9月15日2012/09/16 04:13

 色々あって延び延びになってしまったが、書いておくべきでしょ。今回のネタは「歴史群像付録ゲームの感想」について。ソレはかなり前にやった?いや、それは「私の」感想。今回の主題は「読者投稿欄に寄せられた感想」についてだ。
 
 以前書いたが、あの付録ゲームは私にとっては「イマイチ」だった。しかし、コレはあくまで「ウォーゲーマー」の感想である。より複雑なゲームでさえ対戦相手を見つけることに不自由しないという「特殊な環境」に生息する生物の視点で構成されており、正直あのゲームのメインターゲットとは思えない。そりゃあ「歴史群像」毎号読んでいるウォーゲーマーはそれなりにいると考えられるが、「そういう生物」向けのゲームなんて付録にしたら、一般的な読者はついて行けないでしょ。
 
 大事なのは一般読者がどう思ったかであり、ソレを知る手段として考えられるのが、読者投稿欄に寄せられた感想。そこまでチェックする意味があるのか?などと言ってはイケナイ。私はウォーゲームそのものだけでなく、「この業界の動向」チェックも趣味にしているのだ。「この業界のためにうんぬん」言うのなら、細かいトコロまでチェックすべきだと思うな。
 
 この雑誌の読者投稿欄は2頁見開き。一部が各種連絡事項(読者プレゼント当選者発表など)に割かれている。感想聞くだけ聞いて1行たりとも発表しない、なんて雑誌が山ほどあるコトを考えれば、まあ多い方か。特徴として、雑誌の感想だけじゃなく、読者の軍事・歴史関係の「体験談」も掲載していること。「感想欄」ではなく「投稿欄」に分類したのは、ソレが理由。よって、長文も掲載されている。この辺は流石「読者の平均年齢が高そうな雑誌」というところかな。
 
 付録ゲームに言及した感想は7件。「20周年おめでとうコメント」が10件程度(一部ゲームと重複)だから、結構多いかと。内容はおおむね好意的。素晴らしい…と言いたいトコロだけど、まあちょっと待て。仮に「つまんねー」「邪魔だ」といった否定的コメントが山ほど送られたとしても、そんなものが掲載されるわけがない。また、オレの投稿を掲載して欲しい!という「投稿戦略」を考えた場合、付録ゲームを褒めるってのはどう考えても効果的だ。正直、単純に「たくさん掲載された、好評だったんだ」とは言えないと思うな。
 
 ただまあ、流石にプレイせずにいきなり「感想」書くほどの度胸がある奴は、少数派だと思う。そう考えると、少なくとも7名が実際プレイしたことになる。これだけでもそれなりに大きいんじゃないかなあ。やはりゲームは「実際遊んでナンボ」が基本だと思うので。その点は成功なんだと思う。
 
 しかしだ。「ちょっと触ってみた。ソコソコ面白かった。」だけじゃ、ウォーゲーム業界的には「ああそう」で終わっちゃうんだよな。「もっと別のモノはないのか」と思ってくれないと。その意味では、今回のゲームは「種をまいた」と言うよりは、タンポポみたいに種を飛ばした…って試みかと。感想を読む限り、うまく風に乗って飛行したようだけど、芽を出すかどうかは風に聞け…ってな感じかなあ。雑誌の性質から言って、それ以上を期待するのは難しいと思う。
 
 ただまあ、ある程度の感想が寄せられたと言うことは、悪いコトじゃない。これに好感触を持って、歴史群像編集部が「またやってみるか」と思ったり、ライバル雑誌(結構ある)が「ウチも似たようなコトやってみるか」と考えてくれれば儲けものなんだけどなあ…実際どうなんだろ?その辺の裏事情、何とかして聞き出せないかなあ。ウォーゲーム業界は狭いので、気長に待っていればいずれ聞けそうな気もするけれど。
 
 フツーならこの辺で話は終わる。そこで終わらないのが私。一応精読したんだから、もう1段突っ込んだ話もしないと。気になった…というか、羨ましいなと感じたのは、地域的なバラツキ。正直、「通販以外の手段でウォーゲームを入手できるのかぁ?」ってな土地からも「プレイしました」って感想が来ている。当たり前だけど、流通の規模が違う…自分達が絶滅危惧種だってコトを意識させられちゃいましたね。
 
 ウォーゲーム普及の問題点として、「地方に流通経路がない」ってコトがある。一部の例外を除き、地方だと入手困難なシロモノなのだ。その昔は扱っている店舗もあったんだけど、ブームが去ると消え去ってしまったようだ。歴史群像の感想に「昔遊んだウォーゲームを思い出した」という意見もあったことから考えると、今でも地方に需要はあるんだと思う。ただ、いちいち流通させるほどの規模じゃないんだろうな。本当はこの辺から何とかしないとどーしよーもないんだろうけど、現状では無理だ。
 
 ただまあ、心強い投稿もありました。あのゲームをキッカケに、「ウォーゲームを入手してプレイしてみました」ってモノが…狭い狭いこの業界のコトを考えれば、1人だけでもデッカイぞ。本当だとすれば(一般的なモノ以外に、疑う理由はないけれど)手放しで喜んでいいかな。
 
 この業界が「マイナー故の苦しみ」に喘いでいることは、私もよ~く知っている。知りたくないけれど。それを何とかしようとあがくのは大切なことだ。今回の歴史群像付録ゲームが「解決策の1つ」であるコトは間違いない。どれぐらいの普及効果があったのか、続く策はあるのか…といった部分も含め、「息の長い観察」をしてゆきたいものだ。その辺の根気というか何と言うか…はそれなりに自信ありますよ!でなけりゃ、ウォーゲーマーなんてやってられないっての(苦笑)。