7月31日 ― 2008/08/01 03:03
本日は、休刊(廃刊)するヤングサンデー連載の「移籍先」について、思うところを語ってみようかと。いやまあ、なんかスゴいので。
何がスゴいのか?最終号の目次に掲載された作品(数えたら25作品あった)のうち、連載終了がたったの2つ。残りは全部「移籍先アリ」ときたもんだ。なんだかなあ。だったら何で廃刊するの?って疑問が湧いてくるね。主要作品の移籍は予想していたけど、ここまで「残す」とは思っていなかった。
「連載終了」した作品は、厳密には3つ。投稿コーナーにあったマンガ(しりあがり寿の作品?)も終了する。これはまあオマケみたいものだけど。残る2作品のうち、1つが4コマギャグ(「新青春くん」、とがしやすたか)で、もう1つがノンフィクション対談モノ(「絶望に効くクスリ」山田玲司)。ある意味「終わらせやすい」性質を持つモノだ。「続きはどうなる」ってな作品じゃないからね。逆に言えば、ストーリーマンガは全部「存続」させたのだ。
移籍先についてだけど、ビッグコミックスピリッツ(以下スピリッツ)に9作品!が、ビッグコミックオリジナル(以下オリジナル)に1作品が移籍。あと月刊のIKKIに1つ、残りは1作品を除いてスピリッツ増刊の「YSスペシャル」(月刊の増刊になるようだ)に移籍。どの作品がドコに移籍したのか全部語るつもりはないので、必要ならば各自調べて下さい。なお、「残った」1作品(「まつろはぬもの~鬼の渡る古道~」木根ヲサム/恒川光太郎原作)は携帯サイト配信のみになる。
やはり目を惹くのは、スピリッツへの9作品移籍。全部が全部週刊連載なのか、それとも隔週・月1連載を含むのかはわからないけど…こんなに受け入れて、スピリッツは大丈夫なのか?単純に分厚くなるとは考えにくいので、連載終了・休載・隔週連載への移行などをやって頁数を調整するつもりなのか?8~9月のスピリッツ連載作品の「動向」には注目が必要かもね。
もう1つの注目は、「YSスペシャル」がどんな雑誌になるか。今のところ狙いが見えない。移籍作品のリストを眺めていると、いわゆる「ヤング誌らしい」作品がこちらに移されているように感じる。ということは、「月刊のヤング誌」を目指すのだろうか?移籍作品だけでは雑誌としてスカスカなので、「他にどういうモノを持ってくるのか」がポイントかな。
単行本については、あまり心配する必要はないでしょう。雑誌廃刊に伴う「新雑誌への移行」なんて、今に始まった話じゃないからね。ちょっとばかり体裁を変えて「移籍先のコミックス」として続きが出るんでしょ。
一応Webサイト情報も触れておくか。この雑誌の有料Webサイト(グラビアなどがあるらしい)は、タイトルだけ変えて完全存続する模様。まあ有料サイトだけに、閉鎖しにくかったのではないかと。それに、いちいち閉鎖する必要はなかったんでしょ。「どこで宣伝するのか」って問題は残る気がするけど、雑誌を山ほど抱える小学館なら、あまり気にはならないのでは。
しかしねえ。普通雑誌の廃刊と言えば、巻き込まれて連載終了となる作品が大半となりそうなものだ。私の印象では、半分生き残ったら「立派なモノだ」となる。でも、ヤンサンは約9割が生存。これは正直、「何かあった」んじゃないかって気がするのは確か。「連載中止されてたまるか!」って運動があったんじゃないかねえ。いくつかの作品では「連載続くのに、一応のピリオドを打った」ものがあり、移籍失敗に備えたのでは…って邪推も可能になっている。まあ、一応は「雑誌の終了を記念して、作品にも1つの区切りを付けてみた」ってことなんだろうけど。
作品の大半が生き延びた…ということは、会社の判断として「作品がツマラナイからヤンサンを潰したわけではない」ってことなのかねえ。だとすると、この雑誌が無くなった理由っていったい何?まあ、どう考えても「大人の事情」だな。特に臭うのが、広告関連。はっきり言って、雑誌は「つまらないから潰れる」のではなく、「広告取れないから潰れる」のだ。仮に面白くても、そこそこの売上があっても、広告が駄目なら雑誌は駄目になる。ま、雑誌がある程度の売上維持していれば、普通は広告が駄目ってコトはないはずだけど…私が広告で儲けるビジネスモデルをこよなく嫌う理由がここにある。雑誌が潰れるたびに、「雑誌は読者のモノじゃない、俺達広告主のモノだ」って言われている気がするんだよね。
まあ、何にせよヤンサンという器はなくなった。作品は残ったけど。しかし、「ヤンサン廃刊に伴う動き」のウォッチングは終わったわけではない。大量移籍を引き受けるスピリッツはどうなるのか?事実上新創刊される「YSスペシャル」はどんな雑誌になるのか?この辺も追跡調査したいね。誰も読まなくても、こういうコトをしつこくやるのがココの持ち味だからして。
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