5月28日2012/05/29 00:23

 ディープブリランテの勝利はともかく、フェノーメノのハナ差2着は涙。エビショーのダービー初挑戦って、確かあのシャコーグレイド(ある意味伝説の名馬)だからなあ…やはり呪いか。呪われているのか。
 
 本日の話題は、溜まっていた宿題の1つ。ウォーゲームハンドブック2012付属ゲーム「太平洋空母決戦」研究。正直作戦研究ってレベルの完成度じゃないけれど、とりあえず他の方の研究の参考にはなると思って。なお、専門性が高いので、ゲーム持っているかプレイ済みの方以外にはついて行けない可能性が高いです。ご了承を。
 
 「太平洋空母決戦」は重いゲームである。全くもって初心者向けではない。それどころか、この世界のベテランであっても「両軍の動きの意図」を把握することすら難しい。正直言って、「駒の動き方だけ説明してもらって、将棋をプレイしろと言われた」ようなものだ。とりあえず、「3手ひと組みの定跡」みたいなモノの確立からしてロクに進んでいない。そこで、とりあえず「現時点での私の研究」を公開する。各自の研究を進める際、参考になれば幸いである。
 
 とりあえず、はねはね殿と共に「掲載されたリプレイをなぞったプレイ」について研究してみたトコロ、リプレイの進行にはいくつか難があることが発見された。最大の要因は「米軍が消極的すぎる」である。研究してゆくウチにわかったんだけど、このゲームの米軍は「守りをシッカリ固めて、日本軍の攻め疲れを待つ」といった手法で守るのではなく、積極的にカウンターを狙えるし、狙うべきだ。もちろん日本軍はそれに備えることが可能なだけの戦力がある。しかし、「米軍の動きに対応するための手番を割く」ことは、それだけ「どこかへの侵攻が後回しになる」ことを意味する。日本軍は「どっかを攻略中の自軍」という脆弱な存在の守備を考える必要があるし、米軍は貧弱な戦力で「脆弱な状態の敵を見つけ出し、可能なら攻撃を行う」ことを狙う必要がある…もう、コレだけで初心者向きじゃない。ベテラン勢だってかな~り混乱している。
 
 まずは「リプレイ通りに日本軍が行動した場合の、米軍の対策」を解説する。コレに対する対策が「日本軍の作戦」の基礎になりそうなので。まずは「マリアナ急襲」。米軍は第4ラウンドに空母3隻をフィジーに移動させる。第5ラウンドに日本軍がマリアナに来るのはミエミエ。第5ラウンドにミクロネシアエリアへエリア移動で展開し、マリアナに来た日本軍艦隊を空襲する。潜水艦の攻撃を受ける可能性はあるけれど、他に妨害する手段はない。一方的に2以下3発の攻撃が出来る。射撃を解決した後は帰還義務が生じるので、フィジーに帰還する。もし第6ラウンドがあれば、当然再攻撃。先ほどの攻撃の後に潜水艦攻撃が当たったとしても、2以下2発の攻撃が可能。これでマリアナ攻略隊が溶けて無くなれば、とりあえずトラックのLACが補給切れで消滅する。ついでに再攻略するための手番(当然燃料を消費)も必要だ。
 
 ボルネオも危ない。第4ラウンドに空母をオーストラリアへ。第5ラウンドにインドネシアエリアのボルネオ空襲。この場合、米空母はオーストラリアを帰還先に出来ないので、空母による再攻撃には手間が掛かる。その代わりと言っては何だけど、ABDA艦隊が突っ込むことが出来る。仮に先ほどの空襲でボルネオ攻略隊に1ステップ喰らわせていれば、ABDA艦隊が相手を排除できる確立は11/36。日本軍はダイスを1個しか振れないので、ABDA艦隊が壊滅することはあり得ない。
 
 このように、「陸軍を使わないポイント攻略」は極めて脆弱である。敵守備隊がいないから、艦隊だけで攻略できる…などと思っていると、空襲が飛んできて泣きを見る。何か増派すればいい?その分の手番と燃料を使うくらいなら、最初から対策しろ。そーゆー話である。
 
 陸軍を使わないからそうなるんだ、やはり最初から陸軍投入だよ…その考えは間違っていない。いないけれど、相応の覚悟はしてもらいたい。陸軍を使うのは、カネ(燃料)がかかるのだ。輸送艦で運ぶ時だけなら、艦隊だけ派遣する時と違いはない。問題は再度輸送艦に乗船させる時だ。確かに帰還フェイズに手番を消費せず輸送艦に乗せられるけど、燃料が1点必要になる…ビンボーな日本軍に、「片っ端から陸軍使って占領しまくる」なんて贅沢が許されるとでも?陸軍を使うなとは言わないけれど、先の先まで読んで「その価値があるのか」を判断する必要があるだろう。
 
 とまあ、リプレイにおける「日本軍の作戦の問題点」を指摘した所で、その辺を是正した作戦を紹介してみよう。まずは「基本的にはリプレイの流れに沿った、第1ターンの作戦」を紹介しよう。他も色々研究中だけど、米軍の動きも含めて紹介する必要があるので、とりあえずはわかりやすいモノから。
 
 第1ラウンド。まずは真珠湾攻撃。この時、LACだけでなく太平洋艦隊も壊滅させるつもりで攻撃を割り当てる。「太平洋艦隊なんて…」と思ったら大間違い。ガタルカナル経由でラバウルに突っ込んでくるのは可愛い方で、ボルネオに突っ込んできたり、マリアナに突っ込んできたりする。マリアナ?と思った方はルールを確認して下さい。まず、第4ラウンドに真珠湾からマーシャルにライン移動。マーシャルは敵軍支配下なので、ここから移動を開始した艦隊は「自軍支配のポイントにしか移動できない」が、マリアナは(日本艦隊がいたとしても)連合軍支配下のポイントです。コレをやられてから慌てて空母で叩くくらいなら、奇襲ラウンドに叩いておけ。当たり前のコトですね。
 
 大事なのは帰還先。「完全戦力に戻すには根拠地にいる必要があります。そこで全てのユニットを日本に帰還させました。」…ヌルい!ヌルすぎる!ルールに「既に港湾にいる艦船を別の帰還可能な港湾へ移動させられます。」とあるではないか!本土のメシ食うのは帰還フェイズで十分だ。機動部隊のシゴトはまだ終わってない。キリキリ働かせるべし。帰還先はトラックだ。
 
 第2ラウンド。黙っているとボルネオに突っ込んでくるZ艦隊も生かしてはおけない。とりあえず抹殺する。問題はその方法。航空攻撃を使うと、シンガポール攻略隊を別手番で派遣する手間が生じる。コレはモッタイナイ。そこで輸送艦を含むサイゴン在住の艦隊で砲撃戦すればその手間が省けるが、Z艦隊の反撃で損害が生じる危険性がある。手番と損害のどちらを重視するかは結構悩ましい。現状、「どちらが良い」って結論は出てないので、とりあえずは色々研究してみて欲しい。
 
 ただ、これだけは言える。航空攻撃してから攻略隊を派遣するとしても、LACなんぞ使う意味は無い!もっと強力な武器があるではないか!空母機動部隊を使うべし。どっち使っても消費する燃料は1点だ。「それはなんかオカシイ」なんて議論は他の方にお任せする。私はそーゆー人間だ。でなけりゃ、ヒト電の「ソ連引き籠もり防衛案」なんて提案しない。ちなみに、帰還先はまたトラックね。私の好みは艦隊派遣だけど、とりあえずココでは航空攻撃したとしよう。
 
 第3ラウンド。シンガポールに輸送艦派遣…なのかぁ?第1ターンにはシンガポール占領できない(先日は勘違いしてました)のに。占領可能になる第2ターン以降で良くね?後回しにすると東洋艦隊に輸送艦隊がタコ殴りされる可能性があるのはわかるけど、ハーミーズもろとも空母機動部隊で叩いてから輸送するとか、護衛という名の生け贄を捧げるとか、手はありそうなのだけど…まあいい。とりあえずはシンガポールに輸送艦を派遣だ。
 
 第4ラウンド日本軍。ここでボルネオは放置できない。ボルネオに艦隊派遣。強い艦隊を送り込む意味など無い。大和・武蔵を除く日本艦の耐久力は同じだし、「太平洋艦隊が殴り込みに来ました!」なんて事態になったら、多少攻撃力が高くてもそんなに意味がない。ここは本土の第5艦隊に任せましょう。
 
 第4ラウンド連合軍。さて、ココで連合軍は「どーするのか」大いに考える余地がある。まず、LACが生き残っていたならば、ジョンストンに移動させると良い。ここはトラックの日本機動部隊から攻撃を受けず、なおかつジャワに移動可能だ。ジャワにLACがいれば、シンガポール陥落は1)3ターン以降になるか、2)陸軍もう1つを投入するか…って話になりかねない。ジャワに来た時点でトラックの機動部隊に叩かれるのは必至だけど、ハーミーズの展開でもう1度妨害を試みることが出来る。ターンエンドのタイミングを計ったゲーム的なバクチになるけれど、ソレを批判するのは(以下略)。なお、ガタルカナル辺りで「ワザと空母に叩かれる」のも悪い手ではない。
 
 太平洋艦隊が生き残っていたら?う~ん、ちょっと悩ましい。無難なのはガタルカナルに移動させ、1)日本軍がラバウルに突っ込んできたら叩く、2)空母に襲われたら、「手番を割いてくれた、これでラバウルに艦隊送る手番はあるまい」と自分を慰める…って手か。より過激にマーシャルに移動させ、マリアナ攻略を妨害するのも手だけど、この場合日本軍はマリアナに護衛艦隊&輸送艦突っ込んでナントカするって手がある。「ソレを強要できた」ってだけで価値がある気はするけれど、どうだろう。
 
 太平洋艦隊が生き残っている…いや全滅した場合であっても、「空母と太平洋艦隊(生き残っていれば)をオーストラリアに派遣する」って手はあると思う。そんなコトすればトラックの機動部隊に叩かれるけれど、ソコでターンが終わればマリアナは手つかずになる。流石に犠牲が大きすぎる気はするけれど、現状では「それじゃ駄目」って結論が出たわけではない。この空母決戦で米空母が全滅すると決まったワケではなく、全滅しなければイロイロ妨害工作が行えそうなコトを考えると、深く掘り下げてみる価値はあるかも知れない。
 
 太平洋艦隊とLACが壊滅した、危ない橋を渡るつもりはない…と言うのなら、無難にハーミーズでボルネオを叩くしかない。ただ、ソコまで見越してインドネシアエリアに潜水艦がいる場合もあり得るので、注意が必要。マリアナに艦隊が派遣されてない現状なら、パスでもいいかも。
 
 第5ラウンド日本軍。米軍が真珠湾の生き残りを使って強引当てを仕掛けてきた場合、機動部隊でソレを叩く必要があるかも。そうするとマリアナ攻略が…まあ、「攻略部隊を派遣しておいて、失敗するか増援を送り込むか」よりは、「最初から攻略しなかった」の方がマシだけどね。遡ってZ艦隊を砲撃戦で叩くか、シンガポールへの陸軍派遣を後回しにすれば、マリアナ攻略隊を派遣する手番を捻出できるけど。つまりはまあ、「そーゆーコト」である。手番は案外カツカツなのだ。
 
 第5ラウンド連合軍。ココで大事なこと。もし、日本軍がマリアナとボルネオに攻略隊を派遣していたならば、連合軍は「パス」しない方が良い。「パス同然の手」を使ってでもラウンドを継続させた方が良い。理由は簡単。日本軍に「自分もパスして、このターンを終わらせる」って選択肢を与えたくないから。確かに、日本軍は「やりたいこと」が多い。まだフィリピン攻略隊を送り込んでいないし、ラバウルをどーするって話もある。しかし、それは連合軍がパスしたしないに関わらず、「日本軍がやりたきゃやる」コトだ。むしろ問題なのは、「燃料消費を抑える」「支配関係が確定してから何かした方が良い」ってな事情から、日本軍からターンを終わらせる可能性があるって部分にある。「ハーミーズのインドネシア展開による、シンガポール延命」って選択肢が連合軍にある以上、日本軍はターンエンドがいつになるのか、大いに気にしながら戦う必要がある。コレは最大限利用すべきでしょ。な~に、ジョンストンと真珠湾の間を空母が行ったり来たりすれば、「パス同然の手」は稼げる。どーせ真珠湾にいたって、日本軍を攻撃できないんだし。
 
 6ラウンド以降。本格的に「ターンエンドを巡る駆け引き」が始まる。日本軍は1つの機動部隊(分割する手もあるけれど、中途半端だと思われるのでオススメしない)でハーミーズと米空母機動部隊の2つに対応する必要がある。ハーミーズは戦力としては弱体だが、シンガポールへの補給線維持という重要な役割を果たしうる。米空母部隊の襲撃については再三触れている次第だ。「手番が多ければ、ラバウル攻略とかフィリピン上陸とか出来る」なんて軽く考えないように。
 
 とまあ、現状の研究はこんな感じ。実際はコレに加えて「陸軍を積極的に使う案」だの「第二次真珠湾攻撃を行う案」だの「ハーミーズを第4ラウンド以降に叩く案」だの「真珠湾攻撃を第4ラウンドに行い、空母ごと叩く案」だのも検討中だけど。第2ターン?その前に「修理その他も踏まえ、第1ターンの帰還フェイズで何をドコに帰還させるべきなのか」の検討すら済んでないんですけど。
 
 ちなみに、単純に勝ち負け・有利不利の話をするならば、今のところの結論は単純。連合軍が有利。勝利得点うんぬんを論じる意味すらない。このゲーム、勝利得点が配置されるポイントは16カ所あり、「半分の8カ所獲ったからって勝利できるかどうかわからない」って点がウリの1つと思われているけれど、現状「7個目をどーやって確保しろと!」ってレベル。現時点で「一応ほぼ確定」なのはボルネオ・マリアナ(攻略出来なきゃ話にならない)に加え、フィリピンとシンガポール。頑張ればジャワとラバウルは何とかなりそうだけど、ガタルカナルは…ミッドウェイ?アッツ?セイロン?今のところ全部「見果てぬ夢」。つか、獲ろうと思えば獲れるのかも知れない。代償としてどっか取り返されるんですけど。しかも海兵隊抜きでコレ。連中が到着してから後のことはあんまり考えたくない。面白いゲームだし、うまくやれば何とかなりそうではあるんだけど、現状ソコまで研究が追いついてない。
 
 あと、このゲームはマトモにやったらかな~り時間が掛かる。1手がすご~く重たいので、どうしても考慮時間が長くなるのだ。つか、「2手先3手先」を読まないとお話にならないので、最初のうちはマジに「待った」アリの研究プレイをオススメする。そうしないと簡単に破綻してしまう。ある程度このゲームに慣れて、先が読めるようになってからじゃないと「勝負」にならないような。テキトーにやっていると、何が悪かったのかもわからんうちにグチャグチャになる。特に日本軍は。
 
 とにかくタイヘンなゲームなので、しばらくはコツコツと研究してみたいと思っている。機会がありましたら、皆様もお付き合い願えればと。つか、皆様も研究してイロイロ教えて下さい。私じゃヘボ過ぎて、基本すらおぼつかないんですが。