6月1日 ― 2014/06/02 01:49
うわはははは、良くやったワンアンドオンリー!ペーパー上の話とは言え、念願のダービー制覇だ。感無量。雑誌POG時代から数えたら20年近くやっているだけに、やっぱり嬉しい。
かなり前にこのブログでも触れたけど、この馬は「目標キングジョージ」って馬だった。凱旋門賞と並び称される欧州の大レース。舞台は英国アスコット。そこで「リベンジ」するために指名した。つまりだ。POG期間内の活躍はソコまで期待してない。流石に目処くらいは立ててもらいたいけれど、素質の片鱗を見せる程度でOK。そう思っていた。
アスコット競馬場には魔物がいる。私はそう信じている。こいつに取り憑かれると、理性が吹っ飛ぶ。私の場合、当初の予算を無視して力一杯馬券を買ってしまい、あとで青ざめることになる。特にハーツクライがキングジョージに挑んだ時はヒドかった。異国の地で財布がカラッポ。乗車券は往復なので宿にたどり着くことは出来るが、その日の夕食代がない。万が一宿に難癖つけられて、預けたデポジット没収されたら空港までの電車賃もない。敗北の苦さなんて山ほど経験したけれど、この時の敗北が最も苦かったと思う。そのくせ、宿のベッドで悶絶しながら「いつかリベンジしてやる!」とか考えているんだから、オレもアホだよな。
ワンアンドオンリーの父は、そのハーツクライ。正直POG向きの種牡馬とは言い難い気がする。ちょっと晩成型なんだよね。期間内に稼げない馬ばかり…ってレベルじゃないけれど、ドラフトの時期が過ぎてから急成長する馬が多い気がする。よって、事前の情報があんまりアテにならない。ある程度評判になった馬を指名しておけば大外れしにくい、ディープインパクトやキングカメハメハ産駒の方が指名しやすいと思う。それはわかっていたけれど、やっぱり指名したくなるんだよね。アスコットでリベンジしてくれるんじゃないかって期待をかけて。
ただまあ、ワンアンドオンリーはちょっとした問題があった。父はいいんだけど、母系がかな~り短距離っぽい。ソレを理由に嫌った人もいるんじゃないかってレベルで。ただ、私はあんまり気にする必要は無いと思っていた。過去のデータを見たところ、そーゆー配合の方がむしろ確実性があるかな…と。ついでに言えば母の父はタイキシャトル。思いっきり短距離馬ではあるけれど、欧州で結果出した馬の1頭。だったら、欧州の芝でも勝てるんじゃないかなあ…と決めつけた。
ソコまではいい。けど、ワンアンドオンリーはなんつーか…想像以上の「難物」だった。まず、調教で動かない。曲がりなりにも入厩している以上、牧場側は「ある程度仕上がった」と判断しているはずなのに、調教はボロボロ。これは素質とか仕上がりじゃなく、競馬の何たるかがわかってないようだった。にもかかわらず、なんかそのままデビュー。「使い物にならん」と送り返す選択肢もあったはずなのに。ああ、コレは「とにかく1回使って、強引に競馬教える」つもりだなと。案の定、新馬戦は人気にならず、クソ負け。こんなんじゃ、いつになったらモノになるやら…
しかしこの馬、2戦目でいきなり変わった。相変わらず調教動かなかったのに、2着に突っ込んできた。競馬覚えたのか?それともたまたまか?と疑問視してたら、3戦目で未勝利脱出。とりあえず多少マトモになったらしい。
その後は萩ステークスで惜しい2着、東スポ杯で6着。どうも素質はありそうだけど、相変わらず競馬は下手なまま。本格化はまだ先だろうな…と思っていたら、ラジオNIKKEI2歳Sでいきなり勝利。相変わらず調教は動かなかったので、せいぜい掲示板…とか思っていたのに。どうもこの馬、素質は相当なモノらしい。けど、競馬はヘタクソ。安心して見ていられるってタイプじゃねえ。
3歳になって迎えた初戦は、弥生賞。どんな競馬をするのか?と期待半分・不安半分。ゲートはマトモに出るようになったけど、相変わらず二の足がつかないから後方からの競馬。そりゃいいとして、中山の坂でどれだけの脚を使えるのか…と思ってたら、モノスゴイ勢いですっ飛んできた。けど、届かず2着まで。うん、確かにコイツ素質はある。けど、やっぱり競馬はヘタだ。皐月賞も同じ競馬じゃ苦しいけれど、1回使ってもう少し競馬覚えてくれれば…と思ったら、相変わらず最後方からの競馬。「駄目だこりゃ。掲示板もない」と思っていたんだけど、ものすごい勢いですっ飛んできて4着。お、お前なあ…
迎えたダービー。私のPO馬はコイツだけが出走。今更他の馬を買う気にはなれない。けど、相変わらず後方からの競馬だよなあ…府中の直線は長いとはいえ、最後方からじゃ届かないよなあ…せめて中段ちょい後ろぐらいから競馬してくれないかね。そう思ってレース見つめてました。デカい荷物抱えて。よりによってゲームマーケット(春)と重なっているからなあ。荷物は郵送するって選択肢もあったけど、「そんな惰弱な手段を使うようじゃ、気持ちで負けてる」とかいう意味不明な理屈により、荷物持ったまま応援することに。
パドックは見てなかったけど、どうやら馬体の出来はいいらしい。「良く見える馬」が受賞する、ベストターンドアウト賞とかもらってたし。審査員の1人は私が敬愛する、松山康久元調教師。松山センセに良く見えたのなら、不安はないんだろうなと。けどまあ、コイツの問題はそーゆー部分じゃないからなあ。でも、「また」2着はあるかなと思ってました。
ゲートはマトモに出た。それはいいんだけど、その後がねえ…と思ったら、なんか先行している。え?なんで?そりゃまあ、ある程度前に行ってもらいたかったけど、お前そーゆーキャラじゃないだろ?そんな馬が先行すると、基本ロクでもないことになる…んだけど、なんか例外があったような…と思っているうちに、最後の直線。皐月賞馬イスラボニータとの壮絶な叩き合いを征して、勝ったのはワンアンドオンリー。ああ、そーいやあ親父のハーツクライも、有馬記念でいきなり先行して、ディープインパクト相手に勝ってたなあ…
ワンアンドオンリーを管理するのは、親父と同じ橋口調教師。大レースをたくさん勝っている名調教師…と言いたいトコロだけど、数えるのがイヤになるほど2着が多い。ダービーに至ってはまだ未勝利で2着が確か4回。イスラボニータの鞍上は蝦名。私は彼に大変お世話になっていて、ダービーではおおむね3年に1回程度、本命を打っている。まだ勝ってないけどな。この「ダービー勝ちたいぜ対決」を征して、ワンアンドオンリー勝利。私にとってはドッチが勝っても「嬉しくもあり、切なくもある」対決だったなあ。
面白そうだから表彰式も見たんだけど、期待に違わず面白かった。馬が検量室に引き上げてきた時には、普通に嬉しそうだった橋口調教師。けど、表彰式になるとなんか表情がヘン。実感湧いてきたんだと思われる。コメントで何言い出すのやら…と思って後にネットで確認したところ、「地に足が付いてない。」…それ、普通自分で言うコトじゃないと思うんですけど。いや、アナタやっぱり面白いですよ橋口センセ。
橋口調教師はなんつーか…時々「スゴい」コメントを発することがある。私の中で代表はハーツクライがJCでハナ差負け喰らった時。「また2着か!何でまた2着なんだ!オレは運がねえ!」というすさまじいコメントを残した。この時点で既にイヤってくらいGⅠの2着を繰り返しているってのに、何を今更(笑)。いつもいつもそう思っていて、いつもいつも黙っていたんだけど、爆発しちゃったんだなあ…と、大いに笑わせてもらった。そんな馬の息子でダービー制覇。良かったね、本当に良かったね橋口調教師。
けれど、橋口調教師にはまだ大事な仕事が残っている。キングジョージへのリベンジだ。ワンアンドオンリーでキングジョージ制覇。やって欲しい。ハーツクライが負けたあの日の悔しさは、忘れていないはず。いや、忘れたくてもアスコットの魔物がそうさせてくれないはず。アレに取り憑かれると、なんか色々度外視してキングジョージに挑戦したくなっちゃう…ってのは、ディープブリランテの矢作調教師が実践しているくらいだ。どう考えてもそれ以上に重度の「キングジョージ病患者」であるはずの橋口調教師、オレごときに言われるまでもなく、行くよね。勝ちたいよね。そして…勝ってくれるよね。
まあ、実際は色々あるから、挑戦するとは限らないんだとは思う。けれど、ワンアンドオンリーは夢を見るに足る存在だと思う。あの出来の悪い馬がここまで育ったんだから。デビューからずっと優等生、って馬とはひと味違った感動がそこにはある。小賢しい計算を超越した期待を掛けていいんじゃないかな。真剣にそう思う。
…しかしだ。問題が1つ。この馬がキングジョージに挑戦したならば、私も応援に行かなくちゃイケナイ。つか、ワンアンドオンリーがキングジョージに挑戦するというのに、アスコット競馬場以外の場所でそれを見ているF男なんて許せない。万難を排して私も英国に行く必要がある。い、色々キビシーんですけど…今回流石に英国旅行できるほどは儲からなかったんですが。だって、ゲームマーケットで調子に乗って結構カネ使っちゃったから…いやまあ、戦果には満足しているんですけどね…
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