8月21日 ― 2008/08/22 02:02
本日、コマンド誌へ「第一稿」を送付した。予定より早い。もっともこれは「予定より早く仕上がったから」ではなく、むしろその逆。色々やったけど分量を劇的に減らせそうもないので、編集側のアドバイスをもらった上で判断した方がいい…と思ったから。下手に自力だけで解決しようなんて考えたら、ドツボにはまりかねない。やっぱ全部書き直した方が良かったかなあ…ブツブツ…
気を取り直して本題に行こう。上記話題はまた後日本格的にやるし。今日のお題は、「ユーロファイター・タイフーンの売り込みについて」としよう。どうもモーレツな売り込みをかけているようなので。
ユーロファイター・タイフーンとは?英・独・伊の3国で共同開発した最新戦闘機。日本の空自が導入するかも…って話があり、以前ここでも採り上げた。
正直言って、私は「空自がこの機体を買うことはない」と思っていた。理由は言うに及ばず。あの役所、結局はアメちゃん頼りだからねえ。同盟国なんだからむしろ当然ではあるんだけど、正直「これでいいのかね?」と思うくらい。ま、国防用兵器をドコでどーやって調達するかについては、私ごときに細かく語れる問題ではないんだけど。
そんなことは世界中でわかりきったことであり、ユーロファイター売り込んでる連中も「どーせ当て馬でしょ」と割り切っているんだと思っていた。実際、仏のラファールって戦闘機は「どーせ当て馬だろ」ってんで売り込み拒否したくらいだ。しかし、どうも連中は「本気で」日本に買ってもらおうとしているらしい。
ただ…その理由は切実かつしょーもないものらしい。英国が「これだけ買うよ」って約束を守れそうにない(予算の問題か?)ので、「キャンセル料払うぐらいだったら、どっかに転売できないか」本気で相手を探しているんだと。何やってんだか。
現実問題としてこの売り込みが成功する可能性は、かなり低いと見た。どーせ空自のことだ、部品の規格がどうこう、整備の手間があーたらこーたら…って難癖付けて、「多少割高でも米国製が…」って決断下すだけでしょ。ま、これはこれで間違った意見じゃない。現場の意見を無視して兵器なんか買っても、ロクなことにならないからねえ。
ただ、ユーロファイター側のセールストークが面白いのも事実。何でも、「中国の最新戦闘機に勝てるのはウチとラプターだけ」って主張してるんだそうな。イーグルやらホーネットの焼き直しはともかく、現在試験中のF-35ライトニングⅡも「勝てない」と断言してるのが面白い。この機体の開発には英国も深く関与してるだけに、まんざら嘘八百ってわけでもなさそうだ。
中国の最新戦闘機と言えば、ロシア製Su-27フランカーの系列機。確かに強い。空戦は機体の性能が全てじゃないので、「空自は中共空軍に勝てない」ってことはないと思われるけど、相手が良い機体持っているのは確かだ。空自のイーグルも良い機体だけど、ちょっと開発年代が古い。これはホーネット系列も同じ。この辺を「改造」した機体を買うかも…って話はあったので、「それじゃ中共空軍に勝てない」って恫喝はわかる。
問題はやはりライトニングⅡでしょ。これがフランカーに勝てないってのは、ちょっと聞き流せない話のような。なにせ計画では、米空母に搭載される艦載機はコレに差し替えになる予定だ。つーことは、「米空母艦載機は、フランカーにボコボコにされちゃう」ってことに…あ、あのー、いいんでしょーかそれで。
そりゃあね、艦載機ってのは普通の戦闘機より色々不利があるので、多少性能が劣っても仕方ないかもしれない。けど、同じ米軍同士で比べてどうこうじゃなく、仮想敵の戦闘機に「勝てません」ってのは…それでいいのか米海軍。いくら何でも相手をナメすぎてないか?中共相手に全滅させられたら、台湾が大陸のモノになっちゃう(ゲーム「Red Dragon Rising」の話)んだぞ。
ついでに言えば、「タイフーンはライトニングと空戦やって勝てる」ってことになる。これもこれで頭の痛い話ではないかと。日本や英国が米海軍と戦うことはあまり考えなくて良さそうだけど、今回の「余ったタイフーン押しつけ先」の候補にインドがある。インドは米国に逆らう可能性あると思うんだけどねえ。ま、この国はすでにフランカー導入済みだから、結局米空母じゃ勝てない理屈になるんだけど。
こうやって考えてゆくと、空自が「ラプター売ってくれ!」とこだわるのもわかる気がする。イーグルやホーネットの焼き直しじゃあ、フランカー相手は不安がある。ライトニングⅡでさえ、「どうせソコまでの性能はいらない」って判断から、マトモにやったら苦しそう。だったら、ラプター買うしかない。本土空襲の心配が不要(現状、ICBMは空軍では迎撃不能らしいし)で、最後は数の暴力で押し切ってしまえばいい米国と違い、空自だと「どの機体でもフランカーに勝てません」じゃあ大いに困るだろうからねえ。
でも、現状ラプターは輸出禁止。大統領選の結果次第でどうなるかはわからないけど、オーストラリアからも「売ってくれ」って言われたのにダメ出ししてるんだから、そう簡単に輸出認めるとも…「じゃあ、仕方ないからタイフーン」って可能性は、一応あるような気もしてくるね。なんか安売りしてくれそうな雰囲気だし。
もっともだ。「タイフーンとラプターならフランカーに勝てる」ってのは、あくまでユーロファイター側の言い分。実際どうなのかは、何とも言い難い。それに、これはあくまで「マトモな空戦やったら」って仮定の話。現代空戦ではマトモな空戦なんてあんまり生じないって話もある(ちょっとでも優勢な側がボコボコに相手叩いて終わると想定されているらしい)ので、そもそもそんな仮定が無意味って話もある。「安そうだから」でタイフーンに飛びつく必要があるのかどうかは、ビミョーだね。
最後に小話を1つ。タイフーンって名前の戦闘機は、第二次大戦にもあった。この先代タイフーン、正直言って色々問題があった機体でねえ…特にエンジンがややこしい構造で、整備するのが大変だったとか。事情は違うけど、日本が同じ名前の戦闘機を買ったら、やっぱり整備するのに苦労しそうな気が…
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