5月1日2007/05/02 02:37

 奇数月初日である。猛烈な数のカレンダーをめくるので、部屋の様子が一変する。ふっふっふ、これがカレンダーマニアの醍醐味だね。本来なら本日からここのスタイルも一新しようと思ったのだけれど、スタイルシートの解析がまだ…カスタマイズしないと大変なことになるので、「好みのスタイル選んで終わり」にはならない。まいったね。
 
 本日の話題は、なんとなくマンガ評論で。先日予告した「萌え系マンガ」について語ってみようかと。思いっきり引かれそうな話題だけど、そんな話題を取り上げることにここの価値があるので…ってことにしておいてくれ。
 
 「萌え系マンガ」のちゃんとした定義ってものはないと思う。強いて言えば「女の子が重要な役割を占める男性向けマンガ」になるけど、そんなものは腐るほどある。この辺の定義についてはそこら辺で色々騒がしいんじゃないかとは思うけど、私はそんなものに関わるつもりはありません。
 
 明白に萌え系だと断言できるのは、「女の子が主役もしくはそれに準じる存在で、なおかつ恋愛が主題ではなく、青年・少年向け漫画誌掲載のもの」だね。ギャグ色が強いモノも含めて良いのかどうかは悩ましいところがあるけど、私は「可愛いネーチャンの絵に依存してるところがある」って点で含めて良いような気がしている。ってことは、少年チャンピオンの「無敵看板娘」も萌え系か…うん、間違ってないと思う。
 
 萌え系マンガが面白いかどうかは、まあ個人の趣味でしょ。私はジャンルとしてどうこう…って扱いはしてない。好きなもの・読んでるモノは多いけど、読んでる絶対数が多いんだから当然である。むしろ点が辛い方かなあ。この系統のマンガは「ネーチャンが可愛い」かどうかに大きく依存するので、一枚絵として良く出来た絵柄の作家が多い。けど、私は「絵として上手いかどうかより、勢いを重視」ってところがあるので、必ずしも高く評価しないのだ。
 
 ココの常連には周知の通り、私は少女マンガを好んで読む人である。少女マンガは女の子が主役であることが多く、ある意味萌え系マンガと重なるところがある。だけど、まあ色々と違う…というより、全然違うモノである。境界に位置するような作品もあることはあるけどね。
 
 説明しやすいので、少女マンガの図式から説明しよう。こちらは「女の子向け」で「主人公は女の子」である。ある意味、読者が感情移入しやすい。一般的な少女マンガを野郎が読んでもあまり楽しめないのは、この辺が理由の一端でしょ。確かに、中年男性である私には全くもって理解しがたい領域が描かれていることが少なくない。実のところ、私のように屈折しまくってる奴にはそこがまた楽しいんだけど。
 
 それに対し、「萌え系」マンガの読者は男である。普通に考えれば、女の子には感情移入しにくい。感情移入しやすいようじゃ、むしろ困るのだ。「男のように考え、男のように行動する女の子」ってのは、ある意味困ったモノだからね。けど、そうじゃない存在に感情移入するのはそれなりに大変である。
 
 それでは、「萌え系」マンガはそこをどう処理してるのか?手法その1・基本は男っぽく描く。主人公の性別が男になっても、話自体は破綻しないような話を描くのだ。ギャグ系の作品に多い手法がコレ。野郎がやると「あっそ」で終わるような行動でも、女の子がやればウケるのは事実だし。また、ライトなスポーツ系マンガもこの手法が使える。男がスポーツの世界で「上を目指す」となると、「選ばれた者が死ぬほど鍛えまくってどうこう」って世界を描くことになる。けど、「高校時代運動系の部活でした」って奴の大半はもうちょっとヌルく活動してたはず。その辺を男で描くと面白味がないので、女の子で描く。女の子なら、「恋愛がどーした、オシャレがこーした、友人があーした」ってな理屈(実は男でも気にしてる)によって部活熱心にやらなくても、「そんなものだ」で許されるからね。
 
 手法その2・「メガネ君」を使う。メガネ君ってのは「主人公の脇にいる、読者の象徴」みたいな存在のこと。詳しくは名作「サルまん」(何だかわからなければ検索しなさい)参照。スポ根マンガなどの場合、主人公は「とてつもなく天才で、とてつもなく努力をする」存在である。こういう存在だけを描いていたんじゃ、読者(多分凡人)がついて行けない。そこで脇からの傍観者を用意して、時々コッチに感情移入させる。時に解説担当させたりと、色々便利な存在だ。こいつを応用する。立場としては親兄弟や先生、ライトな関係のボーイフレンドなんかが多い。脇役ではなく、主役がこの立ち位置って場合も多い。
 
 手法その3は「恋愛関係を描く」である。これを使えば、「(主人公が)何考えてるのか、さっぱりわからん」ってことが正当化される。通常の人間関係だと「わからん奴と付き合う必要はない」となるけど、恋愛関係はそう言ってられない(それが当たり前)からね。これはこれで描き方が大変ではある(女性視線で恋愛描き、それを野郎に読ますのはそれなりに大変)けど、「男が読んでも楽しめる少女マンガ」描けるのなら成立することになる。
 
 他にも色んな手法があることはあるんだけど、代表的なのはこんなものか。つまるところ、萌え系マンガには少女マンガにはない「工夫」がある。それをどう捉えるかがジャンルとしての評価になるのかなあ。「余計である」と言い切るのは簡単ではあるんだけど、こういった工夫抜きでは作品を描けないって問題もあるからねえ。屈折したジャンルだと思うけど、元々対象読者からして屈折しまくってる連中に決まっているから、これでいいのでは。
 
 なお、「萌え系マンガで描かれている女の子」にどの程度リアリティがあるのかは、よくわからん。私の経験その他からそんなものが語れるとでも?一度女性が読んだ感想なるものを聞いてみたいものである。ま、私の友人知人構成では、「見果てぬ夢」じゃないかと思うけど(笑)。