5月17日2009/05/18 02:57

 ここで来るかウオッカ。ドバイでの「見事な負けっぷり」から嫌ったんだけど…要はこの馬、「海外は嫌い」なのか?安田記念ではまたド本命なのかねえ…エジプシャンラーは回避しちゃう(コーツィーが「流石に日本は遠い」と言ったからか?)し…
 
 本日の話題は、ミツバチについて。最近一般のニュースでも大きく採り上げられるようになってきたので、あえて「マスコミ批判」としてお届けしようかと。
 
 最近、「ミツバチが減って困っている」ってニュースが流れている。読者の皆様も見たことがあるんじゃないかな。詳しい原因は、実はまだ不明。農薬説・寄生虫(ダニのたぐい)説などが有力ではあるけれど、まだよくわかっていないらしい。
 
 実はこの問題、発祥は海外である。米国なんかじゃ、かなり深刻な問題になりつつあるらしい。そのため、数が減ってきたからって安易に輸入すら出来ない。地域的な問題なのか、世界規模に広がるのかは注目の的だったんだけど、日本でも騒がれ出したってコトは世界的な問題だったようだ。せめて、これが原因の特定に多少なりとも役だってくれることを望みたい。
 
 ミツバチがいなくなるってのは、何もハチミツがどうこうって問題だけじゃない。農作物の受粉にミツバチを使っているモノは多いからねえ。日本においては、果物生産に悪影響が出ているらしい。今はまだ大打撃ってレベルじゃないらしいけど、下手したらそうなりかねない…ってんで騒ぎとなり、マスコミが報道しだしたわけだ。
 
 私の意見?正直言おう。私はこの問題、結構早い段階(自慢できるほどじゃないけど)から知っていた。正確な書名は忘れたけど、この問題を論じた本が和訳されて本屋に並んでいたので。なんだか「話題の書」扱いされて目立つところに置いてある本屋もあるけど、その本屋が片隅にひっそり置いていた時に読んだのだ。何故そんな本を…と言ってはイケナイ。そーゆー本を読むのが私の性だ。
 
 よって、この問題が「いずれ日本にも波及してくるかも知れない」って危惧は持っていた。でも、私は「日本における影響は、小さいモノで留まってくれるに違いない」と予想していた。農業従事者や一部の好事家の間で話題にはなっても、一般向けニュースで報道されるような事態には発展しないのではないかと。その点、私の予想は裏切られたことになる。
 
 何故私は「影響は小さい」と予測したのか?日本の農業において、ミツバチは重要じゃないと思っていたから…ではない!その程度の認識しか持たない奴が、話題になる前からミツバチの本を読むワケないでしょが。チャンと別の理由がある。「日本には日本のミツバチがいるから」だ。
 
 今問題となっている「ミツバチ減少」問題は、セイヨウミツバチに限定した話である。のハチは「比較的気性が大人しく、ミツを集める能力も高く、群れの性質が人間にとって扱いやすい」ってな理由から、世界中で利用されている。もちろん、日本も例外じゃない。「数が減った、どーするんだ」と騒いでいるのは、あくまでセイヨウミツバチの話である。
 
 この世にセイヨウミツバチしかいないって言うのなら、セイヨウミツバチの減少=ミツバチの減少であり、本当の意味で大騒ぎになる。でも、少なくとも日本には、土着のニホンミツバチがいる。こいつらは気性が荒くてミツをあまり集めず、おまけに人間の都合を考えず勝手に分蜂(古い女王蜂が働き蜂の一部を連れて独立すること)しやがる…と、人間が利用するにはあまり適していないので、一部の「伝統産業としてニホンミツバチ飼ってます」って農家などを除いてあまり利用されてない。けど、利用はゼロじゃないし、その気になれば調達するのはそう難しくないはずだ。なにせ「野良」としてそこら辺にいるんだから。
 
 外国からよく似た種を導入した場合、野生化して土着の種が絶滅の危機に瀕する…ってのは、哀しいけれどよくある話。でも、ミツバチに関しては当てはまらなかった。その理由として、ミツバチの天敵スズメバチの攻撃に対し、ニホンミツバチの方が迎撃能力が高いからだとされている。具体的な迎撃方法は各自で調べてみて下さい。面白いよ。
 
 確かに、ニホンミツバチはセイヨウミツバチと比べて扱いにくい。安易に「ニホンミツバチがいるじゃないか」と言うのは、何かが違うとは思う。けど、「背に腹は替えられない」となったら、そんなコト言っている場合じゃない。セイヨウミツバチの「大量死」が日本にも波及してきたら、これはこれで大きな問題になるけれど、一般ニュースが扱い出すほど深刻になる前に「ニホンミツバチがいて良かった」となるのでは…と思っていたわけだ。
 
 ところが。現実は一般ニュースで大騒ぎしている。しかもその論調は「ミツバチがいなくなった、どーする!」ってだけ。海外での事情を詳しく説明するでもなく、原因究明をするわけでもなく、「日本土着のミツバチは利用できないのか?そうした場合の問題点はドコにあるのか?」などを紹介するわけでもなく、ただ騒ぐだけ。どうなっているんですかこれは。
 
 なお、「セイヨウミツバチが駄目なら、ニホンミツバチを…」って意見は、私だけのオリジナルではないようだ。その証拠に、ちょっと前に新聞に「ミツバチ盗難が相次ぐ」ってニュースがあり、盗まれている対象は伝統産業もしくは個人の趣味として飼われているニホンミツバチって話があったので。…賢いと言えば賢いと思うけど、なんか間違っているだろそれ。第一、マトモに飼えるのか?セイヨウミツバチより扱いにくいのは間違いないのに。
 
 果物の受粉作業自体は「いざとなったら人間でも出来る」作業でもある(すげータイヘンだと思うけど)ので、今のところ「困っている、深刻だ」とは言っても、日本産果物の値段がアホみたいに跳ね上がるってレベルには至っていないようだ。しかし、セイヨウミツバチがこのままドンドン数を減らしてゆくようなことがあったら、そうなりかねないのは事実。でも、本来日本では「そうなるはずがない」のだ。ニホンミツバチがいるから。飼育ノウハウもゼロじゃない。うまく切り替えに成功すれば、少なくとも「果物農家の破滅」はあり得ないはずなのだ。
 
 それを考えてゆくと、「農水省は何やっていたんだ?」って話が出てくる。単に「生き物の話は好き」ってレベルの人間が「ミツバチ減っているのか、日本に波及したらタイヘンだなあ」って知っているぐらいだ。連中に「知らなかった」などとヌカす権利はない。コトが生き物の問題である以上、日本のセイヨウミツバチが安全って保証はドコにもなく、実際日本にも波及してきている。その影響を評価し、必要ならば対策を考えるのが行政の仕事だと思うんだけど、それがほとんど報道されないのは何故?また、そこで出てくる対策として「ニホンミツバチの利用」ってのは考慮されて当然だと思うけど、そんな話が報道されないのは、マスコミが無知なだけですか?それとも農水省も「何もしてない」の?
 
 種としてのセイヨウミツバチが絶滅するなんてコトは、万が一にもあってはならない。そのため世界各国で協調して対策を考えるべきだろう。それと平行して、このミツバチ減少が「長期的に続き、激減は避けられない」のか、「一時的なモノ」なのか見極め、前者であればトウヨウミツバチ(ニホンミツバチはこの一種)への切り替えも視野に入れる必要がある。しかも、世界レベルで。ニホンミツバチが野山を飛び回り、しかも飼育ノウハウも一応ある(伝統的な、古いモノなのかも知れないけれど)日本の場合、「ミツバチの切り替え」は比較的容易な国のハズだ。極端な話、近い将来セイヨウミツバチが絶滅危惧種の仲間入りを果たしたとしても、「日本の果物産業は大丈夫」なはずだ。そうでなかったとしたら、農水省の怠惰以外の何者でもない。そんなコトになるほど、農水省は無能じゃないと思うけど。
 
 ミツバチ減少問題に関しては、最低でも「世界全体の問題、世界レベルでの対応が必要」「農水省の対応も重要」「ニホンミツバチへの切り替えとその問題点」まで報道して、やっと「キチンと報道したことになる」と思う。けど、実際は…ここに「日本の危機管理がなってない理由」を見いだせるような気がするんだけど、どうかね。
 
 なお、「たかがミツバチのことじゃん」と思わない方が良い。当事者にとっては死活問題である以上、同じ問題は人間に関する現象でも当てはまると考えるべきでしょ。そんなわけで、新型インフルエンザに対しては、色んな意味でもう少し冷静になった方が良いと思うぞ。