタイトルも出たことだし、そのうちちゃんと売れるんじゃないかと思うけど…ただ、PS2の時のようなウハウハ時代は来ないかも。それはそれで困るような気がするんだけど、Wiiがあるからいいのかな。
 
 なお、最後に耳が腐る情報を。おそらくそう遠くない将来、日本でも「PS2ソフトが動かないPS3」が発売されます。このことを考えた場合、PS3は今こそ買いじゃないかなあ。そうじゃないと、「Sonyタイマー」が発動してPS2が壊れた場合、困っちゃうからね(苦笑)。