7月17日 ― 2009/07/17 22:02
IEは8.0で、Firefoxは3.5.1、Safariは4.0.2、Lunascapeは5.1.2、Operaは10.00のβ2、Google Chromeは3.0.193.1(β版)、Sleipnirは2.8.5、IE Testerが0.3.3…多分これが「最新バージョン」だと思う。流石にバージョン管理が面倒になってきた…
本日の話題は、先日私が「PSP携帯」を語った記事へのコメントに対する返信を。文中に「苦しい時期にも『コアな信者は何を欲しているのか』を決して忘れなかった任天堂やAppleを見習った方が良くない?」と書いたところ、sin殿から「これ、ウォーゲームメーカーにも見習ってほしいです。」というコメントが寄せられたので、私なりの「見解」を語ろうかと。普通にコメント欄で対応しなかったのは、当然「長くなりそうだから」です。
sin殿がこのような感想を抱くに至ったのは、「初心者向けゲームの連発」が理由となっている。初心者勧誘の必要性はわかるけど、コアユーザーが置き去りにされていないか?それに、初心者向けゲームを連発したところで、需要を作り出すことにはならないのでは?という、鋭い問いかけだ。正直言おう。私も「最近ヌルいゲームの割合が増えたような…」って感触は持っていた。ぶっちゃけ、「ゲームメーカーさんよ、もっと頑張ってよ」と言いたいわけだ。
しかし…話がこれだけで終わりなら、コメントで対応すればいいだけ。この問題、それだけに留まらない「この業界全体の大きな問題」があるような気がして仕方がない。そこで、あえて業界全体にケンカ売りかねないのを承知の上で、「なんでこうなってきているのか」を語ってみたい。私自身少し欝気味なので、あえて「すげーシニカル」な内容にする予定なので、ある程度覚悟してお読み下さい。
何故初心者向けゲームが増えたように感じるのか?まず考えられるのが、デザイナーの限界。たとえばGJ。あそこの付録ゲームは「自社スタッフ製造か、投稿作品」である。これでは、広い意味でのデザイナー(デヴェロッパーなどを含む)の数・動くカネなどを考えれば、「ハードなゲーム連発」なんて期待しにくい。「シックスアングルズ」はかなり頑張っているけど、刊行は不定期、おまけに旧作リメイク中心。「デザイナーサイドの限界」を考えると、両者ともむしろ「苦しい中で頑張っている」と言わざるを得ない。この問題は、少なくとも一部はCMJやサンセットゲームズにも当てはまる。私がもっとキリキリ仕事すれば、「武田騎馬軍団」再販がちっとは早まるような気もするんだけど…
もう1つ重要なのが、海外メーカーの存在。よ~く考えて欲しい。この業界の中堅以上であれば、当人もしくは周囲の人が「海外メーカーから直接ゲームを買って、和訳ルールを手配する」ってな行動が可能である。つまり、「ハードなゲーム」がどうこうって部分になると海外メーカーが「立派な商売敵」になるし、逆に言えば「そういう層の相手は海外にお任せ」することができる。しかし、初心者・初級者にこんな行動はまるで期待できない。それゆえ、国内メーカーとしては初心者を放置しにくい。
余談だけど、この部分は私が「最近の週刊少年誌はつまらん」と公言している人間にまるで同情しない事情と似ている部分がある。週刊少年誌は「どちらかと言えば子供向け」である以上、人間的成長に従って物足りなく感じるモノがあっても不思議じゃない。それを嘆くヒマがあるなら、「面白いマンガ」探せばいいだけの話でしょ?そーゆーモノがないって言うなら同情する。けど、この私でさえ「目を通せない雑誌が多くて困る」と嘆いているくらいなのだ。必要なら、別のところで面白いマンガを探せばイイだけの話だ。
とまあ、この辺までなら別に「業界にケンカ売っている」話じゃない。それに、こーゆー事情はsin殿もある程度わかっていると思われる。にもかかわらず…と言いたい気持ちは私にもわかる。わかるけど…もう1つ、あんまり語りたくなかった「最近初心者用ゲームが増えたように感じる事情」があるような気がするんだよね。
その事情とは、ズバリ「コアユーザーの、広い意味での老化」である。確かに、「最近ルールを忘れちゃって困る」だの「老眼で細かい文字が読みにくい」などという、「肉体的老化」に悩まされている方はまだ少数派だと思われる。けど、ここで言う「老化」はそれに留まらない。「仕事が忙しくなった」「家族サービスの必要性が増えた」などという「社会的要因」も、これに含まれる。ついでに言えば、「斬新な手法のモノは覚えることが多すぎてやる気にならない」といった「精神的老化」も含めて良いと思われる。
こういった「老化した」ユーザーが好むゲームとは?ややこしいルールより覚えやすい簡単なルール、短いプレイ時間、わかりやすい展開…といったところか。これのどこが「初心者向けゲーム」と違うというのだ。理屈から言えば、コアユーザーが「広い意味で老化」してゆけば、結局は「初心者向け」と思われているようなゲームが売れ筋になってくるはずだ。正直言って、特に「精神的老化」が著しい人間ほど、こういう傾向が強くなるような気がする。
こういう「老化」は、ものすご~く個人差が激しい。それゆえ、「オレはまだまだ元気」だという方が「最近ヌルいぞ!」と感じるのは当然だろう。けど、周囲はどうか?ヘビーなゲームに対し、「口ではやるやる言っていながら、実行する段になると尻込みする」人間が増えたと感じないだろうか。もちろん、自分含めて。ただ、私は「色んな意味で未だケツの青いコゾー」なので、程度問題としては相当軽いけど。
いや…もっと率直になろう。私も立派に「老化」している。社会的なモノは極めて軽い(それでも、色々ある)し、血糖値・血圧・肝機能はマトモなので肉体的なモノも軽め(でも徹夜は厳しくなった)だけど、精神的老化は確実に深刻化しつつある。新しいことに取り組む意欲が減退したし、ちょっと複雑なゲームは「面倒だな」と感じるようになった。今のゲーム界に対して「ヌルい初心者向けが増えてないか?」と感じることは感じるけど、いざメーカーが「歯ごたえのある」ゲームを連発してきた場合、対応できない自分を発見する可能性の方が高い。
私が例に出した「任天堂やAppleのコアユーザー」と、「シミュレーションゲームのコアユーザー」の違いはここにある。任天堂を例にしよう。コアな「任天堂フリーク」なる存在は、「スーファミブーム終焉」から「Wii発売直前」まで存在し続けていた。けど、それを構成していたメンツは大きく異なっているはずだ。「その間もずっと、任天堂のゲーム好きでした」って奴もいることはいるけど、少なからぬ数の人間が「ゲームは卒業」し、同じく少なからぬ数の人間が「任天堂ゲームに魅せられて加入した」結果としてこういう層が形成され続けたのは間違いない。「誰と誰が」が変化し続けた結果として、「どんな人間が」って部分が変化しにくかったのだと言ってもいい。
これに対し、ウォーゲーマーは「誰と誰が」って部分の変化に乏しい。新規参入者が皆無に近く、「1年ごとに平均年齢が1上昇する」って集団だからなあ。こういう世界では、「脂の乗った」ユーザーが減少してゆくのを食い止められない。他の世界であれば、「老化した」人間がセミリタイアしてゆく中、「3年前は新参者でした」って連中が成長してその穴を埋める。けど、この業界はそうなってない。
何でこうなっちゃったのか?まあ、一番の理由は「初心者が参入しなかった」だろうけど、もう1つ「初心者のステップアップ」もサボっていたからとなるかもね。初心者用のゲームうんぬんって話は結構聞くけど、「そうやって取り込んだ初心者を、いかにステップアップさせるか」って部分に関する話はほとんど聞いたことがないからねえ。あえて言うなら、今現在声高に「初心者対策」を主張する人間(実は私も含む)の全てに、この視点が欠けてる…とまで言わないけど、弱い気がするね。
人間、どうしたって自分中心に物事を考える。その上「昨日と今日の違い」には鈍感なのが当然だから、こういう「変化」を察するのは難しい。私も、今までぼんやりと感じてはいたけど、「何でヌルいゲームが増えたのか」を真剣に考えてこなかった。sin殿の指摘をキッカケに色々考えてゆくうちに、「少なくとも理論上はこうなるんじゃなかろーか」と思い至った次第である。
これはどう考えても「悪い流れ」である。ではどうすれば良いのか?これは今のところ答えようがない。確かに「今まで色々サボってきたツケ」と誰か(自分自身含む)を非難したり、「時の流れには逆らえない、祇園精舎の鐘の声、諸行無常の響きあり」と無常観に浸って諦めたり…といった、「対策になってないコト」はわかる。でも、「今何が出来るのか、何をすべきなのか」は、私個人でどうこうって領域じゃないでしょ。今現在この業界を形成している皆で考え、皆で答えを出すべきだ。
そういう問題である以上、国内のゲームメーカーが「この問題にどう取り組み、どんな答えを出してゆくのか」は重要なはずだ。そういう意味では、ここでぐるっと話が回って「ゲームメーカーさんよ、もっと頑張ってくれなきゃ困るんですけど」となるわけだ。思いっきり他人事じゃないんだけどね。私はどう考えても「平均的ゲーマーよりは、多少メーカー寄りの立場」の人間のはずだからして。いや、だから「武田騎馬軍団」再版関連作業については、やる気は色々あるんですけど、こちらにも都合ってものがありまして…
コメント
_ mtj ― 2009/07/18 09:38
ゲーマーの煩雑さへの対応能力の低下については私は昔から煩雑なものに対応できなかったので今でもあんまり変わりません。個人的には継戦能力が非常に低下しました。ご指摘のあった問題はGJ編集部が昔から指摘してますね。だからGJのゲームは軽めなんだと思います。思いゲームを供給する能力にも欠けるのだと思いますが。私は軽いゲームでも、必ずしもヌルイと同義ではなく、深いものは十分作れると思っているので、歓迎しています。いろいろな時代をサクッと体感したいので。
_ F男 ― 2009/07/18 19:37
軽い=ヌルいではないと思いますが、「あえて細部まで作り込むことにより、初めて見えてくるモノ」もあると思います。そう考えると、「バリエーション」の減少は業界にとってマイナスでしょうね。
この問題への対処は色々あると思うのですが、「軽いゲームだけ出していればいい」という極端な態度はマイナス面が大きいでしょうね。ただ、GJは「軽いゲーム主体ながら、一応重めのモノも出そうとしている」姿勢があるように感じるので、やはり頑張って戦っているのだなと思っております。
この問題への対処は色々あると思うのですが、「軽いゲームだけ出していればいい」という極端な態度はマイナス面が大きいでしょうね。ただ、GJは「軽いゲーム主体ながら、一応重めのモノも出そうとしている」姿勢があるように感じるので、やはり頑張って戦っているのだなと思っております。
_ takoba39714 ― 2009/07/20 23:54
老化の最先端をいってるtakobaです(笑)。
肉体的、精神的な老化もさることながら、環境がコアなゲームを許さない状況にあって、ヌルいゲームはおおいに歓迎です。
初心者ゲームといいつつ、多分それを買うのは、初心者ではなく初心者(子供とか)に相手をして欲しい私のような人々かと。だからそれも大いに歓迎。
だから、そういう人も見捨てないで欲しい。
私だけでは決して無いと思うのですが・・・
ただ、世の中そんなゲームばっかりではつまらないのも確かで、私は買えませんが、コアなゲームが出版されてガシガシ作戦研究されているっていう記事とかブログとかを見るのはワクワクします。
定年にでもなってそういうゲームをする時間を手に入れられたらやりたいな、それまでの我慢だと思っています。
ただ、そのころは肉体的な老化の方がやっぱりそれを許さない状況にあるような気がして悲しいですが。
肉体的、精神的な老化もさることながら、環境がコアなゲームを許さない状況にあって、ヌルいゲームはおおいに歓迎です。
初心者ゲームといいつつ、多分それを買うのは、初心者ではなく初心者(子供とか)に相手をして欲しい私のような人々かと。だからそれも大いに歓迎。
だから、そういう人も見捨てないで欲しい。
私だけでは決して無いと思うのですが・・・
ただ、世の中そんなゲームばっかりではつまらないのも確かで、私は買えませんが、コアなゲームが出版されてガシガシ作戦研究されているっていう記事とかブログとかを見るのはワクワクします。
定年にでもなってそういうゲームをする時間を手に入れられたらやりたいな、それまでの我慢だと思っています。
ただ、そのころは肉体的な老化の方がやっぱりそれを許さない状況にあるような気がして悲しいですが。
_ F男 ― 2009/07/21 23:47
>老化の最先端をいってる
いや、ゲームデザインに精力的に取り組んでおられる以上、まだまだお若いと思いますよ(笑)。
初心者用ゲームが悪いワケではありませんが、やはり偏るのは良くないですよね。そのバランスの最適点をどーやって求めるのかってトコロが難しいのだと思われます。「売れるから」「初心者対策になるから」といった理由でこういうモノばかり量産すると、コアゲーマーの意欲減退を招いて業界全体の活力が失われそうで。
とはいえ、この業界が「問題点を抱えている」のは今に始まったコトじゃないので、業界全体で色々とあがきつつ対処してゆくしかないと思います。
いや、ゲームデザインに精力的に取り組んでおられる以上、まだまだお若いと思いますよ(笑)。
初心者用ゲームが悪いワケではありませんが、やはり偏るのは良くないですよね。そのバランスの最適点をどーやって求めるのかってトコロが難しいのだと思われます。「売れるから」「初心者対策になるから」といった理由でこういうモノばかり量産すると、コアゲーマーの意欲減退を招いて業界全体の活力が失われそうで。
とはいえ、この業界が「問題点を抱えている」のは今に始まったコトじゃないので、業界全体で色々とあがきつつ対処してゆくしかないと思います。
_ manicure ― 2017/05/04 12:06
I enjoy reading an article that can make people think.
Also, thank you for permitting me to comment!
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