9月11日2009/09/12 02:54

 諸般の事情により、久々の更新。ちょっと勘が鈍っているかも。その辺はご容赦願えれば。
 
 本日の話題は、GJ31&32号に掲載された、柿崎氏の「『戦国大名』はシミュレーションゲームなのか」について。「戦国大名」絡みの話となれば、やはり私も色々言いたいってコトで。
 
 その前に、まず軽い脱線。32号付録の「入札級関ヶ原」は、以前コマンド誌85号の「同人ゲーム紹介」に掲載されたもののはず。何かしら改訂されているかもしれないけど。このゲーム、以前知人から「家康の勝利得点が無限大なので、西軍が無茶苦茶な入札をしてしまう」って戦法?を聞いたことがある。この点の改訂をしてもらいたい…って話だったけど、これは杞憂、もしくは改訂された模様。実はこのゲーム、「マップ上から落ち延びる」ことが可能である。家康ユニットが伊勢路方面へ全力で逃げ出した場合、西軍がこれを捕獲するのは相当難しそうだ。バリエーションとしてはアリかもしれないけど、勝率は極めて悪そう。「やりたきゃやれば?」って話のようだ。
 
 さて、本題にいこう。柿崎氏の「戦国大名」分析は的確であり、正直言って大筋では特に付け足すことはない。シミュレーション性の低さ、及びその理由については私もある程度承知していたことであり、総論だけ見れば「当たり前のことを」って話である。もちろん、各論部分では実に参考になったけど。
 
 ちなみに、戦国大名20人ヒストリカルシナリオなる意味不明な自作シナリオをプレイした時、東北や九州と言った「辺境」では「自分の生存が手一杯で、天下国家なんて論じるヒマがない」って感想を述べたプレイヤーが続出し、ある意味「当時の戦国大名って、こんなものだったんだろーな」って状態になった。辺境の大名家なんて、本来天下取りなんてまず無理でしょ。
 
 そんなわけで、おおむね異論無し…で片付けては、面白くない。「Advanced戦国大名」が出現しない理由については、私なりの見解を述べておこう。私の個人的意見では、「アドバンスド戦国大名」は、現代的なゲームではない。だからそんなものは出ない。
 
 現代的なゲームとは?鈴木銀一郎大佐が「新・戦国大名」をデザインする時、「2時間以上かかるゲームは、現代的ではない」という理由により、あーゆーゲームになった…ってエピソードは有名である。時間かかって当然のシミュレーションゲームを愛好する層には多少異論があるだろうけど、かく言うゲーマーでさえ、最近はライトなゲームが受けるという現実がある。
 
 時間だけの問題ではない。柿崎氏が看破したように、「戦国大名」は「天下を統一する」ためのゲームである。単に「1番になる」のではない。天下統一、あるいはいずれそうなるだろうという状況を作り上げるのが、ゲームの目的である。このため、勝った奴以外は「大敗」することになる。征服されるか、屈服するかのどちらかを強いられるワケだ。これは同じ負けの中でも、かなり屈辱感が強い。これは果たして「現代的」かと聞かれれば、違うと思う。あくまで「私は」だけど。
 
 ついでに言えば、天下統一は「ゲームの最後に上手く立ち回ったら、そうなりました」なんてやり方で獲得できるモノではない。要求される技量はかなりのものだろう。「どーしても勝てない」なんて奴が出ても、何の不思議もない。実際、私はこのゲームで「天下統一した!」って実感するような勝利を達成したためしがない。プレイ経験は山ほどあるんだけど、途中で必ず躓くのだ。まあ、何が悪いのかはある程度わかっているんだけど、プレイ中にそんな反省はすぐ蒸発しちゃう…って話。よくある話だよね?誰かそう言ってくれ…
 
 戦国大名は天下を統一するためのゲームである。みんなそれが面白くてこのゲームをプレイしている。そのことに異論はない。ただ、そーゆーゲームが複数個必要なのかと言われると、かな~り疑問かな。天下統一というのは、シミュレーションゲーマーにとってさえ「重たい」テーマだ。さらに「戦国大名」は、「戦国時代っぽいフレーバー」まで詰め込んである。これとよく似た別のゲームをプレイしろと言われても、色々抵抗が大きいのは当然でしょ。
 
 余談ではあるけれど、サンセット版「戦国大名」の評判が一部で悪い理由も、一部はコレである。大部分は私を含む再版スタッフのせいだとしてもだ。みんな「自分がやっていたのは、ローカルルールに基づくモノ」だと認めたくないのだ。これを認めると、「良く似た別のルール」を覚える羽目になる。並大抵のゲームでさえそんなのはイヤだというのに、よりによって「天下統一」というしち面倒な作業を要求するゲームでこれは、イヤどころの話じゃないと思われる。古のTAC-CONでプレイされていたルールに準拠する部分にさえ、文句が出てたからなあ。ブツブツ…
 
 つまりはまあ、「Ad戦国大名」なるものは、立派な「誰得」ゲームだってコト。「新・戦国大名」が全くの別ゲームであるように、「天下統一を目指すゲーム」なんて夢のまた夢。夢想するのは勝手だけど、実際デザインしたって異論・反論に押しつぶされてマイナーなモノに留まるだけと思われる。いや、それどころか出版されないんじゃない?構想段階までなら喜んで相手してくれたとしても、実際段階になったら出版元が逃げ出すのでは。
 
 それでも、「戦国大名」を超えるゲームを作りたい!と言うのなら…同人で出すしかないだろな。同人なら売り上げはあまり気にしなくてイイし、何より「ユーザーの意見を聞いてフィードバック」ってコトもやりやすい。そーやって版を重ねてゆき、「これなら」って段階でゲーム会社に持ち込めば、あるいは何とかなるかも。もっとも、その根性と気合いのある馬鹿がいればの話だけど。
 
 なお、言うまでもなくオチは「オレに期待するな」である。ミエミエですいませんね(苦笑)。だいたいだなあ、私にそんな能力があるワケがない。やる気についても同じ。どうも色々誤解されている気がするんだよな…