8月18日2010/08/19 01:05

 コマンド誌最新号が届いた。今回は私のゲームマーケット2010レポートが掲載されているので、「献本」が来たのだ。ちなみに、a-game(コマンド編集部)ブースのレポートは中黒編集長が、同人ゲームを中心としたその他部分のレポートは私が担当するという構成。まとめて読むと、「体が二つあって良かった…」って気がします。中黒編集長にもそう思っていただければ、嬉しいんだけどな。
 
 一応、私の記事の「捕捉」を。記事で紹介しているゲーム印刷所の「萬印堂」のサイトはコチラになります。「勝手にURLを商業誌に紹介するのはどうかと」って理由で掲載しなかったんですけど、まあ私のブログで紹介する分には問題ないでしょ。興味のある方はアクセスしてみて下さい。
 
 さて、本日の本題。コミケレポートの続き?として、「萌えミリとヘタリアの相違点についての仮説」を語ってみようかと。今回のコミケで、「この辺が違うんじゃ」って部分に気がついたので。
 
 諸般の事情…つーより隠しても意味ないから書いちゃうけど、「コマンド誌用レポートのための取材」のため、私は今回「歴史」ってジャンルを丹念に漁ってみた。毎回一応チェックしているんだけど、いつもは「さっと見て回り、気になるモノがあったら細かくチェックする」って姿勢のところ、「最初からじっくりチェックする」って姿勢にしたのだ。そこまでやらなくても「掲載する価値のあるモノ」があれば見つけられると思うけど、見落としの可能性を少しでも減らしたかったので。正直労力の割にあんまり報われないんだけど、それはわかっていたので気にしない。
 
 しかし…というか案の定というか、「コマンド誌読者向き」の品は特別発見できなかった。戦国時代やWWⅡなど、時代や舞台がコマンド向きってモノはそれなりにあるんだけど、み~んな「なんか違う…」って感じた品ばかり。私個人が読んで楽しめるかどうかはさておき、コマンド読者向きかどうかを考えると、そうなっちゃうのだ。
 
 色々忙しかった(取材後は便せん漁りがあったから)ので、その日その場では「なんか違う」だけで片付けていたけれど、後ほど「何故そう感じたのか」を自己分析してみた。まさにコマンド読者向き!ってな小林源文先生の同人誌が入手できたので、それと比較しつつ。そこで出た私なりの結論は、「『歴史』ジャンルの作品は、シチュエーションよりキャラクターの方が重視されているからではないか」ってなものだ。
 
 ものすご~くぶっちゃけて話をすると、「歴史」に置いてある「戦国時代」同人誌って、たとえば上杉景勝と直江兼継が「掛け合い漫才」している…ってな感じの品が多いのだ。ピンだったり色んな組み合わせだったりするんだけど、要は「歴史上の人物という特異なキャラクターを、日常的な風景に置いてみる」ってパターンがすごく多い。「キャラクター重視」なのだ。
 
 それに対し、私が「こういうモノがコマンド読者向きかなあ」と感じた品は、「主役は戦場」ってモノ。形式的な主役は「パットン」「モンティ」だったとしても、そーゆー連中が「戦場であーしたこーした」って部分が重視されている。「シチュエーション重視」ってコトだな。
 
 もちろん、コレはかなり極端に分類するとそうなる…ってもの。コマンド読者向きのモノでも、キャラクターはある程度重視されている。「○○将軍が指揮を執ったから、こうなったんだろうな」って戦いは多いんだし。そこから話を進めて、「もし○○将軍がその時別の戦場に派遣されていたら」って話をするのは、コマンド読者も嫌いじゃないと思う。ロンメルを東部戦線に投入するとかね。けど、要は「結局戦場」なのだ。「後方勤務しているロンメル」「家庭問題で悩むロンメル」、果ては「現代日本で腐女子とデートしているロンメル」なんて心底どーでもいい。けど、「歴史」系同人誌は、どうもそーゆー部分に興味のウエイトがあるような気がする。
 
 何故そうなのか…は、よくわからん。現状では「そーゆーものらしい」としかわかってない。とりあえずの仮説として、「歴史」系同人誌の作り手って女性が多いから、「女性は『職場でバリバリ働く男』(役者や歌手なども含まれる)の姿から、『コイツを夫として家庭に迎え入れたら』なる姿を想像させられるコトが多いから」と考えてはみたんだけど、確証はない。
 
 ただ…この事実から「もしや関連があるんじゃ…」と思ったモノがある。「ヘタリア」に代表される、「腐女子妄想パワーによる、よくわからん擬人化」だ。国家や電車・駅…その他心底よくわからんモノがイケメンに擬人化されているけど、「何故連中がソコまで擬人化にこだわるのか」と、「歴史」系同人誌のありようって、関連があるんじゃないかと思いついた。それは何か?擬人化すれば「そのキャラクターを、本来無関係な、多用なシチュエーションに叩き込む」ことが楽になるのだ。
 
 擬人化しなければ、「家庭生活を送るソ連」「デートする高崎線」なるものを想像するのは難しい。けど、そういったモノが持つキャラクター性を備えた人間(別にイケメンである必要は無いけど、イケメン以外である必然性もない)を想像することは可能だし、そういった人間を多彩な状況に叩き込んでみることは可能だ。要は連中、そーゆーコトがやりたいらしい。対象が何であれ、その「キャラクター」が気に入ったら、それを「様々な状況」(コマンド読者のような存在にとっては大抵がどーでもいい状況)に叩き込まなきゃ、気が済まないようなんだな。
 
 こういう「腐女子妄想パワー型擬人化」と「萌えミリ型擬人化」(あえてこの色)の違いは何か?私が思うに、「可逆性があるかどうか」だと思う。萌えミリ型の場合、「女の子」に変換してしまえば、それが終点だ。そーゆーネーチャンとデートしたり××したい…とは思っても、まさか「P-51Dムスタングとデートしたい」「3号突撃砲と××したい」たあ思わないでしょ?これら兵器の後ろに「みたいな」って言葉をくっつけても。もし本気でそんなコト公言すれば、同性からヘンタイ扱いされるのは間違いない。ところが、「腐女子妄想パワー型」の場合、少なくとも理論的には「可逆性」、つまり「元に戻す」ことが可能だ。連中は「みたいな」つけていいんなら、「中野駅」や「京浜東北線」と結婚しても良いんじゃないかぁ?あ、連中は自分とどうこうより「そういうモノ同士」をくっつける方がずっと好きだから、心底「人間じゃなくてもOK」なのか。
 
 本当のところは、正直わからない。私はソコまで腐女子の生態に詳しいワケじゃねえ。ヲタクと腐女子は共通部分が多いけど、違いも山ほどありそうだからなあ。ただ、腐女子連中がものすご~く擬人化が好きで、正直私にはついて行けないレベルに達していることは事実だ。「歴史」系の同人誌作っているような連中は、ソコまで飛び抜けてないけど根っこは同類…って可能性はありそうだな。
 
 ここまで書いて思ったんだけど、腐女子ほど飛び抜けてないってだけで、男でも「キャラクター重視型の歴史好き」っているんじゃないか?私が「コマンド読者向きじゃ無さそう」って理由でハネた同人誌の方が、私が「コマンド読者向きだ」って理由で購入した同人誌より「面白い」って言う男。おそらく…というより確実にいるよなあ。割合はともかく…って、「坂本龍馬に学ぶ経営術」なんて本を好んで読むような奴って、実はそーゆー奴なのでは?ってことは、「歴史好き」ってだけじゃ、コマンド読者に代表されるウォーゲーマーに「近い人種」とは限らないって話に…この話、追加調査が必要な気がしてきたぞ。まさかこんなオチになるとは。

コメント

_ はねだ ― 2010/08/19 12:20

>そこで出た私なりの結論は、「『歴史』ジャンルの作品は、シチュエーションよりキャラクターの方が重視されているからではないか」ってなものだ。
 
 ちょっと待て。
 視点が違うからか。
 萌え側からみれば、キャラや物から入るってのは当たり前なはなしなんだが。
 
 やっぱりここ最近の違和感の原因はこれだったか……。

_ はねだ ― 2010/08/19 12:38

>そこで出た私なりの結論は、「『歴史』ジャンルの作品は、シチュエーションよりキャラクターの方が重視されているからではないか」ってなものだ。
 
 ちょっと待て。
 視点が違うからか。
 萌え側からみれば、キャラや物から入るってのは当たり前なはなしなんだが。
 
 やっぱりここ最近の違和感の原因はこれだったか……。

_ F男 ― 2010/08/19 21:55

私も「萌え」は理解できますから、ソッチから入ることに大きな抵抗はありません。まあ、限界が低いんですけど。

ただ、今回は「コマンド誌読者向け」って視点で歴史系うろついていて、「何故自分はこれらをコマンド読者向けと思わなかったのか?」って考えてゆくウチに、「まあ、この辺かな」と思ったんですよ。

それが書いているうちになんか大事に…ただ、「ゲーマーと萌えの相性の悪さ」がこの辺にあるのかも知れませんね。ゲームって「状況再現」」の方が重要じゃないかと。

_ takoba39714 ― 2010/08/19 22:17

そういえば、職場の女の子に「たこばさんは歴史上の人物で誰が好きですか。」って問われて、とっさの答えに窮したことがありました。

そのときは私は一応歴史ヲタクだと見られているという気負いから、坂本龍馬とか織田信長なんてメジャーな方ではなく、一見マイナーだけどそこから滔々と薀蓄を語れるような人物の名前を挙げてやろうと思った挙句だったのだと自己分析していました。

でも、よくよく考えてみると、私は歴史上の人物を好きなわけではないんですね。
どっちかというと、歴史上の人物より歴史上の事件、あるいはシチュエーションのほうがすきなんです。
近藤勇ではなく、池田屋事件が好き、みたいな。
歴史上の人物って私にとってはユニットなんですよね。
その程度には思いいれもあるし、好きでもあるんですが。だからとっさにそんなこと聞かれてナンバー1を出せなかった。

私が答えに困っていると彼女は「私は福山雅治演じるところの坂本龍馬が好きです。」と、仰った。
この人は、色々わかっているというか、ものすごい自己分析能力をお持ちなんだなあと思っちゃいました。

_ HA ― 2010/08/19 23:58

> 擬人化すれば「そのキャラクターを、本来無関係な、多用なシチュエーションに叩き込む」ことが楽になるのだ。

このくだりで膝を打ちました。
私も以前から「婦女子の二次創作は着せ替え志向があるよなあ」と思っていたところです。
同じキャラ萌えでも男はキャラの「解釈の正しさ」に重視します。「このキャラはこんなことしない/言わない」という線引きがあります。でも女にとって解釈は重要ではない、そのキャラを様々なシチュエーションに叩き込むことが主眼となっている。←このへんの結論がF男さまと同じだたので嬉しかったです。

_ はねだ ― 2010/08/20 13:07

 うーん、擬人化についてもいろいろと……。
 一番気になるところは腐女子は擬人化にはそんなに興味はないってところですかね。BL>擬人化であって、BL<擬人化ではないのよ。
 
 それに擬人化については男性オタのほうが造詣が深く、【「女の子」に変換してしまえば、それが終点だ。】なんてことは絶対にない。なんのために擬人化してると思ってんのよ。

 あー、なんか話がずれてくのでこの辺で……。

_ F男 ― 2010/08/22 02:03

>takoba39714殿
歴史を「事件の連続性」で捉えるのではなく、「人物で捉える」ってのは昔からあったコトだと思いますけど、昔はどちらかと言えば亜流だったのが、最近はメインにのし上がってきた気はしますね。ドチラが正しいとかじゃなく、流行りの問題なんですけれど。

>HA殿
こーゆーコトを疑問に思っていた方が他にもいるってのは、嬉しいですね。

>はねだ殿
やはり「根源的欲求」はBLなんでしょうね。ただ、いわゆる「非BL系」でも幅広く見受けられる現象っぽいのは、意外でした。

あと「ヲタクの擬人化」って「パーツフェチ」とか「変身モノ」とかに行き着きません?この辺、私は別物扱いしていたんですけど。

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