8月30日2007/08/31 02:14

 ある恥ずかしいサイトで、恥ずかしい姿の私を発見!よくよく見たらバッチリ撮られていたよ…ま、本人以外絶対気がつかないから良しとする。もちろん、ここから先は軍事機密だ(笑)。
 
 本日のお題は、「空自のFX導入」について。とりあえず「空自が何考えているのか」ボンヤリと掴めてきたので。一応軍事の話題なので、この色で。本来ならメカフェチ関連でこの色なのかも知れないけど。
 
 ココで言うFXとは?空自が購入予定の、新型戦闘機のことである。何でも、残りのF-4ファントムを置き換えるんだそうな。予定では、来年機種を決定することになっている…というより、「なっていた」。
 
 そうかあ、ファントムもついに日本の空を去るのか。いい機体だったのにねえ…などとファントムの話題を語ったら、メカフェチとしてはレベルの低い私でも山ほど語れてしまうので、パス。「ファントム無頼」をリアルに知っている世代だけに、感慨深いんだけどねえ…
 
 その後釜候補だけど、現時点では4機種に絞られているらしい。米国のF-22ラプター、F-15Eストライクイーグル改、F/A-18Eスーパーホーネット、それと欧州のタイフーン。仏のラファールは自主的に脱落、米国のF-35ライトニングⅡは「導入時期に間に合わない」ってことで候補ではないとされている。
 
 わかる奴には上記説明以外不要なんだけど、そうじゃない人のため蛇足解説。F-22ラプターってのは、米国の最新最強戦闘機。「レーダーに映りにくい」ステルス性が最大のウリで、模擬空戦では馬鹿馬鹿しくなるほど強いとか。ただし、お値段は間違いなく高い。それと、米国議会が「外国には売らない」って決議を下している。
 
 F-15イーグルは、今の空自の主力戦闘機。それとちょっと改良して「武器いっぱい積めるようにしました」ってのがストライクイーグル。もし空自が買ってくれるのなら、「専用のカスタム仕様を作ります」ってセールストークがあるそうな。ある意味、一番無難な選択ではある。
 
 F/A-18Eスーパーホーネットってのは、元々米軍の空母艦載機だったF-18ホーネットを改良したモノ。今じゃ米空母の艦上はホーネット系列の機体で埋め尽くされている。もちろん、普通に地上で使っても高性能。ただし、何故か知らないけど空自はこの機体があまり好きではない…って説がある。
 
 欧州のタイフーン。英・独・伊の共同開発だっけ?諸般の事情により「飛行機は日本製か米国製がいい」と言い張る空自が本気で買うとは思えないけど、一応チャンと売り込みに来てるらしい。機体の評判は…今のところ良い話も悪い話も聞かない。
 
 仏のラファールは、とにかく独自路線を歩みまくる仏の最新戦闘機。空母でも使えるってのが特徴。ただ、輸出は苦戦している。一応FXの候補に入っていたようなのだけど、「どーせお前らは米軍機買うんだろ」と見透かされて?自主撤退。
 
 F-35は「廉価版ステルス戦闘機」。将来は米空軍・海兵隊・海軍(空母艦載機)に加え、英海軍でも使う予定。オプションで垂直離着陸性能を付けることが出来る。ただ、今現在試験飛行している段階であり、「来年機種を決めて…」って空自の予定には間に合わない。そのため、FXの候補からは外れているらしい。
 
 これらのうち、空自が欲しがっているのはラプターである。少しばかり「高い買い物」であっても、米軍最強機を欲しがるのが空自だから。まあ現状ではケタ違いに強いらしいので、それが悪いとは思わない。ロシアや中国でさえ「ステルス機」開発に乗り出しているらしい(ただし、中国は話だけ。ロシアは開発難航だとか。)現状において、ステルス性能をさほど考慮してない他の機体を買うのは「安物買いの銭失い」になりかねないからねえ。
 
 ただ…最大の難点は米議会。「外国には売らない」って決めちゃったからねえ。メーカー側は「売らせろ」って圧力かけているのかもしれないけど、現状どうしようもない。豪州が「買いたい」って言ったらしいんだけど、この法案をタテに断られ、別の機体(スーパーホーネットだったかな?)に切り換えさせられた。「日本が買うって言えば、話は別なんじゃ…」って期待はあるようだけど、どうかねえ。
 
 そもそも、米議会は「黙っていると日本が買おうとするから、先手を打って売らないと決めた」んじゃないかって話がある。技術流出が怖いから。なにせ、軍事機密をネット上にタレ流しした実績がある国だからねえ(苦笑)。それに、またマネされて米航空機産業にケンカ売られても困るわけで。米ボーイングの最新旅客機は、日本への発注割合増えているって話だし。
 
 どうする防衛省?と思っていたら…どうも空自は「ラプター以外買いたくない」と思っているようだ。「ラプター売る気になるまでFX選定遅らせる」ってプランもあるそうな。さらに、「ステルス機自主開発用の費用」を今年度の予算要求に盛り込んだ。どこまで本気なのかは知らないけれど。「売ってくれないのなら、自主開発しちゃうよ」って圧力をかけたつもりらしい。ま、言いたいことはわかるし別に無駄金とは思わないけど…
 
 「ステルス機が流行すると、空戦はヘンな方向に歪むのでは」って意見がある。理屈はこうだ。実のところ、戦闘機の「ステルス性能」ってのは、重要な性能かどうかビミョーである。何故か?戦闘機にとって重要なのは「敵を見つけること」だ。最優先課題はこれである。移動しないか、しても飛行機に比べればトロトロ動く地上目標を狙う爆撃/攻撃機とはワケが違う。「お互い見つからない」って状況では、戦闘機はあまり意味がない。
 
 今現在はいい。ステルス機なんて持ってるのは米軍だけなので、ステルス機がステルス機と戦うことは考えなくていい。お互いレーダーで敵を探している場合、ステルス機側が一方的に敵を見つける。これはすごーく有利なので、ステルス機が勝つ。
 
 問題は、ステルス機同士が戦う場合だ。先に書いたとおり、「お互い見つかりません」って状態では、戦闘機はあまり意味がない。空戦にならないんだから。じゃあ相手より強力なレーダーを搭載すればいいのか…ってワケでもないんだな。
 
 レーダーってのは、「電波をバラまき、敵に当たってはね返ってきた電波を探知する」ことによって敵を見つけている。ここがポイントだ。つまり、レーダーってのは電波を周囲にまき散らしているのである。さて問題です。他の条件を何も考えない場合、相手に電波を当ててはね返ってきた電波を探知するのと、相手がまき散らしているレーダー電波を探知するのでは、どっちが有利でしょう?答えは簡単、相手の電波を拾う方が楽。ごく単純な計算だと、倍の距離から相手を探知できる。そりゃそーだ。レーダー波出す方は「自分~相手~自分」って距離の電波を探知する必要があるけど、拾う側は「相手~自分」の距離でよく、単純計算では電波は「距離の2乗に比例して」弱くなる(注:私の物理学知識は高校赤点レベルなので、間違っている可能性があります)。
 
 もちろん、これは単純計算である。実際は色々と複雑なことが絡む(レーダー側が色々工夫するし)ので、「レーダー使っちゃったら、ステルスの意味ないじゃん」ってことにはならないと思う。ならないんじゃないかな。その辺私も良くは知らない。ただ、とりあえず言えることとして「ステルス戦闘機ってのは、単にレーダーに映りにくいってだけじゃ駄目」ってのは間違いない。
 
 ラプターの具体的性能ってのはまだ機密だらけだし、私のゴミカス同然の知識ではさっぱりわからない。ただ、その昔からステルス機を運用し続けてきた米軍が、「他国がステルス機作ったら困っちゃう」レベルの機体を作ったとは思えない。ということはだ。日本が今更「ステルス機自主開発しちゃうぞ」などと言い出しても、「どうぞご自由に。ラプターに追いつけるわけがねえ。」で終わってしまう可能性がある。日本の技術力とカネをもってしてもだ。
 
 もちろん、日本の技術力とカネを考えれば、「いつかは」ラプターに追いつく性能の機体を開発可能でしょ。けど、ドコをどう考えても「日本が希望すれば売ってくれそうな」廉価版ステルス機がちょっと先に登場することがわかっているのに、そんなカネを出す意味はあるのかぁ?ラプターは諦め、ファントムの代替機はF-15改ぐらいでお茶を濁し、後々何かしら口実付けてF-35を買うってことでいいんじゃないだろうか。
 
 私はメカフェチと言ってもレベルはかなり低いし、日本の防衛政策についてもさほど詳しくない。ついでに言えば「カネ出してゴミ同然のモノを買う」のも得意技だ(苦笑)。「ファントムの代わりに何を買う?」って問いに正解を出せるとはとても思えない。ただ、防衛省のやり口に不安を感じてるのは「私のアタマがおかしいから」で片付けていいとも思えないんですけど。ほんと、どーなるんでしょ。