3月13日 ― 2008/03/14 01:40
色んな意味でちょっとピリピリモード。来週月曜日に「大事な仕事」があるから。手慣れたコトではあるんだけど、どうしても緊張するんだよな…ま、ある意味「勝負事」だから仕方ないか。
本日のネタは、そろそろこの色の話題が欲しい…ってことで、「マップ」の話をする。なお、以前語った「ゲームの常識の定義」に従った話なので、滅茶苦茶ヤヤコシイ。おそらく誰もマジメに読まないと思うけど、気にしないこととしよう。
以前、ルールブックに出てくる「マップ」という単語には、主に2つの意味があると論じた。1つは「物理的な『マップと呼ばれている大きな紙』」、もう1つは「ゲームで使用する領域、チェスや将棋における盤とほぼ同義」である。前者にはターントラックやCRTなどといったものが含まれている場合もあるけど、後者にはそうした領域は含まれていない。便宜上、前者を「マップ1」、後者を「マップ2」と名付ける。この時点で相当ややこしいけど、これは承知してる前提で話を進めさせていただく。
普通に考えるなら、マップ1≧マップ2であり、「マップ1からCRT・ターントラックなどを取り除いた物がマップ2」だと言いたくなる。正直、それを前提にして常識を組み立てることも不可能ではない。しかし、私の見解としては「それは不適切である」となる。ごくまれに「マップ1の上に存在しないマップ2がある」と考えるべきだと思うので。
わかりやすい例は、サンセット版の「関ヶ原」かな。マップとは別に独立した地域移動表があるので。マップ1上にある物を別に用意しただけって話はあるけど、視覚的に「マップ1の外にあるマップ2」ってのが的確にわかる例としては、あれが一番ではないかと。
ちょっと待て!EP/SS「関ヶ原」の地域移動表って、マップ2に含まれるのか?そう思ったアナタ、鋭いです。実のところ、あれは「CRTやターントラックと同じ、マップ2には含まれない物」として扱うことは可能だし、そのように扱うべきなのかもしれない。
ただ…地域移動表上のユニットを「ゲームに登場している存在と見なすのか否か」って観点で考えた場合、誰もが「登場している」と考えるでしょ。地域移動表は「マップ2」に含まれない領域と考えるのなら、この概念は間違いだろう。「マップ2」というのは、ゲームに登場してるユニットが存在してる場所と考えるべきであり、逆に言うなら「ゲームに登場している」って感覚を覚えるような領域であれば、そこはマップ2に含まれる領域と見なすべき…っていうのが「私の見解」である。もっとも、この定義に従うとツクダ等「戦国群雄伝シリーズ」などに登場する「軍編成ボックス」上のユニットについてどう考えるべきなのか、話がややこしくなるんだけど。
まあ、実はこの定義自体にはあまり意味がない。問題はその次の部分だ。「マップ2の範囲がマップ1上にあると限らない以上、この世界に存在するあらゆる座標に対し、マップ2の範囲であるかどうか明確にしなければならない」って部分が言いたかったのだ。この世界に存在するあらゆる座標…と言っても、具体的にはマップ1のうち該当部分と、例外となるモノ(チャートの一部だろう)を指定すればいい。簡単な話を難しく言っているだけなんだけど、ソレがこのネタの存在意義なので仕方ない。
マップ2の範囲であるかどうか曖昧になりがちな領域というのは、たとえば「陸戦ゲームにおける全面海上ヘクス」がある。これらは「そもそもゲームで使用しない、マップ2の範囲外」と見なすことも可能だし、「マップ2に含まれるけど、普通はユニットが侵入・離脱できない土地」と見なすことも可能。その違いは?実は「海上移動」についてはどっちと見なしても問題は生じない。前者なら「盤外移動の一種」、後者なら「特殊な領域を移動する特殊な手段」と見なせばいいだけの話。むしろ問題になるのは、地形の影響を受けないマーカー類(移動妨害マーカーなど)を置けるかどうか…とか、射線を通せるのかどうか…って場合に問題となる。マップ2に含まれないと定義したのなら、この両者は許してはイケナイ。逆にこれらを認めるつもりなら、それは立派な「マップ2の範囲」だ。ルールの整合性を追求するのなら、これは覚えておいてもらいたい。
マップ2の範囲を決定した。次はマップ2上に存在するユニットに適用されるルール…なんだけど、これはちょっと待って欲しい。ここで述べたいのは、マップ2の範囲外にある存在(ユニット・マーカー含む)について。これらも当然ルールの適用は受ける(ゲームにおいて一切ルールの適用を受けない存在というのは、「存在しないものと見なす」のが普通。)んだけど、ゲームに登場しているとは言い難い。将棋や囲碁の「取った駒・石」を思い出してくれれば、言いたいことはわかるでしょ。
こういう「ゲームに登場していないユニット」については、専用の「適用されるルール」を厳密に定める必要がある。多少…いや、相当「冗長だ」と感じるくらいでいいかもしれない。そりゃあ確かに「移動できない、戦闘できない」なんてのは常識で判断できる。けど、ユニットの分割・統合が可能なのか?補給切れになりうるのか?消耗したり補充を受けることがありうるのか?「攻撃・防御を有利にするけど、失ったと判定されたら勝利得点を減らされる」マーカーを上に置けるのか?なんて事項に関しては、常識を頼れない。たとえば「別戦線に転用されたとして一時退去し、しばらく経てば戻ってくる」という理由で盤外に出されたユニットの場合、上記ルールが「全て適用可能」だとしてもさほど違和感はない。実際ルールブックに書く必要があるかどうかはともかく、ルールを作成する者としては「明白な解答」を持っているべきだ。
これと関連して、盤外移動についても触れておこう。これを行っているユニットの「状態変化(補給状態など)」については、かなりいーかげんにされてる気がする。「盤外移動を開始する直前の状態をそのまま保ち続け、再び盤上に登場した際に状態変化しうる」と考えるのが一般的な気がするんだけど、「盤外に出た時点で状態がリセットされ、再び盤上に出た時点で改めて状態を判定する」と定義することも可能だ。
これについては、「どっちでもいいんだけど、混同はするな」と言っておこう。ルール作成者というのは、必ずしも単独ではない。デザイナーがいてデベロッパーがいて、「ルールブック清書した奴」がいて…って可能性はむしろ高い。この時に何かしら「混同」してる奴が混じっていたりすると…「ルールの穴を突いたプレイが可能」とか、「あり得ない記述がある」なんてのはまだマシ。「常に矛盾が生じるので、ルールに従ったプレイが不能」ってことになりかねない。
地形については、「マップ1上にある全ての領域(ヘクスやらエリアやら)について、具体的に適用されるルールを厳密に指定できるようにしよう」と言っておけばいいかな。ヘクス○×は「森であり、要塞であり、道路がある」と誰もが一目でわかり、その結果として「移動力消費はこうなって、戦闘に関してはこうなる」ことがハッキリわかるようにすること。正直、全ヘクスについてのチェック表作れって言いたいくらいだ。
そうそう、これは本来「移動について」語る際に扱おうと思っていたんだけど、地形のチェックと密接な関係があるからここでも語っておこう。「そこに侵入出来ないヘクス」なるものは、作ってはいけません。何故かって?そーゆーヘクスに「初期配置」しようとする奴がきっといるから。これは揉め事のタネとなる。私の知る限り、「具体的に禁じられていない以上、配置は出来ると解釈する」のが「ゲーマーの常識」だけど、正直「具体的記述が無く、いかようにも解釈可能」なものを仕方なくそう解釈する…っていうのならともかく、これから発表しようとしているゲームに関しては、この解釈に依存するのはやめてもらいたい。よって、「侵入できない」だけでなく、「侵入も配置も出来ない」とするか、「侵入できないけど、配置は出来る」とシッカリ書いて欲しい。さらに言うなら、「親友も退出も出来ない」では駄目だ。それでも配置する奴はきっといる。いるって前提で考えるべきだ。なお、「侵入できない」と「侵入も退出も出来ない」の違いについては、「移動」について語る際にじっくりと考えたい。つまり、現時点ではよくわからん。
他にもまだまだ書くべきことは多い…というより、もっとキチンと考えてから書くべきネタだったね。ここの平均的分量から考えると、今回は本来「ゲームに登場しているユニットがあるべき場所(まあ、マップ2上のことなんだけど)とはドコを指すのか」についてのみグチャグチャ語り、地形などに触れてるヒマなんてねえ…ってことにしなければいけなかった。「まとめようと思ったら、永遠に完成しない」ので、小出しに語ってみようと思ったんだけど、やはり難しいなあ。
なお、今回は陸戦ゲーム中心の記述になった気がするけど、海・空戦ゲームでも話は同じじゃないかな。よりフクザツになる気がするけど。「格納庫上の航空ユニットと飛行甲板上の航空ユニット」に適用されるルールがどーだの、「マップ継ぎ足しが許されてる場合の、増援ユニットの登場位置と時期」だのを考え出したら、きりがないような。
えーと、最後に今回の教訓。書いていくウチに「改めて気がついた」ことがあるので。「ゲームに登場するユニットは、ドコに置かれてる段階であれ、どのルールが適用されている状態なのか不明確であってはならない」というのが大原則であり、少なくともデザインサイドの人間はチャンと意識する必要があると思う。これはそうすることが常に重要だから…ではない!ほとんど常に「あまり問題にならない」んだけど、それだけに「明確にしておかないとマズい」となった場合、「記述がないので好き勝手に解釈して下さい」という状態になっちゃうから。これを防ごうと思ったら…経験で「そういうトコロを上手く見つけて潰す」か、「とにかく片っ端からチェックして潰す」しかない。うーむ、やはりゲームデザインって大変だね。私が勝手に大変にしてるだけって話はあるんだけど(苦笑)。
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