6月1日 ― 2014/06/02 01:49
うわはははは、良くやったワンアンドオンリー!ペーパー上の話とは言え、念願のダービー制覇だ。感無量。雑誌POG時代から数えたら20年近くやっているだけに、やっぱり嬉しい。
かなり前にこのブログでも触れたけど、この馬は「目標キングジョージ」って馬だった。凱旋門賞と並び称される欧州の大レース。舞台は英国アスコット。そこで「リベンジ」するために指名した。つまりだ。POG期間内の活躍はソコまで期待してない。流石に目処くらいは立ててもらいたいけれど、素質の片鱗を見せる程度でOK。そう思っていた。
アスコット競馬場には魔物がいる。私はそう信じている。こいつに取り憑かれると、理性が吹っ飛ぶ。私の場合、当初の予算を無視して力一杯馬券を買ってしまい、あとで青ざめることになる。特にハーツクライがキングジョージに挑んだ時はヒドかった。異国の地で財布がカラッポ。乗車券は往復なので宿にたどり着くことは出来るが、その日の夕食代がない。万が一宿に難癖つけられて、預けたデポジット没収されたら空港までの電車賃もない。敗北の苦さなんて山ほど経験したけれど、この時の敗北が最も苦かったと思う。そのくせ、宿のベッドで悶絶しながら「いつかリベンジしてやる!」とか考えているんだから、オレもアホだよな。
ワンアンドオンリーの父は、そのハーツクライ。正直POG向きの種牡馬とは言い難い気がする。ちょっと晩成型なんだよね。期間内に稼げない馬ばかり…ってレベルじゃないけれど、ドラフトの時期が過ぎてから急成長する馬が多い気がする。よって、事前の情報があんまりアテにならない。ある程度評判になった馬を指名しておけば大外れしにくい、ディープインパクトやキングカメハメハ産駒の方が指名しやすいと思う。それはわかっていたけれど、やっぱり指名したくなるんだよね。アスコットでリベンジしてくれるんじゃないかって期待をかけて。
ただまあ、ワンアンドオンリーはちょっとした問題があった。父はいいんだけど、母系がかな~り短距離っぽい。ソレを理由に嫌った人もいるんじゃないかってレベルで。ただ、私はあんまり気にする必要は無いと思っていた。過去のデータを見たところ、そーゆー配合の方がむしろ確実性があるかな…と。ついでに言えば母の父はタイキシャトル。思いっきり短距離馬ではあるけれど、欧州で結果出した馬の1頭。だったら、欧州の芝でも勝てるんじゃないかなあ…と決めつけた。
ソコまではいい。けど、ワンアンドオンリーはなんつーか…想像以上の「難物」だった。まず、調教で動かない。曲がりなりにも入厩している以上、牧場側は「ある程度仕上がった」と判断しているはずなのに、調教はボロボロ。これは素質とか仕上がりじゃなく、競馬の何たるかがわかってないようだった。にもかかわらず、なんかそのままデビュー。「使い物にならん」と送り返す選択肢もあったはずなのに。ああ、コレは「とにかく1回使って、強引に競馬教える」つもりだなと。案の定、新馬戦は人気にならず、クソ負け。こんなんじゃ、いつになったらモノになるやら…
しかしこの馬、2戦目でいきなり変わった。相変わらず調教動かなかったのに、2着に突っ込んできた。競馬覚えたのか?それともたまたまか?と疑問視してたら、3戦目で未勝利脱出。とりあえず多少マトモになったらしい。
その後は萩ステークスで惜しい2着、東スポ杯で6着。どうも素質はありそうだけど、相変わらず競馬は下手なまま。本格化はまだ先だろうな…と思っていたら、ラジオNIKKEI2歳Sでいきなり勝利。相変わらず調教は動かなかったので、せいぜい掲示板…とか思っていたのに。どうもこの馬、素質は相当なモノらしい。けど、競馬はヘタクソ。安心して見ていられるってタイプじゃねえ。
3歳になって迎えた初戦は、弥生賞。どんな競馬をするのか?と期待半分・不安半分。ゲートはマトモに出るようになったけど、相変わらず二の足がつかないから後方からの競馬。そりゃいいとして、中山の坂でどれだけの脚を使えるのか…と思ってたら、モノスゴイ勢いですっ飛んできた。けど、届かず2着まで。うん、確かにコイツ素質はある。けど、やっぱり競馬はヘタだ。皐月賞も同じ競馬じゃ苦しいけれど、1回使ってもう少し競馬覚えてくれれば…と思ったら、相変わらず最後方からの競馬。「駄目だこりゃ。掲示板もない」と思っていたんだけど、ものすごい勢いですっ飛んできて4着。お、お前なあ…
迎えたダービー。私のPO馬はコイツだけが出走。今更他の馬を買う気にはなれない。けど、相変わらず後方からの競馬だよなあ…府中の直線は長いとはいえ、最後方からじゃ届かないよなあ…せめて中段ちょい後ろぐらいから競馬してくれないかね。そう思ってレース見つめてました。デカい荷物抱えて。よりによってゲームマーケット(春)と重なっているからなあ。荷物は郵送するって選択肢もあったけど、「そんな惰弱な手段を使うようじゃ、気持ちで負けてる」とかいう意味不明な理屈により、荷物持ったまま応援することに。
パドックは見てなかったけど、どうやら馬体の出来はいいらしい。「良く見える馬」が受賞する、ベストターンドアウト賞とかもらってたし。審査員の1人は私が敬愛する、松山康久元調教師。松山センセに良く見えたのなら、不安はないんだろうなと。けどまあ、コイツの問題はそーゆー部分じゃないからなあ。でも、「また」2着はあるかなと思ってました。
ゲートはマトモに出た。それはいいんだけど、その後がねえ…と思ったら、なんか先行している。え?なんで?そりゃまあ、ある程度前に行ってもらいたかったけど、お前そーゆーキャラじゃないだろ?そんな馬が先行すると、基本ロクでもないことになる…んだけど、なんか例外があったような…と思っているうちに、最後の直線。皐月賞馬イスラボニータとの壮絶な叩き合いを征して、勝ったのはワンアンドオンリー。ああ、そーいやあ親父のハーツクライも、有馬記念でいきなり先行して、ディープインパクト相手に勝ってたなあ…
ワンアンドオンリーを管理するのは、親父と同じ橋口調教師。大レースをたくさん勝っている名調教師…と言いたいトコロだけど、数えるのがイヤになるほど2着が多い。ダービーに至ってはまだ未勝利で2着が確か4回。イスラボニータの鞍上は蝦名。私は彼に大変お世話になっていて、ダービーではおおむね3年に1回程度、本命を打っている。まだ勝ってないけどな。この「ダービー勝ちたいぜ対決」を征して、ワンアンドオンリー勝利。私にとってはドッチが勝っても「嬉しくもあり、切なくもある」対決だったなあ。
面白そうだから表彰式も見たんだけど、期待に違わず面白かった。馬が検量室に引き上げてきた時には、普通に嬉しそうだった橋口調教師。けど、表彰式になるとなんか表情がヘン。実感湧いてきたんだと思われる。コメントで何言い出すのやら…と思って後にネットで確認したところ、「地に足が付いてない。」…それ、普通自分で言うコトじゃないと思うんですけど。いや、アナタやっぱり面白いですよ橋口センセ。
橋口調教師はなんつーか…時々「スゴい」コメントを発することがある。私の中で代表はハーツクライがJCでハナ差負け喰らった時。「また2着か!何でまた2着なんだ!オレは運がねえ!」というすさまじいコメントを残した。この時点で既にイヤってくらいGⅠの2着を繰り返しているってのに、何を今更(笑)。いつもいつもそう思っていて、いつもいつも黙っていたんだけど、爆発しちゃったんだなあ…と、大いに笑わせてもらった。そんな馬の息子でダービー制覇。良かったね、本当に良かったね橋口調教師。
けれど、橋口調教師にはまだ大事な仕事が残っている。キングジョージへのリベンジだ。ワンアンドオンリーでキングジョージ制覇。やって欲しい。ハーツクライが負けたあの日の悔しさは、忘れていないはず。いや、忘れたくてもアスコットの魔物がそうさせてくれないはず。アレに取り憑かれると、なんか色々度外視してキングジョージに挑戦したくなっちゃう…ってのは、ディープブリランテの矢作調教師が実践しているくらいだ。どう考えてもそれ以上に重度の「キングジョージ病患者」であるはずの橋口調教師、オレごときに言われるまでもなく、行くよね。勝ちたいよね。そして…勝ってくれるよね。
まあ、実際は色々あるから、挑戦するとは限らないんだとは思う。けれど、ワンアンドオンリーは夢を見るに足る存在だと思う。あの出来の悪い馬がここまで育ったんだから。デビューからずっと優等生、って馬とはひと味違った感動がそこにはある。小賢しい計算を超越した期待を掛けていいんじゃないかな。真剣にそう思う。
…しかしだ。問題が1つ。この馬がキングジョージに挑戦したならば、私も応援に行かなくちゃイケナイ。つか、ワンアンドオンリーがキングジョージに挑戦するというのに、アスコット競馬場以外の場所でそれを見ているF男なんて許せない。万難を排して私も英国に行く必要がある。い、色々キビシーんですけど…今回流石に英国旅行できるほどは儲からなかったんですが。だって、ゲームマーケットで調子に乗って結構カネ使っちゃったから…いやまあ、戦果には満足しているんですけどね…
6月23日 ― 2014/06/24 02:38
色々省略。今月発売のコマンドマガジン117号に、「誰でも知りたがっているくせにちょっと聞きにくい『萌えミリ』ブームがボード・ウォーゲーム市場に与えた影響のすべてについて教えましょう」(長い…)という記事が掲載された。この方面の「最前線」で戦った経験者として、遠慮無くツッコませてもらう。
冒頭部分で萌えミリブームと、その恩恵に与った燃えミリ業界のことを紹介し、「ウォーゲーム市場も同様の恩恵に与ったのではないかという推測が成り立つ。」などと書いてあるけれど、誰がいつそんな推測ブチ上げたんだ…ってのは、小一時間ほど問い詰めたい。「アレは基本的に我々とは縁のない存在である」って説の方が、遙かに支配的だったと思うぞ。実際、ガルパンブームの影響は「同人で戦車戦ゲームが数多く出た」程度ではないかと。先日になってやっと「ぱんつぁー・ふぉー!」が出たけれど、アレは「ワールドタンクバトルズ」という過去ゲーム再版の話が色々進展したあげく…ってモノであり、純粋なブーム便乗商品とは言い難い。
私個人の見解としては、「萌えミリ層をこの業界に取り込むことは不可能じゃないだろうけど、そのために必要なリソースを払うつもりがない。よって、結果的に無関係」というものだった。割合から言えば少ないけど、この業界への入り口はアニメゲームでした…って人間はいるのだ。そもそも私の入り口は「超人ロック」なんだし。だから、「艦これ」で興味を持ち、そこからボードウォーゲームに流れてくる人間も、探せばいると思う。けれど、昔と違って「ゲームは電脳系「」が当たり前となっている昨今、自然と流れ込んでくるのを待っているだけじゃ駄目。ウォーゲーマーの側から存在をアピールする必要がある。けれど、そのために必要なリソース…平たく言ってしまえば広告宣伝費を支払えない。支払うつもりがない。よって、好機なのに活かす術がない。みんなビンボーが悪いんや…で片付く問題だと信じていた。
しかし、この法則はアッサリ破られた。「ねとらぼ」という影響力の大きいサイトに、ウォーゲームのことが掲載されたのである。唐突に。カネ払ったわけでもないのに、強力な宣伝広告効果が出現したことになる。結果としてささやかながら特需が発生し、「日本機動部隊」の売れ行きが増加して在庫が消え失せた。その動きに巻き込まれるような形で私の所に「艦これ即売会で日機のデモプレイやってくんない?」って依頼が来て、最前線で戦う羽目に陥った。その顛末はゲームマーケットで同人誌作って頒布したので、知ってる人は知っている。
最前線で戦った経験を持つ私に言わせると、今回の記事の内容は「何を今更」となる。いやまあ、私の詳細な感想をまとめた同人誌は今月アタマのゲムマが初出なのだから、世に発表した時期に限ると「ほぼ同時」なわけだけど。いわゆる「萌えミリ愛好家」であっても、「出戻り組」を期待することは出来るし、アピールのやり方を工夫すれば完全新規層の取り込みも…なんてのは、この2月に肌で実感させられたことだ。結論めいたこととして述べられているアピールの重要性・遊んでもらうことの重要性についても、「具体的に何をどーすりゃいいんだ」レベルの問題としてスタッフと話し合っている。そういう意味では、「目新しい結論」は無い。ただ、私だと直感レベルでしか把握できなかったコトが、売り上げという具体的数値で裏付けされたのは大きいけどね。
ただ、私にとっては「わかりきった事」だとしても、それがコマンド誌に4頁という少なからぬ分量の記事として掲載された意味は大きい。「萌えミリ業界への働きかけは無駄じゃねえ」という私の見解は、一般的なモノとは言えなかった。極端なことを言えば、私を含むごく少数がそう吼えているだけ…と見なされても文句は言えなかっただろう。それじゃあ色々苦しい。私の見解を少しでも多くのウォーゲーマーに浸透させ、より大きな助力を得られるようにしたい…ってのが私の課題の1つであり、それを達成するためコマンド誌にレポート書いてみたり、同人誌作ってみたりしたわけだ。しかし、今回の記事のおかげでその課題はある程度達成されたことになる。私が何かしたから…ってワケじゃないのかもしれないけれど、ソコは気にするトコロじゃねえ。
同人誌にも書いたけれど、私は2月に「艦これ」オンリー即売会でデモプレイを行い、「どこぞのゲーム例会にデモプレイ観た人が顔を出せば勝利」なる無謀な勝利条件を設定し、案の定達成できなかった。要は敗北である。「橋は遠すぎた」のだ。しかし、何も得る所が無かったわけではない。知識・経験・人脈などなど、後々色々役に立ちそうなモノを山ほど得た。これを次の戦いに活かし、最終的な勝利に繋げればいい。目先の勝利・敗北だけを気にするのではなく、一連の戦いを有機的に結びつけ、敗北すらも最終的な勝利の糧として捉えればいいのだ。今回、コマンド編集部が正式に「萌えミリ戦線は有望な戦場である」と表明したことにより、私の得たモノの利用価値はより高まったと判断できる。最終的勝利が近いのか遠いのかはわからないけれど、貴重な経験を積んだ戦士としてこれからも戦い続ける必要があるだろう。
…ってことは理屈ではわかるんだけど、未だに「なんでオレが」って気分は抜けませんねえ。正直、「どーでもいい戦線を担当していたはずなのに、なんか知らないけれど色々あって最重要戦線扱いされた」って気がして仕方ない。誰かクーデターでも起こして私の地位を奪い取ってくれないものかねえ…「ゲーマーにしてヲタク」はオレだけじゃないハズなんだけど!
6月28日 ― 2014/06/29 05:19
先日の続き。前回は「私の見解」と「コマンド誌掲載記事」が一致している…と書いたわけだけど、相違点も大いにある。ソコについて書いておきたい。
まず、最初に言っておこう。大事なのは「目指す方向が一致している事」であり、前回述べたように、そこは一致している。だから、今から書く事は基本的に枝葉。その点は理解してもらいたい。ただ、「最前線で戦う存在」としては、戦術的な話も重要なんだよ。特に私の場合、「理屈こねくり回しているヒマがあったら、前線に出て戦え!」と叱咤激励しなきゃイケナイ立場だからして。
相違点はどこにあるのか。「当たり前のことを当たり前にやる」ことが大事だと、記事にはある。これだけ取り出して見れば、問題は無さそうに思える。ただ、「当たり前」という言葉をどう捉えるかが問題なのだ。ハッキリ言おう。ここで言う「当たり前」が、従来やって来た事の延長をしっかりやり続ければ良い…ってニュアンスだとしたら、ダメダメである。状況は動いているのだ。それに対応できる手法を開発するぐらいの気持ちがないと、「当たり前のことを当たり前にやる」って段階にすら達しない。私はそう思う。
2月に艦これ即売会でデモプレイを行う際、わかっちゃいたけれど、どーしよーもなかったコトがある。ウォーゲームのデモプレイは、正直言ってあまり派手ではない。何もわかってない人間がちょっと眺めただけでは、人目を惹き付けられない。じゃあどーする…と考えたけれど、代案は何もなかった。つまりだ。ウォーゲーム業界は、まだ興味を持っていない人間に対し、「こういうモノがある」とアピールする手段を持ってない。少なくとも、そのための手法はほとんど知られてない。
今にして思えば、他のアプローチがことごとく不発に終わる中、ゲームマーケットでのアピールが多少上手くいったのも、ここに要点があるような気がする。ゲームマーケットに来る人間は、ほぼ自動的に「アナログゲームには興味がある」のだ。この時点で、デモプレイを見たりお試しプレイしてみたり…という段階に至るハードルが相当低い。その点が他のアプローチ、代表例として挙げられる事が多い「歴史好きへのアプローチ」とは異なる存在なのだろう。
ここで「ゲームに興味がない奴がウォーゲームをプレイするようになるなんて、あり得ない」と結論づける事も可能ではある。けれど、実際はそうでもない。強力な宣伝効果を投入できれば、売り上げにダイレクトな影響が出ると証明されたのだ。後はアピール方法の問題である。ぶっちゃけ、「カネ払って人目を惹き付けるような広告を打つ事が出来るのなら、この業界は発展しうる。けれど、そのためのカネがない」だけ。
カネがないならどうする?知恵を絞るしかない。けれど、「従来の方法を繰り返しているだけ」では、知恵を絞っているうちに入らない。2月に結局フツーのデモプレイしかできなかった私も含め、知恵が足らないし努力も足らない。コマンド誌の記事は、そーゆー部分に対する危機感が足らない。私も従来はその程度の認識しかなかったのだから、偉そうなコトは言えないのだけど。
萌えミリ層を取り込むためには、「存在を知ってもらい、遊んでもらう」必要がある。これは当たり前。そのために必要な事をやるのも、当たり前。けど、そういう当たり前の事をやるために、従来の手法を採用するのは、当たり前じゃない。だって、「当たり前のこと」を達成する手段として不適切なんだもの。たとえて言うなら、41年東部戦線にドアノッカーを大量に送り込むようなモノである。「T34を撃破するためには、その装甲を貫ける砲が必要」という当たり前のことを達成する手段として、ドアノッカーは不適切でしょ?大量に送り込んだって、あっさり撃破されて終わり。必要なのは、より威力のある対戦車砲だ。そんなものを開発するのは当たり前のことじゃない…と言われても困る。そんなこと言う奴は、75mm砲搭載のシャーマンでパンターと一騎打ちしてこい。
そーゆー観点から記事を眺めると、保守的というか何と言うか…な記述が結構ある。「安易に『萌え』にすり寄った商品展開(例えばユニットにオリジナルの少女兵器のイラストを入れるなど)は意味がない」とあるけれど、コレは誤解を招きそうな表現だと思う。実のところ、コレは一定の効果があるのだ。でなければ、表紙が思いっきり「萌え」路線の「SLGamer」は大きく間違っているコトになる。アレの表紙が萌え絵なのは、諸般の事情があってだなあ…ってのは私も知っているんだけど、販促効果ゼロとは思えない。メロンブックスに置かれたり、書泉グランデでちょっとした特設コーナー組んでくれたり…ってな「販促効果があるのは明らかなコト」とアノ表紙が無関係だとでも?
確かに私も、単純に箱絵やユニットに萌え絵を入れて終わり…ってな商品は売れないと思う。ただ、それは「萌え絵を好む層はその存在を知らず、存在を知ってる層は萌え絵を好まない」からだ。こういうブツを本気で売ろうと思ったならば、萌え絵を好む層にアピールしなくちゃ意味がない。コマンド誌ではなく、萌え絵を好む層が読みそうな雑誌に広告掲載しなくちゃイケナイ。もちろん、ただ広告載せるだけじゃなく、その内容はきちんと工夫しないと駄目だろうね。そーゆーコトやらなくて「売れない」「駄目だ」はねーだろ。軽機関銃は戦車に撃ち込んでもあんまり効果がない。だから軽機関銃は欠陥兵器だとでも?
この件については、別方向から「萌え絵を入れる事それ自体は必ずしも間違いじゃない」と証明する事が出来る。アークライトって会社が出した、鈴木大佐デザインの「ドミニオン」クローンのカードゲーム「ばるば☆ろっさ」ってシロモノがある。SLGとは言い難いけど、雰囲気は近いモノがあるゲーム。でも箱絵もカードも萌え。比較したいのはコレそのものじゃない。このゲーム、「燃え絵」バージョンもある。売れたかどうかは知らないけれど、少なくとも実際そんな品が出る程度には「ウケるんじゃないか」って予想があったわけだ。箱絵・ユニットが萌えか燃えか…ってのは、要はユーザーの「慣れの問題」である。ユーザーにとって見慣れているモノを提供できれば、それに越した事はない。我々ゲーマーにだって「ハリガネ弁当箱(NATO式兵科記号の事)はいやだ!」ってな主張があったくらいだ。
萌えミリ層に我々をアピールする手法に至っては、何をか言わんや。「戦史を扱う雑誌などへの出稿。web広告の活用」「こまあぷ」「ゲームの紹介動画がyoutubeで公開」…全部「既存のウォーゲーマー、もしくはそれにかなり近い層」向けの宣伝手法じゃあ!我々が今考えなきゃイケナイのは、「『ウォーゲーム』でググった場合何が出てくるか」ではなく、「Googleに『ウォーゲーム』って単語を入力させる手法」だろ?いくら何でも手法が古典的。第一次大戦の戦術戦略で第二次大戦に挑む将軍のように古典的。これらは無駄じゃないけれど、今論じているのはそーゆーコトじゃないだろ?「相手が歩兵師団なら戦えます。けど、装甲師団だと通用しません」とでも言いたいのか。
じゃあどーしろと?知るかそんなの。私は自慢じゃないけど「負け犬」だ。「今までのやり方では、電撃戦とやらに対応できません!」って言いながらダンケルクから戻ってきた兵隊みたいなものである。そりゃあ対抗策考えろって言われたら考えるけれど、すぐ対抗策を提示できるようなら、ダンケルクから逃げ帰ってくる必要なんてねーだろ。「代案がない?じゃあ今まで通り戦うしかないな」なんて言われても困る。まさかそのまま北アフリカに行けとか言わないよな。
同人誌に思いっきり書いたから、あえてココでも言ってしまおう。こーゆートコロがあるから、私はコマンド誌を信用できなかったのだ。もっと「売り込もうとしている対象」のことをきちんと分析して欲しい。それがヘタクソだったからこそ、「少女兵器大戦」は売れなかったんじゃねーのか。アレは「絵だけ考えたら艦これに負けてはいない」と本気で思うぞ。
とりあえずの提言。箱絵・ユニットが萌えバージョンの「日本機動部隊」を出した…と仮定して、色々シミュレートしてみな。既存のウォーゲーマーは燃えバージョンを既に持っているので、アテにはできない。そーゆーモノを好みそうな人間にアピールする必要があるわけだけど、そのための手法はどのようなモノが考えられ、経費はどれぐらいになりそうか、効果はどれぐらい見込めるのか。私の手には負えないけれど、コマンド編集部なら可能でしょ。それぐらいやれ。「知恵を絞る」ってのは、要はそーゆーことだと思うぞ。なお、「本当に出せ」とは言ってない。分析を行った結果を取り込んで色々手直しするって言うのなら話は別だけど。
とりあえずの提言その2。角川関連の会社から「箱絵その他が艦これのウォーゲーム」出せないかどうか検討する。艦これ関連のアナログゲームは、TRPGが出ている。ここから考えると、角川は「艦これ」関連のアナログゲームにある程度興味を持っていると推測される。艦これの世界観とTRPGは必ずしも相性が良くない(悪くもない。それがTRPGってゲームの特色)ことも考えれば、話を聞いて検討ぐらいはしてくれそう。そのゲームを入り口に我々の業界に…って部分に必要な手法は、ゲームマーケットである程度研鑽積んでいるはず。本当はこの段階から国際通信社が手がけたいんだろうけど、必要な広告宣伝費を出せない以上、仕方がないと割り切る。
私はいずれにせよ最前線で戦う必要がある以上、「コマンド誌の支援がなけりゃ戦えない」なんて言うつもりはない。戦略方針が一致しているだけ、かな~りマシだ。ただ、連中の言っている戦術はかなり駄目。初心者獲得の実務に携わるつもりがある人間は、そこは理解しておいた方が無難だと思う。結果を出したければ、あんまりアテにしない方がよろしいかと。とりあえずは自分で考えてみて下さい。他に手段がないので。私?現時点では「経験を積んでいる分、多少マシ」程度。非力もいいトコロだ。
艦これユーザーをSLG業界に取り込もう、と考えるのは、間違ってない。けれど、そのためには「ドアノッカーでT34に立ち向かう」ような経験を積み、そこから何が足らないのか、それを補うために何が出来るのか、真剣に考える必要があると思う。まるで通用しないってワケじゃないのだ。希望はある。けれど、希望があるだけに自らの非力が身にしみるのではないかと。話はそこからじゃないかな。ハッキリ言って、経験したいコトじゃない。けど、「戦う」ってのはそーゆーモノでしょ。先人はロクにいない、後方はアテにならない、だからって撤退するわけにいかない…だったら負けを承知の上で経験を積み、それを後の戦に活かすしか無いじゃないか。他に手段があるなら、教えて欲し…くない。即座に実践してくれ。それが前戦で戦わされた人間の、正直な感想だ。とにかく、文句があろうと無かろうと知るか。1人でも多く実戦に参加してくれ。今回はオチなし。
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