7月16日2009/07/17 03:31

 なんか、YouTubeがついに「IE6」を見捨てるらしい。IEの正式バージョンは7どころか8にまでなっているので、「いい加減にしろ」ってことなんだろう。サイト制作している技術者は「いい加減IE6はサポートしたくない」が本音と思われるので、気持ちは大いにわかる。
 
 とはいえ、世の中にはまだ「IE6じゃないと駄目」なサイトが山ほどある。ほとんどの場合「管理人の怠惰」って気もするんだけど、だからって駄目なモノは駄目、諸般の事情により見捨てるワケには…って方々も多いはず。そこでまあ、一応は私なりに「対策」紹介しようかなと。
 
 一番手っ取り早い対策は、やはり「IEのバージョンアップ」だろうね。IEって、一応は「バージョン変更による表示崩れ」に気を遣っているので。過去何度か「アップグレードします?」ってメッセージを送っているはずなので、「実はIE6は使っていない」って人も多いのでは。こーゆー人は特に問題ない。
 
 ついでに言うと、「IE6で動作確認」ってサイトであっても、かなりの確率でIE6以外でも問題なく表示される。せいぜいが「ビミョーに表示が変わった」くらいで。下手すると…どころか、かなりの確率で「実はバージョンアップしたから確認作業にIE6なんて使っていないんだけど、訂正するの忘れているだけ」ってサイトもあるはず。
 
 問題は、何らかの理由で「頑ななまでにIE6を使わざるを得ない」人。そーゆー人間がまだ山ほどいるのは確実なんだよね。こんな人へのオススメは「複数のブラウザを運用する」だな。とりあえず何かしら「新しいブラウザ」を導入し、徐々に移行作業を進めるのが良いと思われる。
 
 この手を使う場合、実はIEシリーズは使えない。当たり前と言えば当たり前なんだけど、IEを複数バージョン運用するのは難しいのだ。私は「IE Tester」という「古いIEエミュレーター」使ってまでIE6環境を維持しているけど、特別使い勝手が良いワケではないので、やはり「表示テスト用ブラウザ」と考えた方が良いだろうな。IE6をどーしても捨てられないというのなら、「YouTubeはIE以外のブラウザを使う」って手を使うしかないと思う。
 
 今回見捨てられるのはあくまで「IE6」なので、IE7以降と互換性のあるブラウザは問題なく使用できる。この代表はSleipnirとLunascapeかな。どちらも「おおむねIE7互換」だと考えて良いようだ。よって、これらを「なんちゃってIE7」として導入し、IE6を切り捨てたサイトに対応するって手はある。
 
 ただ…あくまで個人的感想だけど、特にSleipnirは「IEシリーズが色々不便だと感じている人向け」であり、結構クセが強い。使い勝手の問題でIEシリーズに見切りを付けたいって人にはいいかもしれないけど、「IE6は絶対捨てられない」って人にイチ押しできるブラウザじゃないような気がする。
 
 そこでオススメするのは、思い切って「IEとはかけ離れた」ブラウザを導入すること。IE6を残すのは「確定」なんだから、むしろIE6と似てないモノを導入した方がいいと思う。そんでもって、最初は「その必要がある」サイトにのみこのブラウザを使い、慣れてきたら「IE6じゃなきゃ駄目」ってサイト以外にも使い始め、最後(いつになるかはサイト次第だけど)は完全に乗り換えちゃえばいい。
 
 そういうブラウザを新規導入するとして、オススメは何か?う~ん…私はFirefox3.5を「愛用」しているけど、ものすごくオススメってほどでもない。とりあえず基本動作はものすごくシンプルなので、IE6に慣れている人にとっては「むしろ使いやすい」かもね。保守的な人にはオススメとしておこう。
 
 とりあえずYouTube専用に…というのなら、Google Chromeでいいのでは。テストしてないけど、どうもYouTubeにIE6でアクセスすると、このブラウザを「強力プッシュ」してくるみたいだし。私は「速いだけで特別使い勝手が良いワケでも、表示が綺麗なわけでも、信用度が高いわけでもない」と判断しているけど、特別大きな弱点がないのも事実。ブラウザ乗り換えに「心理的抵抗」が強いってだけで乗り換えを躊躇している方には、むしろ「こーゆー厚かましい宣伝」が効果的かも。
 
 複数ブラウザを運用する場合、要注意なのが「メインブラウザを何にするのか」かな。油断していると勝手に「メインブラウザ」に居座ろうとするからなあ。これはインストール作業もしくはその直後の「最初の起動」の際、どこかで「メインブラウザにする」ってチェック項目が出てくるはずなので、これをオフにしておけばいい。最初からオフになっている場合もあるけど、念のため注意しておいた方が良いかな。
 
 使い始めは何かと戸惑うと思う。私も新規ブラウザ導入するたびに「あり?」ってコトに遭遇してきたし。ただまあ、焦らずじっくりいじっていけば、そのうち何とかなるとは思う。要は慣れの問題に過ぎないんだから。ただ、明らかに「そーゆー仕様なんだから諦めろ」ってモノもあるので、やたらクセの強いシロモノ(個人的には、Sleipnir・Safari・Operaがクセの強いブラウザだと思う)よりは大人しいブラウザを選んだ方が良いかも。
 
 速度に関しては、何を導入しても「速い!」と感じると思う。IE8でさえ、IE6と比べると「体感で少し速くなった気がする」し。おそらく通信速度が遅くても色々と実感は出来ると思うので、試してみても良いのでは?
 
 ハッキリ言って、ブラウザ移行は結構面倒くさい。トラブルがせいぜい「急に落ちる」程度なので、OS移行よりはマシだけど。ただまあ、Windows7発売を控え、そろそろOS乗り換えないとマズいかも…って時代が到来しつつあることも含めて考えれば、あらかじめブラウザ移行は済ませておいた方が良いかもね。PCのトラブルは「ブッ壊れてから何もかも新しくする」より、「少しずつ移行して、ある程度トラブルを分散する」方が良いと思う。単純なダメージだけ考えたら白物家電(代表は冷蔵庫)関連の方がデカいだろうけど、PCの場合は「移行後のトラブル」ってものがあって、コレが厄介だからね。
 
 どう考えてもこの先「IE6追放運動」は続くので、対応はある程度考えておいた方が良いと思う。「IE6だと表示がオカシイ!」って事態に遭遇してから騒ぐより、その前にゆっくりじっくり移行作業を進めておいた方が色々安心だからして。
 
 ただまあ、色々試してみたあげく、なんか「複数ブラウザの運用」に慣れ親しんじゃうってのも問題かな。最近は私自身もバージョン情報がワケわかんなくなってきている(β版を愛用しているので、実は自動アップデートするとは限らないから)くらいで。今現在もLunascapeが5.1.2(正式版らしい)に、Operaが10.00のβ2にアップデート。そーいや最近Google Chromeのバージョンチェックサボってるなあ…

7月17日2009/07/17 22:02

 IEは8.0で、Firefoxは3.5.1、Safariは4.0.2、Lunascapeは5.1.2、Operaは10.00のβ2、Google Chromeは3.0.193.1(β版)、Sleipnirは2.8.5、IE Testerが0.3.3…多分これが「最新バージョン」だと思う。流石にバージョン管理が面倒になってきた…
 
 本日の話題は、先日私が「PSP携帯」を語った記事へのコメントに対する返信を。文中に「苦しい時期にも『コアな信者は何を欲しているのか』を決して忘れなかった任天堂やAppleを見習った方が良くない?」と書いたところ、sin殿から「これ、ウォーゲームメーカーにも見習ってほしいです。」というコメントが寄せられたので、私なりの「見解」を語ろうかと。普通にコメント欄で対応しなかったのは、当然「長くなりそうだから」です。
 
 sin殿がこのような感想を抱くに至ったのは、「初心者向けゲームの連発」が理由となっている。初心者勧誘の必要性はわかるけど、コアユーザーが置き去りにされていないか?それに、初心者向けゲームを連発したところで、需要を作り出すことにはならないのでは?という、鋭い問いかけだ。正直言おう。私も「最近ヌルいゲームの割合が増えたような…」って感触は持っていた。ぶっちゃけ、「ゲームメーカーさんよ、もっと頑張ってよ」と言いたいわけだ。
 
 しかし…話がこれだけで終わりなら、コメントで対応すればいいだけ。この問題、それだけに留まらない「この業界全体の大きな問題」があるような気がして仕方がない。そこで、あえて業界全体にケンカ売りかねないのを承知の上で、「なんでこうなってきているのか」を語ってみたい。私自身少し欝気味なので、あえて「すげーシニカル」な内容にする予定なので、ある程度覚悟してお読み下さい。
 
 何故初心者向けゲームが増えたように感じるのか?まず考えられるのが、デザイナーの限界。たとえばGJ。あそこの付録ゲームは「自社スタッフ製造か、投稿作品」である。これでは、広い意味でのデザイナー(デヴェロッパーなどを含む)の数・動くカネなどを考えれば、「ハードなゲーム連発」なんて期待しにくい。「シックスアングルズ」はかなり頑張っているけど、刊行は不定期、おまけに旧作リメイク中心。「デザイナーサイドの限界」を考えると、両者ともむしろ「苦しい中で頑張っている」と言わざるを得ない。この問題は、少なくとも一部はCMJやサンセットゲームズにも当てはまる。私がもっとキリキリ仕事すれば、「武田騎馬軍団」再販がちっとは早まるような気もするんだけど…
 
 もう1つ重要なのが、海外メーカーの存在。よ~く考えて欲しい。この業界の中堅以上であれば、当人もしくは周囲の人が「海外メーカーから直接ゲームを買って、和訳ルールを手配する」ってな行動が可能である。つまり、「ハードなゲーム」がどうこうって部分になると海外メーカーが「立派な商売敵」になるし、逆に言えば「そういう層の相手は海外にお任せ」することができる。しかし、初心者・初級者にこんな行動はまるで期待できない。それゆえ、国内メーカーとしては初心者を放置しにくい。
 
 余談だけど、この部分は私が「最近の週刊少年誌はつまらん」と公言している人間にまるで同情しない事情と似ている部分がある。週刊少年誌は「どちらかと言えば子供向け」である以上、人間的成長に従って物足りなく感じるモノがあっても不思議じゃない。それを嘆くヒマがあるなら、「面白いマンガ」探せばいいだけの話でしょ?そーゆーモノがないって言うなら同情する。けど、この私でさえ「目を通せない雑誌が多くて困る」と嘆いているくらいなのだ。必要なら、別のところで面白いマンガを探せばイイだけの話だ。
 
 とまあ、この辺までなら別に「業界にケンカ売っている」話じゃない。それに、こーゆー事情はsin殿もある程度わかっていると思われる。にもかかわらず…と言いたい気持ちは私にもわかる。わかるけど…もう1つ、あんまり語りたくなかった「最近初心者用ゲームが増えたように感じる事情」があるような気がするんだよね。
 
 その事情とは、ズバリ「コアユーザーの、広い意味での老化」である。確かに、「最近ルールを忘れちゃって困る」だの「老眼で細かい文字が読みにくい」などという、「肉体的老化」に悩まされている方はまだ少数派だと思われる。けど、ここで言う「老化」はそれに留まらない。「仕事が忙しくなった」「家族サービスの必要性が増えた」などという「社会的要因」も、これに含まれる。ついでに言えば、「斬新な手法のモノは覚えることが多すぎてやる気にならない」といった「精神的老化」も含めて良いと思われる。
 
 こういった「老化した」ユーザーが好むゲームとは?ややこしいルールより覚えやすい簡単なルール、短いプレイ時間、わかりやすい展開…といったところか。これのどこが「初心者向けゲーム」と違うというのだ。理屈から言えば、コアユーザーが「広い意味で老化」してゆけば、結局は「初心者向け」と思われているようなゲームが売れ筋になってくるはずだ。正直言って、特に「精神的老化」が著しい人間ほど、こういう傾向が強くなるような気がする。
 
 こういう「老化」は、ものすご~く個人差が激しい。それゆえ、「オレはまだまだ元気」だという方が「最近ヌルいぞ!」と感じるのは当然だろう。けど、周囲はどうか?ヘビーなゲームに対し、「口ではやるやる言っていながら、実行する段になると尻込みする」人間が増えたと感じないだろうか。もちろん、自分含めて。ただ、私は「色んな意味で未だケツの青いコゾー」なので、程度問題としては相当軽いけど。
 
 いや…もっと率直になろう。私も立派に「老化」している。社会的なモノは極めて軽い(それでも、色々ある)し、血糖値・血圧・肝機能はマトモなので肉体的なモノも軽め(でも徹夜は厳しくなった)だけど、精神的老化は確実に深刻化しつつある。新しいことに取り組む意欲が減退したし、ちょっと複雑なゲームは「面倒だな」と感じるようになった。今のゲーム界に対して「ヌルい初心者向けが増えてないか?」と感じることは感じるけど、いざメーカーが「歯ごたえのある」ゲームを連発してきた場合、対応できない自分を発見する可能性の方が高い。
 
 私が例に出した「任天堂やAppleのコアユーザー」と、「シミュレーションゲームのコアユーザー」の違いはここにある。任天堂を例にしよう。コアな「任天堂フリーク」なる存在は、「スーファミブーム終焉」から「Wii発売直前」まで存在し続けていた。けど、それを構成していたメンツは大きく異なっているはずだ。「その間もずっと、任天堂のゲーム好きでした」って奴もいることはいるけど、少なからぬ数の人間が「ゲームは卒業」し、同じく少なからぬ数の人間が「任天堂ゲームに魅せられて加入した」結果としてこういう層が形成され続けたのは間違いない。「誰と誰が」が変化し続けた結果として、「どんな人間が」って部分が変化しにくかったのだと言ってもいい。
 
 これに対し、ウォーゲーマーは「誰と誰が」って部分の変化に乏しい。新規参入者が皆無に近く、「1年ごとに平均年齢が1上昇する」って集団だからなあ。こういう世界では、「脂の乗った」ユーザーが減少してゆくのを食い止められない。他の世界であれば、「老化した」人間がセミリタイアしてゆく中、「3年前は新参者でした」って連中が成長してその穴を埋める。けど、この業界はそうなってない。
 
 何でこうなっちゃったのか?まあ、一番の理由は「初心者が参入しなかった」だろうけど、もう1つ「初心者のステップアップ」もサボっていたからとなるかもね。初心者用のゲームうんぬんって話は結構聞くけど、「そうやって取り込んだ初心者を、いかにステップアップさせるか」って部分に関する話はほとんど聞いたことがないからねえ。あえて言うなら、今現在声高に「初心者対策」を主張する人間(実は私も含む)の全てに、この視点が欠けてる…とまで言わないけど、弱い気がするね。
 
 人間、どうしたって自分中心に物事を考える。その上「昨日と今日の違い」には鈍感なのが当然だから、こういう「変化」を察するのは難しい。私も、今までぼんやりと感じてはいたけど、「何でヌルいゲームが増えたのか」を真剣に考えてこなかった。sin殿の指摘をキッカケに色々考えてゆくうちに、「少なくとも理論上はこうなるんじゃなかろーか」と思い至った次第である。
 
 これはどう考えても「悪い流れ」である。ではどうすれば良いのか?これは今のところ答えようがない。確かに「今まで色々サボってきたツケ」と誰か(自分自身含む)を非難したり、「時の流れには逆らえない、祇園精舎の鐘の声、諸行無常の響きあり」と無常観に浸って諦めたり…といった、「対策になってないコト」はわかる。でも、「今何が出来るのか、何をすべきなのか」は、私個人でどうこうって領域じゃないでしょ。今現在この業界を形成している皆で考え、皆で答えを出すべきだ。
 
 そういう問題である以上、国内のゲームメーカーが「この問題にどう取り組み、どんな答えを出してゆくのか」は重要なはずだ。そういう意味では、ここでぐるっと話が回って「ゲームメーカーさんよ、もっと頑張ってくれなきゃ困るんですけど」となるわけだ。思いっきり他人事じゃないんだけどね。私はどう考えても「平均的ゲーマーよりは、多少メーカー寄りの立場」の人間のはずだからして。いや、だから「武田騎馬軍団」再版関連作業については、やる気は色々あるんですけど、こちらにも都合ってものがありまして…