2月1日 ― 2010/02/01 23:45
PAK-FA映像キター!ラプターとフランカーを足して2で割ったようなデザイン。詳細は航空関連雑誌に掲載される専門家の分析待ちだけど、グッときますね。うむうむ、やはり東側の飛行機はハッタリ効いてていい…
本日のネタは、「トンデモ必勝法」について。「しゅみのしみゅれーしょん」で触れていて、私も色々述べたくなったから。これって笑い事じゃ済まない話だと思う…
トンデモ必勝法とは?色んな意味での「常識」に真っ向から喧嘩を売るような手段でありながら、ものすご~く高い勝率を叩き出す戦法を指す。広い意味で考えれば、現実の世界でもごくたまにそーゆーコトが発生する。「アレは常識にケンカ売っているわけではなくて…」って話はさておき。
ウォーゲームの世界においては、この「トンデモ必勝法」が時々話題になる。この遊びは抽象化が低い関係上、「史実・現実とのリンク」が問われる。それに従っていないように見える戦法は、「アリかナシか」って議論が生じるのだ。「日本機動部隊」(EP/国際)の「全艦隊本物作戦」とかが代表かなあ。
こういうトンデモ必勝法がアリかナシなのかって議論は、あまり意味がない。個別に判断するしかないから。考えようによっては「デザイナーが意図して付けたトンデモ必勝法」と呼べるモノまで存在するからなあ。コマンド誌84号「モスクワ'41」のヴォロネジ攻略作戦は、史実の独軍が軽視していた(理由はあるんだけど)ヴォロネジ占領が独軍の主目的になりうるって点で「トンデモ」ではあるけど、これはデザイナーが意図的にそうしたものだ。
ただまあ、世の中には「タチの悪い」トンデモ必勝法もある。現実にそんなコトやったら、「有利どころか何かが根本から瓦解する」ような手段を使ってどうこう…ってモノが平気で存在するからなあ。抽象度の高いゲームならともかく、具象性の高いシミュレーションゲームにおいて、こういう手段が脚光を浴びるのは、正直好ましくはないと思う。
何でそんなトンデモ必勝法が登場するのか?一番ありがちなのは、「現実の戦争をゲームって形にする際に省略される部分を、最初から存在しないモノとして考えるから」かな。いちいちゲームにする以上、盛り上がる部分だけ取り出してどうこうって形にした方が良い。けど、現実はいわゆる「つまらん日常的業務」を無視することは出来ない…どころか、下手すれば盛り上がる部分よりも重要だ。にもかかわらず、「つまらん日常業務に備える必要など無い」って思想に基づいて怪しげな手を編み出せば、そりゃあ「盛り上がる」局面においては有利でしょ。
この手の「ゲーム的な必勝法」は、取り扱いが難しい。こういう要素を全部排除するのだ!なんてやらかすと、「史実をただ後追いするだけ」になってしまい、史実検証ツールとしてはともかくゲームとしてはつまらなくなりがち。かといって「何でもアリアリだ!」とすると、「イッタイナニヲシミュレートシテイルノデスカ!」と怒られる。要はバランス問題だ。どの辺が「ほどよいバランスなのか」は、プレイヤーの好みにより微妙に異なる。それゆえ、ゲームデザイナーは「どういうバランスにするとウケがいいのか」と悩む必要があるわけだ。
もっとも…私が思うに、この問題に一番悩まされるのは、ゲームデザイナーではなくてデヴェロッパーやテストプレイヤーではないかと。デザイナーは「オレはこういうゲームが作りたい」と決め、その方向に向けて突っ走ればいい。それに対し、デヴェロッパーやテストプレイヤーは、「このルールに従うと、本当にそーゆー方向に進むことになるのか」を検証し、そうならないのであれば「マズいルールを潰す」必要がある。つーか、誰かがコレをやらないと穴だらけのゲームになりかねない。
シミュレーションゲームにおける「トンデモ必勝法」ってのは、実を言えばコンシューマーゲームにおける「バグ技」に近い。全部が全部そうじゃないけど、割合から言えば多いんだよ。デバッカーにあたる奴(デヴェロッパーとテストプレイヤー)がいい仕事をすれば、こういうものはほとんど無くせるはず…理論上はだけど。でも、現実問題としてこの業界の「デバッカー」達が優秀かどうかと言えば…個人個人の努力と才覚には頭が下がるけど、シミュレーションゲームという「複雑怪奇なシロモノ」のバグをきちんと潰すには、それじゃ足らないんだよね。残念なことに。
この手のバグ取りを「おかしいところが見つかった、じゃあ直しましょう」の連続だと思わないで欲しい。オカシイところが見つかった場合、まずは「コレはバグと呼ぶべきモノなのか、それとも仕様の1つと見なすのか」を、侃々諤々の議論で決める必要がある。ここでバグと見なすべきと決まれば、どう手直しするのかまた議論が始まる。ソレが決まると、今度は「その改訂の影響がゲーム全体に及ぼす影響」を徹底検証し、新たなバグを生んでいないか確かめる必要がある。理想としては、あらゆるプレイヤーが編み出す全ての手について、「それはあくまでコチラの想定内だ」と言えるようにしなくちゃイケナイのだ。やってられるか。普通の神経なら逃げ出したくなる。
聖書によると、その昔ダヴィデって奴がゴリアテって巨人と戦い、投石機を使って勝利を収めたそうな。周囲の観客や戦いの当事者にとっては「ダヴィデ強い、ゴリアテ弱い」で済む問題かも知れない。ただ、その裏には「ルール上、投石機使うのはアリなのかナシなのか」でアタマを抱えた奴がいるような。「瞬殺じゃねえか!だから投石機は禁止しろとあれほど…」「いや、この場合投石機を使わなかったゴリアテが馬鹿なだけじゃね?」「投石機使えばいつでも瞬殺で決まっちゃうんだから、禁止しなきゃイカン」「いやいや、投石機使った戦いに適応してこそ、新時代の強者なのでは」「投石機がアリなら、後ろからの不意打ちもアリか?」「馬鹿、ソレとコレとは話が別」「とりあえず、今後はナシだな」「いや、前例出来ちゃったんだからアリでしょ」ってな議論(1人で自問自答して悶絶しているだけかもしれないけど)があったんじゃないかなあ…
私も怪しげな裏技を見つけるのは嫌いじゃないし、ソレを使って勝ったこともある。節度みたいなモノは必要だとしても、この手の「トンデモ必勝法」を禁止しろとは言わない。けど、「こういう手で勝ったら、デザイナーやデヴェロッパーはどう思うのかな?」ってコトを、ほんのちょっとでいいから考えて欲しいな。エラッタで訂正するのだって楽な作業じゃないんだからさあ。はあ、「武田騎馬軍団」どーすんだよ…
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