3月5日 ― 2008/03/06 00:38
ちょっと前から寝かせておいたんだけど、ブレイクスルーを発見したのでネタにしよう。朝日・日経・読売の3紙合同のニュースサイト「新's あらたにす」について。
結論から入ろう。私は諸般の事情により、たまーに「これこれこういう記事を探してこい」と命令されることがある。よって、このサイトは「使いやすいといいなあ」って期待はかけた。一応。けど、出した答えは「駄目、使えない」である。
ただ、ドコがどう駄目なのかうまく説明出来なきゃ、ココでネタにする価値はない。どう表現したらいいのかなあ…と考えていたところ、一応それなりの説明見つけたのでネタにしてみた。解説からそれなりに経つんだけど、やっとまとまったよ。ふう…
で、ドコが駄目なのかって?実はこのサイト、要は各新聞のネット版(アサミコム・ニッケイネット・ヨミウリオンライン)へ飛ばすためのリンク集に過ぎない。リンク先のニュースに対する簡単な解説ついているけど、だからどーした。無価値とは言わないけれど、相当意味が薄い。
考えてみて欲しい。この3紙を「本気で」読み比べようと思ったら、上記3サイト全部をブックマークに入れればいい。毎回検索サイトで探したとしても、さほど手間にはならない。いちいち「あらたにす」経由で飛んでゆく理由がわからん。
そりゃあね、新聞の一面ってのは「ステイタス」だ。各新聞がどのニュースをソコに持ってきているのかは、比較する意味がある。けど、だからそれは直接新聞のネット版に飛んでいけば、一発で確認できるんだってばさ!イチイチ並べる意味はドコに!
しかもだ。基本構造がこんな感じだから、「同じネタをどう書いているのか」比較しにくい。このサイトでそれが確認できるのは、「重要なニュース」だけ。これだったらポータルサイトのニュース欄の方が、ナンボか使える。はっきり言おう。ネット時代にまるで対応できてない。意味なし。
これを見て思いだしたモノが、先日めでたく?消滅した、Yahoo!Japanの「カテゴリ」欄である。ココにも確か新聞各紙のサイトへのリンクがあったよなあ。結局これと似たような意味しか持たない。Yahooでは先日のトップページデザイン更新で「存在意義を失った」として撤去されたってのに。明らかに「Google登場以前」の感覚である。
このサイト、おそらく狙いは「ネット上の新聞スタンド」なんだと思う。日本人だとキヨスクの方が身近かな?要は「さーて、新聞買うか」と立ち寄って、各紙一面をちらっと見て、特に気になる点がなければお気に入りの新聞を買う…って行動の延長上から産まれた発想なんでしょ。この発想は、有料で、ある程度の重量を持ち、廃棄するのもそれなりの手間を必要とするモノ…つまり、「新聞そのもの」を相手にするのなら、決して間違った行動ではない。
しかし、これがあるのはネット上。基本的に全部タダ。さっと表面だけ読んで後はクリック一発で捨て去ることが可能な世界では、こんな「ちらっと紹介」みたいな半端なモノはいらない。新聞本体をさっと眺めてゴミ箱ポイ…が当たり前なのだ。新聞3つだけ、しかも1面・社会面・「デカいニュース」限定のポータルサイトに、何の意味がある?
私の意見としては、「読み比べ促進」という発想は間違ってない。そういう視点は悪くないでしょ。けど、手法が間違っている。本気で読み比べを促進したいのなら、ネット新聞の記事の脇に「○×新聞の一面を読む」とか、「このニュースを○×新聞で読む」ってリンクをつけるべき。そこまでやらなきゃ、読み比べの促進にはならない。実際コレをやるのは大変だと思うけど、中途半端なサイト立ち上げるくらいならソコまで踏み込まなきゃ駄目だ。はっきり言って、危機感が足りてない。
ネットはその特徴として、「目的のモノをよりダイレクトに探せる」というのがある。新聞の場合、お目当ての情報を見つけるために新聞をぱらぱら開いて…となり、お目当ての情報見た後も他の記事をついでに…となる。ネットの場合は、よりダイレクトにお目当ての記事を探し出して読み、他の記事は無視できてしまう。よって、読み比べをやらせたいのなら、ポータルサイトのような「膨大な情報を詰め込んだサイト」か、お目当ての記事そのものにリンク先がないと意味がない。そうじゃなきゃ、「中抜き」される。単なる余計な寄り道だからね。ポータルサイト経営なんて新聞社の手に負える事業とは思えない以上、打てる手は1つじゃないの?
ネット時代で大事なことは、「アテンションの獲得」だと言われる。要は、いかに注目を集めるかってことだね。新聞の場合、「お目当ての記事の横にある」ってだけでそれを達成することが出来た。けど、ネットの場合は必ずしもそうならない。それ自体の価値が薄ければ、何に付属していようとも無意味・無価値だ。
これは何も、「誰が読むのかわからんニュースなんて…」って意味じゃない。ニュースはそれ自体で価値が高い。問題は、「あらたにす」はそれ自体記事でも何でもないってトコロにある。要はこれ、「新聞の目次」なのだ。目次それ自身は価値低いでしょ。ネットの世界じゃ「高性能汎用目次」(検索サイトやポータルサイト)が幅を利かせている以上、新聞限定の目次(しかもヘコい)に注意が集まるワケがねえ。つーことは、このサイトの存在目的である「読み比べ促進」がうまくいくとも…
この企画、誰がどういう経緯で思いついたのか知らないけれど、思いっきりアイデア倒れではないかな。多分、「Web2.0」以前のインターネット社会が理解できてない。「使えない情報ポータル」なんて、誰が見向きすると?ネットリテラシーが低い奴がターゲット…ですらない。そーゆー輩はどーやって「あらたにす」にたどり着くんだ?私がざっと探した限りでは、新聞社のサイトから「あらたにす」へのリンクは発見できなかった。つまり、サイト開設のニュースにあるリンクたどるか、検索しろと。へー。ネット使う能力が低い奴にソレを期待しろと。ふーん。
最後に、なんでまたこんな激しいバッシングかけたのかを説明しよう。この辺で終わりにしないと、永遠に止まらないからなあ。理由は簡単。「新聞読み比べ」ってアイデアは悪くないからだ。にもかかわらず、できたのがコレ。せっかくのいいアイデアを、雑な作りでダメダメにされたら、みんな怒るでしょ。やっぱ日本の新聞社はダメだな。無価値ではないけれど、自分達の価値の活かし方がわかってねえ!それじゃあ無価値と同じだ。目を覚まして時代に対応しろよ。それを邪魔する経営陣がいるってんなら、追い出せよ。とりあえずはナベツネから(笑)。
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