4月2日 ― 2007/04/03 01:22
先週末最大のニュースと言ったら、やはりヴェンジャンスオブレインのドバイシーマクラシック制覇でしょ!嬉しいよ私は。心底嬉しいよ。ついに、ついにこの日が来たんだなあ…感謝感激雨あられである。つーわけで、浮かれまくりでお届けしましょう。
大方の日本人にとっては、「ポップロック負けたんだ、ふ~ん」で終わりそうなこのレース。しかし、多少なりとも香港競馬を知ってる人間にしてみれば、この結果は仰天モノである。だって、香港馬がダービーディスタンスのGⅠを勝ったのだから。香港競馬贔屓の私でさえ、そんなものは見果てぬ夢だと思っていたのに。はっきり言って、日本馬がキングジョージや凱旋門賞勝つより難しいことだと思っていた。
何でそんなに難しいのか?香港馬の質が悪いから…ではない!ことマイル以下に関する限り、香港馬は侮れない。そんなことは日本人でもわかるでしょ。安田記念やスプリンターズSで好走する香港馬なんて、もはや珍しくも何ともない。この路線に関する限り、日本馬と五分の評価ができるはず。
しかしだ。マイル以上となると、途端に層が薄くなる。そりゃそーだ。香港のレースはほとんどが短距離なんだから。日本で言えばダービー・JCにあたるレース(香港ダービーと香港カップ)の距離は2000。これぐらいが限界であり、そこから上は勝負にならない…それが常識ってモノだった。
しかし、私はあえてヴェンジャンズオブレインを「推奨」した。香港競馬の常識は知ってるにもかかわらず。香港馬に2400は厳しいどころの騒ぎじゃない、勝つと予想するのはタダの大馬鹿…ってことをよーく知っていながら、それでもこの馬に期待したのだ。理由?そんなもの1つに決まっている。そーゆーことは全部承知の上で、なおかつ信じる価値のある馬だと思っていたからだ。他に理由なんていらないでしょ。
私の中でのヴェンジャンスオブレインは、無茶苦茶強い馬である。初めて見たのは一昨年の香港カップの時だけど、「ついに原居民様の後継が!」って期待をした。沙田2000なら、全盛期のハーツクライやディープインパクトと好勝負できると思うね。少なくとも、この時2着したプライドよりずーっといい馬だった。
それにしちゃあ、去年はあんまり名前聞いてない?体調不安があったからだよ。香港競馬は9月に始まり6月に終わるので、香港カップはシーズン半ばのレースとなる。にもかかわらず、香港カップの後はまるで出走できず。去年秋にやっと復帰したけど、香港カップでは明らかに万全ではない状態。それで3着するんだからやっぱり強い馬だとは思ったけど、結果が出なかったのは事実だ。
惚れた存在が、実力とは無関係なところで苦しんでいる…これは辛いよ~。実を言えば、去年プライドが活躍するたび、「ヴェンジャンスオブレインの方がずっといい馬なのに…」とひそかに(でもないか)歯ぎしりしてた。特に凱旋門賞でプライドがディープインパクトに先着した時には、「ヴェンジャンスオブレインがマトモなら…」と、血の涙流して悔しがってました。日本人なのに(苦笑)。
しかしまあ、そんな辛いときでも惚れた馬を見捨てないのが私。日本馬ポップロックには悪いけど、ドバイシーマクラシックの出走表にこの馬の名前を見た瞬間、私の予想は決まっていました。ヴェンジャンスオブレインは強い。世界の一流馬と比べても決して遜色ない。そんな私の想いを、きっと形にしてくれるだろう…そう信じることにしました。条件の厳しさは承知の上で。「惚れた馬を追いかける」ってのは、こーゆーことでしょ。本当は「仕事放り出して、ドバイまですっ飛んで行って応援する」ってところまでやらないといけないんだけど(笑)。
冷静に考えて、この馬が勝つ可能性はどれぐらいあったのか?「実はそれなりに高かった」ってのが私の見解。まあ実力評価はさておこう。私の評価は思い入れしまくりだから。まずは格。香港QEⅡC&香港カップ勝ち馬。地元の利があったのは間違いないとはいえ、GⅠ2勝馬である。ブリーダーズCターフ(米国芝の最高峰レース)制覇やら英国ダービーといった煌びやかな実績を持つ馬と比べても、名前負けはしてないはず。次に距離適性。どう考えてもベストは2000。それは認める。けど、「マイルだとちと短い」って馬だ。ならば2400なら何とか我慢できる…と考えるのは、そう的外れではないでしょ。経験不足から割り引く必要は認めるけど。前走勝って復調もしている。「沙田の芝とナドアルシバの芝は連動性が高い」って私の理論が正しければ、馬場適性もある程度信用できる。
香港競馬をちょっと知ってる層がハマった落とし穴の1つが、「目標は4月末のQE2世Cでしょ」ってことだと思う。つまり、本気度が足らないと。海外競馬の予想をする上で、この「本気度」は大事である。これは日本人でもよくわかっているんじゃないかなあ。JCを予想するとき、まず考慮されるものだからね。正直言おう。私もコレは考えた。目標が先にある以上、ここは無茶しないのではと。しかし、ものすげー真剣に熟考した末、最終的に「それはない!」と結論づけた。
理屈はこうだ。一昨年の暮れに香港カップを勝った直後、香港のマスコミが陣営の関係者に「海外遠征の夢」について尋ねている。それに対する解答は、「体調管理が難しいから、国内に専念かなあ」ってものだった。そんな陣営が、ちょっと前まで体調不安抱えていた馬を遠征させてきたのだ。「ダービー使うけど、目標は福島のラジオNIKKEI賞」ってな場合と違い、リスクが大きすぎる。「勝ちに来た」までは言えないかも知れないけど、1つでも上の着順を目指していたと判断した。
私が最後の最後まで捨てきれなかった不安は、「遠征に伴う体調不安」である…これはもうどーしよーもない。陣営がどちらかと言えば弱気なのはわかっているし、経験も不足してる。おまけに、日本にいたんじゃ調教時計も入ってこない。せめて現地にいれば何かわかったかもしれないけど…競馬ってのは相手があってのモノなんだから、海外のレースでもそういう情報流して欲しいんだけどなあ。ま、これは言っても無駄だね。だからこそ私は現地に出掛けるんだから。
レース映像は、JRAのサイトで日本語実況のついたものを見ることができる。いい時代になったモノだ。最後の直線で力強く抜け出してくる姿は、見ていて涙が出てくる。道中折り合いに苦労してる様子を見る限り、やはり経験不足の影響はあったと思う。それでいて最後にあの脚を使えるんだから、やはり力のある馬だってコトでしょ。私の妄想が真実に変わった瞬間は、カイカンの一言ですな。これがあるから競馬は止められない。
香港馬がダービーディスタンスのGⅠで勝利する…これは、あの原居民様が望んで果たせなかった夢である。香港ヴァーズは勝ったことあるけど、この時はGⅠじゃなかったからねえ。結局JCで2着ってのが最高着順。他はチャーミングシティがドバイシーマクラシックで2着ってのがあったなあ。現地で見ていて、思わず応援しました(苦笑)。そんな香港馬の姿を知ってるだけに、今回の勝利は格別ですねえ。「日本馬がどうこう」ってことだけしか興味を持てない人達は、可哀想だと思うくらいだ。
他のレースはさらっと流します。大事なのは日本馬アドマイヤムーンが勝ったデューティーフリーと、ワールドCかな。デューティーフリーのアドマイヤムーンは見事だった。同じ日本馬ダイワメジャーも頑張ったけど、最後は鞍上の差が出たかな。他はともかくドバイ芝コースの経験では、やはりアンカツよりユタカの方が上でしょ。スランプ明けて「手に負えない」絶好調モードみたいだし。
ワールドCについては、ヴァーミリアンとブリッシュラックについて語ろう。まあ勝てないのは仕方ない。ただ、露骨な距離不安のあるブリッシュラックが、そんなものはないヴァーミリアンに先着したってのは…ひょっとすると、「アメリカンダート適性」なるものはブリッシュラックの方が上なのかも。日本で言えば「初のダート」とか「初の芝」みたいに、やってみるまで適性はわからんってことじゃないかなあ。ドバイワールドCやアメリカのダート競馬で日本馬が結果を出そうと思ったら、日本国内にも本格的なアメリカンダートのコースを作るしかないのかも。管理が大変そうだけどね。
ちなみに、ヴェンジャンスオブレインの次走はおそらく香港QE2世C。地元に凱旋である。そして、アドマイヤムーンもここに挑戦する予定だとか…ドバイシーマクラシック馬とドバイデューティーフリー馬が沙田2000で対決である!片や地元の意地が、片や去年暮れに先着した意地がある…うぉっ、超見てえ!けど、今からじゃどう考えてもチケット手配できない…あーくそ、やっぱり大レースは自分で見にいかなきゃ駄目だ。ドバイワールドCデーとか、香港QE2世Cの日に私が日本にいるのは間違ってる!今回は言わないつもりだったけど、やっぱり言いたくなりますね。何でオレはこんなトコロ(日本)なんぞにいるんだぁぁ!
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