2月12日2008/02/13 01:14

 この連休中にもネタを仕入れたけど、未消化なので後日。調子が悪い現状において無理矢理ネタにするのは、よろしくないと判断。
 
 つーわけで、本日は毒入りギョーザ事件について。先日グダグダになった末全面破棄されたネタだけど、書くことを絞って書けば何とかなるのでは…ってことに気がついたので、再チャレンジ。
 
 今回の事件に関しては、かなり早い段階で「これは単純な混入じゃねえな」って感触があった。毒物の分量が尋常じゃなかったからねえ。ミステリファンの私から見ると、そこに「殺意もしくは傷害の故意」を感じ取れるほど。それゆえ興味を持った話題だったりするんだけどね。
 
 殺意を込めて毒物をばらまくってのは、滅多にない。理由は単純。そんなことしても労多くして得るモノ少ないから。たとえ仮に「他人の不幸は蜜の味」だとしても、そのニュースを味わうため「だけ」に、苦労して毒物入手して、それをこっそり食品にバラまくなんて努力をする価値はない…ってのが一般的な価値観。
 
 過去の歴史に「毒殺マニアだ!」と言われた奴は結構いたりする。有名なのは何と言ってもボルジア家か。毒を使って富を集め…って陰口があるのは事実。ただし、よくよく調べてみると根拠薄弱な話だったりする。そりゃあ法王アレクサンデル六世・その息子のチェーザレ・ボルジアが「希代の悪党」なのは間違いない。しかし…と言うより「大悪党」だからこそ、毒殺などと言う「実は効率悪い手段」なんぞに依存するようなアホウではなかったと思われる。
 
 歴史上有名な「毒殺者」がいるのは事実だけど、どいつもこいつも基本的には「特定のターゲット」を狙っている。配偶者(殺して別の相手とくっつくため)とか、親戚筋(遺産狙い)とか。「不特定多数にもバラまいてたらしい」って話がある奴もいるんだけど、どこまでが真実なのかは…まあ、毒薬の効き目を確かめるために「やらかした」奴がいても不思議はないんだけどね。
 
 もっとも、一応相手は特定されているんだけど…ってな毒殺があるのは事実。ごくごくわずかな保険金のためにバンバン毒殺繰り返したとか、単に「一方的に気に入った相手の、配偶者もしくは恋人だから」って理由で毒バラまいた奴とかいるわけで。不特定多数の人間を毒殺するって行動に合理性は見いだせないけど、それを承知の上でバラまきたくなる奴が希にいるのも確かなようだ。
 
 私が直にニュースとして接した事件で考えると、こういう「不特定多数狙いの毒殺」は案外少ない。グリコ・森永事件は不特定多数に毒を盛ろうとしたのは確かだけど、あれは「食った奴を殺す」ことより、脅迫してカネを引き出す…という「現実的な動機」があった。和歌山砒素カレー事件は…これは動機が謎すぎてよくわからん。むしろ「地下鉄サリン事件」の方が、ブッ飛んでる動機による不特定多数狙いって気がするね。ただこれも「警察捜査の攪乱」という現実的動機(どこがと思うけど、連中は本気だったようだ)があったりするんだけど。そうやって考えてゆくと、怪しげな動機による不特定多数狙いの毒殺なんて、「パラコート入り清涼飲料水」事件があるくらい。これは不気味だったねえ。
 
 怖い余談を1つ。このパラコート入り清涼飲料水事件以後、パラコートを混入された某清涼飲料水はそれまでのスクリューキャップから「一度開けられたらすぐわかる」キャップに切り換え、今に至っている。スクリューキャップ式の飲物を自動販売機で売るのは色んな意味で危険と判断したのだと思われる。表立ってそうは言ってないけど。
 
 しかしだ。事件の記憶がかなり風化した今現在、自動販売機にはスクリューキャップを持つ飲物が山ほど売られている。ほとんど全てのペットボトルがこの方式だからね。私もついこの前まで何も疑わずに自動販売機でペットボトルを買っていた。しかし…毒入りギョーザ事件に接して「不特定多数を狙った毒殺事件って、過去に何があったっけ?」と記憶の底をさらってゆくうちに…まあ、今日も自販機でペットボトル買ったけどさ。皆さん、注意して下さいね。ありゃあマジにわかりにくいと思うので。
 
 今回の毒入りギョーザ事件に関しては、どうやら「中国の製造工場を解雇された人間が、信用を落とすためにやった」んじゃないかと推測されている。まあ、とりあえずは「わかりやすい」動機だな。ただ…本当にそうなのかは、何とも言えない。仮にホントだとしても、製造工場に腹いせする方法は他に山ほど考えられる中、なぜこの手法を選んだのか…ってなことを考えてゆくと、やはり何かしら「暗くて深い闇」があるような気がする。やっぱり不気味は話だね。ま、私のような人間に言わせると、「だからこそ面白い」んだけど(苦笑)。
 
 毒殺目的で食品に毒を入れるってコトは、この上もなく反社会的な行動だと思う。「まさかそんな馬鹿なことはしない」という理由で信用してる部分を、根底から突き崩すコトだから。マスコミは安易に「中国製品は怖い」って話にしようとしているけど、「流通段階のどこかに毒殺者がいるかも知れない」と疑いだしたら、国産製品だから安心って話にはならない。ここは疑わなくて大丈夫…って割り切りがなけりゃ、それこそ農業を否定して狩猟・採取生活に戻るしかない。それぐらい「罪深い」犯罪なのだ。だから…健康被害を受けた人間がいなかったからって、消費期限誤魔化すのは罪が深いことなんですよ。これだって「故意の毒物混入」の一種だからね。
 
 毒殺者は何故毒殺するのか…これはもう、他人には理解不能な暗くて深い闇としか言いようがない。一般的な価値観と思いっきり反するからねえ。さすがにそんな輩は滅多にいないんだけど、たま~に出現するのも事実。はっきり言って、防ぎようがありません。疑えばきりがないし。狩猟・採取生活でさえ「獲物が病原菌やら寄生虫(毒物の一種と見なせる)と無縁って保障がない」ことを考えれば、結局何やっても「オレは毒物とは無縁だ」って生活を送るのは不可能だと思うね。ある程度は割り切るしかないんじゃないかと。
 
 世間一般の人間は何でも「自分の理解できる図式」に当てはめようとするけど、実際はそんなものじゃ割り切れないモノも存在するんだよ。不特定多数への無差別毒殺なんてのは、実はその代表ではないかと。まあ、私のような特殊な感性を持つ人間に言わせると、だからこそ世の中面白いんだけどね。そもそもだなあ。「世の中には、心底理解不能な奴がいる」ってのは、ここの読者諸兄の方がよくわかっているのではないかと。私以外の誰が「同人カレンダーと同人便せんを求めてソウル(または釜山)まですっ飛んでいく」男を理解できると?(笑)

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