2月14日2011/02/15 00:28

 本日は諸般の事情により、少し湿っぽい話を。渋谷区にある大向区民会館が、ついに閉鎖されるという話を聞いたので、この施設に関する話なんぞ語ってみましょ。ここは私の「大切なナワバリ」だったのさ…
 
 渋谷駅のハチ公口に出ると、目の前にスクランブル交差点がある。ここを渡ってセンター街に行き、そのままずっと直進すると、T字路に突き当たる。ここを右折し、すぐ前にある四つ辻を左折。車1台程度の幅しかない道なので、曲がり損ねに注意。そのまま少し進むと、外階段の付いた建物が右側に見えてくる。これが大向区民会館。私は駅から徒歩5分と勘定していたけれど、公式には10分となっている。
 
 建物の入り口は外階段を上がったところ。左手ある閉鎖された出張所跡を無視し、階段を上る。すると、敬老館(お年寄りが利用する施設らしい)および区民会館の受付が目に入る。受付に用がある会場責任者以外であれば、そのまま更に階段を上る。すると、会議室2つ・和室2つの区民会館に到着だ。
 
 会議室および和室は2つずつあることになっているけど、どちらも簡単な間仕切りで分けられているだけなので、1部屋として利用可能。会議室は1部屋定員40名、和室は10畳と8畳。結構広い。ただ、建物は古い。正直、数年前から「いつ無くなっても不思議はない」と思っていた。
 
 周囲はかなり静か。正面の道は滅多に車が来ないし、そもそも人通りも少ない。渋谷駅から徒歩10分ってのが信じられないくらい。でも、センター街近くなのでメシや飲みで困ることはないし、東急ハンズや渋谷のマーク(昔はポストホビー)も近い。利用の際の難点は、ちょっと騒ぐと他の施設利用者から苦情が寄せられかねないことかな。なにしろ周囲が静かなので、音が響くのだ。
 
 この大向区民会館は、私が主催者側として参加していたテーブルトークRPGのコンベンション「ちゃおコン」の会場として使われていた。基本年2回開催で、20年以上。諸般の事情により会場を移したこともあったけど、基本はここが使われた。そのうち10年以上は私が責任者の地位にあった。今はその座を譲って久しいけどね。よって、会場を使うためだけでなく、利用手続きも含め、何度も足を運んだ施設だ。
 
 会場を管理する人間の立場から見ると、この施設はものすごい欠陥があった。競争率が高いのだ。会議室を使おうとすると、抽選は必至。そのため使用予定日のちょうど2ヶ月前、午前9時までにここへ足を運び、抽選に参加する覚悟が必要だ。運が良ければ無抽選だけど、期待するのはアホらしい。一応電話予約も対応していたけれど、抽選組に優先権があるので、会議室の予約は相当難しい。和室なら何とかなるけれど。
 
 そんな会場を押さえるのは、タイヘンじゃないか?そりゃもう。折角休み使って駆けつけたのに、抽選で負けた時の悔しさと言ったら…これを何週間も繰り返すのは流石にきついので、予備会場がいくつか開拓されたモノよ。ただ、それはあくまで予備。メイン会場はずっとここであり続けた。
 
 そこまでしてこの会場にこだわり続けた理由は、やはり交通の便である。なにせこのコンベンション、埼玉県在住の人間と神奈川在住の人間の共同開催だったのだ。他にドコで開催しろと。予備の会場も代々木。ここもここで借りるのは楽じゃなく、「大向よりはマシ」程度だったけどな。
 
 ちなみにこのちゃおコン、今でも現存している。今はトレーディングカードゲームの集まりになっているけど。諸般の事情により場所を移しても問題は小さくなったとはいえ、このニュースを受けて困っているのは間違いない。それをどうこうってのも大切だけど、私にしてみればノスタルジックな気持ちが先に来ちゃいますね。ここを借りるのは本当にタイヘンだったから…
 
 この施設絡みの思い出は、山ほどある。楽しいこと・苦しいこと・哀しいことも色々と。そもそも私が会場責任者に任命されたのは、単に「ヒマがあるから」だった。学生時代の話である。当時今以上に青かった私は、このコンベンションをあーする・こーするといった「戦略的思考」抜きで、ただひたすらに会場を借りて、コンベンションを開いていた。そのため、後に色々問題が生じて次第に衰退してしまったんだけど、何とか今も続くようなモノにはなった。
 
 客観的に見た場合、私がちゃおコンで成し遂げたことは「失敗」になるんじゃないかと思う。いくらテーブルトークRPGブームの終焉期だったとはいえ、「ある組織の現状維持」に失敗したのだから。色んな意味で手を打つ余地はあったんじゃないかなあ。でも、じゃあ具体的に何をすれば…と考えてゆくと、今でも「結局こうなっちゃった」気がしなくもない。まあ、それが色んな意味で「私の限界」だったのかな。
 
 とはいえ、このコンベンションが私に残してくれたモノは決して小さくない。今の私があるのも、これのおかげである。そのテイタラクがコレかよ!って話はあるけどね(苦笑)。でも、他から何を言われようとも私は私なりに生きてゆくしか無いのだから、私の主観で「このコンベンションがあってこそ、今の私がある」と胸を張って主張できるのなら、それで良いんじゃないかと。
 
 そんな施設が、来月にも閉鎖される。寂しいねえ。ただまあ、ここが私にもたらしてくれたモノはものすごく大きいから、最後の最後にこういう気分にさせられるのも仕方ない。毎度毎度利用するたび捧げてきた言葉を、最後にもう一度贈ろうと思う。有り難う、お世話になりました。