11月19日2007/11/19 23:47

 ドラフトが終わったので、予告通りスワローズについて…と言いたいところだけど、もう少し情報仕入れてからにしたい。少し気になることがあるので。
 
 本日の話題は、昨日見学しに行った将棋について。とはいえ、プロの対局ではない。こちらは私ごときが語っても無意味だ。その前座の、小学生の試合について語る。その価値があることだと思うので。
 
 カレンダー痛恨の不作(モノ自体はともかく、「日付が競馬配置」のものゼロ)に衝撃を受けつつ、会場が近くなので立ち寄ってみた将棋大会「JT杯」。一応のお目当てはプロ同士の対局だけど、時間があったので前座の「小学生大会決勝」も観ることにした。
 
 JT杯ってのは一応プロトーナメントだけど、小学生への将棋普及のため「こども大会」もやっている。ある意味ではこちらがメインかな。その決勝戦が2つ(低学年部門と高学年部門)あったので、これも観ることにしたのだ。プロの将棋は棋譜が新聞なんかに載っているけど、お子様の将棋に触れる機会なんて無いからねえ。これも勉強だと思って。
 
 ちなみに、お子様だからって侮ってはいけない。底辺はともかく、上の方はベラボーに強い。なにせ、「もうプロに弟子入りしてます」なんて連中がゴロゴロしているんだから。将棋会館がある東京の大会ともなれば、そんな「将来の怪物」候補がいるに決まっている。漠然と「強いんだろうな」とは思っていた。
 
 余談だけど、いわゆる部活の公式戦(運動部みたいな定義があるワケじゃないけど…)では、実は中学が滅茶苦茶強いって話がある。中学までは義務教育なので、プロ棋士予備軍がゴロゴロしてるのだ。下手すると中学時代からプロだし。それに対し、高校に通う義務はないので、プロ棋士予備軍は(例外もいるけど)高校なんぞ行かない。その分レベルが多少落ちるんだそうな。とはいえこの時期の1~3年間は大きいので、高校チャンプと中学チャンプが戦った場合、必ず中学チャンプが勝つってワケではないらしい。
 
 そういう予備知識をもって将棋を観戦したんだけど…強いなんてもんじゃない。いや、ありゃすげーわ。強いとは聞いていたけど、目の当たりにすると圧倒されるね。これほどとはねえ…私がどうこうなんてレベルじゃない。
 
 「強い弱いなんて、見ただけでわかるのか」疑問に思う人もいるかも知れない。そりゃあ私は新聞の詰め将棋もロクに解けないヘボだ。けど、ある程度なら「強い・弱い」はわかる。そこで、見分け方も交えて「連中のドコがすごいのか」解説しよう。
 
 まずわかりやすいのが、「定跡を知っている」。将棋の定跡って言うのは、実は「相手がどんな手を使ってくるか」とセットにして考える必要がある。戦法の相性があるし、露骨な対策ってモノもあるので。「相手が何しようと棒銀」ってのは、ヘボの典型例。ちなみに、私はしょせんこの程度。お子様は違う。明らかに相手の出方を確認しつつ、戦法を選択していた。この時点で、私に勝ち目はない。
 
 その上になると、「難しい定跡を使える」って段階がくる。先手の急戦模様の居飛車(ただし棒銀じゃない)ってだけでも感心するレベルなんだけど、後手の「横歩取り8五飛」なんてのは簡単に使いこなせる定跡じゃないぞ。この戦法が登場した当時(少し前になる)には、「プロでは流行してるけど、アマには難しいのでさほど普及してない」って話が出ていたくらい(今ではどうだか知らないけど)だ。もちろん、「単にマネしてるだけ」ではない。
 
 さらに上は、「ただひたすら悪くなる手を指さない」って段階が来る。プロの解説が付くので、露骨に悪い手はチャンと指摘される。ま、対局者にバレないようこっそりと見学者に教える必要があるけどね。結局はプロでも「敗着の一手」があるはずであり、そんな手がゼロではなかったけど…他にも「どの辺が強いのか」具体的に指摘できるポイントはあるんだろうけど、しょせん私は毎日新聞の棋譜や詰め将棋に軽く目を通す程度。これ以上の指摘は出来ません(苦笑)。
 
 特にスゴかったのは、高学年の部で優勝した子かなあ。「小学四年生」って時点ですでにヤバさ満載。小学生時代の1年がどれだけ重いか考えれば、四年生にもかかわらず五・六年生を撃破して決勝に来ている段階でタダ者じゃない。しかもだ。解説のプロが「これはいい手ですねえ」と褒めた手で優勢に立ち、あげく終盤はノータイムの連続。「ボナンザ(将棋ソフト)みたいですね」なんて冗談が出たくらいだ。ちなみに将棋の終盤は「正解が比較的ハッキリしている」ので、コンピュータソフトがベラボーに強くて速い。プロでも「ついていくのは大変」ってレベル。さらに、「間違えたら大変なことになる」終盤は、普通お互い慎重になり、相手が考えてる時間も使って手を読む。そこでノータイム連発されると、相手はすごーく困る。プロでも「終盤が早くて正確な奴」は恐れられる。あれはプロの目から見ても「結構強いな」ってレベルだろ。もちろん、現時点で本気のプロに勝てるワケじゃないけど。
 
 こういう「こども将棋大会」で活躍したからって、プロになれるとは限らない。将棋のプロになるのはすごーく大変だからねえ。「天才」「怪物」を山ほど集め、その中の一握りだけがプロになれる…って世界だから。「年齢制限」なる悪名高い制度がある(26歳誕生日の時点でプロになってなければ、強制的にプロへの道を絶たれる)からなあ…
 
 それでもだ。昨日決勝の舞台に上がってきた4人は、東京大会という「おそらく一番プロ予備軍密度が高い」大会で決勝に上がってきたわけであり、将来性はすごく高いはず。全員とは言わないけど、1人くらいはプロになれるんじゃないかなあ。それどころか、将来名人になれるかもしれない。ま、その可能性は低い(それほど甘い世界じゃない)けどね。うんうん、若いっていいねえ。
 
 ちなみに、プロの戦いにも触れておこう。森内名人対森下九段の戦い。「将棋の純文学」と言えば聞こえは良いけど、「研究が進みすぎてアマには全く理解できないくせに、どれも似たり寄ったりな将棋になる」ため、観てもさほど楽しくないと言われる合矢倉戦になった。ま、森下九段と言えば矢倉だけどね。「森下システム」っていう、矢倉の新戦法編み出した人なんだから。地味と言えば地味だけど、お互い桂馬を使って優位を取り合い、最後は頓死筋(思わぬ逆転喰らって詰まされること)をうまく回避した森下九段の勝利。帰り際に「来場の皆様への挨拶」として握手してもらいました。名人との握手ではなかったわけだけど、私は森下九段地味に好きだったりするので良し。ちなみに、間近で観る棋士は…ある意味フツーの人でした。ああいう雰囲気の奴はMiddle-Earth東京支部にゴロゴロ転がっているような…レベルはともかく、「頭脳競技が好き」って部分は共通してるんだから、むしろ当然なのかも。
 
 ちなみに、前日買っておいた馬券はハズレ。Middle-Earth東京支部に行ったのは相当遅く、ホントにメシ食って買えるだけ(終盤だけでも対戦見学できるかと思ったけど…)と、他の部分はイマイチ感が漂ったような気がするけど、まあ良しとしよう。将棋面白かったし。だから、カレンダーの入手がイマイチだったからって、文句を言うのは…くそ、コミケの時大変じゃねえか…ブツブツ…