1月3日2013/01/04 03:37

 明けましておめでとうございます。今年もよろしくお願いします。私は今年も色々忙しいと思うので、ここの更新は滞りそうだけど…
 
 本日は、年末の反省。コミケの反省とも言う。なにしろ、空前の大敗北をやらかした。そうだなあ…スターリングラード戦ぐらいは負けた。流石にバグラチオン作戦級ではなかったけれど。ひどいもんだった。
 
 私は企業中心の「買い子」である。正直過酷だけど、代償はかなりデカい。なにせ3日間とも「並ばずに入場は出来る」のだから。ただ…羨ましいと思うのなら、私に代わって買い物して欲しい。
 
 今回の注文は、「相変わらずキツいけど、何とかなりそう」ってヨミがあった。行列の長さはある程度予想できるので。だから油断した…とは思わない。行列の長さについては予想通りだったのだ。問題は、「売り切れ」である。そりゃあね、「売り切れ予想」も私の芸のうち。それをハズしちゃ駄目なのは間違いない。けど、今回はなんつーか…私の経験を超える事態が発生したようだ。
 
 まず悪夢の初日。並んだ列が全く動かないという、今までにない事態が発生。どうやら人間が多すぎて大渋滞が発生し、ブースに誘導できなくなったらしい。ここでかなりの時間を喰ったあげく、並んでいる途中で注文の品の1つが売り切れ…かなり時間を無駄にした。このおかげか、「3限ってことは供給量に自信あるんだな」と思っていた品も売り切れで入手できず。まいったね。
 
 2日目。この日は都合により、同人の方からスタート。それはいい。大事な注文があったのでそーしたんだから。ただ、企業の買い物に突撃したところ、この日も「延々並んで売り切れ」の悪夢が。あとちょっとのところだったのに…
 
 3日目はもっと惨い。目当ての品が開始30秒(体感)で品切れ…多分10個残ってなかったとしか。3日連続「並んで売り切れ」は初。3日目なんて品薄なのが当然とはいえ、これは流石に予想してない。だったら「2日目で完全完売」って宣言してくれよ…
 
 いやはや、今回は本当に参った。結果としては私の予想が甘かった。それは認める。けれど…おそらく最高権威であるコミケスタッフの予想すら上回る事態が発生したようなのだ。でなけりゃ、「列をブースに誘導できない」とか、「列完全崩壊」(どこぞでやらかしたらしい)なんて発生しないはず。コミケスタッフでさえコレなんだから、私ごときが予想外すのもむべなるかな…
 
 ちょっと前までは、「企業ブースの人気ドコロ」はエロいものと相場が決まっていた。しかし、最近は逆に「そんなにエロくない」ものが混雑する。確かに「エロい抱き枕カバー」があるうちは混雑するけれど、それが品切れとなった後はガラガラ。一昔前は「2時間コース」を謳われた某エロゲメーカーのカレンダーが30秒で買えたのは、なんか寂しいくらいですよ。
 
 ちなみに、私の買い物は無駄に順調だった。欲しかったのに入手できなかったカレンダーもあったけれど、代わりの品を入手したので…ちなみに、カレンダーの数は一応減りました。ただ、無駄にデカいカレンダーが増えた関係上、相変わらず私の部屋はスゴいことになってます。
 
 失態は演じたけれど、「上司」には仕方ないと納得してもらえたし、私の仕事はある程度満足行く結果。おかげで年を越せて今に至ります。いやもう、今回は「年越せないんじゃないか?」って危惧があったからなあ…ま、来年はこうならないよう、より慎重に計画を立てないとね。

1月4日2013/01/05 05:16

 旧年中の宿題が残っているので、そいつを片付けておこう。本日のネタは、昨年末に発売されたコマンドマガジンの「魁!コマンド士官学校」について。私の立ち位置ってモノがあるので、流石に一言言っておこうかと。
 
 コマンドマガジンは「雑誌付きゲーム」だと思っている方が多く、雑誌記事がどれだけ読まれているのかは未知数。そこで、簡単に内容説明をしておこう。中級程度の実力を持つ読者を対象に、「作戦の立て方」を紹介するものだ。一応「研究のコツ」を紹介するものであり、個別具体的な作戦研究ではない…んだけど、「具体例」として簡単な作戦研究も触れている。つか、「透けて見える裏側」の話をすると、まず最初に作戦研究のネタがあり、そこから一般法則っぽいモノを引き出しているんだと思う。連載なんだから妥当な手法かな。私だったらもっと抽象的な話に終止すると思うけれど、それだとどう頑張っても読み切りか、かなり頑張っても短期集中連載にしかならないので。
 
 作者のDASREICH殿は思いっきり知り合いであり、ツッコミたければ遠慮無く当人にツッコめば良い。そんな事情もあり、いちいち私がブログでどうこう…って必要は無いと思っていた。108号掲載の記事を見るまでは。この号の副題は「デザイナーを倒す」とある。そんでもって、ものすごく乱暴に要約すると、デザイナーズノートを読み、そこに書いてあるデザイナーの意図の裏をかく、すなわちデザイナーの想定しない展開の中に良い作戦が眠っていることがある…と説いている。
 
 正直、言わんとすることはよくわかる。たとえばだ。デザイナーが「機動が重要なゲーム」と発言していたとする。ならば、機動力を最大限活かすようなプレイを…と考えるのも重要だけど、敵の機動力を押さえ込むことも重要だ。その結果、お互い睨め合ったまま全く動かない展開になることもある。実例を出すと、私が研究した「太平洋空母決戦」がモロに該当する。出た当初は「どう使えばよいかわからない」と言われた、空母のエリア移動。研究してみたらやっぱり重要だった。ただ、現時点での最終結論は「敵空母の足止めを行うため、睨み合え」であり、やっぱりエリア移動なんかしない。「しない」だけであって、重要なコトは間違いないんだけどね。
 
 けれどだ。私個人の意見としては、「デザイナーが想定してない展開」を「推奨」するような趣旨の記事は、どうかと思う。何故か?その考え方は「良い作戦」だけではなく、もっとヤバいモノを見つける手段でもあるからだ。それは、「必勝法」である。
 
 作戦研究って必勝法を見つけるためにやるんじゃないの?まあ確かに。けれど、ここで私が言う「必勝法」は、そーゆーモノじゃない。どちらかの陣営がそれを行うと「必ず」勝ち、相手はわかっていても「全く」阻止できない…そーゆー、真の意味での必勝法である。そりゃあね、ゲームによっては「○○側が勝つ。引き分けすら考えにくい。」なんてモノもあるのは確か。けれど、過程は色々あるのでまあ楽しむことは出来る。必勝法はこの過程すら固定する。ゲームという枠内での話なら、通常は「あってはならないモノ」として認識されているはずだ。対人対戦の経験が極端に少ないか、あるいはかな~りねじくれた精神構造の持ち主でもない限り、この意見には同意してもらえると思う。「必勝法」を何度も喰らってくれるのは、PC・コンシューマーぐらいだ。
 
 必勝法の具体例ねえ。雑誌に掲載された中で最も強烈なのは、「太平洋艦隊」のパルミラ攻略作戦かな。第1ターンに狙う作戦は多少「無茶している」感があって、必勝法と言うよりは作戦研究の範囲かも…って気もするけれど、第2ターンに行うモノは「どーしよーもないです」ってな雰囲気で、必勝法色が強い。確か勝利条件の改定とセットで紹介されたし、再版されたものは対策となるルール改定を採用したはず。ただ、専門的すぎて細かい内容は覚えてない。
 
 細部まで覚えているモノとなると、新シミュレイター1号掲載の「第三帝国必勝法」かな。ある種のハメ手で、独・伊に加え仏・ソが「手を組む」ことにより、英米プレイヤー以外の全てが「勝利」を達成する…ってもの。単純に勝利を達成することが目的ならば、こうするべき。そうしないのは、第三帝国が「実はロールプレイングゲームだから」とかいう苦しい?結論を出していた記憶がある。これなんかまさに「デザイナーの想定していない展開」だな。
 
 私は「ルールブック原理主義」を採用していて、「とにかくルールブックに従え」と考えている。それじゃマズいコトが発生するのなら、ルールブックを訂正する必要があるのだと。でまあ、実際色々あるので文句つけまくっているんだけど。そんな私にとって、必勝法ってのは「見たくないけど探しているモノ」筆頭である。もしそんなモノが見つかれば、速攻でルールブックを訂正させるべく文句を言う。だから、「必勝法探し」は熱心にやっている。使うためではない。潰すためだ。こういう方向で努力する馬鹿が誰かしらいないと、「必勝法を使って勝って喜ぶ」という残念な奴を誕生させることになりかねない。それは、個人的にはイヤなので。だから、「必勝法を発見したら、ルール改定の必要を大声でがなり立てる」って覚悟というか習慣というか…を持ってない人間(普通の奴は持ってない)に対し、「必勝法を発見するための手法」を勧めることに繋がりかねない内容はどうよ…と思うんだな。
 
 なお、必勝法うんぬんは私個人の事情というか嗜好というか…に基づいた文句だとしてもだ。「デザイナーが想定してない展開を作戦と呼ぶべきか」は、正直微妙な問題ではないかと思う。デザイナーが想定してない展開とは、デザイナーが責任を取れない展開であるとも言える。そんな展開がボロボロ出てくるようでは困るのは確かだけど、それは「作戦」うんぬんではなく、「ゲーム批評」の範疇に属する問題じゃないかと。作戦研究も批評の1形態、という説もあるけれど、批評は批判糾弾に繋がりかねないだけに、多少慎重な扱いを必要とする…ってのが一般的な意見じゃないかな。
 
 あくまで私個人の見解としては、ルール改定の必要があると判断されるようなモノは「作戦研究」ではない。それ以前の問題である。結果的にそうなることもあるだろうけど、その場合は「作戦研究の結論はナシ。その範囲を超えちゃう結論が出たから」とする。まあ私の場合、「ルール改定」に対する興味の方が大きいので、それはそれで「大事な研究成果」なんだけど。実は今回の記事、最終的にルール改定に踏み込んでいるので、私に言わせると作戦研究じゃない。ルール改定に熱心な人間としてみれば、「それを作戦研究と呼んでくれるな」と感じる次第です。
 
 そんな違いは大したことがない?言いたいコトはわかる。遙か昔は私もそう考えていたから。何故今の考えに至ったのかは、色々あって語りきれない。そこでたとえ話をしてお茶を濁そう。私は作戦研究というモノを「舗装された道路を通るようなモノ」だと考えている。クルマというものは舗装された道路しか通れないモノではないし、道路の全てが舗装されているわけではない。舗装されてるけど道路じゃない、道路だけど舗装されてない、道路じゃなくて舗装もされてないけれど、車の通行は可能…そんな場合はいくらでも考えられる。けど、ナビゲーターが舗装されてない道路を「通れ」と指示してきたらどうなる?まあ大抵は大丈夫と言いたいトコロだけれど、「遠回りでも、舗装された道だけ紹介してくれよ」と思う人間もいっぱいいるのでは。ルール改定に繋がるような作戦研究は、私に言わせると「最低でも舗装されてない道路。下手するとクルマ通れるけれど道じゃない。」ようなモノ。対応可能ならともかく、私なら一般論として通行は推奨しない。記事を書いたDASREICH殿が通行可能なのはわかっているからいい。けど、この記事の対象は「その辺が怪しい」読者じゃないの?
 
 しかもだ。道路ならば、被害を被るのはその道に突っ込んできた当人だ。ゲームの場合、迷惑するのは大抵周囲の人間である。「ホンモノの必勝法」を「作戦研究上の必勝法」と固く信じ込み、ドヤ顔しながら使ってきた場合どーしろと。指摘しないのは論外だけど、指摘したらしたで問題は山積み。気まずいのは間違いないし、やり方を間違うと「クレーマー」扱いされかねないし、笑って受け入れてくれたとしても、その後その対戦相手がキチンとプレイできる見込みはない(精神的動揺で崩れるから)し…
 
 つーわけで、私の最終結論。作戦研究は基本的に「デザイナーの想定の範囲内」で行いましょう。たまにそれを外れた所に「掘り出し物」があるけれど、それを狙うのは「良く似た別の何か」を見抜くことができ、なおかつ対処方法がわかっている場合に限りましょう。もっと具体的に言うと、ソロプレイメインで対戦なんて年数回…って人は注意しましょう。ソロ専門ならともかく、貴重な対戦相手に逃げられかねません。そーゆー方が「どうしても研究が独りよがりになりがちなんだよな。キチンとした作戦研究のやり方ってどうするの?」ってな理由から読みそうな記事だけに、なおさらです。

1月15日2013/01/16 01:44

 やっちまいました。カレンダー戦線が完全崩壊しました。去年より数が増えているはずです。まいった。流石に参った。
 
 おいおい、「今年は抑える」つもりじゃなかったのか?うん。去年末までは。もっと具体的に言うと、コミケまでは。こみっく☆トレジャーで暴発しました。去年も暴発したのに、学習してませんでした。
 
 いやね、ある程度の暴発なら「織り込み済み」だ。ただ、今年は色々と「聞いてねえ」って事態が発生したおかげで…エース格が通販(私の感覚では「不確かな入手手段」)になったとか、売り切れの腹いせが必要だったとか、とにかく鬱憤が溜まりそうな年だったんだよ。それを必死に押さえ込んでいたんだけど、大阪で制御不能レベルに陥った。
 
 この際だから思いっきり愚痴ろう。タダの愚痴につき合いたくない人は、この先読む必要ナシ。まず、オーガストカレンダー通販入手の件。先月愚痴ったけれど、これは精神的に痛手を受けた。けど、この時点ではまだ「予備を限界まで投入」程度で済んでいた。問題はむしろE☆2ってトコロから出た「アーティストカレンダー」の方が大きい。予約せずに放置していた関係上、3種類あるうち、最も欲しかったモノが入手できなかったのだ。そこでまあ、腹いせに残る2つを両方とも…思えば、この時点から色々怪しかった。なお、ドレが「本命」なのかは、軍事機密に抵触するので内緒(笑)。
 
 コミケでの惨状は全面的に私が悪いワケだけど、そこで落ち込んでばかりいられない。何かしら腹いせは必要だ…ってんで、カレンダーの数は予定より増えた。増えただけならいい。おいニトロ○ラス、A1カレンダー(だと思う)って何だよ。「リト○ス」で有名なK○yもサイズ変更しやがったし…それやこれやで、正月のカレンダー配置は色々タイヘンだった。この時点で「数は減ったけれど、面積は増えた」とかいう状態に陥っていた。そりゃまあ、卓上減らして壁掛け増やせばそうなるんだけどさあ。あと、A3サイズが減ってB2サイズが増えた。
 
 もう1つ惨いのは、エロカレンダー(苦笑)。目立たない卓上ならアリかな…と思って手を出したら、壁掛けタイプだった。まさか「下さい」と言っておきながら、キャンセルはねーだろ。仕方がないので、おそらく最も目立たない位置、つまり天井に貼った。天井に貼ったカレンダーを「めくる」必要があるんですけど。けど、マニアの意地として、入手したカレンダーを「使わない」って選択肢はない。
 
 とまあ、コミケ以前でも色々あったのは認める。けれど、それは正月に悪戦苦闘して全部飾り終え、「終わった」はずなのだ。確かに、こみトレに行った理由の1つがカレンダーである。それは大いに認める。一応建前上は「電源不要ゲームの動向を観察する」だけどな。なんかテーブルゲーム系が減った気がするんだけど、これはゲームマーケット大阪の開催と関連があるのかも。とか言いつつ、「インペリウム本」という必要なモノは確保できた。正直、こーゆー活動を支援するためなら、関西に飛んでいく程度なら無問題である。
 
 閑話休題。一応予定に入れていたとはいえ、カレンダー購入は思いっきり控えるつもりだった。正直、まだ余裕があった卓上カレンダー「だけ」のつもりだったのだ。けれど…ハッキリ言って、アタマ抱えたくなる程度に増えた。特に壁掛けカレンダーが増殖したのが…
 
 最大の元凶は、「アーティストカレンダー」である。よりによって、ド本命が売っていやがった。聞いてない。何のために「香港のヲタクショップ全部回って探してこい!」って指令を思いとどまり、腹いせに残る2点を全部入手したのやら。他にも「無料配布です。お願いですから持って行って下さい」という売り言葉?につられて手に取った品が…いくら「チャンと顔がありやがる」って時点で疑問符付きまくりとはいえ、ミスカトニック大学超心理学博士課程卒業(自称)した人間としては、ニャル子さんはスルーできんだろ。
 
 他に同人でも壁掛けタイプ数点。卓上カレンダーも予定以上に買い込んだ。これは…正直言おう。余計な情をかけちまった。「ここで売れ残ったら、全部不良在庫扱いなんだよな…」と考えてしまったのだ。カレンダーって定番アイテムなんだけど、案外継続して出しているサークルは少ない。不良在庫率がやたら高いからだ。それを考え出すとやってられないので、情はかけないようにしていたんだけど…今思い返してみると、ニャル子さんに情をかけた時点で、ストッパーが壊れたようだ。つまり、私はよりによってニャル子さんのおかげでSANチェックに失敗し、「カレンダー購入しなければ」という強迫観念に取り憑かれたと(笑)。
 
 幸か不幸か予定外のカネ使いまくったので、スゴスゴと日曜のうちに帰宅。そうしてなければ雪で足止め喰らった可能性が高かったので、一応正解ではあった。月曜はカレンダーと格闘し、なんとか無理矢理全部飾った。正月より時間掛かったかもしれない。色々とタイヘンだったんだよホントに。
 
 ちなみに、これでもまだ不満は結構ある。「欲しかったのに、入手できなかった品」は色々あったので。ただ、全部入手したら破産モノなので、こんなモノだとは思うけれど。ま、これで3月まではある程度落ち着くことが出来る。3月になると「スクールカレンダーの入手」に大騒ぎするんだけどな!それがマニアってものです。ニャル子さん以前に、SANチェック失敗しまくりだなオレ。

1月26日2013/01/27 02:42

 本日は、不真面目な題材の真面目な話題。「河○智美手ブラ事件」について。勘違いしている人は結構多そうなので、一応解説しておこうかと。何故か手元に解説資料があるし。なお、名前をボカしたのは、スパムコメント対策です。他意はございません。
 
 某アイドルグループの一員(一応卒業予定らしいが)の写真集。本来ならばあんまり興味はない。出版する権利を年末の競馬予想で勝ち取ったらしいので、覚えていたけれど。だから、先週スポーツ新聞で出た「表紙予定写真」も軽く流した。痛恨の極み。一応は「表現の自由に五月蠅い人間」だというのに…
 
 問題の写真を含むから…と、某ヤング層向けコミック誌が発売自粛、写真集も表紙差し替え、更に発行元が警察で事情徴収、あげく発売中止…と、かなりの大騒ぎになった。某アイドルグループは「滅茶苦茶な勝ち組」であり、コトがマスコミ内部に留まっているならば絶対バッシングされない(叩いたら干されるから)ような、「ビッグな」存在だ。とはいえ、お上には勝てない。当たり前だけど。
 
 実は今回の件、「表現規制に興味を持つ人間」にとってはかなり重要な話である。「児ポ法の適用範囲は、18禁表現と無関係である」ことが改めて確認されたからだ。理屈としてそうなるってのはとっくの昔に知られていたんだけど、事件化して報道され、「この範囲はやっぱりヤバいんだな」と示された意味は、決して小さくない。特に実務に携わる人間にとっては、「この程度はもうヤバい」という実例が示されたのは、一応有り難いはずだ。実際問題としては色々アタマ痛いわけだけど。
 
 わかる人間には上記の説明でわかるだろうけれど、そんな人間ばかりじゃないだろうから、ある程度説明しよう。「表現の自由」は憲法にも規定された権利ではあるけれど、無制限に追求させてはマズいと考えられている。わかりやすいのは今回のような「エロ絡み」だろうけど、他にも著作権やプライバシーの侵害に関する法律なども「表現の自由に対する規制」に分類される。そのため、この辺の法律が適切なのか議論する…なんて話になると、「表現の自由」の話も出てくる。
 
 閑話休題。表現規制の代表格として知られる「エロ絡み」は、従来2つの法律で規制されていた。わいせつ物頒布等の罪を規定した「刑法175条」と、「青少年保護育成条例」である。この2つ、対象が似ているだけに混同されやすいけれど、区別は重要なので注意。
 
 まずは刑法。この法律で「ダメ」とされたら、1)頒布(販売・配布など)しちゃダメ、2)閲覧(立ち読みなど)させちゃダメ、3)売るつもりで所持するのもダメ、になる。全ての年齢層に対し。過去の有名な事件はコレに該当するかどうかが問われたモノ。昔はともかく、今は適用範囲が緩くなった。
 
 この法律、現状とりあえずは単純に「ヘアはOK、その下にあるモノバッチリはダメ」と考えれば良い…とされている。比較的わかりやすい基準かな。なお、男女を問わずダメなので注意。情報量の関係から男性は「わかっている」コトが多く、「男性が作ったモノ」「男性向けのモノ」は意図的なモノを除いて問題になりにくい(もちろん、スレスレを狙ってアウトって件は山ほどあるんだけどな)のに対し、女性が女性向けに作る場合、「18禁なら何描いてもいい」とカン違いしている奴がいるようだ。まあ、サオは描きやすいからねえ…
 
 なお、この法律の話になると、「芸術性があるかどうか」って話が出てくる。ごく簡単に言えば、「芸術性がある」のなら、ある程度お目こぼしが期待できる…ってワケだ。しかし、今現在の基準だと、さほど意味がないようだ。そもそも、日本では「芸術性があれば何でも許可」ではない、とされている。芸術性があっても駄目なモノは駄目、って説が主流だ。その上「芸術性が無くてもOK」ってラインが緩和されたので、「芸術性があるからセーフ」ってゾーンがほぼ存在しなくなってきている。また、そもそもこの考えは「写真がエロに使えないほど印刷技術が低かった」時代、すなわちわいせつ物=文章か絵画、って時代の産物なので、画質の良い動画を個人的に所有できるような昨今では、重要性が低くなった。法律に関する専門的な話をする場合は重要だけど、それは「今ある基準は適切か否か」を論じる段階の話であって、「ドコまでがセーフなの?」を論じる場合はあまり意味がない。
 
 次に、青少年育成条例について。実は、国の法律に「18禁かどうか」を定めたモノはない。それらは全部都道府県の条例によって決められたモノだ。それが「青少年育成条例」。条例だけあって都道府県ごとにビミョーに内容が異なる。ただ、大抵「ウチの県民相手に頒布したらアウト」なんて内容になっているので、結局最も厳しいと考えられている条例に従うしかないと考えられている。ちなみに、条例無いに細かい規定が無く、それゆえ担当者の裁量次第で幅広くアウトとされかねない東京の条例が「最も厳しい」と考えられているようだ。同人誌の世界では一応「東京基準=日本全国基準」とされている。もっとも、ある意味一番怖ろしいのは長野県。該当する条例がない。理屈から言えば「やりたい放題」なんだけど、実際問題としては別方向からガチガチの規制をかけてくるんだろうなあ…と考えられている。こういう規制は「ドコまでがセーフ」って規定でもあるので、無ければ無いで困るものなのだ。
 
 青少年育成条例の基準は「複雑」の一言に尽きる。各都道府県ごとの違いについては「最も厳しいモノをクリアするしかない」で片付けるにしても、「その基準だとドコまでがセーフなの?」はかなり曖昧だ。少なくとも、現状では「同人誌基準」と「商業誌基準」が存在すると考えて良い。より厳しいのは同人誌基準。エロエロの同人誌は山ほどあるけれど、そのほとんど全て、私の知る限りでは全てが18禁。全年齢向け同人誌のエロの限界は極めて低い。それに対し、全年齢購入可能な雑誌にもかな~りエロいのが堂々と存在する。コッチの基準は正直よくわからん。何故そうなのかは色々推測できるけれど、面倒なので割愛。流石に商業誌の方は「やり過ぎ批判」が出ている。
 
 商業誌区分のワケわからなさは、ある意味想像を絶する。現状では「真性18禁」「実質18禁」「スレスレだけど18禁じゃない」の3つが存在するらしい。真性18禁のモノは、扱っている場所があんまり無い。アダルトビデオ店ならいくつか扱っていると思う。問題は実質18禁。実を言えば、コンビニの「立ち読みできないようにしてあるコーナー」に置いてあるエロい本・雑誌は、全て「全年齢許可」作品である…タテマエとして。「そうじゃなきゃコンビニには置きません」って自主規制があるらしいのだ。ハッキリ言って真性18禁のモノと見分けが付かない。区別がわからん。その上更に「そーゆーコーナーに置いてない」エロいモノも山ほどあって、これまた区別が付きにくい。基準を明確にするとイロイロ角が立つので、あえてイー加減にしているんじゃないかとは思う。ちなみに、同人誌基準だと全部18禁。それどころか、「猥褻物かもしれないので頒布停止」まである。カゲキかどうかだけ問題にするのならば、同人誌なんて全く役に立たない。ソコは誤解しないように。
 
 あと、青少年育成条例は規制対象が「視覚的なモノ」限定だと明記されている(私が実際確認できたのは東京だけ)関係上、小説はどんなにエロくてもこの法律で規制されることはない。挿絵は対象になるので注意する必要はあるけれど。小説を規制したら谷崎潤一郎とか吉行淳之介とかも「規制対象だ」となって、図書館(学校図書館含む)が大騒ぎすることになるからなあ…
 
 この条例に「芸術性」が問われるかどうかは、何とも。東京都の答弁では「どうも問いたいらしい」、すなわち、芸術性のあるモノだったら不問にしますよ…と言いたいらしいんだけど、「ソレのあるなしはどーやって判断するんだ」って部分が極めて曖昧。少なくとも前都知事は「オレ様判断」で問題ないと思っていたらしい。そうとしか思えない発言を連発してた。ちなみに、条文に「芸術性があれば認める」なんて文言はない。私は「規制したら反発くらいそうなモノはセーフ扱いにする言い訳」に過ぎず、ハナっから誰もそんなモノの有無を問題にして取り締まるつもりはないと判断している。
 
 この他に「業界自主規制」とか「コンシューマー機のメーカーチェック」といった規制も存在するけれど、法として重要なのは上記2つだった。そこに比較的最近(と言っても15年以上前だけど)加わったのが、児童ポルノ規制法、略称「児ポ法」である。
 
 古くからある2つの法律は、保護対象が「購入者」だというタテマエになっている。わいせつなモノを見せられちゃって、なんて可哀想…という趣旨になっているのだ。そーゆーモノを見て喜ぶような残念な存在になっちゃ駄目ですよ、ってワケだね。コレに対し、児ポ法は「モデルになってしまった児童」の人権を保護することが目的だ。要は「エロいモノ(画像が代表だけど、文章系も該当するだろう)に実在する児童を出すな」ってな内容になっている。
 
 たま~に誤解している奴がいるんだけど、現状では規制対象は「実在する児童が登場するモノ」になっている。実在しない「創作上の児童」については、人権が存在していない(当たり前だ)ので保護する必要がない、とされている。その辺も規制して「ロリコン絶滅推進法案」にしようって動きもあることはあるけれど、今のところはそうなっていない。
 
 法案が通って施行されたのはかなり前だけど、その頃からずっと「この法律は適用範囲が広くてヤバい」って話はされていた。いわゆる「18禁表現」に該当しなくても、この法律に引っかかって摘発されることもありそうだ…って心配はされていたのだ。しかし、今までは「アウト」とされたモノのほぼ全てが「18禁のモノを扱っている業者」だった。優先して取り締まるべきなのはドッチなのかを考えたら、そうなるのは不思議じゃない。それゆえ、実務上は「18禁のシロモノに児童を出した時のみ」規制されるのでは?って見解もあったことは事実。制限速度を10㎞弱オーバーしたら法律違反だけど、よほど特殊な場合を除きスルーされる。それと同じようなモノじゃないか?というわけだ。
 
 しかし、今回の画像は違う。私個人の見解としては、確かにエロいことはエロい。けど、商業誌より厳しいはずの同人誌基準で考えても、「18禁」にする価値はない程度。児童が絡んでいない限り、何も問題にならないはず。つまり、「児童絡みの18禁に手を出さない限りは大丈夫」って説は間違っていたことになる。どしぇ~。私は「18禁じゃないからって安心できない」派ではあったけれど、当たったからってちっとも嬉しくない。
 
 一応よりお堅い話をしておくと、警察もおそらくアレが「クロだ」とは断言できないはず。警察が考えるクロってのは「裁判で有罪に持って行ける」レベルを指すからね。裁判所の判断が示された訳じゃない以上、そこはまだ何とも言えない。今回の画像にしても、出版元を検挙したとしても、有罪に持って行けるかどうかはビミョー。有罪に出来る可能性は高いけれど、出版元も全力で抵抗してくるだろうから、裁判所に「憲法の精神から考えると、児ポ法はやり過ぎだ」と判断されて無罪になる可能性がある。出版元にしてみれば、仮に有罪になったとしても、「児ポ法は憲法違反じゃないかも知れないけれど、やり過ぎってコトに代わりはないんじゃね?」って話が盛り上がったあげく法改正に持って行けるかもしれないので、大金使って最高裁まで争う意義はあるでしょ。
 
 ただ、これは大手出版社だから出来ること。個人~同人レベルでは、「逮捕に値する」(有罪とイコールじゃない。有罪確定は裁判後の話。)ってだけで「人生アウト」レベル。そんな危険な橋は渡れない。中小出版社なら「アウト覚悟でスレスレ追求しないと会社が危ないんじゃ!」って姿勢も考え得るのかも知れないけれど、ソレでメシ食ってるワケでもない個人・同人が似たような覚悟決めちゃうのは、ちょっとオススメできない。そのため、「とにかく児童には注意しろ」としか言いようがない。
 
 児童に注意すると言っても、どのレベルの話なのか。う~ん…私の推測で良ければ述べよう。子供の写真、特に男の子は基本疑ってかかれ。一般人の常識で「健全なモノだと信じて疑わない」レベルのモノすら危ない。これは、「ヘンタイのターゲットになるのは女の子限定」ってな思い込みの方が間違っているとしか言いようがない。あと、「古い写真集は疑え」ってのも重要かな。男の子の扱いがいい加減でも問題にならなかった時代の産物だと、フツーの水着写真集レベルですら「問題画像」が入っている可能性がある。いわゆる「エロいモノ」に手を出してるわけじゃないから大丈夫…ってな思い込みは危険だと認識すべきだな。少なくとも今回、私はその観点からは完全にスルーした。
 
 こんな基準についての知識は、無くても大丈夫。同人誌作っているワケじゃないし…って考えるのはいい。昔なら。ネット時代となり、個人の情報発信力が格段に強化された昨今、「全く関心がない」のはどうかと思うぞ。少なくとも「知らなかった」が通用するとは思えない。とりあえず、自分の子供の写真をネットにアップする際は注意した方がイイと思う。「自分の子供なんだから、人権侵害の意図があるわけ無いだろ!」って言い訳は、おそらく通用しない。「自分の子供を虐待する親」という痛ましい話は結構ある。ついでに言うなら、虐待の意図がゼロだったとしても、ヘンタイに目を付けられたり、イジメの理由にされたり…といったリスクがあることも忘れないように。そーゆーモノから児童を守る、ってのが「こんな法律が施行された理由」なんだから。私はあくまで「法律による規制」に反対しているのであって、児童の人権を保護する必要性を無視するつもりはない。
 
 ちなみにこの児ポ法、「児童絡みのエロいモノは単純所持規制しよう!」って動きがあった。単純所持規制とは、とにかく持っていればアウトってこと。日本だと麻薬とか銃器とかがそーゆー規制をされているくらい。確か民主党が政権を取るちょっと前くらいにそーゆー提案がされ、一応「やり過ぎだ」で無くなった。さらに、この児ポ法をより強化したようなモノを東京都が条例にしようとして、猛反発喰らって譲歩した内容になった。この時も単純所持を規制しようって動きがあった。
 
 まあ、この手の規制をしたくなる気持ちもわかるけれど、基本やり過ぎだろってのが私の意見。この手の規制にはどこかで歯止めを掛けないと、「暴走したあげく誰も得しなくなる」からなあ。私はエロ規制が多少厳しくなっても「問題は少ない」人間だと思うけれど、この分野で踏みとどまらないと次は…って危惧は持っている。「悪い戦争を賛美する奴は規制しよう」なんて言い出しかねないからなあ。とにかく戦争反対な人間が主張するだけならともかく、「正しい戦争はやりたい人間」も主張してきそうなだけに。