7月29日 ― 2008/07/30 00:57
科学ネタ第二弾。ネタは「宇宙人問題」。私も「鼻から牛乳」状態に陥ったからなあ…まあ、とりあえずは「ここの科学ネタ」らしくお届けできればと。
「米政府は宇宙人に関する情報を隠している!」という主張自体は、珍しいモノではない。またか、はいはい…で片付ければいい話だ。問題は、発言主がアポロ14号の宇宙飛行士だってコト。こういう立場の人間がこんなコト言った以上、ココで検証する価値があると判断した。
この発言の信憑性をどう考えるべきなのか…うーん、正直難しい。だって、アポロ宇宙船の宇宙飛行士だよ?「ライト・スタッフ」の頂点とも言うべき存在だよ?しかも、ご丁寧に米国の宇宙飛行士。米国の宇宙飛行士はソビエト・ロシアの宇宙飛行士と比べ、「宇宙飛行士の資質をより重視する」傾向がある。そんな人物の発言だ。悪質なデマや冗談を語るような人物ではないと思う。
ただ、だからってあの発言を信じるワケにはいかない。未確認飛行物体が存在していること、「宇宙人」が存在していることと、「宇宙人がUFOで地球に来ていて、米国政府がソレを隠蔽している」ことを信じるのは、全然話が違うのだ。たとえ誰がそう主張しても、私は信じない。色んな意味で「ありそうもない」ことだから。
何故「ありそうもない」ことなのかは、色んなところで色んな説明がされている。よって、ここでは「私なりにひねった」理由を紹介しておこう。米国政府と言えども、宇宙人の存在を隠蔽できるとは思えないからだ。「真面目な意図で」宇宙を覗いている連中を誤魔化せるとは、とても思えないんですけど。それに、英国政府に隠しておけるとでも?英国政府は絶対大真面目に発表する。政府関係者の公金横領や王室のスキャンダルは隠蔽しても、宇宙人の存在は隠蔽しない。それが大英帝国気質ってモノである(笑)。
私が「鼻から牛乳」状態に陥ったのは、アポロ宇宙飛行士という存在が「こんな馬鹿げた話を信じているらしい」という事実に対してである。うーむ…宇宙に行った人間は、その影響でエキセントリックな人間になることがある…って話は聞いていたけど、その一環なんだろうか?
まあ、ありがちな話としては「何らかの詐欺に遭って騙されている」ってことじゃないかな。詐欺話に「まさか」って人がコロッと引っかかっている…って話は有名だからね。米国政府で当時それなりの地位にあった「米国政府が宇宙人情報を隠蔽していると信じている」奴が、NASAからそれに関する情報を引き出そうとして「もっともらしい話を語ってみた」のではないかと。
しかしまあ、「米国政府が宇宙人に関する情報を隠蔽している」って妄想は、かなり根強いんだなと改めて確認させられた。私のような人間にとっては、この妄想が何故こうも根強いのか、ソッチの方が気になる。そこでまあ、これについて少し語ってみたい。
世の中には、「宇宙人は実在して、私を襲った」という確信を持っている人間が実在している。この妄想に取り組んだ本を以前紹介したはずだ。この妄想を持った奴は世界中にいるはずだけど、中心となると米国になるようだ。よって、この妄想に取り憑かれた人間が「宇宙人はいる。だって私を襲ったから。なのに、政府は何で宇宙人について何も語らない?」という疑問を持ち、結論として「政府が隠蔽しているのだ」という結論に達するのはわかる。こういう連中にとっては、「宇宙人が地球に来ているわけが無い」という意見は受け入れ不能なのだ。であれば、他にどんな結論を出せと?
しかし、これだけじゃあ説明が付かないのも事実。「宇宙人に襲われた」って妄想は、さすがにソコまでありふれたモノではないようだから。日本の事情を考えてみると良い。私の仮説に従えば、米国では「宇宙人に襲われた」という妄想のキッカケとなる現象は、日本だと「幽霊・妖怪との遭遇」という妄想として扱われるのでは…となる。全部が全部妄想なのかについては、あえて判断しないけど。実際、「幽霊を見た」「霊感がある」と主張する人間ってのは、それなりにいたりする。にもかかわらず、「日本政府は幽霊の存在を隠蔽している!」って主張する奴の話は聞かない。
いわゆる「TVなどのマスコミの影響」は当然あると思われる。ただ、これもまた説明不足だ。作り話として「米国政府が宇宙人の存在を…」なんて話がある、それはいい。創り手が「面白い話を創る」ため、色々アイデア絞ったってだけの話だ。問題は、それが「ある程度以上ウケ、主要テーマになりうるほどの説得力を持っている」ところにある。「日本政府が悪い妖怪と手を結んでいる」って話は、作品の主要テーマにはなっていない(水木しげるの作品にそんな話はあったと思ったけど)のだ。おそらく説得力がない。「幽霊・妖怪ってのは、そういうモノじゃない」って意識が我々にあるからだろう。なのに、宇宙人はそうじゃない。コレは何故?
私なりの仮説を述べれば、1つには「米国人の、お上に対する根強い不信」が影響しているのでは…となる。米国で銃規制がちっとも進まない理由の1つがコレだと思われる。この不信は、我々日本人が「政治家なんて…」と文句を言う場合とは別物だろう。日本人の政治家に対する愚痴というのは、「こちらはお上に従うしかないんだから、もっと俺達のこと考えてくれ」といったニュアンスが強い。おそらくは欧州でもこういうニュアンスが強いのでは。しかし、米国は違う。「政府とは、得体の知れぬ敵みたいなモノ」ってニュアンスがあるんじゃないかなあ。
この不信感は、いわゆる「国に対する不信感」ではない。米国人の「愛国心信仰」は強い。ただ、米国人の愛国心ってのは、「自分が属しているコミュニティ」に対する愛であって、政府は「共に米国を支えている存在…のはずなんだけど、生意気なことばかり言っている連中」って意識があるんじゃないかなあ。そう考えなければ、「強盗が武装して襲ってくるかも知れないのに、銃を捨てられるか!」って発想にはならないのでは。日本人にこう言ったら、間違いなく「それを取り締まるのが警察(お上である)の仕事でしょ」となるわけで。
この手の「政府に対する不信感」ってのは、欧州や日本にもある。「陰謀史観」ってのは、これが根源にあるのは間違いないからね。それが極端に歪んだのが「米国政府は宇宙人情報を隠している!」って話になるのでは。その証拠?ってわけではないけど、そんなアホなことしてると非難されてる政府ってのは、米国しかない。英国政府がこっそり隠しているとか、仏国では…とか、悪の共催主義国が…って話は聞いたことがない。これは米国人特有の妄想が、ハリウッドの影響力の関係で全世界にばらまかれているから…って推測は可能ではないかと。
「宇宙人が地球に来てる?なんて馬鹿馬鹿しい」と思うのは簡単である。ただ、「何故コイツはそんなヨタ話を信じているのか?」を分析するのは、大切とは言わないけれど面白かったりする。まあ、細かい学術的な分析は他人に任せるとして、私としては「そーゆーものなんだよ」ってコトを紹介すればいいかなと。
しかし…よりによってアポロの宇宙飛行士がねえ…こんなコト言い出すような人間を月に送るなんて、NASAの考える「宇宙飛行士の資格」はどーなっているんだか。やはり、これは何かの陰謀じゃないのか?いや、きっとそうだ。これは「国民の目を宇宙人騒動にそらして、その隙にサブプライム問題を責任うやむやのまま解決しちまおう」という高度な情報戦略に…(以下略)。
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