9月7日2005/09/08 01:16

 日本代表勝ちましたねえ。でも、あれはちょっと…ま、「決定力不足」が解消したんだから良しとするか。
 
 昨日紹介した「銀河ヒッチハイク・ガイド」にそーゆーシーンが出てくる関係上、気になったので書いておくことにしました。本日のお題は「人間を宇宙に放り出すとどうなるのか」。
 
 宇宙空間ってのは過酷なところで、宇宙服なしで放り出されたら色々大変なことになる。特に影響が大きいのは、真空だってことでしょ。そこでまず、人間をいきなり真空に放り出すとどーなるのか検証してみよう。
 
 ある資料によると、2~3分だったら生きているって動物実験結果があるらしい。これはNASAなどが宇宙飛行のために求めたデータなので、SFなんかじゃ結構活用されてる。宇宙服なしで宇宙に飛び出し、何かするって記述は結構多いのだ。映画「2001年宇宙の旅」にもそんなシーンがありましたねえ。
 
 よくある勘違いとして「目玉が飛び出し、血液が蒸発して即死する」ってものがあるけど、これは間違い。これは動物実験で確かめられているし、宇宙船の事故でも「そうはならない」ってことが確認されてる。目玉が飛び出るってのは深海魚を水揚げしたときの様子(確かに目が飛び出る)から言われていることだけど、魚と人間じゃ眼球の構造が少し異なるのでこうならない。血液に関しては、血圧があるおかげで蒸発には至らないらしい。
 
 ここまではいい。実は私も長いこと「3分ほど生きてるし、その間何かできる」と思っていた。ところが、最近になってこれもちょっと怪しいってデータを発見した。結論から言うと、生きてることは生きてるけど、あっさりと気絶してしまうようなのだ。
 
 その根拠となるのは、飛行機事故のデータである。民間旅客機は普通かなり高く飛ぶ。その方が空気抵抗が低くて燃費がいいから。このためもし飛行中に機体に大穴が開くと、猛烈に気圧が低下する。そんな時のため、機体には酸素マスクがあり、飛行直前に使い方教えられる。これは飛行機乗ったことある人ならわかりますね。
 
 この酸素マスク、飛行前の講習で必ず「他人に付ける前に、自分が付けろ」と注意される。よく母親が先に子供につけようとするんだそうな。けど、これはやってはイケナイ。何で?自分が付ける前に気絶しちゃうからだ。一般的なジェット旅客機の場合、30秒以内に着用しないと気絶モノなんだとか。
 
 これは、肺の中の気圧が低下すると速やかに起きちゃうらしい。事実上訓練も不可能だとか。戦闘機乗りなんかはある程度の減圧に耐えるよう訓練されてるけど、それでも肺の中の酸素量が一定以下に落ち込むとどーしよーもないらしい。真空中に放り出されれば肺の中の空気なんて即座に出て行くので、30秒も持たないでしょ。
 
 ちょっと待て。じゃあ息を止めていれば大丈夫なんじゃ?そう考えるのが人情だ。実際1分近く息を止めることは可能だろうし。けど、これも間違い。それどころか、極めて危険だったりする。理由は潜水病だ。潜水病ってのは周囲の気圧が急激に低下すると発生するモノで、ダイバーなら間違いなく注意される。
 
 潜水病のメカニズムはこうだ。急激に気圧が低下すると、血液の中に溶けてる空気(主に窒素)が泡になってしまう。こうなると血流が妨害され、色々と不都合が起きるんだな。真空に放り出されたときに息を止めてると、肺の血管でコレが起きる。その結果肺の酸素を吸収できなくなり、肺の中にいくら空気があっても酸素不足に陥るのだ。ちなみに旧ソ連の宇宙船で空気漏れが起きたとき、直接の死亡原因はコレだったとか。思わず息止めたのかなあ。
 
 NASAあたりがどう結論出してるのかは知らないけど、私が知ってるデータから出せる結論はこうなる。人間が真空中に放り出されると、数秒程度で気絶する。息を止めると多少長持ちするかも知れないけど、代償として潜水病により宇宙船に回収されても死亡する。その後仮死状態で数分間生きているけど、最終的には酸欠で死亡する。
 
 ちなみに、酸欠で速やかに気絶するんだから苦しくはないはず。「息を止めると苦しい」ってのは酸欠で苦しいワケじゃなく、肺の中の二酸化炭素濃度が濃くなるから苦しいのだ。狭い密閉空間に閉じこめられると人間苦しんで死ぬけど、これは酸欠ではなく二酸化炭素中毒を起こすからだそうな。酸欠を起こすと苦しいどころかむしろ気持ちいいってのは、柔道の絞め技で「落ちた」奴が証言している。
 
 宇宙に放り出されると、呼吸以外にも色々と問題が生じるのは間違いない。そのことは考えないとしても、宇宙服なしで宇宙に放り出された人間は、結局なーんの役にもたたないと思われる。うう、つまんねー結論だ。

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