5月10日2009/05/11 02:45

 好位置ではあるけれど、上も下も遠いスワローズ。正直、竜か虎がいずれ浮上してくるのでは…って気がするので、このままってことはなさそうだけど。あんまり感触良くないのに好順位ってのは、どうも信用できない…ブツブツ…
 
 とまあ、昨日まとめ損ねた野球ネタはこれぐらいにしよう。本日の話題は、先日発表された「サイレントイーグル」について。ちょっと前から懸案となっている、空自のF-4ファントム代替機(次期FX)がコレになるかも…って話なんだけど。
 
 私は多少メカフェチ入っているので、「ファントムの次」については何回か触れてきた。空自の第一希望は間違いなくF-22ラプターだけど、これはどうも「政治的理由」とやらで輸出許可が下りそうもない。残る候補は「F/A-18Eスーパーホーネット」「F-15Eストライクイーグル改」「F-35ライトニングⅡ」「ユーロファイター・タイフーン」となっていたんだけど、このうちF-15陣営に「動き」があったわけだ。
 
 この「サイレントイーグル」、一応は「別に空自用ではない」となっているけど、この時期にこんなモノを発表すること自体、空自への納入を意識しているのは確実でしょ。確かF-15陣営は「空自の要求通りに改造します」と主張していたから、とりあえず空自がこだわっていると言われる「ステルス性」を付加した「実物大の模型」(モックアップ)を作ってみたんだと思われる。
 
 一部の航空機雑誌では、早くもこの「サイレントイーグル」を、次期FXの本命扱いしている。どこまで本気なのかは知らないけれど。ただまあ、そう扱うだけの価値があるのも事実かな。なにせ空自は既にF-15を使用している。ある意味「親しみやすい」「扱いやすい」わけだ。この点、「米海軍機は嫌い(F-4は元々海軍機だけど…)」「米国製以外は論外」って意向を持っていると噂される空自にとって、「都合いい」機体なのは確か。
 
 問題はF-35との比較だけど、こちらは「政治的理由」だの「共同開発と称して他国の予算ぶんどった」だのといった事情により、納入されるのがいつになるのか、さっぱりわからん有様。豪州が「中国に対抗するため、それでも買いたい!」と名乗りを上げたようだけど、これすらどーなるのか怪しいと思われる。おまけに名目上は共同開発国となっている英国が、「F-35の空戦能力はタイフーンに劣る」とか言い出しているし。
 
 そうやって考えてゆくと、この「サイレントイーグル」って選択肢は悪くなさそうな気がする。一応いろいろいじってあるみたいだから、「今更イーグルかよ」って声にも対抗できそうなわけで。いやあ、めでたいめでたい…となるのかねえ。
 
 ただ…正直に言おう。私はこの機体の写真見た時、「何かの冗談か?」と思った。私が今まで色んなトコロ(航空関連雑誌や同人誌など)で仕入れた、「ステルス性」に対する知識が、一気に崩壊したような。だって、少しいじってあるけれど、見た目は「ほとんど」イーグルと変わらないのだ。これでステルス性確保できるって…マジですか。
 
 私はメカフェチの中でも、特に「東側兵器ウオッチング」を趣味としている。旧ソ連およびロシアの兵器を「観察」して、アレコレ想像するのが趣味って奴だね。東側の兵器は「西側とは違った常識に従って作られている」モノが多く、それゆえ「ホントのトコロどーなのよ」ってのが極めてわかりにくい。だからこそ色々と想像力を働かす余地があって楽しいのだ。同好の士はそれなりにいるので、決して珍しい趣味じゃない。
 
 それゆえ、「東側の軍人の発言」なんてものも結構こまめにチェックしている。兵器なんて「使えてナンボ」なので、どう使うつもりなのか…ってのは重要なヒントだからね。その中の1つに、「ステルス性に関しては、新型機導入に加えて、従来の機体も(装備を見直すなどして)対応をはかる」って趣旨の発言があった。流石にいつ誰が言った発言なのかは忘れたけど。
 
 この発言自体はいい。問題は、この発言の評価として、「従来の機体を多少手直しした程度で、ステルス性が確保できるワケねーだろ」って話があり、私は「まあそんなモノだろ」と思っていた。ロシアがステルス機の開発を進めているのは知っていたけど、そのペースはかな~りノンビリしていて、「連中はステルス性をあんまり重視してないんだな」って雰囲気があったからね。
 
 ところがだ。サイレントイーグルは、見た目まんまストライクイーグル。外壁の素材や塗料はいじってあると思うし、どうも兵器は内蔵する(ぶら下げるとレーダーに写りやすくなる)みたいだけど、基本それだけ。垂直尾翼をちょっぴり傾けていて、それはそれで効果は大きそうだけど、それぐらいだったら他の機体でもできそうな…
 
 私はかなり長いこと、「ステルス性を考慮するのなら、機体の形状を重視すべきであり、既存の機体をちょっといじっただけじゃステルス性なんて確保できない」と信じていた。実際、米軍は「いかにも空戦には弱そうな」F-117を「ステルス戦闘機」(実際は小型爆撃機として使われたようだけど)として採用しているわけで。より技術が進んだ結果、多少空戦性能も考慮した形状でもOKになったとしても、F-22ラプターやらF-35ライトニングやらが「1つの基準」だろうと。そもそも、F-35からして「実は競合機の方がステルス性が高かったけど、総合性能で勝っていたので採用された」という話があったぐらいだ。
 
 更に言うなら、東側の軍用機メーカーのスホーイが、以前「ステルス実験機」っぽいものを発表したことがある。Su-47ベルクートって機体だ。この機体のステルス性がどうだったのかは今もってサッパリわからない(まるで考慮してないって説も有力)けど、一応有力な説は「ソレも含めた実験のため制作された」である。でも、この機体は「言いたいコトはわかるけど、あれじゃあステルス性は確保できない」などと叩かれていた。私も「まあそうだろな」と思っていたモノよ。
 
 ところがだ。ボーイング社の人間は、「ほとんどイーグルと変わりません」って機体を持ってきて、「ステルス性を考慮しました」などと言っている…ハッキリ言って、私の中にあった「常識」が瓦解しました。どーゆーことよそれ。正直、この機体が「アリ」で、ベルクートが「ナシ」って理由がわからないんですけど。
 
 あくまで「私の中にあった常識」にこだわって考えた場合、実はこのサイレントイーグル、ステルス性は「まんまイーグルよりはマシ」って程度に過ぎないような…しかも、そのくせ兵器搭載量はイーグル以下、燃料搭載量がイーグルと同等程度(ただし増槽つけたらステルス性台無し)ときてる…あえて言おう。駄作の臭いがプンプンする。元となった機体は名機なので、駄作は言い過ぎかも知れないけれど。
 
 実際のトコロどうなのかは、まだわからない。前にも書いたけど、ステルス性なんて素人にはまるでわからん分野だし。ただ、「ステルス性を付けたイーグルってコトにすれば、空自が買ってくれるんじゃね?」ってなノリ「だけ」で開発された、まるで「CPUが非力なことも考慮せず、無理矢理フルサイズのWindows Vistaを搭載したネットブック」(あえて具体的名称は出さない)みたいな商品じゃねえかって気がするのも、確かなんだよね。
 
 軍用機ってのは性能だけじゃなく、価格だとか使い道だとか政治的配慮だとか…が必ず絡むので、何をもって「いい買い物」なのか、判断しにくい。少なくとも、ド素人が軽々しく判断できるものじゃない。それを承知の上であえて言うなら、この「サイレントイーグル」を買うのは、正直オススメできない。なんか「お買い得感」がないような気がするんだよね。ステルス性を考えるのならじっくりとF-35を待ち、どうしてもすぐ必要ならステルス性はさほど考慮せずに選ぶ…ってのが、「賢い消費者」ではないかと。もっとも、衝動買いを得意とする私が言っても説得力ないんだろうけど(苦笑)。