6月9日 ― 2007/06/10 03:16
色々疲れているらしい。ウイークデーはとにかく更新できなかった。まあ、良くある話ではあるんだけど。今月も色々と大変なんだよな。
まずは重要な訂正から。英国ダービー馬の名前を、何故かケンタッキーダービー馬と間違えた(笑)。これは多分某スポーツ新聞の陰謀(間違いの引用)なんだけど、証拠品を捨ててしまった。よって、「疑わしきは罰せず」という刑法の原則に従って、無罪とする。ただ…ま、このネタについてはここまでとしておきましょ。
本日のお題は、ちょっと堅い話題。知的財産とやらについて語ってみよう。とりあえず素晴らしいネタを見つけたので。こーゆーものは積極的に紹介しないといけませんね。それがこのサイトの存在意義ってモノよ。
「『知的財産推進計画2006』の見直しに関する意見募集」(リンクで飛べます)と称するモノの中にある「団体からの意見」。相当な分量なので、全部読めとは言わない。11~13頁にアップルジャパンの見解とやらが掲載されている。これがまあ、素晴らしく面白い。読みながらげらげら笑い出しそうになったぐらいだ。
内容は一言で要約可能。「Fu○k You!」である。ここまで激烈な政府批判は久々に読んだ気がするね。特にスゴいのは、文化庁著作権課の課長及び前課長を名指しで批判してるところかな。委員会とやらで発言した「御用学者」を批判する時でさえ「名指し」は珍しいってのに、それに飽きたらず、お役人まで名指しとは。この辺は外国企業らしいですな。
結論もスゴイ。「(文化庁の著作権事務局は)もはや公平公正な著作権行政を運営する適切な省庁とは言い難く、速やかに著作権行政を他の省庁に移管することを強く望む。」ときたもんだ。移管しろって、どこに?事実上の文化庁解散要求ですな。私もあの役所はクソだと思うけど、世界的な有名企業がこんな大人気ない発言するとは。いいぞ、もっと言え(笑)。
何でアップルはこんなに怒っているのか?簡単に言えば、iPodに課金されそうだから。文化庁及びその手先(とアップルが言っている)であるJASRACが、「とにかく私的複製はやめさせるべき」と考え、その方向で法制度を動かそうとしているのが気にくわないのだ。まあ、そりゃそーだわな。
ちなみに、消費者としては笑い事では済まない。iPodだけが標的と思ったら大間違い、「用途にかかわらず、私的複製に使用される可能性があるモノ全て」を課金対象にしようって意見まであるのだから。実際、独ではそんな方向に話が進んじゃったらしい。普通のPCはおろか、コピー機(わかる気もするけど…)やFax(何故に?)さえも課金対象だとか。おい、ちょっと待て。
確かに、デジタル時代に著作権をどう守るか、どうやってカネを集めるか…ってのは、アタマの痛い問題である。アナログ時代と異なり、複製しても品質は変わらないのだから。野放しにしておけばオリジナルに敬意が払われなくなり、「値段が高い」と見向きもしなくなる。それでは制作者・出版社などが困るのは間違いない。
ただ、だからって「私的複製」を悪と考えるのはどうかと思う。今まで普通に認められていたコトに対し、「やめるかカネよこせ」で話が通るとでも?はっきり言おう。こんなことを強行すれば、「カネ払うのイヤだからやめよう」となり、市場が小さくなる可能性が高い。
私に言わせると、そもそも「私的複製により権利侵害を被っている」って考え方自体がクソである。私的複製は、著作物を購入する際の対価として含まれてしかるべきものだと思うんだけど。そういう「消費者の権利」を単に取り上げて、それで問題が片付くと思ったら大間違いではないのか。
そりゃあね、今現在「私的複製」の一部と見なされている行為の一部に「それはいかがなものかと」ってものが含まれているのは事実だ。それを考えれば、私的複製の範囲を見直す必要があるかもしれない。ただ、それと「私的複製そのものへの課金」は別でしょ!これは事実上の「単なる値上げ」である。普通の値上げじゃ消費者に理解されないからって、形を変えただけだ。
ここで論議されてる著作権問題ってのは、要は「いかに金を取るか」ってことに尽きる。それだけに、「どういうビジネスモデルを作ってゆくべきなのか」ってコトを真剣に考えなくてはいけない。iPodが大ウケしてるアップルは、世界規模で「成功したビジネスモデルを構築した」企業であると認められている。それだけに、「これからの知的財産のあり方」なるものを考えた場合、敵に回す意味は薄い。言いなりになる必要はないけれど、激怒させる必要はないはずだ。文化庁に限らず、いわゆる「お役人」にビジネスモデルうんぬんなんて語る資格があるわけない。どう考えても参考にするべきなんだけどね。
今現在、日本は安倍首相の号令の元「知的財産のあり方」を見直そうとしている。「これからは知的財産だ!」ってわけだね。確かに、目の付け所は間違ってない。でも、その結果として出てくるのが「私的複製への課金」ってのはどーゆーこと?明らかに知的財産の活用方法を間違ってると思うな。そうやって「値上げ」したら、一部の売れ筋と限界の低い無料のモノだけが生き残る…ってことになりかねない。まさに「角を矯めて牛を殺す」である。
知的財産の取り扱いについては、世界中で「どうしたら良いのか」を模索中である。野放し同然の中国は論外だとしても、米国や欧州の制度も「ちょっとなあ…」ってトコロを山ほど含んでいる。それだけに、ここで日本が「知的財産管理はかくあるべし」という法制度を作り上げようとする意義は大きい。にもかかわらず、「私的複製に課金」ときたもんだ…上に言いなりと言われる日本の消費者はともかく、それが世界に通用する理屈だとでも?大事なのは国内で通用するかどうかってのは認めるけど、どう考えてもスケールが小さい。ケツの穴も小さい。
私に言わせれば、「私的複製への課金」って制度は「作り手」にとっても損である。同じ売り上げで大きなカネを手にできるのは確かだけど、その先にあるのはどーせ深刻な売り上げ減少と、制御不能な値下げだ。喜ぶのは売り上げ減少に対しては何ら責任を負わない、JASRACとその親玉の文化庁だけじゃない?それでいいのか。目先のことだけ考えていると、将来間違いなく苦しむと思うんだけどなあ。
この問題は、アップルが吼えるより前に、本来ならば消費者が吼えるべき問題である。いや、吼えるのならいい。おそらくは何も文句を言わず、単に買い控える。おそらく文化庁はそれがわかってない。文化庁にしてみれば、「それでもかまわない」のだ。そこに対しては責任がないから。その結果コンテンツの作り手が痩せ、最終的には消費者がつまらない思いをすることになるのかな。少なくとも私は納得いかない。
そう考えると、我々消費者も文化庁著作権課に対して意見をぶつけるべきではないかと。大人しくしているだけでは、結局最後のツケはこちらが被るのだ。アホウな法律立案に対しては、それぐらいの責任を負うのが適切なことだと思う。ま、だからって個人名を出すのが適切かどうかは、ちと判断に苦しむところではあるけど。少なくとも日本風のやり方ではないよね。よってここで個人名大っぴらにを出すのは差し控えておきます。ご安心下さい、甲○正○文化庁著作権課課長殿(苦笑)。
最近のコメント