8月7日2010/08/08 04:19

 アタマの中は相変わらずのコミケモード。諸般の事情により、今回は相当カリカリきてたりする。これでもカレンダーが控える冬よりは数倍マシではあるんだけど。おかげでココのネタをじっくり練ることも出来やしない。まいったね。
 
 そんな愚痴ばかり言っても仕方ない。とりあえず更新しやすそうなネタとして、ゲームネタにしよう。題して「40年の対ソ戦」。この色のネタについて行けない人、置いてけぼりにします。ご了承下さい。
 
 何故このネタを?先日の「鉄十字の軌跡」出版記念講演の翌日にあったコンベンションで、軍神鹿内殿が「そーゆーテーマの」ゲームをプレイしていたから。タイトルは忘れたけど、デザイナーはタイ・ボンバ。プレイしていた方の感想も、端で見ていた私の感想も「結構イケるんじゃ」ってなもの。そこでまあ、「ヒトラー電撃戦」でこの手を研究しまくった私の目から見た意見を述べてみようかと。
 
 WW2の戦略級ゲームで、「40年に仏を放置してバルバロッサ」という手は、ゼーレーヴェと並ぶ「ありがちな奇手」である。独軍プレイヤーが「なんか面倒くさそうだ」と検討すらしないのはともかく、連合軍側は一応ある程度警戒しておかなくてはならない。赤軍が崩壊してしまうと、ゲームによっては敗北決定、そうじゃなくてもツラいからねえ。
 
 そんな両面作戦が成り立つのかって?案外成り立つんだなこれが。そもそも、独はWW1の時にこの形でロシアを崩壊させている。革命寸前のロシアとソ連を一緒にはできないけど、それを言うなら西側の攻撃力も衰えている。無茶のある作戦かどうかは「ルールを丹念に読み、ある程度研究した末」でないと断言できない。コレとゼーレーヴェについてキチンと研究してないとイケナイってのが、「経験の少ない側が連合軍を担当するのは辛い」理由だ。
 
 連合軍側の対処方法は大きく分けて2つ。まず重要なのが「赤軍の防衛」。ポーランド戦直後はともかく、40年の春~夏辺りからキチンと機能する防衛ラインを築いておく必要がある。これは案外楽じゃない。赤軍に「開戦前の生産」が認められているゲームの場合、40年の総戦力は41年のものより劣るのが当然。それゆえ、慎重に防衛計画を練らないと大穴が開いていたりする。かといって40年の防衛を重視しすぎた結果、「その後生産した部隊と合流できてないので、なんか戦線が脆いんですけど」ってのも大いに困る。
 
 もう1つの対処方は「西側からの攻撃」。これは2つの考え方がある。1つは英仏の攻撃で赤軍を間接的に支援するもの。西に部隊を引きつければ、それだけ東の攻撃は弱まるからね。ただ、これも「とりあえず独に攻め込めばいい」ワケじゃない。仏独が直接国境接している場所って、かなり狭い。ここを独がガッチリ守るのは、そう難しくないのだ。これを打開しようと思ったら、「連合軍によるベネルクス侵攻」を視野に入れる必要が出てくる。アルデンヌの森を抜けるのか、アルンヘムまで一気に突っ走るのかはともかくだ。これまた事前にある程度研究しておかないと、グダグダになって「ウチもやられちゃいました」となりかねない。
 
 西側からの攻撃その2は、「米軍の参戦を待って攻勢に出る」というもの。赤軍の降伏=ゲーム終了・独軍の勝ちってゲームならともかく、モノによっては「ウラルの彼方まで占領されない限り、赤軍は戦い続ける」なんてこともある。東部戦線に投入された独軍がいつまでも戻ってこないのならば、米軍使ってベルリンを蹂躙しちゃえば連合軍の勝ちだ。ただ、これは「モスクワ占領後」の独ソ両軍がどーなるのかをキチンと読まないと、「カイザーシュラハト」喰らって大陸から叩き出されかねない。やっぱり研究の必要がある。
 
 コレに対し独軍は、別にこんな戦略研究する必要は無い。いわゆる「史実通りの作戦」の変形に磨きを掛ければ、かなり戦えるからね。まあ「ブラフのかけ方」ぐらい覚えておくと便利だとは思うけど、所詮ブラフ。複雑な研究が必要ってホドじゃない。ただ、あえて研究してして実行し、顔色変えて意味不明なコトを口走る連合軍プレイヤーの顔を見るのも悪くない…って程度だ。
 
 実際この手が成り立つかどうかは、そのゲームのルールに強く依存する。禁じ手に指定されても文句言う奴は少ないし、「事実上の禁じ手」ってな場合も大いにあり得る。ただ、事実上禁じ手って程度だと「ルールの抜け穴」見つけようとする奴とのいたちごっこに陥るかもしれないんだよね。とりあえず連合軍プレイヤーは、ルールブックに「パリが陥ちるまで、独軍はソ連に侵攻できません。」って書いていない限り、油断はしないように。
 
 私が覚えている限りでは、確か「第三帝国」(AH)では「一応成立する手」だったような。「それを勘定に入れて防衛線を引け」って記事を、何かで読んだことがあるような気がする。他のゲームじゃ、流石に本気で研究したこと無いなあ。とりあえずは「そんなコトしたら、色々辛いよ?」ってルールがある場合が多いので、その抜け穴を探す気になれなかった。ただ、仏降伏により多大な収入が得られる「第三帝国」で一応成立するんだから、今本気で研究したら「必勝法じゃん」となりかねない気も…大抵は「やっぱり成り立たない」で終わりだと思うけどね。
 
 「ヒトラー電撃戦」には、別に何の制約もない。やりたければやれば?ってなもんだ。それゆえ、必死になって研究した。「独軍が諦めてくれそうな防衛線の構築方法」「英仏による攻撃ポイント」「米軍展開まで対ソ戦が続く可能性」の3つについて、「とりあえずの結論はコレだ!」ってものを出し、記事に書いた。ソコに至るまでかなり時間を掛けたつもりなので、巨大な穴はないと思うなあ。細かい穴はありそうだけど(苦笑)。
 
 ちなみに、初期の研究では「ひょっとしたら必勝法じゃ?」って状態だった。赤軍が脆すぎて、崩壊しちゃうのだ。その後大増援がやってくるけど、東部戦線は広いので、これだけじゃ穴を塞ぎきれそうもない。コレはイカン!と戦い方を根本から見直して出た結論が「前進させるため使う補給が惜しいから、後方に防衛線を構築」だったりする。これなら流石に「一気に大崩壊」しないので、後は増援で穴埋めが出来る。そうなると目先の問題として英仏の攻撃に対処せねばならず、後々米軍の攻撃を「海という防衛線」抜きで受け止めなきゃならないのは…なにせ仏を降伏させても「西の守りが気になって仕方ない」ってゲームだ。対ソ戦開始後3ターン後に来る「大量の特別増援+総力戦カードで生産された部隊」を見た瞬間、独軍の心が折れるでしょ。
 
 こうやって結論だけ書くと簡単そうだけど、ここに至るまでの研究は苦しかった…解決のヒントとなったのは、「ある悲惨なる戦い」という、有名な「第二次欧州大戦」(SPI/HJ)リプレイ記事。この記事で赤軍は「国境は事実上放置して、後方に防衛線を構築」するんだけど、それは「ヒト電」でも応用できないか?と考えたのがキッカケになった。後方と言ってもどの辺に…というのは、軍神鹿内殿や有楽斎殿に教えてもらった「East Front」(COL)の赤軍防衛線、つまり「大事なトコロに一気に引いてしまう」を参照した。「移動のために何かしら資源を使うゲーム」って部分が共通している以上、「下手に部隊を前で粘らせてはイケナイ」って法則も共通すると考えたのだ。最後は自分で研究した「このゲームのソ・フィン戦争における部隊のかき集め方」の応用だ。この「40年から戦える防衛線」にその後生産された部隊などを加えたモノが、「F男式バルバロッサ用赤軍防衛線」だ。
 
 この戦略って、史実と比較してどうなのか?う~ん…あくまで私個人の意見としては、「赤軍を電撃戦で崩壊させるため」の手段の1つだと考えるのならば、アリだったような気もする。ただ、これは「電撃戦を使えば、赤軍を崩壊させることが出来る」という仮定の回答がイエスならばの話だ。私の回答は、実はノーだ。赤軍は電撃戦では崩壊しない。スモレンスクを巡る戦いでそういう結論が出たからこその「南方旋回」じゃないかと思うので。この辺は色んな主張があると思うけど、とりあえず私個人の主張はこうなる。
 
 余談だけど、先月やった「ヒト電」のプレイで、私はそれを痛感させられた。自分なりに練った戦略で赤軍戦線に大穴をこじ空けたまでは良かったけれど、その穴は大増援で見事に塞がれた。わかっちゃいたことではあるけれど、それでもあの瞬間「赤軍を電撃戦で屈服させるなんて、無茶だ」と歯がみしたくなりましたね。あれでゴーリキー(「ヒト電」ではモスクワより重要)目指して突っ走っていたら、「南方旋回だ!戦争経済考えたら、それしかない!」と叫んでいたような。
 
 戦争経済とやらを持ち出してどうこうって話になると、40年からのバルバロッサは無茶がある。色々事情が違うとは言え、ロシアを屈服させたあげくカイザーシュラハトぶちかましても、独はWW1で負けたのだ。多分44年中にベルリンが占領されるんじゃないかなあ。大抵の戦略級ゲームだと「それだと負け。45年夏まで降伏を遅らせれば、一応勝ち」となるので、大人しく仏降伏させてからバルバロッサやっとけ…って話になりそうだ(笑)。
 
 私は「赤軍は電撃戦では崩壊しない」と思っているけど、「できるはずだ。崩壊させてみたい」と思っているゲーマーは多いはず。いやまあ、私も色気ぐらいはあるし。そのための手段として「対仏戦省略してバルバロッサ」が考えられるのは事実。大抵の場合は「相手プレイヤーがリアルに奇襲効果」喰らってくれないと成立しそうもないけれど、それでも研究してみる価値はあるんじゃないかな。ただまあ、大抵は無駄に終わります。それは覚悟して欲しい。戦略級ゲームの「40年バルバロッサ」なんて、そんなものよ。私が「ヒト電」で「駄目だこりゃ」って戦略をいくつ検討したと…(以下略)

コメント

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