6月23日2014/06/24 02:38

 色々省略。今月発売のコマンドマガジン117号に、「誰でも知りたがっているくせにちょっと聞きにくい『萌えミリ』ブームがボード・ウォーゲーム市場に与えた影響のすべてについて教えましょう」(長い…)という記事が掲載された。この方面の「最前線」で戦った経験者として、遠慮無くツッコませてもらう。
 
 冒頭部分で萌えミリブームと、その恩恵に与った燃えミリ業界のことを紹介し、「ウォーゲーム市場も同様の恩恵に与ったのではないかという推測が成り立つ。」などと書いてあるけれど、誰がいつそんな推測ブチ上げたんだ…ってのは、小一時間ほど問い詰めたい。「アレは基本的に我々とは縁のない存在である」って説の方が、遙かに支配的だったと思うぞ。実際、ガルパンブームの影響は「同人で戦車戦ゲームが数多く出た」程度ではないかと。先日になってやっと「ぱんつぁー・ふぉー!」が出たけれど、アレは「ワールドタンクバトルズ」という過去ゲーム再版の話が色々進展したあげく…ってモノであり、純粋なブーム便乗商品とは言い難い。
 
 私個人の見解としては、「萌えミリ層をこの業界に取り込むことは不可能じゃないだろうけど、そのために必要なリソースを払うつもりがない。よって、結果的に無関係」というものだった。割合から言えば少ないけど、この業界への入り口はアニメゲームでした…って人間はいるのだ。そもそも私の入り口は「超人ロック」なんだし。だから、「艦これ」で興味を持ち、そこからボードウォーゲームに流れてくる人間も、探せばいると思う。けれど、昔と違って「ゲームは電脳系「」が当たり前となっている昨今、自然と流れ込んでくるのを待っているだけじゃ駄目。ウォーゲーマーの側から存在をアピールする必要がある。けれど、そのために必要なリソース…平たく言ってしまえば広告宣伝費を支払えない。支払うつもりがない。よって、好機なのに活かす術がない。みんなビンボーが悪いんや…で片付く問題だと信じていた。
 
 しかし、この法則はアッサリ破られた。「ねとらぼ」という影響力の大きいサイトに、ウォーゲームのことが掲載されたのである。唐突に。カネ払ったわけでもないのに、強力な宣伝広告効果が出現したことになる。結果としてささやかながら特需が発生し、「日本機動部隊」の売れ行きが増加して在庫が消え失せた。その動きに巻き込まれるような形で私の所に「艦これ即売会で日機のデモプレイやってくんない?」って依頼が来て、最前線で戦う羽目に陥った。その顛末はゲームマーケットで同人誌作って頒布したので、知ってる人は知っている。
 
 最前線で戦った経験を持つ私に言わせると、今回の記事の内容は「何を今更」となる。いやまあ、私の詳細な感想をまとめた同人誌は今月アタマのゲムマが初出なのだから、世に発表した時期に限ると「ほぼ同時」なわけだけど。いわゆる「萌えミリ愛好家」であっても、「出戻り組」を期待することは出来るし、アピールのやり方を工夫すれば完全新規層の取り込みも…なんてのは、この2月に肌で実感させられたことだ。結論めいたこととして述べられているアピールの重要性・遊んでもらうことの重要性についても、「具体的に何をどーすりゃいいんだ」レベルの問題としてスタッフと話し合っている。そういう意味では、「目新しい結論」は無い。ただ、私だと直感レベルでしか把握できなかったコトが、売り上げという具体的数値で裏付けされたのは大きいけどね。
 
 ただ、私にとっては「わかりきった事」だとしても、それがコマンド誌に4頁という少なからぬ分量の記事として掲載された意味は大きい。「萌えミリ業界への働きかけは無駄じゃねえ」という私の見解は、一般的なモノとは言えなかった。極端なことを言えば、私を含むごく少数がそう吼えているだけ…と見なされても文句は言えなかっただろう。それじゃあ色々苦しい。私の見解を少しでも多くのウォーゲーマーに浸透させ、より大きな助力を得られるようにしたい…ってのが私の課題の1つであり、それを達成するためコマンド誌にレポート書いてみたり、同人誌作ってみたりしたわけだ。しかし、今回の記事のおかげでその課題はある程度達成されたことになる。私が何かしたから…ってワケじゃないのかもしれないけれど、ソコは気にするトコロじゃねえ。
 
 同人誌にも書いたけれど、私は2月に「艦これ」オンリー即売会でデモプレイを行い、「どこぞのゲーム例会にデモプレイ観た人が顔を出せば勝利」なる無謀な勝利条件を設定し、案の定達成できなかった。要は敗北である。「橋は遠すぎた」のだ。しかし、何も得る所が無かったわけではない。知識・経験・人脈などなど、後々色々役に立ちそうなモノを山ほど得た。これを次の戦いに活かし、最終的な勝利に繋げればいい。目先の勝利・敗北だけを気にするのではなく、一連の戦いを有機的に結びつけ、敗北すらも最終的な勝利の糧として捉えればいいのだ。今回、コマンド編集部が正式に「萌えミリ戦線は有望な戦場である」と表明したことにより、私の得たモノの利用価値はより高まったと判断できる。最終的勝利が近いのか遠いのかはわからないけれど、貴重な経験を積んだ戦士としてこれからも戦い続ける必要があるだろう。
 
 …ってことは理屈ではわかるんだけど、未だに「なんでオレが」って気分は抜けませんねえ。正直、「どーでもいい戦線を担当していたはずなのに、なんか知らないけれど色々あって最重要戦線扱いされた」って気がして仕方ない。誰かクーデターでも起こして私の地位を奪い取ってくれないものかねえ…「ゲーマーにしてヲタク」はオレだけじゃないハズなんだけど!