8月31日2009/09/01 02:15

 政権交代しましたねえ。実は私、今回の選挙は「児ポ法に対する態度」優先で投票したので、どーでもいいんだけど(苦笑)。この法案絡みでトンデモ発言ぶちかました、茨城3区の某元議員が落選したのはザマミロだけど、表現の自由に理解が深かった東京8区の某社会党議員が落選したのは、ちょっと痛いかも。
 
 本日も「コミケ後の話」を。こればかり続けるのはどうかと思うけど、なんつーか、他にいいネタがなくて。あくまで私の中でだけど。申し訳ないけど、我慢して下さいませ。
 
 今回のテーマは、「同人誌=エロって認識は、どの程度正しいのか?」としよう。何となく「この際だから徹底的に書いてやる」って気分なので、私がどんなモノ買っているのかを告白しつつ考察していこうかなと。
 
 ハッキリ言って、コミケ参加歴がそれなりに長い人間でさえ、「同人誌=エロ」だと思っている奴は少なくない。私も「売れ筋同人誌」がエロ系だってコトは否定しない。けど、コレは間違った認識である。コミケに限定して考えても、種類だけ考えたら「エロくない同人誌」の方がずっと多い。
 
 何をもって「エロ同人誌」と呼ぶのか…は、地味に難しい問題だ。いわゆる「男性向け」はわかりやすいんだけど、「女性向け」をどう扱うのかが難しい。いわゆる「18禁表現」の有無だけで区分けしにくくなるから。作っている当人は「エロじゃない」と思っているのに、18禁表現がある…ってな事例が結構あるんだそうな。また、「肝心のトコロになると暗転する」みたいな表現で「内容はエロ系だけど、18禁表現がない」ものもある(これは男性向けでもあるけど、同人誌でコレやるのはごくまれ)らしい。
 
 あくまで感覚的な話をすれば、コミケに参加しているサークルのうち、エロ同人誌を売っているのは3割程度。この割合は、おそらく昔に比べれば増えているような気はする。ただ、昔は「エロは特に落選しやすい」って都市伝説(本当かどうかは知らない)があったので、「コミケに参加申し込みしてくるサークルの割合」で考えれば、だいたいこんなものだったんではないかと。つまり、残り7割はエロじゃない。
 
 パロディが原則禁止されているコミティアって同人誌即売会の場合、非エロ率は更に上昇する。9割方がエロじゃないからねえ。逆にエロオンリーって即売会も存在する。ただ、この手の「オンリー即売会」はあまり規模が大きくないけど。それやこれやを考えると、どう考えても「同人誌即売会」に売られている全同人誌のうち、控え目に見ても5割以上はエロくない同人誌だ。
 
 ただ、おそらく売り上げはエロ同人誌の方が多い。実は「ものすごく売れる同人誌」だからってエロとは限らないんだけど、割合から言えばエロが多い。とはいえ、コミケ全体で考えれば、せいぜい「売上総数の7割がエロ」ってレベルじゃないかと。これはつまり、もしコミケからエロを完全追放しても、まだ「ビッグサイト1日貸し切り状態」の客が残るって話になる。あくまで単純計算に基づく話だけどね。
 
 だいたいだなあ。ここを熱心に読んでいる方なら、「同人誌=エロ」とは思っていないはずだ。だって、私は「エロくない同人誌」中心に買う人だから。今まで何度か掲載したコミケレポートでも、大半が「エロくないもの」を買う話に終始している。エロ同人誌も買うことはあるけど、私にとっては「同人便せん・カレンダー>エロくない同人誌>エロい同人誌」である。
 
 今月のコミケ&コミティアに話を限定するなら、エロが絡むモノは…今回は気分により、メーカー名を出すことにしよう。オーガストのサントラ集(実は単なる先行発売)と、ねこねこソフトとコットンソフト(よくわからん経緯により分裂した、謎のエロゲーメーカー)のセット&シングルCD。一応セットに付いてきた設定資料集(ラフ画集とも言う)がちょっとエロかった。基本的なお目当てはサントラCD(今聴いている)だ。他はちーともエロくない。あとは競馬本だの、同人ゲームだの、同人便せんだの、ロケットエンジン解説本だのといった、フツーの人間には意味不明な品だ。
 
 こういう「非エロ系同人誌」を入手する動機は、比較的単純。「他では類似品すら手に入らない」ことが多いから。マイナーなので商業誌じゃできないようなモノを扱っているケースは多いからね。メジャーなモノであっても、切り口が新鮮だったりする。その大半は「誰が得するんだ」ってシロモノかもしれないけれど、コミケには「その誰か」が存在している可能性が高い。だって、そーゆージャンルをうろついている奴って、そういうモノを探し求めるためそこにいるわけだから。コミケというのは、ちょっと前に流行した「ロングテール理論」(ドマイナーな品含めて品揃え豊富にした方が、全体の売れ行きが良くなるって理論)なるものの実践例である。だからあれだけ巨大で、あれだけ人が集まるのだ。おそらくエロだけだったら、ああはならなかったと思う。
 
 コミケにおいて、エロのパワーは重要でしょ。でも、エロが全てじゃない。クルマの性能が「エンジンで決まる」としたって、「エンジンさえ良ければ、他がクズでもイイ」って意味ではないのと同じだ。マイナーなものであっても、「マイナーだから」って理由で切り捨てない姿勢も重要なのだ。「どーせエロばかり」って理由でコミケに見向きもしないのは、もったいないと思うな。
 
 正直言えば、「コミケに行かなきゃ気が済まない」と真顔で断言できるような人間じゃない限り、コミケに来て欲しくはない。ただでさえイヤになるほど人がいるのだ。これ以上増やしてどーする。でも、「コミケとやらに行ってみたい」って気持ちがわかるのもまた事実。私にとっては「生き地獄に堕とされる」覚悟を決めてまで入手したいモノがある場所であり、私と似たような趣味を持つ人間は一応いるのだから。単なる好奇心だけで踏み込むのはやめるべきだろうけど、「欲しいモノがあるんだ」と目を輝かせて主張されたら、「ようこそ」と言うしかない。渋々とではあるけどね。だって、オレの分が売り切れるかもしれないじゃないか(苦笑)。
 
 あれだけ巨大なイベントだけあって、コミケについてはとても語りきれない。多分、個人の力だけでは、故米澤代表でさえ語りきれなかっただろう。私は「3日間西へ東へ飛び回る」のがデフォルトという「特殊な趣味」(流石に少数派だと思う)があるので、他の人にはなかなか語れないモノを語る自身があるけれど、それでも「じっくり見ている時間も体力もない」関係上、見逃しているモノも山ほどあるだろう。極端な話、コミケは「全参加者数と同じ数の楽しみ方がある」のだ。大抵のビッグイベントが「皆で共通の体験をする」ことに重きを置いているのに対し、コミケはそうじゃない。そういう「懐の深さ」は、コミケに行かないと…どころか、行っても最初のうちはわかんないと思うなあ。
 
 しかしだねえ。なんで私は「暑さ寒さに耐え、シャレにならん人混みにもまれ、走るな止まるなココに並べといった指示に大人しく従い、あの広い広い東京ビッグサイトの西館・東館を往復し、量産効果が期待できない分どう考えたって割高にしかならない同人誌やらなにやらを買う」などという、インドの修行僧並みの苦行をやらなきゃイケナイのか、時々疑問に思ってしまいますな。いやまあ、本当のところは「時々じゃなく、常に疑って実行しない」のが正しいんだと思うんですけど…

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