4月4日 ― 2009/04/05 00:40
本来ならばそろそろカレンダーネタをやるべきなんだけど、諸般の事情から後日に回す。本日のネタは、数週間前から考察し続けてきた「私の考える初心者用ゲームとは:ギブアップ宣言編」をお届けする。何故ギブアップ宣言編?そりゃもう、考えが上手くまとまらなかったから。つーわけで、本日のネタは練り込み不足です。少なくとも私はそう思っています。ご了承下さい。
初心者用のウォーゲームってのは、たまに話題にはなるけれど、決定版と言えるモノがない。「コレで覚えるのが一番!」と言われるモノはいくつかあるんだけど、ソレを使って上手く勧誘できたって話が伴わない。ハッキリ言って、どんなゲームが初心者にふさわしいのかさえ、よくわかってないのでは…ってくらいだ。
世の中そんなモノだ。初心者育成なんて考えるだけ無駄って意見もある。私も正直「育成」された気はしない。ルールを恥も外聞もなく聞きまくり、負けに負けを重ねて何とか覚えてきたのであり、そーゆー世界に飛び込むだけの覚悟というか根性というか…がない人間に向いてる趣味じゃない、って話はある。
ただまあ、レベルの差ってのは色んな意味でいかんともし難いものであり、せめて何かしら「初心者でもうんぬん」ってゲームがあってもいいような気はする。この世界、基本を覚えているのといないのとでは雲泥の差があるので、「とにかく基本を叩き込むには」って部分を何とかした方が良さそうなのは間違いない。将棋にだって「駒落ち」って手法があるのだからして。
そんなコトは色々と語り尽くされているワケではあるんだけど、どうも良い結論が出ない。いやまあ、単に語るだけでなく、より具体的に「こうしてみたらどうだろう」って提唱がされていたり、実際ソレを当て込んだゲームがあったりするんだけどね。でも、正直「結局期待したほどでもない」のが、この世界の悲しい現実って気がするのは確か。
そこでだ。ふと思いついて、「我々は何かカン違いをしていたのではないか?」って仮説に従って、このテーマに取り組んでみた。これはあくまで「仮説」である。この仮説に従って色々考えてゆくうちに、矛盾だとか無理だとかにぶつかるようなら、仮説が否定できる。あえて別方面から考えてみることにより、なんかいいアイデアに繋がったりしないかなって色気を持って考えてみたわけだ。
我々中堅ゲーマーが、初心者に求めることは単純だ。「基本を覚えてくれ」である。基本を覚えてくれれば、ルールの説明がかなり簡単になる。確かにウォーゲームのルールブックは厚いけど、我々は必ずしも全ルールを丹念に読んでいるワケじゃない。基本は覚えているので、ポイントとなる部分にだけ目を通せばそれで足りるのだ。別にアタマの出来がどうこうって話じゃない。
それゆえ、「初心者用ゲームとは」って話になると、「とにかく基本だけ」を抽出したゲームを…ってところに落ち着きやすい。もっとも、「ドコまでが基本なのか」「それで面白いゲームになるのか」を細かく追求してゆくと話がややこしいので、語り尽くされたようなテーマであるにもかかわらず、未だ結論っぽいモノが出ていないんだけど。この見解が間違っているとは思わないけど、ここでは「あえて」無視して話を進める。
あくまで「仮説」なので、あえて大胆な表現をしてみよう。中堅以上のゲーマーは、中堅以上のゲーマーの理屈に従って、「初心者用とは」を語ってきた。これが実は「大きな間違い」だとしたらどうなる?むしろ、「初心者にはルールが簡単なゲームを勧めてはイケナイ」って理屈はあるのだろうか?
屁理屈に限りなく近い(つーか、そのもの)のを承知の上で、私の出した結論は、「ひょっとするとそうかもしれない」である…この結論を認めたくなくて、色々考えてみたんだけど、うまく否定できなくて…どこかが間違っているような気はするんだけどねえ。以下、しばらく「屁理屈」にお付き合い下さい。
「戦争」をテーマにしたゲームってのは、我々のよく知っている「ウォーシミュレイションゲーム」以外にもいくつかある。その代表の1つが「チェス・将棋」だ。将棋には異論もあるらしい(獲ったコマを使えるのは、戦争とは別概念が入り込んだ結果ではないかって説がある)けど、チェスはまず間違いなく「戦争・戦い」をモチーフにしている。でも、チェスから「戦場の臭い」を感じ取るのは、ちょっと難しい。抽象化がかなり進んでいるからだ。だからってゲームとして劣っているワケじゃないのだけど。
それでは、ウォーゲームは「戦場の臭い」がするのかと言われると…とりあえず、私はそれを嗅ぎ取ることが出来る。まあ、中堅以上のゲーマーなら大抵がそうだと思われる。もちろん、「現実の戦場の臭い」とは全く別物だとは思うけど、それはここでは問題にはならない。少なくとも、小説や映画から感じ取れる「戦場の臭い」と同等のモノ(場合によればそれ以上)を味わっている。普通はコレで充分でしょ。
しかしだ。初心者から見たウォーゲームは「戦場の臭い」がするものなのか?おそらくそうではない。なんかワケわかんねー、で終わりだろう。仮にルールを完璧に理解し、それに従ってユニットを動かすことが出来たとしてもだ。ビジュアル面が弱いから…ってのは重要な要素かも知れないけれど、おそらくそれだけじゃない。初心者は、ウォーゲームの盤上から「戦場の臭い」を嗅ぎ取る力、言ってみれば「読解力」が低いからだ。経験がない以上、高いわけがない。
こういう「読解力」は、受け手に読み取ろうという意欲がないと、まるで感じ取ることが出来ない。よってまあ、最低限「読み取ろうと努力してくれる」としよう。それでも、読解力が低い以上、我々ほどはそれを感じ取りにくい。それは仕方ないことだ。ならば、我々がすべきこととして、「戦場の臭いを感じ取ってもらいやすい」ゲームを勧めるのが得策とならないか?
それでは、読解力の低い初心者でも、「戦場の臭い」を感じ取ってもらいやすいゲームってどんなものだろう?ここで、チェスのたとえを思い出してもらいたい。当たり前の話だけど、抽象化が進んでいるモノの方がより高度な読解力を必要とする。そんでもって、あくまで一般論で言えば、ルールを簡単にしようとすればするほど、ドンドン抽象化の度合いが大きくなる。その分、より「戦場の臭い」を嗅ぎ取るための技量が要求されるってことにならないか?よって、初心者には「初心者でも戦争の雰囲気を味わえる程度に、ルールが具象的なモノ(大抵複雑なルールになる)を勧めるべき」って結論も出せるのだ。
この結論、実は私にとっては意外だった。どっかで「初心者はそんなモノ求めていないに決まっている。だから、やはり簡単なルールのゲームをプレイさせるべきなのだ」って結論にこぎ着けると思っていたので。ただ、こうやって形にしてみると、なんとな~くわかるような気もする。「初心者用=ルール簡単なモノ」って図式には、「うまく言えないんだけど、なんか違う気もする」って意見が根強くあったわけで。その、「うまく言えない」理由は、案外この辺にあるんじゃなかろうか。あくまで推測ではあるけれど。
かといって、直接ルールが複雑なモノを…って話にはならないとは思う。ウォーゲームのルールってのは、「上手く活用して」初めて戦場の臭いを感じ取ることが出来る。初心者にそれを要求するのはタイヘンでしょ。ルールが複雑なゲームになると、我々でさえヒイヒイ言っているようなモノも多いんだし。よって、できれば「ある程度ルールが簡単で、それでありながら戦場の臭いが嗅ぎ取りやすい」モノを探してくるって話になる。
そんなテーマって、何かあるのか?ビジュアル面含めて考えた場合、実は作戦級より戦術級じゃねえかって話はある。単純に馴染みやすそうだから。KGパイパーの進撃路がどうこうなんて話は、よほどの歴史マニアかウォーゲーマーしか気にしないことだからして。でも、「歩兵が出てこない」戦術級って、ある意味なんか「戦場らしくない」気もするんだよね…してみると、「歩兵というややこしいモノを出す必要がないのでルールを簡略化でき、それでいながら戦場の臭いを感じ取れるだけの説得力を持たせることが可能な」ガン○ムに代表されるアニメウォーゲームって、実は初心者獲得手段としてそれなりに優秀だったような…まあ、色々限界はあったと思うけど。
とまあ、とりあえず結論っぽいものが出たことは確かなんだけど、この結論は必ずしも「真っ当な」ものではないと思われる。我ながら結構(どころじゃなく)「論理の飛躍」があるような気がするから。それは何となくわかるんだけど、具体的にどこがどうマズくて、ソレを直すと結論はどうなる…ってところまで、考えがまとまらなかったのだ。よってこの段階で世間一般に公表し、読者の皆様の「添削」にお任せしようと思う。理路整然としていれば、反論大いに結構。つーか、私はまだこの結論に「納得」できてないので、誰かに反論して欲しいくらいだ。
とはいえ、我々中堅以上のウォーゲーマーが、ウォーゲームから「戦場の風」を感じ取る能力に長けていること、初心者はおそらくその能力が我々より低めなこと、「戦場の風」を感じ取ってもらえなければ、そのゲームをプレイする価値が低いであろうこと…なんて部分は、あまり間違っていないような気がする。それを多少なりとも明確化できたってのは、あくまで私の中では大きかったかな。まあ、「常識でしょ」と言われそうな話ではあるんだけど。
初心者用ウォーゲームってのは興味深い話題ではあるんだけど、より具体的にどうこうって話になると、「やっぱり難しい」となりがち。ただまあ、酒の席やこーゆー場所でグダグダ語る価値はあるんでないかな。そんなわけで、あえてまとまりの悪いこの話を発表してみました。しかし…何度読み返してもヘンな結論って気がするんだけど、具体的にドコがオカシーのか、うまく特定できない…何故だ。
4月5日 ― 2009/04/05 23:27
本日もこの色で。軍モノonly同人誌即売会「INSIGHT」に行ってきたので。ものすごーく意味不明な体験含め、報告しようかと。
記憶が正しければ、確かこの即売会は今回が2回目。去年よりやや人が少なかった気がする…うーん、これは「2回目」だからか、ブーム?が去ったからか…心配するホドじゃないとは思うけど、ちょっと気になった。
お目当てはゲーム関連。コマンド誌編集部が同人ゲームひっさげていらっしゃるとわかっていたことだし。「バトルアクス作戦」「ガザラの戦い」はわかる。「ブルー○ア」があるのは何故?もっとも、個人的に一番楽しみだったのはこの「ブルーノ○」(苦笑)。
「バトルアクス作戦」「ガザラの戦い」は、エクスペリメントシリーズなるものに属している。要は「試験発売」だな。いずれコマンド本誌の付録になるのかもしれないってわけだ。とはいえ、デザイナーは本誌編集長中黒殿。試作品とはいえ、「ゲームになってない」なんて事態は考えにくい。安心して買える品ですね。
まだルール確認&作戦研究段階なので、ユニットは切ってない(私はこの段階ではユニット切らないことが多い)けど、まあそれなりに遊べそうだ。試作品と言いつつ、使っているのは手堅く「ドイツ装甲軍団」システムだからねえ。とりあえずの印象としては、「2つまとめても、本誌付録ゲームにするにはちょっと軽いかな」って気はするけど、バラしてもう少し重いゲームのオマケにするとか、やりようはあると思われる。
私としては、むしろ大きく紹介したいのは「ブ○ーノア」(正式なタイトルは「海底からの一撃」)の方。いやね、これがゲームとして面白いかどうかはよくわからん。まだプレイしてないし。けど、「こういうモノをデザインする」心意気は、大きく賞賛する価値があると思っているので。この手の「遊び心」は、失われて久しいモノだからねえ…
中黒編集長もおっしゃっていたけれど、今現在、この手の「版権モノ」ゲームが制作・販売される可能性はかなり低くなっている。その昔と違い、版権使用料が高くなっているからだ。版権持ってる側にしてみれば、コンシューマーゲームが「基準」になるわけだから、軽々しく権利渡せないのだとは思うけど。その辺の事情は私もよくわかるけど、でもでも、その昔アニメを題材としたゲームで遊んだ記憶がある…どころか、今でも「超○ロック」を喜んでプレイしている身としては、寂しさを禁じ得なかったわけだ。
こーゆーゲームが面白いのかと問われれば、実は答えは「大抵イマイチ」となる。これはキチンと理由がある。いわゆるアニメの主人公キャラって、ベラボーに強いのだ。そうでなきゃ話として盛り上がらないから、それ自体を攻撃しても意味がない。ただ、結果として「少数のベラボーに強いユニットが、雲霞のごとき敵をバッタバッタと倒してゆく」って展開になりがちだ。
そのまま主人公側が勝ち続けるのなら、アニメのストーリーにはなってもゲームにはならない。そこで、フツーはザコ敵役にも「主人公を倒す」可能性を持たせることになる。可能性は低いけど。ところがだ。その結果として、ザコが序盤に「ラッキーヒット」を出してしまった場合、今度は逆に敵役側が一方的に勝利することになる。結果として「ダイス運次第の、大味なゲーム」になりがちなのだ。これは、「主人公キャラがベラボーに強い」という、アニメ等でありがちな約束事に従う限り、どうしたってある程度はついて回る問題である。
もっとも、最近はアニメの主人公と言えども「ベラボーに強い」とは限らなくなってきたし、それを前提としていながらゲームとして成立させる手法も進んできた。それを考えれば、「むしろ今こそアニメを題材に!」って意見も成り立つとは思うけど、結局は版権がねえ…
ただまあ、昔のアニメゲームに「ゲームとしての面白さ」が必要なのかと言われれば、必ずしもその必要はないと思われる。要は「アニメで感じた雰囲気」をゲームって形で再現できればいいのであって、ある種のロールプレイングゲームだと考えれば腹も立たない。そもそも、ヒストリカルウォーシミュレイションゲームだって「将軍・最高指揮官のロールプレイ」だから面白いって側面もあるんだから。
ルールを読む限り、「○ルーノア」は、どちらかと言えば「主人公強い、ザコはただひたすらやられるだけ」の、大味テイスト主体のゲームのようだ。まあ、あの頃のアニメ作品を題材にすると、どうしたってこんな手法中心にならざるを得ないんだけど。ただ、そこはそれ。キチンとヒネリは効いているようだ。この辺が「デザイナーのセンス」じゃないかな。ルール読んでいて、思わずニヤリとさせられました。
ちなみにこのゲームは、「エクスペリメントシリーズ」ではなく、「誰得」シリーズなるものに属する。「こんなゲーム、一体誰が得をするんだ?」というコンセプトに基づいているからだそうな。まあ私は大いに得をしているので、多少事実と異なる気もするけど(苦笑)。同人誌即売会限定だからこそできたウラワザなんだろうけど、この路線は大いに支持したいですね。私と同意見を持つ人間は他にもいるようで、早くもシリーズ存続に向けた動きが見られる。注目だな。
いや、単に「注目だな」で片付けてはイケナイ。私も「こんなゲームはどうだ?」とか、「○○さんの作品も見てみたい」とか、果ては「ゲーム作っちゃいました」に至るまで、より積極的支援を行うつもりで頑張らねば!こんなモノ支援されても困るだけだろとか、そんなしょーもない支援をしてどーすんだ、なんて考えたら負けだ。
他の買い物についても、少しは語っておかないと。まず、今年デビュー予定のロシア新型戦闘機PAK-FAについての情報をまとめた、「プロペラvol4」(サークル名「ひこうきの会」)を。怪しげな情報が飛び交っているのは知っていたけど、こうやってある程度まとめてくれると助かります。冷戦が終わった今でも、ロシア軍の情報は掴みにくい(昔に比べればだいぶマシだけど)からねえ。ちなみにこのサークルさんとは、帰り道でバッタリ遭って向こうから挨拶された。こういう交流も即売会の醍醐味だね。
もう1つは、「日露戦争」(EP/国際通信社)を使って日露戦争の図上演習を試みたという、「日露戦争ケーススタディーズ」(サークル名「第六兵器廠」)って本。日露戦争当時に考え得た「IF」を、ゲームを使って検証するって試みをまとめたものだ。ウォーゲームをネタに使ったモノとしては、斬新な切り口だと思う。冒頭部分に「ゲームデザイナーの主観に沿った作戦展開しか可能ではないのではないか」との疑問をあえて書き、それを検討した結果「検証に耐える結果であると判断した」と書いてあるところが偉い。この手の検証には賛否両論あるような気もするけど、私はあえて評価したい。
買ったワケではないけど、「南京陥落」(サークル名「2015年紀解読委員会」)ってゲームのルールブックも手に入れた。このゲームは以前入手していたんだけど、ルールブックの版が新しくなったということでいただいた。まあ、「知り合いの」サークルだからね。まだドコが変わったかチェックしてないけれど、こういう「こまめなディベロップ」は評価しても良いんじゃないかな。
この日はコマンド編集部の方々だけでなく、様々な方とお話をした。特筆すべきはコマンド誌最長期連載「空科学想盤上遊技の世界」の著者のいしだたかし殿かな。到着が遅く、おかげで「ブルーノア」が売り切れてしまっていたのが…正直、私ごときよりも「このゲームを買うべきだった」方かなと。私は悪くないんだろうけど、なんか申し訳ない気が…
最後に、ある意味最も驚いた出来事を。会場の外にある喫煙スペースで煙草を吸おうとしたところ、箱を見てないはずの方に銘柄を一発的中された。「よくご存じですね」と驚いて問いかけたところ、何と「昔は吸っていた」のだとか…私の「いつもの」煙草だよ?こういう方と遭遇するのは、もちろん初めて。しかも、女性。「私1人のために輸入してるワケじゃあるまい」とは思っていたけど、こんなトコロで遭遇するとは。
つーわけで、なんだか「濃い」1日でした。おかげでMiddle-Earth東京支部例会に参加できなかったけど、体が2つない以上、仕方ないでしょ。時々「私の体が1つしかないのは、世の中間違っている」と思うんだよな…ブツブツ
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