3月8日2008/03/09 02:34

 本日のネタは、「採り上げる意味はあるんだけど、深入りしたくない」ネタを、軽く扱って終わりにする。いやね、深入りするには色々「足らない」ものがあるので、どう頑張っても軽いネタになるなと。ただまあ問題は大きいので、無視するのもつまらんかなと。
 
 つーわけで、「mixiの会員規約改定問題」を。深入りしない第1の理由は簡単。私はmixiの会員じゃない。よって、ここがどうなろうと基本的には関係ない。少なくとも切実感はないよね。ただまあ、だからこそ語れることもあるとは思います。
 
 普通、会員規約の改定なんてあまり話題にならない。「なんか面倒になった」とか、「実害あるんですけど」ってな理由でモメる奴は当然いるけど、大多数にとっては「あまり変わらない」のが普通。それよりは入り口部分のデザイン改訂とか、付け加えた機能の方が騒がれることが多い。
 
 でも…mixiは何を考えたのか、「mixiサイドがユーザの許可無しで勝手にユーザーのコンテンツを出版できる」よう、規約を変えようとした。これは騒がれて当然でしょ。私だって困る。このブログに掲載されたモノは出版されない予定(相当手を加えない限り同人誌で出す価値すらないので)だけど、こんなことやられたら困ることは困るのだ。
 
 あまりに騒ぎが大きくなったので、mixi側は弁明を出した。勝手に本作って売ったりしません。単に「著作権を厳密に適用されたら違反になる」ことをやるために規約変えただけです、とのこと。ふ~ん。でも、この弁明を信じなかったユーザーがまだ山ほどいたらしく、規約改定内容を大幅に見直す予定だとか。その後は報道がないのでよくわからんけど。一応これで「表面上は沈静化」したようだ。
 
 mixiの真意はドコにあったのか?うーん…正直言って、「ユーザーのコンテンツを勝手に出版する」意図はなかったんじゃないかなあ。ここに強い疑いを掛ける気持ちはわかるけど。何故か?そりゃもう、「利益がない」の一言に尽きる。
 
 仮にmixiがそういう本を出版したとしよう。mixiのユーザーは大騒ぎだ。合法・非合法含めた「抵抗運動」をかけてくるのは間違いない。その結果、不買運動や流通阻止といった「売れ行きを悪くする」動きに繋がってくるんじゃないかな。本来mixi会員は「mixiが出した本を買いそうな奴」だから、この手の運動はかなり手痛い。
 
 さらにだ。これを実行しちゃうと「mixiの会員規約変更は、ユーザーから著作権を完全に取り上げ、実害をもたらすモノだった」って主張が正当性を持つ。これはデカいよ。なにせ裁判所に訴えることが出来るから。実行される前なら、裁判所が「裁判する価値はない」って理由で却下する可能性がある(「訴える利益のない裁判はやらない」って原則がある)けど、「オレの作品完全に取り上げられた!返せ!」って訴えならまず通る。
 
 でも、規約があるから裁判に勝てない…のかどうかはビミョー。弁護士の腕が良ければ、色々穴は見つけられるんじゃないかな。「ユーザーの承諾を得ていない一方的な規約改定は、消費者保護に反するのでは」なんて感じの主張でいけば、勝訴できるかも。そこまでいかなくても、裁判官から「現行の法律上mixiの勝ちとするけど、こりゃあ法律がオカシイよね」なんてコメント引き出せれば、これはこれでmixiには痛手となる。
 
 そもそも。これやっちゃったら、ユーザーがオソロシイ勢いで逃げ出す。規約変えた時点ではピンとこなかった奴でも、実際作品が出ちゃえば「次はオレ?」と感じて逃げ出すだろうからね。これでは、本が多少売れてもトータルで大赤字。社会的に葬り去られる危険性まである。
 
 だから、「オレの日記が勝手に出版されちゃう」って心配は杞憂であり、騒ぎ過ぎだと言いたいところだけど…バカはドコにでもいるからねえ。私は「やる価値がない」と思うけど、「いや、すごく儲かる」とソロバンはじいてる奴はいるかも知れない。それに、「私が書いたような騒ぎにならない」コトを見越したアイデアがあったのかもしれない。
 
 私は一応同人誌作家。独自性は相当強く、怪しげなアイデア(ネタごとの文字色変更)まで採用している。言ってみれば、「勝手にブログを出版されたら、とにかく激怒する」奴である。でも、世の中こんな人間ばかりではない。大多数の人間にとって見れば、「自分の日記が本に採用される」ことはむしろ名誉なことであり、喜ばしいことかも知れない。私もその昔「投稿戦士」だったことがある(気分だけは今でも)ので、その気持ちもわかる。そういった騒ぎそうもない人間の騒ぎそうもないモノを選んで、本にしちゃえば売れるんじゃ…ってヨミがあったのかも。ま、私ならそれを目撃した時点で「次はオレ?」と言って逃げ出すけど。
 
 今回の騒動、真に悪いのは誰か?直接的には、mixiの「法律関係担当」ってことになるのかなあ。規約を改正しないとヤバい…と最初に言い出したのがココじゃないかな。それは別にイイんだけど、「だからこうしましょう」って結論がヒドい…あれじゃあユーザーを無意味に刺激するだけだろ。それがわからんような奴なのか。mixiの法律関係担当部門がどーなっているのか知らないけど、即時強化をオススメするね。弁護士資格持ってる奴が余って仕方がない時代なんだから、探せば「法律にもネットの実情にも詳しい奴」見つかるだろ。
 
 もっとも、本当の本当に悪いのは「著作権」かもしれない。古くからある法律なので、ネット時代に対応できてないからねえ。しかも、いわゆるマスコミは「今の法律に恩恵を受けまくっている」連中なので、こいつを手直しするって報道は盛り上げたくないだろうなあ。ま、本当ならその辺含めて色々論議すべきなんだろうけど。
 
 個人的には、mixiには規約改訂内容の見直しなんぞしないで、このまま突っ走ってもらいたかったかな。そうすりゃ大騒ぎになっただろうけど、その過程で出てくる論議は「世のため人のため」になったと思われるので。裁判になれば裁判所の判断が聞けるので、これだけでも相当価値がある。もっとも、巻き込まれるユーザーは大変だし、社会的に葬り去られる危険さえあるmixi経営・運営サイドにしてみれば「ふざけんな!」だろうけど。
 
 こういう難しい問題は、避けて通りたいってのが人情。けど、案外身近に転がっているモノなんですよ。せめて、そーゆーことは意識してもらいたいかな。というトコロでまとめておきましょ。なんか半端だって?いやまあ、これ以上口を開くと、かく言う自分自身が「ブログ掲載先の規約なんてロクに読んでない」のがバレそうで…