11月24日2018/11/25 02:17

「隊長…我々は貴方を捕縛するよう命じられています。投降して下さい…」
「ひよっこめ。何を甘いことを。私はもう隊長ではない。それに、お前等が派遣された時点で説得できる段階ではないとわかっているはずだ。敵を見たら殲滅しろ。私はそう教えてきたはずだぞ。たとえ私が相手でもだ。」
「通信切れました!高速飛翔体接近中!おそらく…うわぁぁ!」
「くそ、何て速さだ。目が追いつかない!」
「あれがニケか。だが、やるしかない。新ヘルダイバー隊の誇りに賭けて、アレと隊長を止めるんだ!行くぞ!」
 
「ククク…かつての部下の名を持つ者を手にかけるか。落ちぶれたものだ。だが、それでいい。もう私には何もいらない。ただアイツに復讐できれば、それでいいのだ…必ず仕留めてやる。首を洗って待っているがいい、ロック…」
 
 …アツい、やっぱりアツいよ「超人ロック」。ヘルダイバー隊VSストロハイム(S)なんてゲーム的には無意味な戦闘だけど、脳内に自然と絵と台詞が思い浮かぶ。わかっていたことだけど、おそらくは誰よりもよくわかっていたことだけど、ゲーム「超人ロック」は最高だ。
 
 1967年、とある高校生(だったと聞いている)が描いた同人マンガが世に出た。それが「超人ロック」。その後色々あって様々な出版社を渡り歩き、今もって続いている伝説の作品だ。去年は「生誕50年」ってことで色々盛り上がっていた。だけど、その中にゲーム「超人ロック」再版って話は無かった。よって、私は「もう再版は無理かぁ…」なーんて思っていた。
 
 ところがだ。一体何がどうなったのかよくわからんけど、今年になって「再版します」って話が出て、このたびめでたく再版された。正式な発売はまだ少し先だけど、ゲームマーケット2018秋で先行発売されたんだな。
 
 この原稿を書いている時点ではまだ1日目が終了しただけであり、2日目にどうなるのかはわからない。けれども、なんつーか…初日はスゴかった。諸般の事情により頒布開始は13:00から。その30分ぐらい前にブースにたどり着いてみると、明らかに「超人ロック買うぞ!」って雰囲気を漂わせた人間が大量に。しかも、時間経過とともに着実に増えてゆく。「いかん!これは一時的にでも行列作らせなきゃ、ブースが崩壊する!」ってんでa-gameのスタッフに「行列作ってさばくしかない、最後尾札を準備しろ!」と声を掛けた…んだけど、ある意味遅かった。試遊卓を挟む形で2つの列ができるような形になってしまい、「最後尾列が2つある」という、よろしくない状態に。放置しておくと混乱を拡大すると判断したので、「ここは最後尾じゃない」札を急いで作らせ、片方の列に新たに並ぶことを(ちょっと強引に)停止。私がその札持って「最後尾はアチラです」ってアナウンスを行う羽目に。いくら私が「コミケで列には並び慣れている」とはいえ、流石に列を移動させるスキルは低い。でも、ヤバいようならそれをやらないとな~なんて考えているウチに頒布開始。流石に列は捌けていった。アレなら、ゲムマのスタッフから「多少混乱は生じたようだけど、大きな問題なく解決した」と認識されるはずだ。少なくとも私はそう思いたい。
 
 コミケその他の同人誌即売会では、ヘンに長い列が出来て人の流れが滞り始めると、スタッフがわらわらと寄ってきて行列の整理を始める。明らかに「即席で作りました」ってな最後尾札・列途中札なんてのもよく見かける。ゲムマスタッフも頑張っているとは思うけど、流石にこの手の混乱に対する感度は少し低めかな。a-gameのスタッフに至っては何をか言わんや。だからって一般参加者であるハズの私が「こちらは最後尾ではありません。最後尾はアチラになります。」なんて声張り上げて列整理しているのは、如何なモノかと。ぶっちゃけ、列に並んだ一般参加者の一部から「何だアイツ、デカい顔しやがって」と思われたかも知れない。
 
 ただ、私がどう思われようとも、「列の最後尾がドコにあるのかわからない」ってな混乱は絶対に避けるべきだ。経験上そこさえハッキリしてさえいれば、混乱は最小限で済むことが多い。逆に言うとこれがわからなくなると、混乱がドンドン加速してゆく。あげく「早く並んだはずなのに、後から並んだ奴より後回しにされて延々待たされたあげく、買いそびれた」なんて人間が出た日には…似たようなコトを何度もやられただけに、そんな時の気持ちは良くわかる。わかってんのかホ○ージャパン。お前の所のブーススタッフが最後尾カンバンを下ろして見えないようにして休んでいた恨みは忘れてねーぞ。
 
 必要性については痛いほどわかるけど、だからってオレがそれをやる必要は…あるんだろうなきっと。a-gameで混乱が心配されるほどの列なんて滅多に出来ない。よってスタッフに経験があるわけない。ゲムマスタッフはぶっちゃけ数が少ない。ボランティアって形で大量動員している「フツーの即売会」とは比較できるわけない。個々人の能力についてはともかく、全体としてみれば「最低限の仕事しかしてくれない」と思うべきでしょ。でもって、コミケスタッフ経験者ほどではないけど、その手の混乱に対して嗅覚があって曲がりなりにも対応策を知っていて、なおかつa-gameのために働く意欲を持ち、a-gameのスタッフもそれを承知している…なんて参加者がどれだけいるというのか。ついでに言えば、性格的にこーゆー混乱は見過ごせないし。まあ、今回の件でa-gameのスタッフはいい経験を積んだと思いたい。強いて言うなら、「超人ロック」入荷が遅れるとわかった時点で、「早くから来ていた奴+遅めに来た奴」がまとめて押し寄せてくるのは読めたはずなので、その時点でゲムマスタッフに「多少混雑が生じてご迷惑を掛けるかも知れません」ってな話を通しておくべきだったとは思う。そうすりゃあ私の出番はなかったと思われる。
 
 こんな混乱が生じるだけあって、「初日入荷分」は完売したらしい。それで完全完売だとしたら…まあ、私の立場としては「仕方ない」としか。「初日に完全完売」ってのはコミケ企業ブース買い子にとって「最大の敵」であり、その可能性があるかないかをシッカリ検討した上で回る順番を考えるのが「常識」。土曜に仕事その他で忙しい方には申し訳ないけれど、a-gameの活動規模とアイテムの人気度を考えれば、レッドシグナル級の危険度と考えるべきだと思う。あくまで先行発売なんだからもうしばらくお待ちください。
 
 ゲームについては、特に語ることは少ない。ほとんどの人にとっては「伝説」かもしれないけれど、私にとっては「日常」に近い。感覚としては「ロック?ああ、なんだか有名らしいね。オレにしてみれば、麦作っているお隣さんだけどな」ってなもんだ。今更何を語れと。「オレも衰えた。戦闘結果表を丸暗記してねえ。」などと愚痴るレベルなのだ。面白い面白くないとかいうレベルじゃない。プレイして楽しいのは大々々々前提なのだ。ただまあ、再版にあたって「ルールは基本的に全く変えてない。怖くて変えられない。」ってな話なので、一応簡単なルール解釈論はしておこうと思う。なにせ発売から30年以上経ち、継続的にプレイしている私の仲間内でさえ、つい最近になっても「ルール解釈論」の話が出る有様なのだ。ドコにどーゆー「曖昧な点」があり、ソレをどう解釈すべきか?みたいな話には慣れている。
 
 有名なのが「ニケとエネルギースーツ」問題。攻撃絶対命中のニケと、チェック次第で攻撃絶対反射のエネルギースーツ、ドッチが優先されるの?って話。コレは古くから有名な話で、旧シミュレイターに掲載された記事に言及がある。ここで「ニケ優先」って意見が示された関係上、ニケ優先って解釈をしている人が多数派かなという気がする。我々も「ニケの攻撃は殴る蹴る投げる締めるであり、原作の記述によるとエネルギースーツと言えどもこの手の攻撃は効くはず(でなきゃ社長は倒せなかった)なので、ニケ優先」としていた。
 
 ややこしいのが「ラフノールの鏡と亜空間フィールドはテレポートブロックに使えるか」問題。我々は「どっちもできない」としていたが、両方ともできるって解釈を聞いたことがある。再版されたルールブック…というよりキャラクターカードの記述によると、ラフノールの鏡は「攻撃を受け、テレポートする」という記述になっていて、出来る事が固定されているっぽい。それに対し亜空間フィールドは「テレポートカードが出されたものとしてプレイする」とあり、テレポートカードと同じ扱いをしてかまわないように見える。更に言うなら原作の記述では亜空間フィールドはテレポートブロックの対象になるコトは確実。なので、ブロックされうる以上ブロックも出来るのではないかという話はあった。更に言うならラフノールの鏡は「相手を強引に閉じ込める」ことが可能であり、そうすりゃあテレポートブロックできるだろ?って説も唱えられた。ただ、ゲームが出た当時だとラフノールの鏡に相手を閉じ込めるってワザは使われていない、少なくともフランシスとニアはそんなワザ使ってないって話も出た。結論としては「好きに解釈してください」以上のことは言えないかな。ただ、ブロックに使えるならただでさえ迷惑なウォン博士がより迷惑になる。しかもだ。フランorニアVSウォン博士の場合、ジオイド弾を確実に出せるワケじゃないのでウォン博士が不利だけど、勝利条件上ウォン博士は自分が死んでもそんなに痛くない(自分が死んでも勝利に近づくから)のに対し、フランとニアはそんなにいいコトがない(強いて言うなら殺されちゃイヤな相手がジオイド弾喰らう可能性を消せるという程度)のは取引としてどうよ?と思う程度かな。
 
 ルール解釈的には「我々のミス」なんだけど、個人的にはオススメしたいのが「宇宙港で戦闘できるか」。再販されたルールブックを確認した所、明確にできることが判明した。でも、我々は「できない」説を採用していた。言い訳するわけじゃないけれど、これは直接そう書いてあるワケじゃないので、ちょっと誤解しやすい。惑星編で戦闘可能な領域は「惑星ボックス内」と指定されていて、宇宙港は惑星ボックスじゃない、と勘違いしていたのだ。再販されたルールブックには「宇宙港も惑星ボックスとして扱う」という記述がある。よって戦闘可能なんだけど…ここで戦闘できるって話にすると、一部のバーサーク系キャラがここで他人を待ち伏せして虐殺し始める。これはあまりよろしくない気はするね。そもそも「宇宙港で戦闘できるの、おかしくね?」って話から始めて「出来ないってした方がいい」という結論を出したので、特別抵抗を感じないのなら採用してもいいんじゃないかと提唱はしておく。
 
 「変身によるアライメント変更」問題は…この部分は流石にルールの明確化したか?と感じた。我々の間で比較的最近問題になり、ルールブックその他ひっくり返して解釈論やらかした記憶があるので。カード&能力持ちの自発的な「変身」と作者の「顔書き換え」に違いがあったとは記憶してないんだけど…まあ、再版ルールに従って問題は無いと思う。ただ、我々は「自発的に変身する理由は一部の露骨に損がデカい顔(ロックと作者)の回避であり、選択肢は一杯ある以上、アライメント固定で問題は無い。一方作者の顔書き換えは強引に最終戦闘を発生させる手段であり、アライメントの指定を無視した方が面白い」という、再版ルールブックとは逆の解釈をしていたけれど。ついでに言うなら、作者が「お前はこの顔」と決めたら、ソレは作者特権で絶対だろ(笑)。
 
 他にも「ニケ2台持ちの場合の処理」「警官は変身するか否か」「クローンが使われた場合の処理」「暗黒騎士団がオーバーヒートする正確なタイミング」「死人苔の伝染チェックの詳細」なんてところでルールブックひっくり返して色々調べた記憶がある。書いてあったけど見落としていた場合、書いてないので解釈論になった場合など色々あった。ルールブックは基本変わっていないはずなので、まあこの辺が問題にされる場合もあるんだろうなとは思う。我々は「面白ければ、それで良し」を合い言葉に、故意に「ゲームが盛り上がる方向」で解釈してきた関係上、今更ルールブックがどうなったところで、今までの解釈を変えるつもりなど毛頭もない。ただそれは仲間内でのプレイの話であって、様々な人とプレイする以上、「共通見解」には従う。クセでヘンなことをしてしまう可能性はあるけれど、「対応不能だ!プレイできねえ!」な~んてコトを言うつもりはない。その程度で困るほど甘くはないつもりだ。34年闘い続けてきたというのは、そーゆーことである。
 
 昨年末、作者の聖先生が急病で倒れ、「こ、このまま終わってしまうのか!」と読者は泡を吹いたが、先日無事に連載が再開された。流石は耐久力7で精神力7(笑)。うんうん、やはり「超人ロック」はいい。当然ゲームもイイ。コレをキッカケにこのゲームを覚えたり、原作に興味を持って読んでくれる人が増えると嬉しいな。ゲームの方は今の目から見ると古い処理をしているなと感じる部分もあるけれど、それが問題だと感じないくらい、面白いと思うので。
 
 なお、私は言われるまで全く気がつかなかったけれど、再版されたモノにも「キャラクター一覧表」なるものはついてなかった。これは少し不親切だろう。私のように呼吸するがごとくキャラクター能力値を暗唱できる人間にとっては別になくても…ってモノではあるけれど、それが普通であるわきゃない。更に、追加キャラについては私もまだ対応不能だ。流石にあった方が便利なアイテムだろうから、「ウェブのどこかにでも転がしておいた方が良い」って提唱はしておいた。いつになるかはともかく、公式なモノが出るんじゃないかな。つーか、私が言うことじゃないけど、何故気がつかない再版スタッフ(苦笑)。