9月22日2009/09/23 00:38

 土日はMiddle-Earth東京支部例会。私は「D-DAY」(エポック/サンセット)をプレイし、英軍で2度も海に追い落とされた(苦笑)。いけませんねえ。修行不足じゃ!(これ関連のネタは後日)。
 
 本日の話題は、北朝鮮が文句付けてきたらしい「H-2B打ち上げ」について。あえて私も文句付けます。北とは別の意味で。あれは正直「どうかと思う」トコロがあったので。
 
 H-2B打ち上げは、かなりうまくいった。あれだけ大きなロケットを問題なく打ち上げるのはタイヘンであり、それを成功させたことは見事と賞賛して良い。北の文句は言いがかりに等しく、他に文句を付ける奴はいない…と考えるのが普通である。でも、私はあえて文句を言う。アレは別のトコロがマズいと。
 
 何がマズいのかって?あくまで「私が思うに」だけど、アレは立派な「大バクチ」だから。日本のロケット打ち上げ技術をもってしても、あれは「かなり危険な行為であり、失敗する可能性は低くなかった」から。成功する自身があったとしても、「最初の打ち上げ」に結構大事な荷物を選択したのは、やはり「褒められたことじゃない」と思うんだな。
 
 何故大事な荷物を打ち上げたのか?これは…推測だけど、「試験打ち上げをケチった」からじゃないかなあ。こーゆーことケチるのは、どうかと思う。成功したからいいようなものの、あれで失敗していたらタイヘンなことになっていたからなあ。こーゆー部分に余裕を持たせないのは、日本人の悪い癖だと思うんですけどね。
 
 あと、焦りもあったかも知れない。半島の連中(南北共に)がロケット打ち上げに興味を示しているのは間違いない。北はICBMと区別が付かず、南も打ち上げ失敗したのは事実だけど、放置しておけばいずれ「衛星打ち上げビジネス」に参加してくる可能性がある。そうなった時、日本のロケットは「コスト高いのに、米・露・中(有人打ち上げ成功国)ほど信用できない」ってんで後れを取りかねないからなあ。それに匹敵する「デカいアピール」がやりたくなったのかも。そーやって焦って結果求めに行くのは、良くないと思うんだけどね。
 
 成功したんだから…ってのは、言い訳にならない。確かに、技術面だけ見れば「偉業」であり、賞賛に値する。でも、それに奢って似たようなコト繰り返していれば、いつか痛い目に遭う。日露戦争に勝ち、「大国相手でも戦争できる、勝てる」と勘違いし、米国にケンカ売った結果はどうなった?成功は成功、だけどバクチはバクチだ。結果良ければ全て良し…で片付けるのは、良くないと思うんですけど。
 
 だいたいだなあ。ここで何度か叩いているスペースシャトルだって、最初の打ち上げの際には「素晴らしい」「新時代の到来だ」と賞賛されたのだ。実際、そう評価するに値する「偉業」ではあった。でも、最終的には「技術的に冒険しまくった」ツケを山ほど支払わされたわけだ。同じ道を日本がたどらないって保証はない。
 
 今回打ち上げたのは、宇宙ステーション「ISS」用の貨物。言ってみれば「一般貨物の輸送」だ。こーゆー「仕事」に、派手なコトやらかす必要はあるのか?一般常識で考えて、「F1ドライバー並みの技術を必要とする」貨物輸送計画ってのは「どうかと思う」のでは。派手な技術アピールなどいらない、地道で堅実に運んでくれるのが一番ではないかと。
 
 ついでに言えば、「あれだけ大きなロケットなら、有人打ち上げも…」という声が出ているのは、どうかと思う。確かにあの大きさのロケットなら、有人打ち上げも可能だと思われる。そーゆー夢を持つのが悪いとは言わない。けど、本当に有人打ち上げをやるつもりなら、より慎重にならないと「危ない」気がする。失敗の度合いによっては、「こんな杜撰なシロモノに人間詰め込んだのか!」ってんで評判落とすことになる。少なくとも私は「日本の有人打ち上げ計画」なるものは聞いたことがない。H-2B打ち上げが成功したから…なんて泥縄式の計画を立てるのはどうかと思うぞ。冒険が許された「宇宙開発黎明期」と一緒にしてもらっちゃ困る。
 
 なお…「H-2Bによる有人打ち上げ」は、チャレンジする価値があるとは思う。思うけど、「今度はより慎重にやってくれるのなら」って条件付きかな。ロシアが未だにソユーズなどという「骨董品」使っているのは何故だと思っているのやら。なんか誤解している奴が多いけど、技術面では「アレを超える」ロケットをロシアは開発済みである。単に「それに置き換えて得られるモノ」より、「使い慣れたモノを使い続けて得られるモノ」がデカいと判断しているので、未だに使い続けているだけだ。ドコをどう考えたって「宇宙開発技術の総合力では、世界第2位」のロシアにしてコレなのだ。H-2シリーズ全体として考えてすら、「まだ不安を払拭したとは言い難い」って事実を忘れちゃいけませんね。
 
 H-2B打ち上げ成功は、大いなる技術的飛躍だと思う。これ自体は悪いコトではない。けど、宇宙開発において重要なのは、実は「大いなる技術的飛躍」よりも「段階的な積み重ね」ではないかと。理由は知らないけれど、今回日本は「やった方が良い試験打ち上げ」をすっ飛ばし、技術的飛躍に手を出した。成功したおかげでうやむやにされているけれど、これは疑問だと思うな。ついでに言えば、成功したからって浮かれ気味のマスコミも。
 
 H-2B打ち上げには成功し、韓国のロケット(KLSV)は失敗。これにより、しばらくは「衛星打ち上げビジネス」は安泰だと思われる。ただ…韓国の失敗は「産みの苦しみ」として納得できる範囲であり、日本の成功は「不必要と思われるバクチ」の産物だって気がすることも確か。これが長い目で見てどうなるのか、予断は許さないって気がするな。
 
 しかしだねえ。北も「こーゆー建設的批判」込めて日本に忠告するのならともかく、「軍事利用の道を切り開いた」などと批判するのは…言いたいコトはわかるけど、ヒガミ根性がミエミエだな。大人しく黙っていればいいものを、言わずにいられないってトコロがアノ国らしい。もっとも、打ち上げに浮かれている人間にとっては、私も北も「似たような存在」なんだろうな(苦笑)。

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