12月18日2007/12/19 02:11

 野球はとっくの昔に、サッカーもやっとこさ「ストーブリーグ」に突入(したってことにしておいてくれ…)。つーわけで、温存企画の1つ「浦和と巨人の比較」をお届けしようかと。この2つを「似たり寄ったり」と言う奴は少なくないと思うので。ま、私の周囲には…(以下略)
 
 この両球団、とにかく「金持ちである」ってことは共通している。あくまで同じリーグ所属の他球団と比べての話だけど。そのため、補強にやたらカネを遣う。いわゆる「生え抜き至上主義」に立てば、両球団ともカチンと来る存在だろう。
 
 私?浦和は寵愛の対象。巨人は好きでも嫌いでもない。スワローズと同じリーグに所属している敵である以上、そりゃあ好きにはなれない。ただ、ドラゴンズだのタイガースなどと比べて特にムカつくわけでは…強いて言うなら、「尾花コーチは反則だ。中継ぎとして投げさせるから返せ」かな(笑)。
 
 そんな私の言うことだけに、話半分で聞いてもらいたいのだけど、正直巨人と浦和を比較するのは間違いだ。まず、移籍に関するルールが違う。野球は球団側にかなり強力な保有権があるけど、サッカーは…実質的に複数年契約ぐらいしか選手を縛る手段がないからなあ。それに、サッカーには「悪夢の二部落ち」がある。下に落ちると経営的に苦しくなるのが普通であり、高額な選手を多数雇うのが難しくなる。いくら忠誠心があっても、「正当なる評価」すら難しい球団でプレイするのは辛いでしょ。それを考えれば、移籍市場で上手く立ち回るのは「強豪球団の義務」とさえ言える。浦和の補強はすさまじいけど、野球の移籍ルールで「あそこまで」やる巨人と比較して良いのかどうかは、ちと難しい問題だ。
 
 ついでに言えば、浦和の補強っぷりは単に「報道量が多いだけ」って説はある。今年は名古屋だの大宮だのも相当補強したハズなんだけどなあ。ただ、結果が伴ってない気がするけど。特に大宮には言いたいことがあるぞ(苦笑)。それはさておき、移籍のルールが全然違うサッカーと野球の単純比較は意味が薄いってコトは主張しておこうと思う。
 
 それを承知で言わせてもらえばだ。実は浦和はケチだと言っていいかもしれない。プロ野球の場合、親会社からの補填金を「収入」扱いすれば、実は体力差はたかが知れている。そりゃあ巨人とどこぞのビンボー球団との差は大きいけど、浦和とJ1の他のチームほどの差があるとは…野球の財務体質は闇に隠されているので何とも言い難いけど、巨人と12球団サイテーのチーム(あえてドコとは言わない)の差は、浦和と鹿島や磐田や横浜といった「浦和に続くチーム」との差より小さいような。それでいてあの程度の補強なのだ。逆に言えば、巨人は他球団と「その程度の差」しかないのに、あんなに補強している。来年J2から昇格予定の某チームの天下が続いていたら、どうなったんでしょうね(笑)。
 
 とまあ、ありきたりな「浦和擁護」を展開したわけだけど、実はコレは本題ではない。浦和を非難する奴は、これらを承知の上で非難しているんだろうし。私が真に言いたいコトもここにはない。それをズバリ言えばこうなる。「浦和は、ひょっとしたら巨人のようにならなくてはイケナイのかもしれない」だ。
 
 日本国内にだけ目を向ければ、巨人も浦和も金持ちで…って話になる。しかし、野球でさえメジャー移籍を視野に入れなければ話が進まない時代。ましてやサッカーに至っては。どちらも「世界の中の位置づけ」ってものを考える必要がある。好む好まざるに関わらず。
 
 世界の中の位置づけを考えた場合、正直浦和は巨人の足元に及ばない。だってそうでしょが。浦和はしょせん「Jリーグトップチームの1つ」に過ぎない。どう考えてもサッカー後進地域アジアの、特別強くもないリーグで最強を争っている…ってなレベルだ。そりゃあ今年浦和はACL優勝、川崎も決勝トーナメントまで進んだ。けど、それまでは決勝トーナメントにロクにたどり着けなかったリーグである。将来はどうだか知らないけど、現時点では特別スゴいとは言えないでしょ。しかも、アジアレベルで。
 
 それに比べて、日本の野球はどうか。上にメジャーがいるのは間違いないけど、おそらくその次に入ってくる。キューバを含む中南米や韓国・台湾を侮るワケではないけどね。時差だの移動の手間だの細かなルール・用具の違いだのを考慮しなければ、メジャー相手に「全く歯が立たない」ってことはないと思われる。
 
 そう考えると、世界レベルで見たら浦和は巨人に遠く及ばない。サッカーで「巨人レベル」の球団はどこかと考えたら…ボカやフルミネンセといった南米の強豪クラスよりはちと弱い、て程度になるのでは。世界的に見たら野球なんてドマイナーなスポーツだ、ってことを勘定に入れてすら、これはスゴいことじゃないかなあ。
 
 とりあえず、浦和の理想は「欧州の強豪と並び称されるようなチーム」である。あくまで理想だけど。今の浦和はその理想からほど遠い存在に過ぎないので、どんどんレベルを上げなければならない。それはいい。問題はその「過程」にある。一足飛びに欧州と肩を並べるような球団になるなんて不可能である以上、何かしら過程を踏んで強くなるわけだ。その時、浦和はどんな道を歩むのか、どんな道を目指すべきなのか…そこが「問題」なのだ。
 
 サッカーの場合、欧州の強豪に続くのは「南米の強豪」だ。しかし、南米の強豪の実態と言えば、「欧州強豪への選手供給源」。母国の経済力が段違いなので仕方ないって話はあるけどね。諸般の事情からクラブW杯みたいな舞台では欧州の強豪にヒケを取らないのは事実だけど、総合的に「欧州の強豪に追いつき、追い越す」のはかなーり難しいのでは。そもそも、連中は最初からそんなこと考えてなさそうだし。
 
 それに対し、巨人は一応「メジャーに本気で対抗する」意欲を持っている。それでもゴジラ松井をヤンキースに持って行かれ、福留獲得に失敗する程度ではあるけど。ただ上原や李承燁(どちらもメジャー熱高めと言われている)を日本球界に留めるコトには成功しているわけだ。それが正しいかどうか、成功してるかどうかはともかく、とりあえず「メジャーへの供給源扱いされてたまるか」って意欲だけはある。
 
 現状浦和は「しょせんJ強豪レベル」であり、欧州強豪への供給源にすらなってない。「全力で引き留める」どころか、「どうぞ持って行ってください」とアピールしても見向きもされない程度。まあ、小野はよくやった方だと思うけど…日本サッカーの実力なんて、現時点ではその程度だ。
 
 ただ、時代ってのは色々変わる。この先日本サッカーが強くならないなんて、断言するのは危険でしょ。何と言っても我々は競馬という例を見ている。今から10年ちょっと前、日本競馬のレベルなんてそれこそ「(今の)Jリーグレベル」だと誰もが思っていた。それが今では…少なくとも私は、凱旋門賞だろーがキングジョージだろーが、日本馬が負ければ本気で「悔しい」と言える。まだまだ差は大きいけど、それでも「世界相手に本気のケンカ挑める」レベルにはあると思うな。
 
 そこのところを考えると、この先仮に浦和がドンドン強くなっていった場合、欧州の強豪と「どんな付き合い方をするのか」は興味深い。育てたのかカネでかき集めたかはともかく、配下の良い選手を片っ端から欧州にかっさらわれるようになるのか、「身の程知らず」と呼ばれようとも金積んで抱え込むのか…現時点では心配するレベルじゃないけど、こういうコトは強くなってから考えたんじゃ間に合わない気がするのも事実。
 
 現状浦和はJ屈指の…どころか飛び抜けた金持ち球団であり、好むと好まざるとに関わらず、ある種の義務を背負っている。それはある意味巨人が背負い続けてきたモノでもあるんだな。だとしたら、「巨人という球団の姿勢」に学ぶべきコトは少なくないはず。反面教師として…って部分が多いような気もするんだけど(笑)。ただ、世界を相手に戦うってのはすごーく大変なのは間違いない。日本サッカー界が日本野球界並みに「世界相手に戦える」ようになった時、浦和はどうするべきなのか?巨人のようになるのが正しいとまでは言わないけど、あの姿勢に学ぶべきモノは多いと思う。
 
 もっともだ。うまくやれば毎年1回必ず「本気の欧州強豪」と戦う舞台があるサッカーと、「どーやったら本気のメジャーと戦えるのか」さっぱりわからん野球を一緒にするのは問題かもしれないけどね。案外「流出阻止だ!」と突っぱねるより、バカスカ引き抜かせた方がかえって強くなれるかもしれないし。「巨人に学べ」とは思うけど、「巨人のようになれ」までは言ってない(ならなきゃイケナイかもしれないのは事実なんだけど)のだから。サッカー界としては、とりあえず野球界のお手並み拝見ってところでは?しっかしこの「先輩」、ホントどーするつもりなんだろね。「福留の代わりはラミレスでいいや」は何かが違うだろ(涙)。アレはスワローズが悪いような気もするんだけどさぁ…

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