5月28日 ― 2009/05/29 01:06
Windows7が年内に発売されるらしい…ってんで、色々噂は出てきている。発売前から怪しげなニュアンスの話が山盛りだったVistaと異なり、とりあえずはフツーに導入して問題なさそうな感じは受ける。内実は「手直ししたVista」らしいので、深く考えずに導入して良さそうではあるけど…
その一方で、Mac陣営にも動きがある。新OSのリリースが予定されているからね。おそらくは6月に「こーなりました」って発表があるはず。パンター・ティーガー・レオパルドときたので、次はレオパルドツヴァイ…じゃなくてスノーレパード(ユキヒョウ)だとか。何故独語読みなのかは、わかる奴にはわかる。マウスはどーした(苦笑)。
良くも悪くもMacは独自路線を突っ走っていて、実を言えばWindowsをライバルだと思っていない。新Windowsの出来が悪ければチャンスと見て乗り換えキャンペーンを展開するけど、それとMac OSの更新は別に連動してない。流石に「マトモに張り合うのは馬鹿馬鹿しい」程度のシェアしかないし、技術面では「先を行くのはコチラである」と信じている会社だからなあ。Windows7の発売日が前倒しになろうが遅れようが、Appleのやることに変化があるとは思えない。
強いて言うなら、Snow Leopardは「AMDのCPU搭載したマシンで動くのか」が気になるくらい。欧州で「IntelのCPUばかり使っているのは、独占禁止法違反じゃ」なんて叩かれたからねえ。これからはAMDのCPUも使いますよ…って話になれば、色々面白いんだけどね。いや、私は「我が家のFroral Pegasusに叩き込みたい」なんて思ってませんよ?一応は法律違反なんだし。
こーゆー話は、PC業界じゃ「常識」だと思っていた。Macの動向はあんまり知らないって人間でも、Appleって会社の意向は完全には無視できないのがフツー(データや機器の互換性問題でたま~に影響被るので)から、あの会社の「我が道を征く」っぷりは多少聞いたことあるだろうし。でも、これは間違っていたようだ。
某IT系サイトに、「Windows7の出来が良いので、Appleは何らかの対応を強いられるに違いない」ってな予想記事が載った。翻訳だけど。アホか。そりゃあね、CM作る時に「どうも今度のWindowsは出来が良いみたいだから、Windows叩きを前面に押し出すのはそろそろやめるか。飽きてきたし。」って判断をする可能性はある。けど、あの気位だけは高いAppleが、「Windowsの出来が良いから」なんて理由で、Mac OS Xの機能や開発環境をいじくるワケがない。
Appleって会社は、Appleらしい生き様を貫くことを宿命づけられている。一時期互換機の発売を許可するという、「フツーのPCっぽいこと」やらかしたところ、個人株主からおしかり喰らい、あげく「我が道を進むべきだ」って主張の権化であるジョブズ(この会社の創始者の1人で、一時期会社を追い出されていた)を呼び戻して、今に至っているんだから。ことOSの開発に関する限り、「他社が勝手に真似ることはあっても、自社が他社を真似ることはない」とヌカして終わりじゃないかな。良くも悪くも、それがこの会社だからして。
そもそもだ。Windows7の「真のライバル」は、Mac OSじゃない。そりゃあ小癪な存在ではあるんだろうけど、まさかシェア逆転されるような関係じゃないわけで。むしろ気にすべき相手は、Windows XPでしょ。消費者に「置き換える必要なし」と思われたら、結局はアウトなわけで。
XPを7に置き換える必要はあるのか?うーん…私は一応「ある」と言っておこう。最近のPCのCPUは、マルチコア(外見上はともかく、内部的に複数のCPUが同時に動いているモノ)によって性能を稼いでいる。そうしないと性能向上が出来なくなってきたからだ。それはいいんだけど、こうやって性能を稼ごうとすると、ソフト側も「それを前提とした」モノじゃないと性能があまり向上しないんだな。「CPUの数が2倍だから性能も2倍」なんてのは、それに最適化したソフトを使った場合の話である。
そんでもって、どのソフトを「マルチコアに最適化」すると効くのかと言えば、いつだって動きっぱなしのOSでしょ。つまり、古いOS(XP含む)を使っていると、CPUパワー向上の恩恵が受けにくいってコトになる。実際どの程度効くのかはよく知らないけど、とりあえず「最新の爆速PCにXPインストール」ってのは、多分値段に見合った速度向上が得にくいと思われる。この点だけでも「PC買い換えたのなら、OSは最新のモノにしておく」意義はあるのだからして。
ただ、どんなにCPUを強化しようとも、通信速度の方が重要な環境では恩恵は受けにくい。Googleなんかが「その方が重要だ」って環境に人々を誘導しようとしているのは確かであって、それがどこまで成功するかによっては、「XPでいいじゃん」って話になりかねないわけで。コレに対しMSが色々考えてゴソゴソやっている…って話は、私も聞いている。
同じコトはMac陣営にも言えるコトではあるんだけど、Mac OSだろーがWindowsだろーが気にせずiTunes Storeで商売しまくっているこの会社にしてみれば、「そんな時代が来た時こそ、我々の天下が来る」と思っているんじゃなかろーか。それが当たっているかどうかはともかく、Appleが「そんなにシェアを持っているワケじゃないので、思い切ったことをやりやすい」会社だってコトは間違いない。その覚悟と度胸がこの会社にあるってのは、CPUの構造を二度も取り替えた(68系→PowerPC→86系)時にわかっていること。
Mac OS Xにしてみれば、Windows陣営ってのは「長年戦ってきた敵」である。今更「どうも今度のWindowsは出来が良いらしい」ってだけじゃ、だからどーしたってなものでしょ。そもそも、Windows7の出来が良いと言っても、「最初からVistaをこの性能で出せよな」ってレベルの話であって、「同じPCとは思えない!」なんて話じゃない。この会社が「大きく動く」とするならば、Windows7対策じゃなく、「OSなんてどれでも一緒」と言われてしまう時代への対策になるんじゃないかな。それがどんな策になるのかはともかく。
MSにしてみれば、「ライバルはAppleぐらいなもの」って時代が都合良かったことは間違いなく、できればそういう時代がいつまでも続いて欲しいと願っているんだとは思う。それゆえ、こういう「願望」に沿った記事を書く人間がいるのも、会社の影響力を考えればわからなくもない。けど、おそらくは「誰も得しない」記事じゃないかな。褒められたMSからして「今はそんなコト言っている場合じゃない」だろうし、Appleは「Windows7の出来が良い?だからどーした」で終わりだろうし、わかる読者は無意味だってわかるし、この記事読んで「やっぱりWindows7で良かったんだ」と思うような奴は、最初からWindows7以外の選択肢について気にもしないだろうし。
XPから7に乗り換えるべきかどうかは、結構難しい問題である。私は「色んな意味で乗り換えた方が無難」だと思っているけど、必ずしもソレが正解とは限らない。その判断材料を提供するため、この記事を引き合いに出した方が話を進めやすいかなと思って、ネタにしてみたわけだ。さっき「誰得」と書いたけど、私の役には立ったようだ。素晴らしい。ただ、私の役に立つってコトは、色んな意味でヤバいんじゃ…
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