8月20日2009/08/21 01:56

 Google Chrome正規版って今バージョンいくつなんだ?私のはバージョン4に突入した(4.0.202.0)んですけど。Lunascapeも5.1.4に、Operaも知らない間にβ3になってました…
 
 コミケが終わってしばらく経ち、色んなレポートを目にするようになった。これらを読んでいると、こういうレポートを書いている側はともかく、コメント付けている人間の一部(おそらくコミケをよく知らない人間)に、誤解というか何と言うか…があるんじゃないかって気がしてきた。そこでまあ、私もちょろっと「真面目な話」してみようかなと。
 
 私はよく「コミケは生き地獄」「人混みは相当なモノ」と、コミケは厳しい場所だと書いている。この発言は嘘ではない。昔に比べれば大分楽になり、運が悪くなければ「なんだ、楽勝じゃん」で済んじゃうと思う。けど、キビシー場面に遭遇する可能性はあるし、そうなった時にアホな行動やらかすとマジ危ない。あそこは「辛くて危ない場所だ」って意識を忘れないようにした方が、何かと安全だ。
 
 そんな場所である上、主な売れ筋が「エロい同人誌」なんだから、まさしく阿鼻叫喚の地獄絵図…みたいに考えている人間は多いようだ。まあ、そーゆー場所ではある。それは大いに認める。けどね…ハッキリ言おう。実はコミケって、「20万人のヲタクを詰め込んだイベントにしては」ではあるけど、かな~りキチンと運営されているイベントだ。色々問題があるのは確かだし、コミケ後はどうしたって「問題点の指摘」が目立つけど、全体を見ると、問題はかな~り少ない。
 
 比較対象として適切かどうかはビミョーだけど、「似たような数の人間が集まる」有馬記念と比較してみよう。私は去年の暮れに「掛け持ち」やった馬鹿だからして。まず、「人の列がキチンと制御されているか」に関しては、コミケの方がずっと上。列への割り込みなどは、有馬記念の方がよほど「ありがちな話」だ。場内の移動も、有馬記念ではかなりキツい。おかげで、「押した・踏んだ」なんて話も多い。
 
 今回のコミケで「殴り合いのケンカ」をやらかしたって目撃談は、2件ほど仕入れた。これはあくまで目撃談であり、私が目撃したワケじゃない。有馬記念の場合は、3年に1回ぐらい見かけるかな。私は大抵「多少空いている場所」に陣取っているので、この程度で済んでいるのだと思われる。「警備員の大量出動」(どーせケンカ仲裁)もよく見るし。場内でアルコール売っている以上、この手のリスクは正直高い。
 
 そもそも、だ。GⅠ恒例となっている、ファンファーレの際の拍手。あれは本来「禁止されていた行為」である。いくら言ってもまるで効き目がないので、JRAも諦めて黙認するようになったってシロモノだ。ちなみに、私はアレはやらない。単にそーゆー習慣だからだ。「馬がどれだけ迷惑受けるか」を考えれば、「コミケ徹夜組」並みに悪質な行為だと思うけど。
 
 そーいやあ、有馬記念にも徹夜組ってのがいる。まるで禁止されてない。私もシャレ半分で参加したことがある。未成年が参加していたかどうかは、わからん。とりあえず「警察の見回り」はあまり見かけなかった。JRA警備員も最小限のことしかやらない。問題を起こしたって話は聞かないけど、「未成年が並んでいた」「道に飛び出して交通事故起こした」なんてコトになったとしても、「あり得ない!」と騒ぐ話じゃないし、禁止されても文句は言いにくい。少なくとも私は「仕方ないかな」で片付ける。
 
 未成年が馬券買う可能性については…正直言おう。あれで防ぐのは無茶だ。競馬場への入場券も馬券も、自動販売機(年齢確認機能などあるわきゃない)で買える。一応入場の際に年齢確認していることになっているけど、あの人混みの中それがどれだけ可能なのかは…その後は、警備員にさえ見つからなければフリーパスだ。キチンと守られているならばって話ではあるけど、コミケの「18禁モノを売る時は、各サークルで年齢確認をしろ」の方が、まだ有効な対策じゃないかと思われる。「そんなの守っているサークルあるのか?」と思うかも知れないけれど、間違って見つかったら「販売停止」という悪夢が待っているので、あまり冒険はできないのでは。
 
 なお、この問題については、かな~り前に私が参加した同人誌関連のシンポジウムで論じられていて、警察サイドから「今のやり方で、大きな問題はない」と判断されているって話が出ている。よく考えれば、コンビニの店員が「18禁の雑誌を未成年に売っていないかどうか」だって疑えばきりがない以上、「見つかったら販売停止」って悪夢がわかりきってるコミケのサークルをある程度信用するのは、大きく間違ってはいないと思う。
 
 警備態勢などについても書いておこうか。JRAの警備員は「原則JRAの職員」であり、実に頼もしい…んだけど、数は少ない。コミケの場合、実は運営側の人間(スタッフと呼ばれている)の大半はボランティア。個人単位で見た場合、正直良質とは言い難い。ただ、数はベラボーに多い。用がある時に限ってなかなか見かけない…って冗談(裏を返せば、そうじゃない時にはうんざりするほど見かける)が出るくらいには。あの数と「一部の頼もしい古株」の組み合わせは、それなりに信用できると考えて良さそうだ。
 
 とまあ有馬記念にケチを付けてきたけれど、実のところ「有馬記念の運営がなってない」とはカケラも思わない。客として、社会人として「そんなものだ」で割り切れる範囲で隙があるってレベルだと思う。そんでもって、「コミケが抱える問題点」ってのもおおむね有馬記念と似たようなレベルに留まっている。「ドッチも社会のクズの集まりじゃん」と言われたら、それまでって気もするけど。
 
 余談だけど、有馬記念の方が「確実に勝っている」と言い切れるのは、「テロ・脅迫の対象になったことがあるか」だ。「有馬記念の日に中山競馬場で…」って脅迫があったって話は聞かない(コミケは予告された)し、爆発物その他が仕掛けられたって話も聞かない(コミケは時限発火装置仕掛けられた)からなあ。ただ…アマチュアレベル?ならともかく、プロのテロリストが「ターゲットにする」可能性が高いのは、実は競馬場でしょ。参加者の社会的レベル(競馬場には馬主という金持ちが必ずいるし、大臣・皇族が来場することもある)を考えれば、オイシイので。もっとも、プロのテロリストが日本なんぞでテロやるかどうかは知らない。
 
 このように、有馬記念とコミケは「運用に当たっての問題点は似たり寄ったり」である。にもかかわらず、終わった後に「これは問題だ!」って声が大きいのは、問答無用でコミケである。何故か?これにはキチンと理由がある。「客」の当事者意識が段違いだからだ。
 
 有馬記念の場合、あそこにいる人間の99%は「客」である。それゆえ、「列の整理がなってない」とか、「ケンカしている奴がいやがった」なんて話は、自分が実害を伴わない限り「他人事」であり、運営面でどうこう考えたり実行したり…って話はJRA側に丸投げしている。少なくとも私はそうしているし、友人知人もそうしているような。「それのドコが悪い?」って気さえする。
 
 コミケの場合、実はあそこに「客」はいない。一切いない。あくまで建前上の話だけど、そうなっている。いるのはあくまで「一般参加者」であり、「コミケが円滑に運営されるよう、協力するのが当然」とされている。これは古くからの参加者、コミケが「いつ中止されても不思議がなかった」時代、幼女殺害事件の犯人と同一視され、幕張メッセを追い出され、「修正はしっかりやって下さい。18歳未満に売らないで下さい。そうじゃないと、コミケはなくなります。」と脅された記憶が忘れられない世代には、特に根強く残っているようだ。私も一応この世代に属する。それより若い層であっても、ある程度はこーゆー意識が受け継がれているようだ。
 
 実のところ、「コミケの客が統制取れている」理由はコレだ。若い奴がアホやっている姿を見れば、同じ「一般参加者」から注意が飛んでくる。「列を作れ、もっと詰めろ、ここで曲がれ」といった指示に従うのは当然…どころか、アホな指示出す奴(企業ブース、特に出版社系とアニメ制作会社系の社員に多い)に対しては「それで本当に良いんですか?こうした方が良くありませんか?」って確認がすっ飛ぶことさえある。「自分が欲しいモノを確実に素早く買うため」という邪な動機によるものとはいえ、「運営に協力するのが当たり前」って意識が強いのだ。
 
 世代的に、一応私も「そーゆー意識が強め」である。まあ、別に何かやっているワケじゃないけれど。今回で言えば、私の前にいた「購入希望数書け」って紙だけ渡された奴(筆記具ぐらい持って来いよな)に、私の持ってきたペンを貸したぐらいか。これは言うまでもなく、親切でも何でもない。前に並んでいる奴が「ペンがないから記入できなかった」なんて理由でまごついていたら、オレが買えるのも遅くなるだろ。このように、コミケでは「徹頭徹尾利己的な理由により、他人に親切なことをする」奴が山ほどいる。経験により、結局そうした方が自分のためになるって知っているから。
 
 このように、コミケの「客」(じゃないんだけど)は、運営面に五月蠅い。それゆえ、「アレは問題だ、コレは問題だ、あーしたらどうか、こうする必要があるのでは」って話題が大好きである。有馬記念の客がケンカ見かけても「アホだなあ」で終わりだけど、コミケの場合は「ああいうアホを減らすにはどーしたらいいのか」って話になる。この辺、ノリが「高校の文化祭」と変わらない。後夜祭の後に異性とイチャイチャしていると、硬派な先輩から「後片付けだ!とっとと働け!」と蹴飛ばされるのだ(苦笑)。
 
 コミケの参加者は順調に増え続け、昔に比べればこーゆー意識は薄れつつある。けど、有馬記念のような「一般的イベント」の参加者の99%が「オレは客だ」って意識しか持っていない(これはこれで当然ではあるんだけど)のに比べれば、10%程度(実際はもっと多いだろう)でも「オレは客じゃなくて一般参加者」って意識を持っている奴がいる以上、かなりマシにはなっているはずだ。私は遙か昔にしか行ったこと無いけど、「おもちゃショー」だの「ゲームショー」だのといったイベントが「コミケに比べれば参加者少ないのに、混乱は多い」って話は聞いているし。
 
 もっとも、コミケの拡大はイジョーである。つーか、その昔の「少子高齢化に伴い、参加人数は落ち着くのでは」って予想はどこいった。「上の世代(私も含む)が引退しない以上、新規参入者分だけ増える」と言ってもだなあ。この現状において、コミケが「今の理念」をどこまで貫けるのかは、予断を許さない。増加した人間の大半は「お客様気分」が抜けてない(むしろソレが当然だ)からなあ。ゾーニングだの何だのと言った、「より極端な対応」も検討が必要なんだろうな。もっとも、これはつまり「一部の馬鹿のおかげで、オレ達も迷惑を被る」ってことを意味するので、みんな怒って文句言うのだ。自分のことは棚に上げて(苦笑)。
 
 このように、コミケは「問題を抱えつつも、おおむね問題なく運営されている」イベントであり、文句が多いのは「コミケの理念に基づく行動であり、実はキチンと運営されている証拠」だったりする。コミケ参加者から「アレが問題だ、コレがヤバい」って話が出なくなった時の方が、よっぽど「コミケ終焉の危機」じゃないかな。コミケに行ったことのない人間にはわかりにくい話だろうけど。
 
 とはいえ…馬鹿ってのはドコにでも一定の割合いて、色々始末に負えない存在であることは確か。3日間のべ56万人が参加するイベントの場合、そーゆー馬鹿の絶対数はどーしても無視できない数になる。運営面の愚痴が出るのは当然って気もするね。私も色々言いたいコトはありますよ。もちろん、自分のことは棚に上げて。