5月11日2008/05/12 00:15

 金曜・土曜に更新できなかったのは、我ながら意外。ま、色々あったとだけしておきます。大したことじゃないけどね。
 
 本日の話題は、何だかワケわかんなくなっている「ダビング10」について。色は…悩ましいけど、この色なのかなあ。とりあえず、開始時期の延期は間違いないようです。
 
 ダビング10とは?デジタル放送にかけられるコピー制限のことである。とりあえず、9個までコピー作って良く、10回目はムーブになるんだとか。ただし、孫は一切作れないらしい。今現在デジタル放送はコピーワンス(ムーブしかできない)なので、一応便利になるのは間違いない。
 
 私はTV番組に対してすごーく冷淡(あんまり見ないからねえ)なので、このダビング10が「本当に便利なのか」「9個もコピー作らせて良いのか」といった論議は、あえてパス。これについては、かなり時間をかけてギャアギャア大騒ぎしたあげく、妥協の産物として登場したのがこの規格なので。私如きがどうこう言っても意味はない。
 
 問題は、この規格に向けて「最終合意」するはずの会議で話がまとまらなかったこと。理由は一応メーカー側にある。ダビング10の代償として、「私的録音録画保証金」の拡大を飲むよう言われていたんだけど、最後まで「賛成できない」と突っぱねたのだ。
 
 私的録音録画保証金とは?まあ、「複製作るんならお金払ってね」って名目で、機器1台ごとに科せられてる「税金」である。これについての説明も割愛。細かく語り出したら、どこまで行っても止まらないこと確定なので。
 
 とまあ、事実だけを簡単に紹介したわけだけど…私が気にしているのは、「これからどーなる?」だ。色々考えてゆくと、かなりトンデもない結論が出てきそうで面白い(当事者にはたまったものじゃないだろうけど)ので、そこをつれつれと書いてみようかと。
 
 一番可能性が高いのは、「メーカー側が折れる」かな。このダビング10って規格は「誰の目から見てもその場しのぎ」ってシロモノだとか。でも、とにかく何かしら「コレで行く」って制度を決めないとマズい時期に来ているのは間違いない。もうすぐアナログ停波の予定だからねえ。北京五輪前に決着しておかないと、「買い換えのタイミング逃してずるずるアナログ使い続け、土壇場になって大騒ぎする連中」が山ほど出現する危険性がある。それを考えれば、この土壇場で反対する奴は何であれ圧力かけまくり、「とにかくコレで行くんだ!」って決める価値はあるでしょ。ま、役人の考える「平和な世の中」とはこーゆーものだし。
 
 ただ…メーカー側が突っ張り続けたらどーなる?保証金拡大により最も被害を受けると予測されているApple(iPodが対象になるので)は、ちょっと前に「文化庁如きが著作権問題を扱うのは不適切。こんな役所はぶっ潰せ」ってな意見を表明している(あくまで「らしい」だけど)ぐらいだし。また、一部消費者団体もこの姿勢を歓迎しているようだ。私も「その気持ちはわかる」としておこう。
 
 メーカー側に勝算はあるのか?私が思うに、ありそうな気がする。考えようによっては、「現行のコピーワンスでいいじゃん」って結論が出ても困らないので。確かに、「ダビング10になりそうだ」って話をいつまでも放置しておくと、消費者は買い控えする。これはメーカーにとって痛い。しかしだ。よく考えてみれば「新しい規格になりそうだ」から買い控えするのだ。そんな話そのものをぶっ飛ばしてしまえば、買い換えを先送りする理由が無くなる。
 
 それじゃあ消費者が困る…のかは、ビミョー。確かに、現行のコピーワンスは色々使い勝手が悪い。それは認めよう。でも、ダビング10に移行すれば便利になるのか?これは何とも…クソが多少まともなクソに変わった程度で大幅値上げ…なんて感覚もたれたら、アウトだからねえ。
 
 それに、メーカー側には「人質」がある。北京五輪だ。これを機に機器を買い換えようって層は、確実に存在する。特にいわゆる「団塊の世代」はそういう行動を取りそうな世代だ。この世代が日本の消費構造の中心であり続けたことを考えれば、連中に「現行規格の品を売る」ことに成功した場合、ダビング10を通すこと自体に意義が薄れる可能性が出る。
 
 そうやって考えてゆくと、最後は究極の結論が出るかもしれない。「アナログ停波の中止」だ。正直言おう。私はその結論が出てくれないかなと、密かに期待しているのだ。
 
 そもそもだ。TVがデジタル化して、便利になるのか?「画質が良くなる」のは確かだけど、それを皆が望んでいるかどうかはビミョー。これは音の世界を考えてみればよくわかる。カネかければいい音が手に入るのは確かだけど、だからってカネかける奴はどちらかと言えば少数派。ちょっと高めのヘッドホンPCに直結した「だけ」の私でさえ、カネかけた部類に属するからなあ。「ある程度」(具体的なことはわからないけど)が保障されるのであれば、消費者は「画質が良くなるけど、ソコまでカネ出すのは馬鹿だ」と思い始める。
 
 そんでもって、デジタル化最大の恩恵である「コピーに伴う劣化がない」については、とにかく皆が押さえ込もうとしている。結果、アナログ放送より確実に不便になってしまう。その理屈はわかるけど、「だったらアナログのままでいいじゃん」って極論を吐かれた場合、何て答えるべきなのかは誰も知らない。
 
 結局のトコロ、現状では「アナログ放送が駄目」な根拠は「近いうちに停波するから」だと言っていい。いやそうじゃなくて…って理屈が存在することは私も認める。しかし、「他に意義を見いだせない」層が山ほど存在するのもまた事実。最近増加中と言われる「TVなんてあんまり見ない」連中を加えれば、こういう層は案外多いかも知れない。
 
 実際のトコロを考えると、この「究極のちゃぶ台返し」が決まる可能性は低い。国は最後はどんな手を使ってでも阻止しようとするはずだし。ただ、「ダビング10」導入計画に遅れが出たってことは、そういう動きに繋がる可能性がある。相手が降りることを期待してチキンレースで双方突っ張りまくった結果、どっちもクラッシュする可能性はあるのだからして。
 
 ちなみに、私が何で「アナログ停波反対」してるのかと言えば、実にしょーもない理由である。私はTV音声をラジオで聴く習慣があるからだ。愛用のラジオが4バンド対応(AM・FM・短波・TV)だからね。音声だけじゃ困るような番組は見ない(ニュースかスポーツ中継しか見ない)ので、これで充分なのだ。しかしまあ、アナログ停波したらTV音声が聞けなくなるのは間違いない。だから反対しているのだ。
 
 そりゃあね、世の中にはワンセグってシロモノがあるのは知っている。しかしだ。私の知る限り、「短波・AM受信可能な」携帯電話が開発されたって話は聞かない。私にこの両者は必要不可欠なので、結局ラジオは捨てられない。だったら気軽に「ドコで聞くのが一番なのか」比較できる、「TV音声ももラジオで」って方が便利である。
 
 世の中色んな人間がいるけど、こんな理由で「アナログ停波したら困る」なんて人間は少数派であり、おそらく完全に無視されている。それはわかる。でも、だからって自分が「切り捨てられて当然」とまでは思わない。自分に有利になるような動きがあったならば、それを拡大すべく意見を述べる価値はあるはず。最終的に話が通る可能性は低いけど、諦めなければ活路があるかもしれないからね。
 
 TVがどうなる、って話はアチコチで行われていて、本来ならば私如きが首を突っ込むべき話題じゃない。けどまあ、こーゆー立場からのこーゆー意見もあるんだぞと主張しておくのも悪くはないと思ったので、ネタにしてみました。これを機に、皆様も「TVと自分の関係」を見直してみると良いのでは?観るなら観るなりに、観ないなら観ないなりに必要なことだと思うので。
 
 ただ…上記論点には1つ欠点がある。私のラジオは、諸般の事情から「タイマーが付いてる会社」の製品なのだ。2011年まで故障せずに持つのだろうか…そして、買い換えたくなった時に「そーゆー機能を持つ」製品があるのだろうか…