8月27日 ― 2008/08/27 23:46
本日は、少し軽めの話題といこう。またもコマンド誌掲載事項に対するツッコミで。どちらかと言えば笑い話なんだけどね。
今号から始まった、ASL(Advanced Squad Leaderってゲーム)のプレイ記事。私はこのゲームには詳しくないけど、読み応えはあってよろしいんじゃないか…と思っていたら、実に細かいところで「鼻から牛乳」状態に陥り、吹き出した。
吹き出してしまったのは、囲み記事にある「パーセンテージ把握のすすめ」ってところである。「ASLに限った話ではないが、10面体でなく6面体のダイスを2個使用するゲームでは、確率を36分の何々でなく、百分率で把握した方がよい。」などと書いてある。正直、一瞬何が言いたいのかさっぱりわからなかった。「何でそんな面倒なことを」と本気で思った。
確率論の初歩の話をすると、6面体ダイスを2個振った場合の確率分布は36分の何々になる。「6面体ダイスを2回振った合計を求める」場合と同じだと考えてもらえばいい。1回目に振った時の出目のパターンが6個、2回目も6個あり、この組み合わせなので6×6=36パターンの出目がある。この全パターンを、合計が同じモノは1つにまとめて整理すると、2=1パターン(いわゆるピンゾロのみ)3=2パターン…って形になる。
36分の何々というのは「百で割り切れない」ので、端数が出る。よって、百分率では厳密な数字は得られない。とはいえ、これが「百分率把握」を否定する理由ではない。端数処理なんて、「実戦」じゃどーでもいいことだから。ただまあ、強いて言うなら「数字がでっかくなる」ので、記憶しにくいかも。「5以下が出る確率」を27.7%と把握するのと、10/36と記憶するのではドッチが楽かって問題だね。ちなみに36分の…で記憶する場合、分母は忘れて分子だけ記憶していれば足りる場合が多いので、余計覚える数字が減る。
実はこの問題、「どっちだってかまやしない」のである。要は「どれぐらいの確率になるのか」を冷静に比較できればいいので、それを分数で把握していようが、百分率を使おうが、本質的な違いはない。端数が重要な局面でもない限り、自分にとって慣れてる方を使えばいいだけの話である。
そう、要は慣れの問題である。私が「何でそんな面倒なことを」と感じた理由はここにある。私は2D6(6面ダイスを2個振ること)の結果について、「かなり正確な」直感的判断が可能である。この記事に出てくる「もちろん7以下の方が命中率は高いが、5以下もさして変わらないだろう」なんて判断は、まず下さない。これは自信を持って言える。
なんでそんな自信があるのかって?そりゃーアナタ、2D6使うゲームにものすごーく慣れているからだよ。その名も「超人ロック」(笑)。このゲームも基本2D6を使用するからね。確率分布は有利不利を判断する根拠だから、「よくわからない」じゃ済まされない。それこそ、脊髄反射レベルで把握出来なきゃ。
そりゃあね、私も「5以下と7以下って、どれぐらい違うのか」をとっさに聞かれても困る。けど、「ライオットとロードレオンがジオイド弾を出す確率の違い」と置き換えれば、「そりゃ結構違うでしょ」って答えが自然と出てくる…って、ゲーム知らないと意味不明な話ですいませんね。私はその昔サルのようにこのゲームをプレイし、今も年に1回集まってこのゲームをプレイしている。この手の判断がおかしくなるなんて、まずあり得ない。もはや血肉のレベルだ。
だから、私にとっては2D6の確率を「パーセンテージ把握」する必要なんて無い。直感と分数把握(さすがに計算することはある)を組み合わせれば有為な結果が導き出せるので。出したい目がアチコチ飛んでいる「Operation Typhoon」の戦闘結果表なんかになると「えーと…」って考えちゃうけど、より単純に「何以下」ってだけなら、アタマでなくカラダが覚えている。つーか、「超人ロック」を死ぬほどプレイすれば、誰だってその領域にまで勝手に達する。ASLだって、やっぱり「死ぬほど」プレイすればそうなるんじゃないかねえ。
なのに、この記事の筆者は何故パーセンテージ把握なんぞ勧めるんだ?まあ理由はいくつか考えられる。たとえば「説明の都合」とか。フツーはゲーマーであっても「2D6の確率分布を、カラダで会得している」なんてことはない。そういう人間相手に説明しようと思ったら、「チャンとパーセンテージで把握しろよな」と言った方が早いと判断したのかも知れない。
もっとも、一番ありがちなのは「最初にコレで覚えたので、それが習慣と化したから」ではないかと。私が直感的に「百分率なんて、面倒なだけ」と感じたのは、そういう習慣だからである。これは強固に染みついていて、今更変えようがない。その必要もないし。同じコトは、「最初にパーセンテージで把握し、それが強固に染みつき、変えようが無くなり、その必要性を感じない」人にも言えるはず。だからこそ、あんな強い調子でパーセンテージ把握をすすめているのでは。
ちなみにだ。この推測には根拠が一応ある。「確率早見表をコピーして、手元に置いておくとよいだろう。」って記述だ。自分が似たようなことやって数字を「覚えた」ので、他人にも勧めているんじゃないかなあ。私のように「考えるな、感じるんだ」って会得方法とどちらがいいのかは…まあ、百分率を使用するかどうかはともかく、数字で覚えた方が早いとは思う(苦笑)。
私はASLは詳しくない(全くわからないに近い)ので、この記事全体の評価はよくわからない。少なくともここで述べる話じゃないでしょ。ただ、話が「6面ダイス2個振った場合の結果」についてなら、私も相当なベテランである。他人にとってオススメできるかどうかはともかく、私なりの「確率把握のノウハウ」があり、それを変える気はない。だから、私はこのくだりに関してだけは、この記事を鼻先で笑い飛ばす権利があると思うな。私には心底必要がないから。「どちらが正しいか」って問題ではない。誰が何と言おうと、私にとって正しいのは私なのだ。大切なのはコレだからね。
まあ強いて心配するなら、ASLってのはベテランがゴロゴロしている。つーことは、この記事に「ついて行ける」人間のうちかなりの割合が、「2D6振った回数なら負けないぜ」ってな人間じゃないかと。そんな人間にしてみれば、2D6の結果をパーセンテージで把握すべき…なんて見解はハナで笑うモノじゃないかな。「常識だそんなもの」となるか、私同様「そのやり方をする必然性はドコに?」となるかはともかく。中~上級者向けとなっているだけに、余計心配しちゃいますね。なにせ、ASL関連は「お説ごもっとも」以外何も言いようがないはずの私でさえ、何か書きたくなったぐらいだから。
最後に、私のように2D6の確率を「感じる」ようになるためには、どれぐらいダイスを振ればいいのか紹介しよう。ずばり、「超人ロック」百回プレイ。このゲームを知ってから3ヶ月弱で達成したのかな(笑)。学生時代にあった膨大なヒマのうち、相当な割合をこれに突っ込んだからねえ。そうやって「ESPエネルギーの奔流が渦巻く戦場」で覚えたものにケチつけられたんだもの、反発してもいいよね(苦笑)。
コメント
_ 鈴木 ― 2008/08/28 04:53
_ 中黒 ― 2008/08/28 08:41
確率計算と把握という点で言えば、鈴木さんが書かれているように、パーセンテージにしたほうが直感的に把握しやすいと思います。もちろん「直感的」なことですから、2D6に慣れ親しんでいれば、パーセンテージに直す必要がないかもしれません。
ただ、1D6のCRTであっても、「こことここの戦闘で勝利してここを包囲攻撃する」といったケースでは、「5/6×5/6×3/6」で計算するよりは、「約80%×約80%×50%」、全部の戦闘で勝利する確率は30%弱だなあ、としたほうがわかりやすいかと思います(個人的には)。
この辺りは各人が思考しやすい方法をとればいいことではありますが、数字の捉え方を変えることで新しい視野が開けるという提言として受け止めるべきでしょう。
> 「ESPエネルギーの奔流が渦巻く戦場」で覚えたものにケチつけられた
そういうわけで、数字の捉え方はあくまで提言。『超人ロック』の熱いプレイヤーにケチをつけるとしたら、「お前ら全員確率無視しすぎ!」ということになるでしょうか。
(印象論ですみません。が、どうも1/36の確率でしか起きないことが頻繁に起きているような気がするんですよね。)
ただ、1D6のCRTであっても、「こことここの戦闘で勝利してここを包囲攻撃する」といったケースでは、「5/6×5/6×3/6」で計算するよりは、「約80%×約80%×50%」、全部の戦闘で勝利する確率は30%弱だなあ、としたほうがわかりやすいかと思います(個人的には)。
この辺りは各人が思考しやすい方法をとればいいことではありますが、数字の捉え方を変えることで新しい視野が開けるという提言として受け止めるべきでしょう。
> 「ESPエネルギーの奔流が渦巻く戦場」で覚えたものにケチつけられた
そういうわけで、数字の捉え方はあくまで提言。『超人ロック』の熱いプレイヤーにケチをつけるとしたら、「お前ら全員確率無視しすぎ!」ということになるでしょうか。
(印象論ですみません。が、どうも1/36の確率でしか起きないことが頻繁に起きているような気がするんですよね。)
_ 通りすがり ― 2008/08/28 20:54
たまたま通りかかったのですが意見を申し上げます。
私は「2D6振った回数なら負けないぜ」という人種に属すると思います。ですから2D6の結果を体感的に掴む事ができますが、それでも確率はパーセンテージで把握しています。鈴木さんも指摘されているようにゲーマーの多くが二重三重チェックの場合の確率を体感的に会得することができると思っていますか? F男さんには可能かもしれませんが、私にはできません。
商業誌の紙面に記事を載せようと思うのでしたら、その程度の感性は養ってもらいたいと思います。
私は「2D6振った回数なら負けないぜ」という人種に属すると思います。ですから2D6の結果を体感的に掴む事ができますが、それでも確率はパーセンテージで把握しています。鈴木さんも指摘されているようにゲーマーの多くが二重三重チェックの場合の確率を体感的に会得することができると思っていますか? F男さんには可能かもしれませんが、私にはできません。
商業誌の紙面に記事を載せようと思うのでしたら、その程度の感性は養ってもらいたいと思います。
_ F男 ― 2008/08/29 00:26
皆さんのおっしゃることはよくわかります。ただ、「私にとっての常識」は百分率ではないのです。大切なのは「私にとって」って部分です。
常識だと信じて疑うことがなかったものに対し、別の提言をされたら、やはり私も戸惑います。私の趣旨はその戸惑いの表現にあったのですが、それにしてはやや言葉が強くなってしまいましたか。その点は謝罪した方が良いと思いますので、謝罪します。
常識だと信じて疑うことがなかったものに対し、別の提言をされたら、やはり私も戸惑います。私の趣旨はその戸惑いの表現にあったのですが、それにしてはやや言葉が強くなってしまいましたか。その点は謝罪した方が良いと思いますので、謝罪します。
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例えば、バズーカをドイツ軍の中戦車に発射した場合、それがまず命中する確率と、命中したらしたでそれが装甲を貫通する確率を、頭の中で大雑把でよいので瞬時に把握しなくてはなりません。
分数計算だと、ちょっとややこしくなってついつい「えいやっ振っちゃえ」となります。%だと少し楽になります。「約70%×約60%だから約40%かぁ。射撃は見送ろうかな…」というふうに。「ASLerにその辺の事情はわかるだろう」ということでそこまで突っ込んで言及はしませんでしたが。
もちろん、手練(てだれ)のF男様は、それでも分数でやりぬくかもしれませんが、それはそれで構わないと思います。
物書きとして私は、100%すべての読者を満足/納得させる記事しか書かないという方針は採っていないので(というか不可能)、いろいろな見解があって構わないと思います。
特に「ベテランがごろごろしているようなジャンル」ですと、必ず「書いていることには俺は肯定できない」「間違っているんじゃないか」という人は出てきます。だからこの連載を引き受けることは相当な覚悟は要りましたし、いい記事に仕上げるよう努力はしていますが、それでもネガティブな意見は誰それとなく出てくるでしょう。それは物書きが当然背負うべき十字架で、「完全にスルー」されるよりかはましかなと考えています。
(ちなにに自分は対戦時にノートパソコンを持ち込んで、電卓機能とエクセルを開いてプレイしています。勝率は微増しますが、まあ、これはやりすぎですね)